著者
西澤 由隆
出版者
同志社法學會
雑誌
同志社法学 (ISSN:03877612)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.253-293, 2011-06

2009年総選挙における民主党の勝因を、WasedaCASI&PAPI2009世論調査データを用いて有権者の投票行動の視点から分析した。その結果、民主党に対する支持態度・政権担当能力評価が、投票行動を規定する重要な要因として特定された。一方、民主党による動員の効果から判断をするとき、その支持基盤の脆弱性も明らかとなった。また、政策評価要因が投票に影響を及ぼした形跡はうかがえず、業績評価にもとづく政権交代であったとは言えないことが判明した。
著者
山本 健太
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.65, 2010

本発表の目的はアニメーション産業労働者の日行動に着目し,労働者の生産活動の実態を明らかにすることである.これまでのコンテンツ産業研究では,労働者個人の感性やネットワークの重要性を指摘しながらも,現場で働く末端労働者の日々の生産活動をとりあげたものはみられない.そこで本発表では,アニメーション制作企業の協力のもと,生産部門および制作部門の末端労働者である「作画」労働者5人および「制作」労働者5人を対象として,就業実態に関するアンケート調査および,2009年12月15日午前0時から18日午前0時までの活動パス調査を実施した.また期間中,ある「制作」労働者に合計12時間程度同行し,行動を記録した.加えて,対象となった労働者10人に聞き取り調査をした.<br> 調査協力企業の概要は以下の通りである.1986年設立,資本金1,000万円,従業員数33人である.アニメーションの生産については,下請け生産のほか,元請け生産もする.自社内に有する職種部門をみると,経営部門(3人),制作部門(9人),作画部門(10人),演出部門(8人),仕上げ部門(4人)である.これらから,当該企業は典型的な元請け企業であるといってよい.<br> 「作画」労働者の活動パスをみると,初日には,回答者全員が帰宅し,24時間ほど休息をとっている.その後の調査期間中は,いずれの労働者も帰宅していない.制作企業からの外出先と所要時間をみると,ある労働者が3日目21時からおよそ2時間,同僚と食事に出かけているのを除けば,最寄りの大型スーパーへ食事の買出しに30分程度,1回から2回外出するのみである.そのほかの活動では,仮眠や仕事待ち,アニメーション鑑賞,同僚との雑談等がみられ,制作企業内での待機時間が長い.調査期間3日間を通して,ルーチン活動はみられず,不規則な就業をしている.<br> 「制作」労働者の活動パスをみると,自宅が徒歩30圏内にある労働者(3人)については,3日間のうち2から3回帰宅している.それ以外の労働者では,3日間を通じて帰宅しないか,帰宅しても1回のみ4時間程度の滞在に過ぎない.最も活動的な時間帯は19時から3時である.就業時間中は取引先制作企業やフリーのクリエイター間の半製品運搬のため,外出を繰り返す.半製品の運搬については,自社と取引先との単純な往復のほか,1度のトリップで複数の取引先を周回する場合もある.トリップの所要時間は30分から1時間程度の短時間のものが多い.また,労働者毎に取引する企業,クリエイターがある程度決まっている.<br> 密着調査した労働者の2009年12月15日19時から21時における接触記録をみると,間接接触では5箇所計6回の電話をしている.1回の通話時間は1分から5分である.また,多くの場合,1回の電話で1つの話題に限られる.話題は6回の電話のうち,作業進度の作業4回,日程指示3回である.電話をするのとは別に,フリーランサーからの電話への応答,中国子会社へのファクシミリによる納期指示をしている.<br> また,対面接触の回数についてみると,5人計4回している.内容は,「制作」労働者への仕事指示,上司への日程報告のほか,「仕上げ」労働者および作画監督との品質確認作業である.これらの対面接触の1回あたりの所要時間は2分から15分と,電話での接触と比較して長い.単純な作業指示のほか,品質確認作業については,作画監督や仕上げ部門労働者に意見を求めるなど,活発な意見交換がなされていた.<br> 以上の結果から,分業関係について次のような構造が示唆される.「作画」労働者は制作企業に常駐し,「制作」労働者が運搬してくる半製品を受け取り次第,生産する.「制作」労働者はそのようにして生産された半製品を回収し,次の取引先へと運搬する.また,「制作」労働者は現場労働者との短時間での情報共有や意見交換を頻繁にすることで,プロジェクトを進行していく.労働者がこのような生産活動を維持するためには,労働者の多様な働き方を受容する制作企業の存在とともに,各部門労働者が近接し,同時間帯に活動することが求められよう.
著者
加藤 正吾 細井 和也 川窪 伸光 小見山 章
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.93, no.3, pp.123-128, 2011 (Released:2011-08-31)
参考文献数
21
被引用文献数
4 5

