著者
高村 節
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.21, no.7, pp.479-488,531, 1972-07-30 (Released:2017-02-10)

スギ花粉症患者を対象に鼻アレルギー患者の血中セロトニン(5-HT)についての検索とその測定意義を検討してみた.スギ花粉症患者を選びだすために, まず臨床的鼻アレルギー検査を皮膚反応試験, 鼻粘膜誘発反応試験, またはPK反応試験で行なったところ, これら3試験の成績はいずれも高度の陽性率を示した.また鼻粘膜の 5-HT に対する感受性試験を行なったが, 患者は健康者に比べ 5-HT に対して過敏であることを認めた.次いで患者の血中 5-HT をスギの非開花期と開花期, あるいは鼻粘膜誘発試験前と試験後とで測定比較してみたが, いずれも後者において有意に高値を示した.さらに人為的に 5-HT を変動させ, 鼻症状の消長を観察する目的で nialamide, reserpine さらに cyproheptazine を患者に投与した.Nialamide では血中 5-HT の上昇とともに鼻症状の増悪をきたしたが, cyproheptazine のように血中 5-HT に変動がなくても鼻症状は軽減し, reserpine では血中 5-HT の減少をきたすにもかかわらず鼻症状は増悪する傾向が観察された.以上のことから, 鼻アレルギー発症と血中 5-HT との間には一致した相関性は認められず, 鼻アレルギー患者の血中 5-HT の測定は鼻アレルギーの補助的診断としての示標にはなり得ないことが立証された.
著者
西谷 修
出版者
東京都立大学人文学部
雑誌
人文学報 (ISSN:03868729)
巻号頁・発行日
no.139, pp.p115-131, 1980-03
著者
長谷川 博史
出版者
島根大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究は、中世の山陰地域の流通構造について、西日本海水運との連関性を追究することによって、明らかにした。たとえば、富田城下町は、戦国大名尼子氏の拡大によって、16世紀前半に急速に発展し、鉄の加工を通して内陸部と海を結びつけた。また、杵築門前町は、16世紀後半に、石見銀山の開発の影響を受けて急速に発展し、鉄の積み出し港としても重要な役割を果たしたので、内陸部と海を一層強く結びつけた。
著者
城殿 智行
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.55, no.11, pp.48-56, 2006

特集タイトルには<戦後>空間とあるが、本論ではそれをまず、思考の様式を示す<戦後>という抽象と、日本がたどった歴史的・政治的な経緯を含意する「空間」という隠喩に分節する。次いで、近年では支配的な思考様式となった「言説分析」のあり方を、ミシェル・フーコーの思考と対比させることによって、批判的に再検討する。以上の分析を経た上で、三島由紀夫や中上健次といった<戦後>作家が、何をどのように考えて創作したのかが論じられる。
著者
竹内 直
出版者
日本音楽表現学会
雑誌
音楽表現学 (ISSN:13489038)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.45-56, 2011

<p> 日本の「民族主義」を代表する作曲家の一人とされる早坂文雄(1914-1955)の《交響的組曲「ユーカラ」》(1955) は無調性への傾斜や複雑なリズム語法の使用などの特徴から、早坂の新しい境地を示した作品であるとされながら、これまでその音楽語法は明らかになってはいなかった。本稿は早坂の《ユーカラ》における音楽語法を、メシアンの音楽語法との関連から考察することを試みたものである。</p><p> 早坂が《ユーカラ》において用いた音楽語法には、メシアンの音楽語法である「移調の限られた旋法」、「添加価値」をもつリズム、「逆行不能リズム」、「鳥の歌」と類似する手法が頻繁に用いられている。またそうした手法のなかには武満徹(1930-1996)の音楽語法との共通点もみられた。</p><p> 早坂がメシアンに関心をもっていたという言説を踏まえれば、早坂の《ユーカラ》における音楽語法は、メシアンの語法との近親性を具体的に例示することになるだろう。またその語法は、武満徹をはじめとする早坂の影響を受けたとされる作曲家の語法との関係をより具体的に示しているといえる。</p>
著者
堀 誠
出版者
[出版者不明]
巻号頁・発行日
2010

制度:新 ; 報告番号:乙2271号 ; 学位の種類:博士(学術) ; 授与年月日:2010/4/27 ; 早大学位記番号:新5379
著者
大山 恵子 大山 博司 藤森 新 渡部 敦子 渡辺 晃矢 古谷 裕恵
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.52, no.6, pp.349-356, 2019 (Released:2019-06-28)
参考文献数
15

われわれの施設では有酸素運動とレジスタンス運動を組み合わせ, 音楽に合わせて透析中に行う運動療法 (Tsubasa Music Exercise: TMX) を行い, 透析患者の運動耐容能向上に成果を上げている. 透析患者は末梢動脈疾患の合併が多く, 下肢挙上を伴う運動によって下肢血流の低下を引き起こすことが懸念される. 独自のフットリスク分類法に従って分類した, ノーマル, リスクⅠ, リスクⅡ, リスクⅢの患者各10名を対象に15分間のTMXを実施し, 運動前, 運動直後, 運動終了10分後にそれぞれ下肢の皮膚灌流圧 (skin perfusion pressure: SPP) を測定し比較した. 検討した4群すべてにおいて, SPPの平均値は運動による有意な変化は観察されなかったが, 運動後にSPPが50mmHg未満に低下した患者が散見された. 透析中の運動療法を実施する場合は, 運動後の下肢状態を詳細に観察する必要があると考えられた.
著者
荒木 昇吾
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
構造工学論文集 A (ISSN:1881820X)
巻号頁・発行日
vol.57A, pp.890-899, 2011 (Released:2011-08-01)

Durability of timber bridges is improved by using concrete decks, because it substitutes a roof. In this case, dead load is increased but this disadvantageous point is canceled by making the timber-concrete composite girder. In Japan, Design Criteria for this type of timber bridges have been developed in 2002 at Nagano Prefecture. And this bridge had been constructed for the first in 2003. In this paper, the improvement method for this type of timber bridge is suggested, that is to product a composition precast girder that has T-beam cross section with the web made of timber and the upper flange made of concrete. And the advantage is discussed from the viewpoints of cost reduction and labor saving.

1 0 0 0 OA 政談

著者
ギゾー 著
出版者
前川善兵衛[ほか]
巻号頁・発行日
vol.第1冊, 1878