著者
五十嵐 寿一 石井 泰 杉山 清春 IGARASHI Juichi ISHII Yasushi SUGIYAMA Kiyoharu
出版者
東京大学航空研究所
雑誌
東京大学航空研究所集報 (ISSN:05638097)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.7-31, 1964-03

振動,音響現象などの高速度の信号を解析するためのディジタル型相関器を試作したので報告する.相関をとるべき二つの信号はいったんデータレコーダ等に録音しその再生出力を相関器への入力電圧とする.この入力電圧は二つのアナログーディジタル(A-D)変換器によって一定時間ごとにそれぞれ2進4桁の数字に変換され,そのうち一方はシフトレジスタに入りある時間たってから読出されて他方との間に掛算が行なわれる.掛算の結果はパルス数に変換されカウンタに積算されていくが,特にこの相関器においてはA-D変換器等のドリフトによる誤差を最小にするために,二つの数の積のみでなく,それらのある一定数に対する補数同志の積をも積算に繰入れるという独特の方式を採用している.シフトレジスタの段数は11段であるが,二つのA-D変換器のサンプリング時刻はサンプリング週期の1/5ステップごとに相対的にずらせることができる.したがって全体としては正あるいは負の方向に55ステップの時間シフトをとることができる.入力信号の相関値はデータレコーダを繰返し再生しつつこれらの時間シフトのステップについて一つ一つ計算されていく.その際計算に使用するサンプルの数は相関器に任意に設定できるようになっている.この相関器は約400個のトランジスタ論理要素から構成されており約5Kcまでの周波数の入力信号を取扱うことができる.この報告では試作した相関器の動作原理や構造の説明などのほかに,すでにこの装置を用いて計算された多くの相関関数の中から二,三を選んで例示してある。
著者
辻田 哲平 アルタンゲレル オドプレブ 堀合 泰生 安孫子 聡子 近野 敦
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
ロボティクス・メカトロニクス講演会講演概要集 2017 (ISSN:24243124)
巻号頁・発行日
pp.1A1-P12, 2017 (Released:2017-11-25)

Although how to perform tasks at disaster sites has been actively discussed, there is little debate on important issues such as how to deliver robots to disaster sites. We propose to drop a humanoid robot with a parachute from an airplane as one of the methods of delivering robots. In this research, we aim to establish a method to absorb the shock at the time of landing by whole body motion for preventing the damage to the robot. As an early stage of this research, drop tests using a small one-legged robot were conducted. From the viewpoint obtained by these experiments, we designed a parachute landing motion for the small robot heuristically and succeeded in reducing the impact force to 40%.
著者
加藤 岳生
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
大学の物理教育 (ISSN:1340993X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.112-116, 2018

<p>1.はじめに</p><p>第49回国際物理オリンピック(IPhO2018)は7月21日から29日までポルトガルのリスボンにおいて90カ国から412人の選手が参加して行われた.日本からは高校生5人の代表選手が参加</p>
著者
柚木 かおり
出版者
社団法人 東洋音楽学会
雑誌
東洋音楽研究 (ISSN:00393851)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.71, pp.65-83, 2006

バラライカは三角形の胴に三本の弦をはった有棹撥弦楽器で、ロシアの民族楽器として広く知られている。この楽器には、音楽事典などに見られるような、板を張り合わせて作った粗末な自作楽器あるいは職人が製作した楽器であるというイメージが先行しがちだが、数量から言えば、工場で大量生産されたものが圧倒的に多い。本稿は、民族楽器の大量生産が文化政策の一環として行われた経緯と理念を一九二〇~三〇年代の五ヵ年計画との関連において分析し、楽器大量生産の後世への影響を考察するものである。<br>ソ連は、「資本主義諸国に追いつき、追い越せ」をスローガンに様々な政策を打ち出した。五ヵ年計画はもともと工業部門の発展を目的とした国家規模の計画であるが、そのうち第二次五ヵ年計画 (一九三三~三八) には特に芸術部門の組織化が含まれた。その計画書の冒頭には「安価で良質な楽器の普及が、社会の文化水準の高さを示す」と述べられており、実にその理念にしたがって民族楽器の国を挙げての大量生産が行われるようになった。<br>世界初の社会主義国ソ連では、文化は国によって計画、運営、管理されるものであり、その意味で「国営文化」だった。工場製の楽器の生産と流通によって、より多くの人々が楽器を手にすることができるようになり、その楽器とともに、政策施行者側が推奨した「文化的な」音楽文化も組織的に普及することになった。しかし楽器の普及は、他方で、「非文化的である」として当局が排除しようとした農民の伝統的な器楽曲や世俗的なレパートリーを根絶するばかりか、政策被施行者側の工夫により、逆に生き残らせるという結果をもたらした。それらは、政策施行者側の推進した工場製楽器によって現在も鳴り響いている。
著者
神本 秀爾
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 日本文化人類学会第44回研究大会 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
pp.24, 2010 (Released:2010-12-20)

ジャマイカのラスタファリ運動は、エチオピア皇帝ハイレ・セラシエを救世主とする「真のキリスト教」を自称する。運動は同時にアフリカ性の積極的肯定とともにアフリカ大陸への帰還を要求してもいる。本発表は、エチオピア・アフリカ黒人国際会議派ラスタファリアンを対象として、宗派内部において救済とアフリカ性の積極的肯定が「アフリカ回帰主義」「聖書主義」によって正当化される過程を明らかにする。
著者
杜預 集解
出版者
森本太助等
巻号頁・発行日
vol.附録 巻上, 1882
著者
小野 愛 弓勢 久美子 竹本 哲行
出版者
京都府農業総合研究所
雑誌
京都府農業研究所研究報告 (ISSN:02888386)
巻号頁・発行日
no.27, pp.19-24, 2007-03

開花期の年次変動が少ない赤色系の盆小ギク2系統を育成した。1.温度による開花期の変動が比較的少ない7月から8月咲きの小ギクを交雑親として選定し、人工交配を行い、開花期の年次変動が少ない「H-13」および「H-42」を育成した。2.「H-13」は、育成地(京都府京田辺市:2001年、京都府亀岡市:2003年-2005年)において、4月中-下旬に定植すると8月上旬に開花した。2004年と2005年に京都府内の気候の異なる3地域(宮津市、亀岡市、京田辺市)で現地試験を行ったところ、開花日はいずれも8月上旬であった。開花時の草丈は約90cm、花房の形は円錐形、舌状花の表面の色は濃赤紫(JHSカラーチャート:9209)であった。3.「H-42」は、育成地において「H-13」と同様の栽培を行うと、7月下旬から8月上旬に開花した。2004年と2005年の現地試験における開花日はいずれも7月下旬であった。開花時の草丈は約80cm、花房の形は平形、舌状花の表面の色は濃赤紫(JHSカラーチャート:9509)であった。4.「H-13」、「H-42」ともに開花期の年次変動が少なく、府内全域に適応すると考えられた。