著者
全 在紋
出版者
桃山学院大学総合研究所
雑誌
桃山学院大学経済経営論集 = ST.ANDREW'S UNIVERSITY ECONOMIC AND BUSINESS REVIEW (ISSN:02869721)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.83-124, 2021-07-27

Some conclusions reached in this paper within the scope of the treatisewriting rules are summarized as follows:(1)In the accounting community of Japan, “In most Japanese enterprises,double-entry bookkeeping system is widely used. It is used not only byglobal corporations but also by small taverns behind train stations.” Suchkind of discussion (recognition) is rampant. However, as far as the taxstatistics based on the “blue/white return” of the NTA, we cannot acceptsuch a recognition. Even more so, considering that there are not a fewundeclared enterprises (actual numbers unknown).(2)In so-called “modern accounting,” discourses that pretend to bemembers of modern science can be seen as they are. “Profit” (increase inwealth) and “loss” (decrease in wealth), which form the basic concepts inmodern accounting, are not the concepts of entities (objects) that can beobserved straightforwardly. They are not the concepts of entities (objects)that can be observed in a straightforward manner, like the basic conceptssuch as “atom” and “molecule” in physics and chemistry as modern science.In other words, modern accounting is unknowingly in line with the methodof modern science in terms of the basic concepts that make up the “frameof reference for recognition.”(3)According to tax statistics of Japan, in the case of about 2.86 millioncorporations, “blue/white return” is over 99%, and almost all of them arebased on blue return (mostly double-entry bookkeeping system). However,looking at the “percentage of deficient corporations” over the years, almosttwo-thirds of the corporations have not paid corporate tax. With this, itseems unlikely that double-entry bookkeeping system has been adoptedbecause it is useful for increasing corporate profits. Rather, is double-entrybookkeeping system a useful tool for “legal tax evasion” ? Such doubts donot go away.(4)If the current “spreading of double-entry bookkeeping system” was theresult of the controlling means by discipline and training under modernpower, the end of such system is near. Based on Foucault’s ideas, inpostmodernism, the “épistémè de l’homme” as a frame of reference forrecognition is going to disappear without a trace. In short, double-entrybookkeeping system will soon become unpopular. Double - entrybookkeeping system, which was born in modern times, will be obsolete inpostmodernism ! Whether or not our assertion is right or wrong is left tothe judgment of posterity.
著者
永野 叙子
出版者
一般社団法人 日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.78-93, 2014

本研究では,市民後見人の役割を明らかにすることを目的とした.研究方法は,半構造化面接法によって得た各種情報を集計し分析すると同時に,発言を逐語記録から記述し,エスノグラフイーを用いて再構成した.その結果,市民後見人の役割として,(1)定期的な面談によって被後見人(以下,本人)の状況把握や本人の希望を確認する,(2)本人にとっての最善を見いだす,(3)本人の能力に働きかけ発揮できるよう環境を調整する,(4)身上監護が適切に行われているかを見極める,(5)本人の権利擁護に取り組む,(6)生活者の視点で後見活動に付随したインフォーマルな支援を行う,などの状況が確認された.加えて,個人としての存在が認められ価値がある人として大切にされるよう,その人にとっての最善を共に考え,その実現に向けて支援すること,また,成年後見制度を提供する立場で意見し,より良い制度となるよう提言する役割を担っているのではないかと考えられた.
著者
餅川 正雄
出版者
広島経済大学経済学会
雑誌
広島経済大学研究論集 = HUE journal of humanities, social and natural sciences (ISSN:03871444)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.53-75, 2018-12

