著者
チェ ジョンヒョン 村嶋 幸代 堀井 とよみ 服部 真理子 永田 智子 麻原 きよみ
出版者
Japanese Society of Public Health
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.49, no.9, pp.948-958, 2002-09-15
被引用文献数
4

<b>目的</b> 在宅ケアサービスの利用に関する従来の研究では,複数のサービスを一括して扱うことが多かった。本研究では,訪問看護と介護サービスについて,各々の利用者の特徴を明らかにすることを目的とした。<br/><b>方法</b> 人口36,000人の S 県 M 町における平成 9 年10月 1 日時点の訪問指導台帳より抽出した調査対象高齢者134人に対し,質問紙を用いた面接調査を行った。訪問看護,ホームヘルプの利用に関して,①利用の有無,および,② Andersen のモデルの 3 要因(属性要因,ニーズ要因,サービス利用促進/阻害要因)との関連性を明らかにした。<br/><b>結果および考察</b> 134人中,訪問看護は38.1%,ホームヘルプは36.6%の人が利用していた。<br/> 訪問看護は,高齢者の ADL が低下しているほど,過去 2 年間の入院経験があるほど家族の世話の仕方が少ないほど,介護者のサービス利用への抵抗感が少ないほど利用しており,ニーズ要因が最も影響していた。<br/> ホームヘルプは,家族の世話の仕方が少ないほど,訪問看護を利用しているほど,利用しており,属性要因と利用促進/阻害要因が影響していた。<br/> 訪問看護とホームヘルプの両方の利用者は,看護のみの利用者に比べて,家族がケアを提供するのが難しく,また,ヘルパーのみの利用者に比べて利用者の ADL 等身体状態が低い。<br/><b>結論</b> 訪問看護とホームヘルプの利用を推進する要因は異なっており,両者を併せて利用している者は,複合的ニーズを持っているという特徴が認められた。
著者
霧生 拓也 枇々木 規雄
出版者
日本ファイナンス学会 MPTフォーラム
雑誌
現代ファイナンス
巻号頁・発行日
2020

<p>資産価格変動要因の特定はファイナンスにおける重要なトピックの一つである.その中でも日次など短期の変動要因を特定することは,経済イベントと紐づけて議論するために特に重要である.しかし,短期の変動要因の分析に適した方法は少なく,関連した研究はこれまでなされていない.本研究では,オプション価格情報を利用した変動要因の分解方法を提案し,米国株式指数の日次リターンの変動要因を分析する.具体的にはRecovery Theoremを用いてオプション価格から推定した実分布とSDFをもとに,リターンをキャッシュフロー要因と割引率要因に分解する.オプション価格は情報を迅速に織り込むため,短期の変動要因の分析に適すると考えられる.実証分析の結果から,キャッシュフロー要因が短期の価格変動の主要因であることが明らかになった.ただし,FOMCアナウンスメント日には割引率要因の影響がそれ以外の日と比べて大きくなることもわかった.</p>
著者
南 宏典 佐藤 健二 乾 重樹 前田 知子 田口 博康
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.440-447, 1996 (Released:2010-08-25)
参考文献数
15
被引用文献数
1

12歳以上のアトピー性皮膚炎患者でステロイド外用剤を中止したいと希望した28例と, すでにステロイド外用剤を中止してそれ以外の外用剤を用いているが皮疹が軽快しない4例を対象とし, ステロイド外用剤離脱後も紅斑が持続する場合は全外用剤を中止し, 内服, 入浴指導, ガーゼ保護など種々の治療を加えた。ステロイド外用剤を中止すると皮疹は増悪し, 平均7日後に最悪となるが, その後軽快した。さらに全外用剤を中止すると再び増悪して平均5日後に最悪となるが, 以後軽快に向かい平均6週間後に皮疹の面積は中止前の2割程度となった。またこのときの皮膚症状は古典的成人アトピー性皮膚炎に特徴的な乾燥性のものである。外用剤中止と外用以外の種々の治療を行った結果ほぼ全例が外用剤なしですごせるようになったことから, 現在問題とされているいわゆる成人型アトピー性皮膚炎の病変にはステロイドおよびその他の外用剤の影響が含まれていると推測された。
著者
神谷 昌史 Masashi Kamiya
出版者
滋賀文教短期大学
雑誌
滋賀文教短期大学紀要 (ISSN:09126759)
巻号頁・発行日
no.21, pp.1-21, 2019-03

