著者
片山 昇 鈴木 信彦
出版者
日本生態学会
雑誌
日本生態学会大会講演要旨集 第52回日本生態学会大会 大阪大会
巻号頁・発行日
pp.735, 2005 (Released:2005-03-17)

同所的に生育する花外蜜腺をもつカラスノエンドウと花外蜜腺をもたないスズメノエンドウにおいて、アワヨトウ幼虫を用いたbioassayにより化学的防御の強さを推定し、また両種の株上の昆虫群集を比較し、化学的防御とアリ防御による被食防衛の効果を推定した。 スズメノエンドウにくらべカラスノエンドウ葉中のC/N比は低く、アワヨトウ幼虫の摂食活性は高かった。したがって、スズメノエンドウよりもカラスノエンドウでは化学的防御が弱く、葉食性昆虫にとって良的な資源であると考えられた。野外のスズメノエンドウの株上にはほとんどアリはみられなかったが、カラスノエンドウ株上には、アミメアリやトビイロケアリ、クロヤマアリなどのアリ類がみられた。アリがいない場合にくらべ、アリが頻繁に訪れるカラスノエンドウ株上には葉食性昆虫やアリを随伴しないアブラムシの個体数が少なかった。さらにアリはカラスノエンドウの主要な植食者であるアルファルファタコゾウムシの幼虫を排除するため、カラスノエンドウの花外蜜腺はアリ防御の機能を持つと考えられた。しかし、アリの誘引効果はカラスノエンドウ生育地間で大きく異なり、全体の約66_%_のカラスノエンドウにしかアリはみられなかった。アリがいた場合でも、スズメノエンドウにくらべ植物上の植食性昆虫の個体数は多い傾向がみられた。このように被食防衛の側面からみると、他の防衛戦略にくらべ花外蜜腺によるアリ防御は、それほど効果的ではないと考えられた。これらの結果から、カラスノエンドウのアリによる被食防衛の意義について考察した。
著者
堀井 俊章
出版者
山形大学
雑誌
山形大学紀要. 教育科学 = Bulletin of Yamagata University. Educational Science
巻号頁・発行日
vol.12, no.4, pp.85(453)-100(468), 2001-02-15

要旨 : 本研究は青年期における自己意識(感覚,感情など, 自己の内的側面に注意を向ける傾向である私的自己意識と,自己の容貌,言動など,自己の外的側面に注意を向ける傾向である公的自己意識から成る性格要因)と対人恐怖心性との関係を数量的に検討することを目的とした。高校生256名(男子103名,女子153名),大学生271名(男子108名,女子163名)を対象に両概念を測定する質問紙尺度を実施した。統計分析の結果,高校生男子は公的自己意識が概ね対人恐怖心性と無相関であった。すなわち,高校生男子では公的自己意識が必ずしも対人恐怖心性(特に対人恐怖的行動)と関連をもたないことが明らかにされた。しかし,高校生女子と大学生では公的自己意識が対人恐怖心性と有意な正の相関を示し両者の密接な関連性が示唆された。また,大学生では認められなかったが,高校生の私的自己意識は対人恐怖の自意識過剰性と有意な正の相関を示した。両者の関連については,私的自己意識の一側面である,心身の内的感覚や存在感覚に注意を向ける傾向と対人恐怖心性との関連という観点から考察された。 Summary : The purpose of this study was to investigate the relationship between self-consciousness (public and private consciousness) and anthrophobic tendency in adolescents. "The self-consciousness scale" measuring public and private consciousness and "The inventory of negative self-awareness in interpersonal relationships" measuring anthrophobic tendency were administered to 256 senior high school students and 271 college students. The results showed that for female senior high school students and college students, public consciousness and anthrophobic tendency correlated positively, while there was an uncorrelativeness for male senior high school students, and for high school students, private consciousness and part of anthrophobic tendency correlated positively, while there was an uncorrelativeness for college students. These results suggested self-consciousness was partial1y related to anthrophobic tendency.