本研究は,日本の養子縁組制度と法定相続の関係を考察することを目的としている。その理由は,養子縁組によって法定相続分は大きく変化することがあるからである。そこで,本研究では,第一に,なぜ養子制度があるのかを考察する。第二に「普通養子制度」と「特別養子制度」の目的とメリット・デメリットについて整理する。我が国の養子縁組制度の基礎的な内容について,特徴と問題点を明らかにする。第三に,代表的と考えられる養子縁組のケースとして次の4つの設例を基に法定相続分がどうなるのかを検討した。第1の設例として「孫養子」のケースを検討した。これは祖父が孫を養子とする場合であり,孫であると同時に子でもあるということになる。孫としての法定相続分と,子(養子)としての相続分の重複は認められることが分かった。第2の設例として,兄が弟を養子とする「兄弟間の養子縁組」のケースを検討した。この場合,兄が亡くなって相続が発生すると,弟には子としての立場と弟としての立場が併存することになる。この弟を養子にしたケースでは,弟は子(養子)としての立場から相続権を主張することができるのみとなることが分かった。第3の設例として,父親に実子と特別養子縁組の養子がいて,その二人が婚姻して子が生まれ,その後,養親である父親よりも先に養子が死亡したケースを検討した。実子と特別養子の間に子がいて,特別養子が死亡したので,配偶者である実子が2分の1,子は2分の1ということになる。第4の設例として,父親に実子と普通養子縁組の養子がいて,その二人が婚姻し,養子の実親と養親(X)が存命中に,養子が死亡したケースを検討した。この場合,配偶者である実子が3分の2,養親(X)が6分の1(=1/3×1/2),実親(Y)が6分の1(=1/3×1/2)となることが分かった。その理由は,養親関係と実親関係の間に差は生じないからであった。1.はじめに 1.1養子縁組制度の存在理由 1.2普通養子縁組と特別養子縁組 2.普通養子制度 2.1普通養子制度の利用目的 2.2普通養子縁組の要件 2.3養子縁組の形式的要件 2.4普通養子縁組の効果 2.4.1養子は嫡出子の身分を取得する 2.4.2養親が親権者となる 2.4.3相互に扶養義務を負う 2.4.4離縁後も養親と養子の婚姻は禁止される 2.5養子縁組のメリット 2.6相続税法上の養子数の限定 2.7養子縁組のデメリット 3.特別養子縁組制度 3.1特別養子縁組制度の意義 3.2特別養子縁組の目的 3.2.1環境継続性の原則 3.2.2兄弟姉妹不分離の原則 3.2.3子の意思尊重の原則 3.2.4母親優先の原則 3.3特別養子縁組の成立要件 3.4特別養子縁組の成立要件の考察 3.4.1実親の同意がある 3.4.2養親が25歳以上である 3.4.3養子が6歳未満である 3.4.4半年以上の監護(試験養育)がある 3.5特別養子縁組の問題点 4.普通養子縁組の運用状況 4.1養子縁組の件数 4.2相続資格の重複問題 5.代表的な養子縁組と法定相続の関係 5.1祖父と孫との養子縁組(孫養子) 5.2兄弟姉妹間の養子縁組 5.3特別養子縁組 5.4普通養子縁組 6.おわりに
著者
山本 順一
出版者
日本図書館研究会
雑誌
図書館界 (ISSN:00409669)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, 2011-09-01
著者
伊東 孝洋 陶山 啓子
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.48100311, 2013 (Released:2013-06-20)

