著者
林 宏行
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.26, no.6, pp.1345-1350, 2011 (Released:2011-12-19)
参考文献数
31
被引用文献数
1

リハビリテーションを行っている患者は、原疾患による侵襲や食思不振などにより栄養障害を呈している場合が少なくない。栄養障害を伴った場合、リハビリテーションの効果が十分に得られない可能性がある。栄養障害は飢餓や疾患による侵襲のほか、食欲不振などが要因となる場合がある。薬剤師は適切な栄養剤を選択し栄養改善を図ることや食思不振患者の薬物治療上の問題解決に取り組むべきである。またリハビリテーション患者は、身体障害から服薬自体が困難である場合も少なくない。リハビリ患者個々に適切な薬物投与形態を整えるべきである。本領域における薬剤師の果たすべき役割は大きいと考える。
著者
藤森 由子 國方 弘子 藤代 知美
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.114-120, 2016 (Released:2016-12-23)
参考文献数
14
被引用文献数
2 1

目的:地域で生活する精神障がい者が自分にとって調子のいい状態を獲得するプロセスを明らかにする.方法:地域活動支援センターに通所する精神障がい者12名に半構成的インタビューを行った.分析は修正版グラウンデッドセオリーアプローチを用いた.結果:地域で生活する精神障がい者は,「喪失と辛苦」から出発し,『試行錯誤』と『取捨選択』を繰り返す経験を自らの糧として『自分のよりどころ』とし,『自分での手当て』を行い『平坦な暮らし』をすることで自分にとって調子のいい状態を維持していた.このプロセスは,病気をコントロールし生活を主体的に送る力を取り戻す【主導権の再獲得】であった.結論:本プロセスを促進するために精神疾患に伴う認知機能障害を考慮した支援の必要性が示唆された.また,支援者によるつなぐという支援技術の詳細を明らかにする必要がある.
著者
吉田 有希
出版者
佛教大学社会学研究会
雑誌
佛大社会学 (ISSN:03859592)
巻号頁・発行日
no.45, pp.71-75, 2021-03-20

不登校の児童・生徒の数は年々増加傾向にあり,大きな社会問題のひとつとなっている。教育学や心理学,福祉や精神医学分野における不登校研究は数多くみられるが,社会学の視点から考察された不登校研究は,あまり蓄積がなされていない。そこで,今日までに国内の社会学分野において不登校がどのように研究されてきたのかを,(1)社会学分野における不登校の捉えられ方,(2)不登校当事者からの視点,(3)不登校当事者の周辺人物からの視点,の3つのカテゴリにわけて整理した。そのうえで,今後社会学分野でどのような不登校研究が求められていくのかを考察していく。不登校問題不登校当事者社会意識
著者
池亀 和博
出版者
The Japan Society for Hematopoietic Stem Cell Transplantation
雑誌
日本造血細胞移植学会雑誌 (ISSN:21865612)
巻号頁・発行日
vol.2, no.4, pp.94-100, 2013 (Released:2013-10-29)
参考文献数
34

HLA不適合移植(ハプロ移植)は,そのレジメンによって移植の様相は異なってくる。まず海外のハプロ移植として,1)in vitroでのT細胞除去,2)high dose ATG,3)post-transplant cyclophosphamide を紹介する。報告によればGVHDは十分にコントロールされ,今後一般臨床として普及することが期待される一方,GVL効果は未知数であり,主たる適応は寛解期の疾患である。一方本邦では,非寛解期や移植後再発に対して,ハプロ移植に期待する傾向がある。我々が行っているステロイドを用いたハプロ移植もその一つであり,最近はケモカイン阻害をrationaleとしている。またハプロ移植ではGVHDが重篤化しやすいため,様々なGVHD治療を試みる機会は多い。本稿ではサイモグロブリン,mycophenolate mofetil,infliximab,経口Beclomethasone dipropionate,mesenchimal stromal cellについて,自らの印象を含めて記載した。
著者
板垣 喜代子 木村 綾子 渡部 菜穂子 福士 理沙子 浅田 一彦
出版者
弘前医療福祉大学紀要編集委員会・弘前医療福祉大学短期大学部紀要編集委員会
雑誌
弘前医療福祉大学・弘前医療福祉大学短期大学部紀要 (ISSN:24350915)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.25-37, 2021-03-29