1 0 0 0 名和靖氏

著者
[編集部]
出版者
東京動物學會
雑誌
動物学雑誌
巻号頁・発行日
vol.8, no.93, 1896
著者
池田 正春 南里 宏樹 姫野 悦郎
出版者
学校法人 産業医科大学
雑誌
Journal of UOEH (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.227-236, 1993-09-01 (Released:2017-04-11)

成人病予防に必要なことは今や早期発見, 早期治療(二次予防)でなく, さらに一歩進めて発病の原因を絶つことや体力づくりをすることにより発病を予防する(一次予防)ことにある. 厚生省, 労働省より健康増進政策が相次いで出され, 栄養, 運動, 休養のバランスのとれた健康的なライフスタイルの確立を目指しているが, この中でも運動を重視し, 健康づくりの大きな柱として位置づけている. この背景には運動不足, 相対的なエネルギー摂取過剰, 労働時間の短縮による余暇活用の問題また一般の人々の健康への関心の高まりなどがあげられ, 一方運動生理学の発展も大きく寄与している. しかし我が国では運動と健康や成人病の予防効果に関する科学的な報告などは乏しい状況にあり, 今後はこれらに関する研究を推進していく必要性がある. 本論では運動の健康に及ぼす効果を運動生理化学の面より述べ, 次いで高血圧の運動療法, 運動の降圧のメカニズムに言及し, 運動の生理的効果や成人病予防に対する効果について考察する.
著者
安藤 和弘
出版者
中央大学人文科学研究所
雑誌
人文研紀要 (ISSN:02873877)
巻号頁・発行日
no.90, pp.31-57, 2018

本稿の主たる関心は,『日の名残り』においてカズオ・イシグロが読者の読みかたを操作するために駆使しているいくつかの語りの技法を考察することにある。それに類した考察を行っている研究には,主人公かつ語り手であるスティーブンスが,心的抑圧のために真実を語ることができず,真実を隠蔽するためにみずからの語りに技法を凝らしていると前提を立てた上で,心理的な角度から分析を行っているものが多い。語りに凝らされている様々な技法を考察するという点では本稿も同じだが,スティーブンスの心理が物語に反映されているという視点は,本稿では採用しない。本稿では,スティーブンスという人物とその心理をさぐるのではなく,彼が構成する物語のテクストそのものの組み立てられかた,特に読者の読みを操作する装置がどのような効果を生んでいるかを考察する。「二日目―午後」から「四日目―午後」冒頭部分までを考察の対象とし,それ以後の章の考察は別稿において行う。
著者
月岡 祐介 立石 烈 大西 遼 塩屋 雅人 中原 嘉則 金村 賦之
出版者
特定非営利活動法人 日本血管外科学会
雑誌
日本血管外科学会雑誌 (ISSN:09186778)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.125-129, 2021-04-22 (Released:2021-04-22)
参考文献数
29

上行結腸憩室炎に続発した上腸間膜静脈血栓症(Superior Mesenteric Vein Thrombosis: SMVT)に対し保存的加療を行った1例を報告する.症例は78歳の男性.右下腹部痛と発熱を発症し前医に搬送され上行結腸憩室炎の診断で前医に入院となった.点滴抗生剤加療で改善しないため造影CTが施行されSMVTと診断され当院に搬送.当院では腹部症状は消失しており保存的加療の方針とした.未分画ヘパリン持続静注から開始しワーファリン内服に切り替え入院5日後のCTで血栓縮小を確認したため7日目に退院した.退院2カ月後のCTで血栓の消失を確認した.文献検索では,腸間膜静脈血栓症に先行する大腸憩室炎の部位としては上行結腸が多く,SMVTはIMVT(Inferior Mesenteric Vein Thrombosis: 下腸間膜静脈血栓症)よりも発生頻度が高かった.
著者
安藤 和弘
出版者
中央大学人文科学研究所
雑誌
人文研紀要 (ISSN:02873877)
巻号頁・発行日
no.93, pp.1-29, 2019

