著者
田口 和夫
出版者
法政大学
雑誌
能楽研究 (ISSN:03899616)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.89-105, 1993-03-30
著者
植田 信広
出版者
九州大学
雑誌
法政研究 (ISSN:03872882)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.573-604, 1992-03
著者
下沢 敦
出版者
共栄学園短期大学
雑誌
共栄学園短期大学研究紀要 (ISSN:1348060X)
巻号頁・発行日
no.27, pp.125-144, 2011-03-31

初期の室町幕府が自ら発した法令の中で使用していた大犯三箇条の語は、大番催促・謀叛・殺害人の合計三項目から成る鎌倉時代の守護の職権事項全三箇条を表す一個独立の法令用語であったと考えられる。しかし、鎌倉時代の守護の職権事項全三箇条の全てを重大な犯罪行為の意味を持つ大犯の語によって矛盾なく統一的に捉えるのは、困難である。小稿では、既に鎌倉時代前期に謀叛・殺害の二種類の犯罪行為を犯過として一括りに捉える見方が存在していた事実に着目し、それを拠り所として、大番催促・謀叛・殺害人の合計三項目から成る大犯三箇条を大番催促・犯過人三箇条として捉え返した。その上で、大犯三箇条の中の大犯の語を分解し、大を大番催促の冒頭の一字を取った略号、犯を犯過人の冒頭の一字を取った略号と見て、大犯の語をそれらの略号の連記として捉え直し、結局、大犯三箇条とは、大番催促・犯過人三箇条の表現を短縮した単なる便宜上の略称に過ぎなかったと結論した。更に、単なる便宜上の略称としての大犯三箇条の語は、少なくとも大番催促が廃絶された南北朝時代以後には成立し得ないことをも推定した。
著者
永岡 崇
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究 (ISSN:09150900)
巻号頁・発行日
vol.47, pp.127-169, 2013-03

本稿は、異なる立場の人びとが「知の協働制作者」(Johannes Fabian)として直接的に接触・交渉しあいながら宗教の歴史を描いていく営みを協働表象と名づけ、具体的な事例を検討しながらその意義を明らかにしようとするものである。その事例は、一九六〇年代に行われた『大本七十年史』編纂事業である。近代日本の代表的な新宗教として知られる大本が、歴史学者・宗教学者らとともに作りあげた『七十年史』は、協働表象の困難さと可能性を際立った形で提示している。 大本という宗教団体の七〇年にわたる歴史を描くというこの事業は、大本に集った人びとの過去だけでなく、現在と未来のありように密接にかかわるものであった。新宗教の矛盾や葛藤に満ちた歴史のなかに研究者が介入し、多様な信仰、多様な経験に秩序を与え、そのざわめきを鎮めていくことは、来るべき信仰や実践のありように規範を提示していくことでもある。大本内部で平和運動を推進する出口栄二や事業に参加した歴史学者は、近代日本の支配体制に対抗する異端として、また一貫した平和主義的宗教としての大本の「本質」を創造していた。 彼らによって構築される「本質」は、そこに回収されきらない多様な歴史的経験を排除するか、副次的なものとして劣位に置くことになる。だが、古参の信徒が抱えるそうした歴史的経験や、史料の読解よりも「本質」を優先させる物語の過剰にたいする若手研究者の反発は、首尾一貫した滑らかな歴史が内包する暴力性を浮き彫りにするのである。 協働表現の意義は、おそらく成果として出来上がった歴史叙述そのもののなかにではなく、その過程で生起する自己変容の経験、越えがたい差異の経験、そして他者を前にして自分の行使する暴力に気付かされる経験のなかにこそある。もっともこうした経験は、当事者によってはうまく分節化できないこともある。協働の場に介入する分析者の役割は、そこに沈殿した経験の意味を開示し、さらにそれを公共的議論へと接続することなのだ。
著者
佐藤 潤司
出版者
日本マス・コミュニケーション学会
雑誌
マス・コミュニケーション研究 (ISSN:13411306)
巻号頁・発行日
no.85, pp.185-204, 2014-07-31