高次脳機能障害のリハビリテーションには、レクリエーションが含まれる。 本研究の目的は、高次脳機能障害とレクリエーションの効果に関する文献検討を行い、レクリエーションの効果の明確化と対象者への効果的な介入方法を考察することである。 2020年5 ~11月に、医学中央雑誌、KAKEN、J-stage、CiNii、PubMedの検索エンジンにて、キーワードをレクリエーションとして抽出・絞り込みを行い、2001~2020年に発行された34論文を検討した。対象者の年齢は子どもから高齢者であり、脳外傷、脳卒中、脳血管性とアルツハイマー型認知症を含む認知機能障害及び失語症患者が対象とされ、健常者とレクリエーションの効果に関する比較実験も報告された。 結果から、脳外傷者はレクリエーションを通して笑い、楽しいと感じて、前頭前野を刺激して対象者の認知機能を向上させ、自らの病状の自覚を促し対人関係の改善につながる効果があると報告された。二重課題の効果は、認知症の高齢者が椅子に座り指を折りながら数を数える論文と、脳卒中患者間の実験で歩行と転倒認知運動の干渉を軽減させるという論文があった。一方で、脳卒中患者と健常者の歩行と二重課題の比較実験で脳卒中患者は前頭前野の活性が優位に低かった報告があり転倒のリスクが示された。 高次脳機能障害者の多様性を考慮し安全で適切なレクリエーションを実施することで、前頭前野を刺激し認知機能と身体機能及び社会性も維持、改善する可能性が示唆された。
著者
會田 勝広 森本 忠嗣 西田 圭介 前田 和政 佛淵 孝夫
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.846-853, 2004 (Released:2005-06-10)
参考文献数
11
被引用文献数
1 1

In the present study, changing in pelvic inclination before total hip arthroplasty (THA) were investigated using 59 patients with osteoarthritis of the hip. The subjects were divided into following four groups by their age: Group A consisted of 21 patients between 45 and 54 years, Group B 10 patients between 55 and 64, Group C 18 patients between 65 and 74, and Group D 10 patients at 75 years or older. Pelvic inclination became retroverted with age, further retroverting at the standing position especially in elderly people. When performing THA on patients with severe pelvic retroversion, alignments of the lumber spine, pelvis, and hip should be carefully considered. Insertion of acetabular socket should be considered in some cases taking into account standing position or pelvic inclination in future. In elderly people with lumbar degenerative kyphosis and severe pelvic retroversion, it was important to insert the acetabular socket in prospect of future changes of the pelvis inclination since the pelvis retroverts according to posture and age.
著者
田中 里尚
出版者
文化学園大学
雑誌
文化学園大学紀要 (ISSN:21873372)
巻号頁・発行日
vol.47, pp.69-82, 2016-01-31

戦中・戦後期におけるアメリカ文化受容の様相について、服飾雑誌『装苑』という史料を軸にして、その表象の変容を追った。1936 年創刊の『装苑』は、太平洋戦争が始まるまでの間、アメリカの服飾流行を好ましく思い、その「合理性」や「経済性」について、パリ・モードよりも高く評価していた。戦争が泥沼化する中でアメリカの服飾流行は否定されていくが、論者の中には一定の評価を与えるものもあった。戦後において、『装苑』は、論説内においてはアメリカ服飾流行に対して一定の距離を置くが、グラビア表現はアメリカンスタイルそのものであり、論説と画像の方向が乖離していた。1949 年ごろから、それらの乖離を埋める努力が始まったが、洋裁教育自体がパリを向きつつあったため、アメリカ服飾流行の意味づけで議論となった。1952 年には、「アメリカンスタイル論争」が開始され、アメリカ服飾流行への批判が強まった。その結果、アメリカ服飾流行は若者向きで、物質的な力を背景とした既製服製造に最も適合したスタイルとしてのみ描かれるようになった。したがって、日本の戦後において、アメリカ衣料が若者・既製服向けとされるに至った経緯は、服飾雑誌における表象の推移にも見て取ることができよう。
著者
松下 和夫
出版者
環境経済・政策学会
雑誌
環境経済・政策研究 (ISSN:18823742)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.71-74, 2021-03-26 (Released:2021-05-01)
参考文献数
1
著者
秋山 雅彦
出版者
地学団体研究会
雑誌
地球科学 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.5-15, 2008-01-25 (Released:2017-05-16)
被引用文献数
6