【はじめに、目的】 臨床においては踵部の褥瘡予防を目的としてクッション等を用いて下肢挙上を行うことがあるが、過度な下肢挙上により仙骨部に褥瘡を発症する事例が存在する。また先行研究において膝関節拘縮は仙骨部や踵部に対する褥瘡発生リスクを高める要因の一つとされている。以前から褥瘡予防を目的とした背臥位や30°側臥位などの体位と仙骨部接触圧との関係や膝関節の拘縮が仙骨部接触圧にどのような影響を及ぼすか調査した研究はよく行われている。しかし膝関節屈曲拘縮及び下肢挙上の高さが仙骨部接触圧に与える影響については検討されていない。本研究の目的は膝関節屈曲角度と下肢挙上の高さが、仙骨部接触圧にどのような関連が生じるのか明らかにすることである。【方法】 対象者は20歳から35歳までの健常な成人男性で、BMIが18.5以上25未満の者を対象とした。測定期間は平成23年5月1日~10月31日、測定項目は対象者に対して膝関節角度(0°、30°、50°)と下肢挙上の高さ(0cm、5cm、10cm、15cm、20cm)を変化させ、背臥位におけるそれぞれの仙骨部接触圧を測定した。また対象者の背景(年齢、身長、体重)を調査した。測定方法は仙骨部接触圧をニッタ社製Body Pressure Measurement System(以下BPMSと略す)を用いてベットにマットレス(ケープ社製 アイリス2)を置き、その上にBPMSのセンサーを設置し測定を行った。そして対象者は病衣を着用し、膝関節角度(0°、30°、50°)いずれかに設定したダイアルロック式膝装具 (中村ブレイス社製ラックニリガACL)を装着後、センサー上に背臥位となり、1分間安静を保持した後に全ての膝関節角度と下肢挙上の高さについて、仙骨部最大接触圧を20秒間に1回、計3回測定し平均値を仙骨部接触圧とした。下肢挙上の高さはマットレスから踵部までの距離とし、高さの設定は体圧分散能力のない高さ5cmの足枕とニシスポーツ社製バランスパッド(以下バランスパッド)を用いて設定した。なお下肢挙上時は両下肢を挙上した。 測定において順序効果を相殺するため、膝関節屈曲角度と下肢挙上の高さの順番はランダムに設定した。統計分析はExcel統計2006を用い、膝関節屈曲角度それぞれにおける下肢挙上の高さと仙骨部接触圧との関係をSpearmanの順位相関係数によって求めた。【倫理的配慮、説明と同意】 本研究は愛媛大学大学院医学系研究科看護学専攻研究倫理審査委員会の承認を受け、研究への参加は対象者の自由意志にて行い、書面による同意を得て行った。また個人情報の取り扱いについては氏名についてはコード化し外部に情報流出がないよう十分に留意した。【結果】 本研究に参加した対象者は15名であった。平均年齢は28.6±4.56歳、平均BMIは22.4±1.98であった。それぞれの膝関節屈曲角度における下肢挙上の高さと仙骨部接触圧との関係は、膝関節屈曲0°はr=0.41(p<0.001)、膝関節屈曲30°はr=0.35(p<0.001)、膝関節屈曲50°はr=0.41(p<0.001)であった。 【考察】 膝関節0°、30°、50°それぞれにおいて下肢挙上の高さと仙骨部接触圧に有意な正の相関関係が認められた。理由として下肢挙上により大腿部や下腿部後面とマットレスとの接触面積が減少し、大腿部後面や下腿部後面に係る接触圧が仙骨部へ移動したと考えた。また先行研究において大腿挙上運動によって骨盤は後傾方向へ運動するといわれており、下肢挙上による骨盤の後傾運動が生じ、仙骨部接触圧が増加した可能性が考えられる。【理学療法学研究としての意義】 下肢挙上は血圧低下時や整形外科手術前後などで行われる姿勢であり、臨床においてよく行われる姿勢である。また高齢化を迎えるにあたって膝関節屈曲拘縮を有する患者は今後増加することが考えられる。膝関節屈曲角度及び下肢挙上の高さと仙骨部接触圧との関連を明らかにすることで、仙骨部における褥瘡発生及び予防につながる知見が得られる可能性があり、本研究を行う意義は大きいと考える。
著者
姚 逸葦
出版者
日中社会学会
雑誌
21世紀東アジア社会学 (ISSN:18830862)
巻号頁・発行日
vol.2018, no.9, pp.185-199, 2018

<p> School bullying is recognized as a public issue in Mainland China, Taiwan and Japan, and anti-bullying programs in three societies have been performed for more than a decade. In order to prevent school bullying, a number of agencies including school, police, administrative, counselor and social worker are participating in the programs, and the school plays as a major performer of bullying prevention programs in each society. However, the role of school required for each bullying prevention program always differs from each other as a result of differences in institutional contexts.<br> This paper aims to clarify the diverse roles of schools and the responsibility division between school and other agencies in the current anti-bullying programs of Mainland China, Taiwan and Japan. To construct the analysis strategy, I briefly reviewed the sociological studies about the function of school in Section 2, and adopt the idea of "dispositif" advocated by Michel Foucault for understanding the roles of school in three societies. In Section 3, I made an analysis about the bullying recognition, prevention, and role of school in anti-bullying program of the three societies by using the official documents issued by the Ministry of Education in Mainland China, Taiwan and Japan. In Section 4, I summarized the features, especially the technology of current anti-bullying programs of Mainland China, Taiwan and Japan as "Punishment Type", "Disciplining Type" and "Risk-decreasing Type". As a further step, I verified that bullying prevention technology, which provides both a structure and a field for school in an anti-bullying program, is an important clue for understanding the role of school and responsibility division between school and other actors.</p>
著者
清水 康敬 山本 朋弘 堀田 龍也 小泉 力一 横山 隆光
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.293-303, 2008
参考文献数
4
被引用文献数
13