『東亜新報』は一九三九年七月から一九四五年の日本の敗戦まで、中国北京などで発行されていた日本語新聞である。これまでまとまった研究が存在しない同紙について、編集局の主要人物に着目し、様々な史料を用いてその来歴などをとりまとめる。取り上げる関係者は、社長であった徳光衣城、「東亜新報の三羽ガラズ」と称された佐々木金之助・高木健夫・石川輝、論説委員であった高木冨五郎・長谷川光太郎、済南支社の編集局長・支社長を務めた竹内順三郎、外交部長や天津支社編集局長を歴任した栗原一夫の八名である。
著者
Young-Jun Park Kazuhiro Nemoto Tomotaro Nishikawa Kenichi Matsushima Mineo Minami Makoto Kawase
出版者
Japanese Society of Breeding
雑誌
Breeding Science (ISSN:13447610)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.351-360, 2009 (Released:2009-12-18)
参考文献数
51
被引用文献数
17 20

A full-length cDNA clone encoding granule-bound starch synthase I (GBSSI = Waxy gene) from grain amaranth (Amaranthus cruentus L.) perisperm was isolated and characterized. Segregation of amylose content in F2 population suggested that the amylose content of A cruentus is controlled by a single gene, Waxy (GBSSI). cDNA clone of this gene is 2076 bp in length and contains an open reading frame of 1821 bp corresponding to a polypeptide of 606 amino acids residues, including a transit peptide of 77 amino acids. Comparison of the cDNA and genomic sequences (3492 bp) suggested that the amaranth GBSSI gene has 12 introns, of which exons 1–13 contributed to the coding sequence. The mature protein shares 70.2–75.3% sequence identity with GBSSI of dicots and about 64.0–67.8% identity with those of monocots. This protein contains the conserved motif KTGGL found in other GBSSI proteins, which has been implicated as the active site in glycogen synthase. Sequence analysis predicted that GBSSI of amaranth has a transit peptide of 77 amino acids including FIR↓S, which is different cleavage site that of the other dicot species. These results will provide more useful information for understanding the structure/function relationship of this protein from amaranths perisperm.
著者
久保 摂二
出版者
広島大学医学部
雑誌
原著廣島醫學 (ISSN:03758982)
巻号頁・発行日
vol.5, no.12, pp.1182-1253, 1957-12
著者
山下 裕子
出版者
白桃書房
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.p75-86, 1993-07
被引用文献数
1
著者
浜本 隆志
出版者
關西大學文學會
雑誌
關西大學文學論集 (ISSN:04214706)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.1-27, 2007-07-20
著者
任 眞嬉 元 ナミ[訳] 金 甫榮[訳]
雑誌
GCAS report : 学習院大学大学院人文科学研究科アーカイブズ学専攻研究年報 (ISSN:21868778)
巻号頁・発行日
no.4, pp.6-22, 2015-02

韓国では、1999年「公共機関の記録物管理に関する法律」の制定と相まって電子政府が進められ、多くの公共記録が電子文書で作成されるようになった。この法律は2007年に「公共記録物の管理に関する法律」と改正され、電子記録管理システムを中心に更新された。公共部門の記録管理の発展とともに、民間分野におけるアーカイブズへの関心も高まり、さまざまな民間アーカイブズが構築されつつあるが、その過程で公共記録の管理方法やツールをそのまま適用することは難しいという学問的、実践的課題が提起された。特に記録システムの構築には多くの課題が存在している。本講演では、その解決策の一つとして「AtoM」や「Archivematica」「Omeka」などのオープンソース・ソフトウェアを利用して構築された記録システム「人間と記憶のアーカイブ」、「マウル・アーカイブ」「セウォル号アーカイブ」の事例を紹介する。このような民間アーカイブズのための記録システムの普及活動は、記録保存の重要性に対する共感を広げ、記録文化を浸透させることに大きく貢献している。
著者
本田 周二
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.152-163, 2012-11-30 (Released:2013-02-11)
参考文献数
32

本研究の目的は,友人関係が形成,維持される理由の多様性に焦点を当て,友人関係における動機づけが同性友人との葛藤時の対処方略および友人関係満足感に及ぼす影響について検討することであった。東京都内の短大および専門学校生,兵庫県内の大学生218名に質問紙調査を行った。構造方程式モデリングによるパス解析の結果,「内発的動機」から統合スタイルへの正のパスが有意であった。さらに,「外的」から強制スタイル,「取り入れ」から回避,自己譲歩スタイルへの正のパスが有意であった。また,重回帰分析の結果,「取り入れ」から友人関係満足へは負のパスが有意であった。本研究により,現代青年においては,内発的な動機に基づく友人関係だけではなく,外発的な動機に基づく友人関係も存在しており,両者は異なった対人行動を導くこと,そして,外発的な動機である「取り入れ」による友人関係を持つ傾向が高いほど,友人関係満足感が低いことが示された。最後に,外発的な動機に基づき友人とつきあう理由について考察した。