最終間氷期は,エーム期および深海底堆積物層序のMIS 5eと同時期を示す用語とされることが多い.しかし,エーム期は後期更新世の開始期として国際的な標準層序に位置づけ13.1万年前〜11.6万年前と定義し,最終間氷期については12.5万年前にヨーロッパにおける樹木花粉が卓越することで特徴付けられる温暖期とすることが望ましい.IPCCによる今世紀末の気温上昇の予測は,循環型社会シナリオとされるB1シナリオでも,1.1〜2.9℃とされ,放射強制力の変化は0.6〜2.4W/m2とされている.最終間氷期の気温上昇の直接的原因は地球軌道の変化による放射強制力の増加で,全地球平均の上昇値は僅かに0.2W/m2とされているが,北極地域の夏の時期ではその値は60W/m2に及ぶ.このことによる最終間氷期の気候変動はきわめて大きく,それに伴う海面上昇も大きかったことが分かっている.近年の急激な気温や海水面の上昇はこれまで人類が経験したことのないほど急激な現象であると報道されることが多い.しかし,最終間氷期の気候変動が現在のそれを越える規模であったことを考えると,産業革命以降になって化石燃料の燃焼による人為的な要因と区別して,自然要因の解明を行うことが是非とも必要になろう.
著者
田中 貞俊 加藤 嵩大 浦野 悟 永吉 雄太
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学 (ISSN:03871061)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.197-204, 2015
被引用文献数
3

中央自動車道上長房橋(上り線)において,既設RC床版のプレキャストPC床版への床版取替え工事と,床版上面増厚工事を実施した。工事は,反対車線(下り線)の対面通行が確保できない現場状況下であったため,施工車線(上り線)の交通を確保しながら,半断面ごとに床版取替えおよび床版上面増厚を実施した。工事時期は,工事内容から昼夜間の連続車線規制が必要であることから,中央自動車道において毎年5月のゴールデンウィーク明けに実施されている2週間の集中工事とした。なお,集中工事における半断面施工は,特に床版取替え工事では高速道路で初の試みであった。本稿は,床版取替え工事および床版上面増厚工事について報告する。
著者
北村 晃寿
出版者
日本古生物学会
雑誌
化石 (ISSN:00229202)
巻号頁・発行日
vol.63, pp.40-48, 1997-12-20 (Released:2017-10-03)
参考文献数
36

The middle part of the early Pleistocene Omma Formation (1.5-1.0Ma) is composed of eleven depositional sequences caused by glacio-eustatic sea-level changes associated with Milankovitch cycles (41, 000-year orbital obliquity). Each depositional sequence contains inner shelf sediments of transgressive and high-stand systems tracts. Within each depositional sequence the molluscan fauna changes from cold-water associations to warm-water associations, followed again by cold-water associations. On the basis of detailed stratigraphic distributions of molluscs and planktonic foraminifers, the following events can be recognized during the warming interval from a glacial stage to an interglacial stage : 1. initiation of inflow of the warm Tsushima Current into the Japan Sea, 2. local extinction of cold-water molluscs, 3. absence of both cold-and warm-water molluscs, 4. successful migration of warm-water molluscs. The absence of both elements may have been caused by high seasonal fluctuations of water temperature associated with the unstable inflow of the Tsushima Current.
著者
長谷川 みゆき
出版者
千葉大学大学院人文社会科学研究科
雑誌
千葉大学人文社会科学研究 (ISSN:18834744)
巻号頁・発行日
no.19, pp.158-170, 2009-09

ここ10 年ほどアメリカ社会で行われているShame punishments について紹介する。Shame punishments の是非について論ずるものではなく、shame punishment とはどのような実践であるのかを紹介することが目的である。
著者
佐藤 たまき
出版者
日本古生物学会
雑誌
化石 (ISSN:00229202)
巻号頁・発行日
vol.85, pp.69-71, 2009-03-31 (Released:2017-10-03)
参考文献数
16