授業でのICT活用による学力向上を実証するために,全国の教員に依頼して,ICTを活用した授業と活用しない授業を実施した結果を報告してもらい,それらを総合的に分析評価した.まず,授業を実施した教員が決めた評価の観点に基づいて分析し,ICTを活用した授業を実施した教員は,ICT活用によって児童生徒の学力が向上すると実感していることを示した.また,授業後に,児童生徒の意識調査に関するアンケートを実施してもらい,因子分析を用いて因子を抽出し,因子ごとにICT活用の有無による差を調べたところ,授業にICTを活用した場合の方がいずれの因子においても有意に高い効果が得られることを示した.さらに,授業後に実施した児童生徒に対する同一の客観テストの結果を総合的に分析評価し,ICTを活用した授業の方が,活用しない授業よりテストの成績が有意に高いことを示した.
出版者
ほるぷ出版
巻号頁・発行日
vol.3, no.11, 1921-11
出版者
ほるぷ出版
巻号頁・発行日
vol.7, no.8, 1925-08
著者
新 恵里
出版者
京都産業大学
雑誌
京都産業大学論集. 社会科学系列 (ISSN:02879719)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.187-206, 2009-03

本稿は、犯罪被害者遺族が、事件直後に直面する司法解剖や手続きにおける制度上の問題について、被害者支援の視点からとりあげ、あるべき制度について検討するものである。 司法解剖は、殺人や傷害致死などの死亡事件において、必ず被害者遺族が直面する、司法手続きの一つである。これまで、遺族や法医学者などの指摘があるものの、ケアの必要性や方法について、具体的に議論、検討されることはほとんどなかった。しかしながら、司法解剖は、被害者遺族が未だ事件を受け止められない事件直後に直面し、解剖の終わった遺体と対面する遺族もいるなど、非常に衝撃が大きく、その時の心理的苦痛や精神的ダメージは、長年にわたって続くことが多い。 本稿では、わが国の被害者遺族へのインタビューによる調査および文献、アメリカ、オーストラリア等諸外国の政策状況の調査から、①わが国の法医鑑定制度の整備が、被害者側にとっても期待されること、②遺族が司法解剖に関する一連のプロレスに関わることの重要性、③司法解剖に際して、捜査官、法医学者と遺族を結ぶコーディネーターの存在が必要であること、④解剖後のグリーフケアの必要性について論じた。
著者
奥田 真也 松岡 成明 毛利 元彦
出版者
学校法人 産業医科大学
雑誌
産業医大誌 (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.247-261, 1988
被引用文献数
7

大陸棚海域の開発に必要な水深300mの海中作業技術の確立と安全潜水技術の確立を目的として行われた横須賀の海洋科学技術センターの潜水シミュレーション実験に過去5年間参加した. 我々は二次元脳電図法を用いて, 1)高圧神経症候群(HPNS)に特有な脳波変化があるか, 2)脳波の変化と潜水時のHe-O<SUB>2</SUB>環境下での加圧・減圧速度との関係, 3)脳波の変化と特徴ある神経症状との相関の有無を検討した. 対象として,300m飽和潜水には17名(加圧速度25m/hr), 180mに6名(12m/min), 130mに6名(12m/min), 60mに13名(12m/min)の健康な飽和潜水経験者を採用した. 加圧時の環境制御は, 酸素分圧0.79bar, ヘリウム分圧29.91bar. 特徴ある脳波所見とし, 前頭正中部にθ波, およびdiffuse α波を, ときに痙撃波を認めた. 臨床的には全例にHPNSを認め, 上記脳波出現時に, 笑い発作, 多幸感が特徴的であった. これは高圧下のヘリウム麻酔効果による影響と推察されるが, ダイバーにより個人差がみられた. 従ってダイバーの選択並びに生理学的反応を知るには脳波学的検査は重要なモニターとなりうる.