著者
宮下 弘 鈴木 一元 峯田 周幸 野末 道彦
出版者
The Japan Broncho-esophagological Society
雑誌
日本気管食道科学会会報 (ISSN:00290645)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.304-309, 1990-08-10 (Released:2010-10-20)
参考文献数
13

We reported a case of invasive laryngeal carcinoma arising in preexisting big laryngeal papillomatosis.A-59-year-old man complained of increasing hoarseness and dyspnea before tracheotomy. We noticed huge tumor in the larynx. Pathological diagnosis was papilloma at the first examination. Because of recurrence of the tumor, frequent management by dioxide laser surgery was required to maintain an adequate airway every 2-month. At the fourth time biopsy, the histological diagnosis was epidermoid carcinoma. Papilloma virus was also found in carcinoma. For radical treatment, total laryngectomy was done, and his clinical course is very good for two years after surgery.Some discussions were made concerning the classification, etiology, transformation into carcinoma and treatment of papilloma.
著者
太田 達也
出版者
慶應義塾大学法学研究会
雑誌
法学研究 (ISSN:03890538)
巻号頁・発行日
vol.74, no.6, pp.63-92, 2001-06

一 はじめに二 香港における犯罪被害補償制度の概要と運用状況 --(以上、七四巻五号)三 改正・犯罪被害者等給付金支給制度の課題四 小括 --(以上、本号)論説
著者
森田 廣
出版者
山陽小野田市立山口東京理科大学
雑誌
山陽小野田市立山口東京理科大学紀要 = Bulletin of Sanyo-Onoda City University (ISSN:24342866)
巻号頁・発行日
no.4, pp.77-83, 2021

東日本大震災の直後に本学に着任した筆者は、その後の未曾有ともいえる風水害も目の当たりにしながら、自然災害に強い再生可能エネルギーの研究に取りかかった。この10年、他の研究者があまり着手していない領域の研究を同じ意志を持つ学生たちと続けてきた。その中でも特に思い入れのある3技術を紹介する。紫外線を電力に変える透明太陽電池についてはその形成技術も含めて開発し、世界最高レベルの効率を達成した。風レンズ効果を用いたディフューザー付きの風力発電は、弱風下でも発電が可能なことを示すことができた。さらに、微生物を起源とする土壌微生物燃料電池については筆者らが初めて実施した多孔質体の導入により、従来の発電電力の10倍を達成して実用化に近づけた。この地は、瀬戸内ゆえの日照時間が長く、弱風ながらいつも風のある、湖沼や田圃が多い環境にある。それらから自然エネルギーを頂き、電力に変えてエネルギーの地産地消の実現につなげていきたい。
著者
伊藤 章 大久保 隆男
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
CHEMOTHERAPY (ISSN:00093165)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.455-459, 1988

CS-807を臨床的に7例の呼吸器感染症に投与し, 以下の成績がえられた。<BR>1) 肺炎1例, 慢性気管支炎3例, 気管支拡張症, 気管支喘息, 肺線維症各1例, 計7例に投与した。<BR>2) 副作用のため投与を中止した慢性気管支炎1例を除く6例に対する臨床効果は, 有効4例, やや有効1例, 無効1例で有効率は66.7%であった。<BR>3) 1回200mg投与例では4例中2例が有効であったが1回量400mg投与例では, 2例共有効であった。<BR>4) 5例で, 起炎菌が検出され,消失2例, 不変1例, 菌交代1例, 不明1例であった。<BR>5) 副作用として下痢が1例で認められ,本人の判断で1日後に中止したが, 2日目には特に治療を要することなく正常値に回復した。<BR>6) 本剤によると思われる臨床検査値異常は認められなかった。<BR>7) 有効率の低さは, 症例が少ないための偏りであろうと考えられた。<BR>8) 症例を選択して本剤を用いれば, 有用な経口抗生剤となりうるであろう。
著者
毛利 雅彦 西田 勤
出版者
水産大学校
雑誌
水産大学校研究報告 = The journal of the Shimonoseki University of Fisheries (ISSN:03709361)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.1-11, 2000-10

まぐろ類の水平および鉛直方向の釣獲分布は、種間で異なることが知られている。まぐろ類の分布に影響をおよぼす要因は数多いと考えられるが、その分布域を広く網羅しかつデータ量の比較的多いものは、水温、塩分および溶存酸素量などがあるに過ぎない。以前著者らは、インド洋のメバチの分布と水温および溶存酸素量との関係を調べたが、本研究では、インド洋のキハダについて同様な関係を調べた。その結果、次のことがわかった。インド洋全域においてキハダの釣獲に適した水温は13-24℃であり、この範囲での平均釣獲率は5.0以上と高かった。海域別にみると、低緯度海域では釣獲率の高い水温の範囲が、同様に13-24℃であった。しかし、南半球の高緯度海域では、釣獲率の高い範囲が17℃以上と、低緯度海域よりも高温側に偏っていた。釣獲に必要な最小溶存酸素量は1ml/lであり、インド洋の北部ほど浅い層での溶存酸素量が少なく、160m以深でlml/l以下になっていた。
著者
栗田 子郎
出版者
公益社団法人 日本植物学会
雑誌
植物学雑誌 (ISSN:0006808X)
巻号頁・発行日
vol.74, no.879, pp.395-401, 1961
被引用文献数
4

日本産シダ類10種の染色体数を報告する. 観察の結果, イブキシダは<i>n</i>=36, イヌガンソクは<i>n</i>=40,キヨスミヒメワラビ&bull;イワデンダ&bull;ミヤマクマワラビ&bull;タニヘゴの4種は<i>n</i>=41,ミドリヒメワラビは<i>n</i>=61-62, ベニシダ&bull;マルバベニシダ&bull;ミサキカグマの3種は<i>n</i>=123であることが判明した. また, 胞子母細胞および胞子の数の算定より, ベニシダ&bull;マルバベニシダ&bull;ミサキカグマの3種はアポガミーをおこなうものと推測された. とくに, 筆者の観察したベニシダでは根端細胞においても約123の染色体がみられたので, この種がアポガマス (apogamous) なものであることはまちがいないと考える.本論文中の学名は大井著, 日本植物誌&bull;シダ編のものである.
著者
中西 俊夫 磯部 文男
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.169-176, 1993-02-15

【抄録】 DSM-Ⅲ-RのMajor Depression,melancholic typeの診断基準を満たす外来通院うつ病者で,2年以上症状が続いた者17名と,性・年齢がマッチし1年以内に寛解した者17名をretrospectiveに調査・比較した。慢性化を予測する因子としては,発症から初診までの期間が長いこと,病前性格におけるメランコリー親和型(Tellenbach)の程度が強いこと,経過中のストレスとなる出来事が多いことの3点が明らかになった。一親等親族でのうつ病の家族歴,初診時のハミルトンスケールの得点などでは両者の間に有意差はみられなかった。神経症性うつ病を別にすれば,病前性格においてメランコリー親和型の程度が強ければ,単極性・内因性うつ病は慢性化しやすいと考えられる。