In this paper, I will specifically and objectively identify critical opinions on the mass media that have developed on the Internet about a report giving the real names of the Japanese victims of the hostage crisis of January 2013 in Algeria, and consider the structural factors of such criticism. The targets of this analysis are 1262 cases of opinions output from highly-ranked Web pages displayed on a search engine listing using fixed criteria. 7.1% of the opinions supported the news report, 68.5% of opinions did not support it, with other opinions accounting for 24.4%. The results of an analysis of opinions that did not support the report by using a text-mining approach did not necessarily indicate criticisms of the report that used the real names of the victims, but were an accumulation of various feelings of distrust against the mass media expressed on the Internet that were triggered by this news report. In addition, opinions that did not support the report were formed using language structures peculiar to the Internet; namely, a cyber-cascade that began at the point where people critical of the mass media became sympathetic and radicalized as unclear information spread on the Internet.
著者
杉浦 郁子 SUGIURA Ikuko
出版者
東北社会学研究会
雑誌
社会学研究 = The study of sociology (ISSN:05597099)
巻号頁・発行日
no.93, pp.79-92, 2014-01

この小論では、クィア・スタディーズ領域の研究活動にまつわるある倫理課題を示し、論ずる。LGBT(Lesbian, Gay, Bisexual, Transgender)などのセクシュアル・マイノリティを対象に行われる調査研究では、調査者もマイノリティとしてのアイデンティティを有していることが少なくない。「同じような立場の者=ピア」による調査、「調査者と協力者がともに当事者である」という関係性において行われる調査のことを、ここでは「ピア調査」と呼び、ピア調査で起こりやすい問題について具体的に検討していく。なお、本論は、日本クィア学会の会員有志によるワーキング・グループ(世話人 溝口彰子氏)の成果の一部である。
著者
喜多 加実代 浦野 茂
出版者
東北社会学会
雑誌
社会学年報 (ISSN:02873133)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.3-15, 2017

当事者についての研究が隆盛する一方,当事者概念の誤解や拡張使用が懸念され,その概念の精錬の必要性も言われている.これに対し,本稿では,当事者の概念分析を提案する.本稿で言及する概念分析とは,ウィトゲンシュタインやライルの影響の下にウィンチが提唱し,エスノメソドロジーやハッキングが発展的に継承したものである.「当事者」と成員カテゴリーの複数の結びつき方を簡単に示した後に,2つの異なる事例について,実践の記述として,「当事者」の概念分析を行う.
著者
東優子
雑誌
産婦人科の世界
巻号頁・発行日
vol.51, pp.135-143, 1999
被引用文献数
1
著者
山本 圭
出版者
日本政治学会
雑誌
日本政治學會年報政治學 (ISSN:05494192)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.2_267-2_287, 2012

This paper aims to re - think the relationship between populism and democracy, and clarify that populism can hold some advantages for democratic societies. In order to do this I shall, first of all, make a survey of some arguments that have dealt with this relationship, and show that they face a difficult antinomy. I will then argue that the primary reason for this dilemma resides in "two strand theory" in the concept of modern democracy. <br>&nbsp;&nbsp;Secondly, this paper focuses on theories of "radical democracy" to indicate how and why recent democratic theories move closer to populism. After reviewing some representative theories of radical democracy, I shall pick up Ernesto Laclau's political theory on populism, as his thought provides an appropriate example of the encounter between democracy and populism. Finally, through these considerations, I will attempt to clarify "the democratic utilities of populism."
著者
竹束 正
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
蝶と蛾 (ISSN:00240974)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.59-60, 1973

シジミチョウ科の交配については,まだ実例が発表されていないようなので,筆者が1970年から行なっているウラゴマダラシジミ(黒化型)Artopoetes pryeri Murray f. shikokuana Okuboを用いた野外交配の実例について報告したい.この方法が,減少したり絶減に近づいている小型種の生存や勢力の回復に有用であれば幸いである.