本稿の主たる関心は,『日の名残り』においてカズオ・イシグロが読者の読みかたを操作するために駆使しているいくつかの語りの技法を考察することにある。それに類した考察を行っている研究には,主人公かつ語り手であるスティーブンスが,心的抑圧のために真実を語ることができず,真実を隠蔽するためにみずからの語りに技法を凝らしていると前提を立てた上で,心理的な角度から分析を行っているものが多い。語りに凝らされている様々な技法を考察するという点では本稿も同じだが,スティーブンスの心理が物語に反映されているという視点は,本稿では採用しない。本稿では,スティーブンスという人物とその心理をさぐるのではなく,彼が構成する物語のテクストそのものの組み立てられかた,特に読者の読みを操作する装置がどのような効果を生んでいるかを考察する。「四日目―午後」と「六日目―夜」を考察の対象とする。
著者
渡辺 信一郎
出版者
鷹陵史学会
雑誌
鷹陵史学 (ISSN:0386331X)
巻号頁・発行日
no.41, pp.45-53, 2015-09-30
著者
志賀 あゆみ 高篠 仁奈
出版者
東北大学農学部農業経営学研究室
雑誌
農業経済研究報告 (ISSN:02886855)
巻号頁・発行日
no.44, pp.58-67, 2013-02

バングラデシュにおける貧困問題は深刻であるが,貧困層の大部分は農村部に集中しており,農家の所得向上は喫緊の課題と言える。本研究の目的は,バングラデシュの農家所得向上の方策として,エビ養殖の可能性を探ることである。バングラデシュは最貧国であると同時に,災害が多発する地域でもある。ロイター通信〔10〕は,「エビ養殖で収入増=バングラデシュ洪水頻発地域の農家に光」と題して,サイクロンや洪水の災害に強いエビ養殖業が農家の収入を向上させていると報じている。しかし一方で,エビ養殖に使用する塩水の土壌浸水や,生態系への影響,健康リスク,持続性への不安市といった,環境問題の側面からの批判も多い。このようなエビ養殖について,先行研究では,経済面での影響について食料摂取,農家の収入増加や女性の雇用増加,費用一便益構造といった観点からエビ養殖を評価した研究が行われている(松田他〔6〕,Ito〔5〕,Abedin and Kabir〔1〕)。また,エビ養殖が急激に普及することによる社会面での影響について,Kendricは地主一小作の契約関係の変化を指摘している。さらに,生態系への影響についても多くの研究が行われている(Apurba〔2〕など)。しかしながら,このような影響が農村でどのように認識されているのかといった視点からの実態調査はあまり行われていない。そこで本稿では,バングラデシュのエビ養殖の可能性について,エビ養殖が農村に与えた社会的・経済的影響について,特に貧困層への影響と社会面・環境面での影響に着目した実態調査の結果を報告する。
著者
糟谷 信彦 武永 葉月 村田 功二 宮藤 久士
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.103, no.1, pp.40-47, 2021-02-01 (Released:2021-05-07)
参考文献数
29

センダンの直まき造林技術の確立に向け,まき付ける場所の立地環境,光環境および母樹の違いによる発芽特性や生育特性を評価することを目的とし,以下三つの試験を行った。長野県から岡山県にかけて14カ所の林地に同一母樹由来のセンダン果実をまき付けて発芽および発芽後の苗木の成長を測定したところ,発芽果実率は0~81%,2年目の平均苗高は5~84 cmとまき付け場所により大きく異なり,谷部に近い斜面での成長が良いことがわかった。また,同一母樹由来のセンダン果実を,開空度の異なる場所にまき付けたところ,開空度と発芽果実率,苗高,果実当たりの発芽本数および発芽日との間に有意な相関が認められ,開空度の高い明るい場所ほど,発芽の確率が高まり,苗木の成長が良く,果実当たりの発芽本数が多くなり,発芽日も早まることが明らかになった。さらに異なる母樹から得られた果実を同一場所にまき付けた直まき試験を行ったところ,母樹間で果実1個当たりの発芽本数や苗高が有意に異なっていた。以上により,センダンの直まき造林を行う際には,立地条件,光条件および優良系統の選定が重要なことが明らかになった。
出版者
日経BP社
雑誌
日経コンピュータ (ISSN:02854619)
巻号頁・発行日
no.850, pp.118-120, 2013-12-26

ロイター通信が配信する相場情報などによれば、2004年3月10日午前3時0分10秒過ぎ、ドルの対円レートが急落し始めた。0分10秒には1ドル111円10銭だったのが、同14秒には110円83銭、同18秒には110円75銭、同25秒には110円42銭、そして同35秒には110円28銭。1秒当たり3銭ずつ価…