付着根型つる植物であるキヅタ (ウコギ科) の匍匐シュートの伸長方向と光環境の関係を実験的に解析した。匍匐シュートに傾度のある光環境条件を与えた場合, 10 mm以上伸長したすべてのシュートで, キヅタは負の光屈性を示した。また, その負の光屈性は, シュートの先端が水平方向と垂直方向の光強度が均一に低下するような空間をめざして伸長するように生じていた。シュートの伸長量は光量の減少にしたがって低下したが, 20 μmol/m2/sという弱光環境においても負の光屈性は生じていた。つまり, キヅタの匍匐シュートの負の光屈性は, 単なる強光を避ける反応ではなく, 三次元空間的な光環境で暗所方向へ伸長する反応であった。この負の光屈性は, つる植物が林床の不均一な光環境下で, 支持体として有効な樹木を匍匐シュートによって探索する際に, シュート先端が登攀開始点となる暗い樹木の根元に到達する有効な生態的特性であると考えられる。
著者
新屋 勝啓 中村 泰行 山岡 成光 西 和彦
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第35回 (2021)
巻号頁・発行日
pp.2Yin514, 2021 (Released:2021-06-14)

近年,「あおり運転」の摘発数は減少傾向にあるが,依然として社会問題となっている.「あおり運転」の摘発に はドライブレコーダーの映像が重要な証拠となっている。 本稿では,自動車後方にエッジデバイスを設置し,後方ドライバーのあおり運転を検出及び警告するシステムの中でも,限定的なリソースの中でいかにあおり運転を高精度に認識するかに言及する 。
著者
農林省 編
出版者
朝陽会
巻号頁・発行日
vol.第三十巻, 1934
著者
農林省 編
出版者
朝陽会
巻号頁・発行日
vol.第二十八巻, 1934
著者
農林省 編
出版者
朝陽会
巻号頁・発行日
vol.第二十七巻, 1934
著者
稲福 寿史 稲福 和宏 宮城 嗣名 野中 薫雄
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 = The Nishinihon journal of dermatology (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.23-26, 2005-02-01
参考文献数
6

Hydroxyurea(以下HU)は,慢性骨髄性白血病(以下CML)の治療薬として現在外来で広く使用されているが,本剤を長期にわたって維持投与された症例に下腿潰瘍を合併したとする報告例が増加している。症例は57歳の男性。1997年9月CMLと診断され,HUの投与(1000~1500mg/日)が開始された。投与12ヵ月後,外顆部に有痛性の潰瘍が出現し始め,近医にて種々の外用療法を行ったが改善はみられなかった。潰瘍出現の原因検索と潰瘍治療法の選択のため,当科紹介入院となった。病理組織学的には真皮中層から深層にかけて小血管と結合織の増生,炎症細胞の浸潤を軽度認めた。血管壁の膨化や変性はなく,血管炎の所見も認められなかった。本症例の潰瘍の原因は,うっ滞性,糖尿病性,血管炎性などが疑われた。入院4日目よりHUを中止し,アクトシン<SUP>&reg;</SUP>軟膏外用の保存的治療で約2ヵ月で略治したのでHUによる潰瘍と診断した。HU中止後3年6ヵ月の現在に至るまで潰瘍の再発はみられない。
著者
金子 憲治
出版者
日経BP社
雑誌
日経エコロジー (ISSN:13449001)
巻号頁・発行日
no.123, pp.102-105, 2009-09

総選挙の投票日が8月30日に決まった。2大政党間の政策論争は、短期的に影響の大きい少子化や中小企業対策に目が向きがちだ。しかし、環境政策の違いも大きく、その選択は将来のこの国のカタチを左右する。 「民主党の掲げる政策では、子供手当などの財源をどうするのか、その不確かさが指摘されるが、それより気になるのが、温暖化ガスの中期削減目標。
著者
西村 博之 江口 朝子 池田 亜須香 井島 廣子 川口 はるみ 橋口 和子 石塚 洋一 陣内 秀昭 陣内 冨男
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.217-221, 2007 (Released:2009-05-20)
参考文献数
10
被引用文献数
1

インスリン自己注射によるlipohypertrophy(以下,LH)は,限局した部位への皮下注射により形成され,インスリンの吸収障害の一因になる事が懸念される.LH形成は臍の両側に多く観察されることを経験するが,実際にどの部位にLHが好発するのか,またその原因については明らかでない.そこでLH形成部位と自己注射部位の関連を調べる目的で,患者対象の調査を実施した結果,腹部でのLH形成は臍の横とななめ下に多かった.この理由として,同部位が手技的に自己注射しやすいだけでなく腹部でも穿刺時痛の少ない部位のため限局して注射している可能性を考え,次に健常者対象の腹部部位別の穿刺時痛比較試験を実施した結果,臍の横とななめ下で穿刺時痛が少ないことがわかった.これらの結果より,腹部でのLH形成は臍の横とななめ下が多く,その理由として穿刺時痛の少ない部位を無意識に選択して注射していることが一因と考えられた.
著者
富崎 隆
出版者
日本選挙学会
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
no.18, pp.58-77,255, 2003

本稿は2001年イギリス総選挙の投票行動を,British Election Study 2001年調査の生データ資料を使用して分折した。その際,投票行動の一般モデルから予測できる要因をできる限り幅広く取り上げた。多変量解析の結果,以下の点が明らかになった。(1)社会的属性特に職業階級は以前程の規定力を有しない。(2)政党帰属意識の規定力はモデル上有意である。(3)首相&bull;党首評価,最重要争点への対応評価は保守&bull;労働&bull;自民党への投票に,経済危機対応能力評価は2大政党への投票に,階級&bull;強い政党帰属意識とは独立に連関関係を有し,経済業績投票,保守党の政策ポジション失敗&bull;労働党の中道化戦略の成功の影響も概ね確認できる。戦後最低となった投票参加を規定する多変量解析では,年齢&bull;選挙関心&bull;投票義務感&bull;投票経験頻度&bull;政党帰属意識強度&bull;党首評価度が影響を与えるモデルが選択され,労働党勝利の予想が選挙関心と投票率を低めた可能性が指摘できる。
出版者
日経BP
雑誌
日経ビジネス = Nikkei business (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.2064, pp.66-68, 2020-11-02

野村HDは2017年に日鉄ソリューションズ(NSSOL)の電子契約サービスを導入。それから約3年で、主にITベンダーと結ぶ開発や保守に関わる契約書を中心に電子署名を使った電子契約を1万3000件ほど締結したという。 従来は各部署が紙の契約書を個別に管理していたた…
著者
鹿島 久嗣 坂本 比呂志 小柳 光生
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.113-121, 2006 (Released:2006-01-06)
参考文献数
30
被引用文献数
1 1

We introduce a new convolution kernel for labeled ordered trees with arbitrary subgraph features, and an efficient algorithm for computing the kernel with the same time complexity as that of the parse tree kernel. The proposed kernel is extended to allow mutations of labels and structures without increasing the order of computation time. Moreover, as a limit of generalization of the tree kernels, we show a hardness result in computing kernels for unordered rooted labeled trees with arbitrary subgraph features.
出版者
日経BP
雑誌
日経コンピュータ = Nikkei computer (ISSN:02854619)
巻号頁・発行日
no.1020, pp.28-32, 2020-07-09

「契約の締結頻度が高い取引先に対して重点的に、紙の契約書から電子契約に切り替えてもらう活動を続けている」。こう話すのは野村ホールディングス(HD)の大賀顕経費購買戦略部ヴァイスプレジデントだ。 野村HDは2017年に日鉄ソリューションズ(NSSOL)の電…

1 0 0 0 OA 東京市史稿

著者
東京市 編
出版者
東京市
巻号頁・発行日
vol.市街篇附圖第一,
著者
Cutrufo Mauro
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1510, pp.153-156, 2009-10-05

今年6月、イタリア・ローマ市内の有名レストラン「イル・パセット」で日本人観光客が「ぼったくり」の被害に遭いました。カップルで入店し、約9万円相当の法外なランチ代を支払わされたそうです。 イタリア国内のメディアがこぞってこの問題を大きく取り上げ、そのことが日本でも新聞やテレビで報じられたと思います。
著者
松本 伊智朗 湯澤 直美 関 あゆみ 蓑輪 明子 永野 咲 加藤 弘通 長瀬 正子 丸山 里美 大谷 和大 岩田 美香 大澤 亜里 鳥山 まどか 佐々木 宏 杉田 真衣 山野 良一 田中 智子 上山 浩次郎 藤原 千沙 吉中 季子 福間 麻紀 大澤 真平 藤原 里佐 川田 学 谷口 由希子 中澤 香織 伊部 恭子 山内 太郎 新藤 こずえ 小西 祐馬 加藤 佳代
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究の目的は、子どもの貧困の現代的特質を明らかにすると同時に、政策的介入と支援のあり方を検討することである。そのために、大規模な子ども・家族を対象とした生活調査(3万人対象)を北海道で行った。あわせて、女性の貧困に関する理論的検討、社会的養護経験者に対する調査を行った。それらを通して、経済的問題、時間の確保、追加的ケアへの対応、ジェンダー平等の重要性、子どもの活動と経験、社会的ケアと社会保障制度の問題について検討を行った。