著者
武笠 俊一
出版者
三重大学人文学部文化学科
雑誌
人文論叢 : 三重大学人文学部文化学科研究紀要 (ISSN:02897253)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.31-43, 2012-03-30

日本人の民間信仰の特質の一つに、「神々を欺す風習」がある。こうした風習は、とりわけ、ウブスナ習俗や厄神防除の領域に多い。本稿では、幼児の額に印をつける「アヤツコ」の風習と戸口に護符や絵を貼る「疱瘡神防除」を取り上げ、こうした呪法がどのような論理によって行われてきたかを解明した。神を欺くことによって災厄を回避しようという呪法は、つい最近まで日本社会で広く行われていたものである。しかし、こうした呪法は、一神教の世界にはほとんど見られない。このきわめて特異な呪法がどのような論理に基づいて行われていたかを明らかにすることによって、日本人の神観念の特質が明らかになると思われる。
著者
門田 誠一
出版者
佛教大学宗教文化ミュージアム
雑誌
佛教大学宗教文化ミュージアム研究紀要 (ISSN:13498444)
巻号頁・発行日
no.13, pp.1-44, 2017-03-30

魏志倭人伝には倭人社会の宗教的側面を示す記事があり、そのなかには卑弥呼の用いたという鬼道がある。鬼道に関しては、多くの言及があるが、本論では基本的な方法に立ち戻って、近来の中国における考古学的知見と中国史書・文献の用例と用法を参照し、『三国志』編纂時点での鬼道の認識を検討した。その結果、中国の鬼道としての五斗米道そのものかあるいは同時期に中国で展開した呪術的習俗をともなう信仰が実修されていた考古学的痕跡は顕著ではないが、伝統的な礼制による儒教的体制に対して鬼道の語が用いられていることから、鬼道が中華世界の礼俗とは相いれない祭祀習俗であり、とくに統治する者にとっては、自己の存立を否定するものとされていたという同時代的認識を示した。
著者
片山 一道 土肥 直美
出版者
一般社団法人 日本人類学会
雑誌
Anthropological Science (Japanese Series) (ISSN:13443992)
巻号頁・発行日
vol.116, no.2, pp.149-153, 2008 (Released:2008-12-27)
参考文献数
26

ポリネシア人の祖先となったと考えられるラピタ人など,オーストロネシア系オセアニア諸語グループが,そもそもは台湾あたりに出自したとする出台湾(Out of Taiwan)仮説,あるいは‘Express Train to Polynesia’(ETP)仮説は,言語学や考古学の分野で有力視されている。その仮説を人類学的方法で検証するための試論を展開した。台湾先史時代の墾丁寮人骨と,ラピタ人骨など,太平洋の先史時代人骨との間で頭骨形態を予備的に比較することにより,前者がラピタ人などの変異内に収まることを示した。今後,詳細な研究が期待できる。
著者
野村 和晴
出版者
独立行政法人水産総合研究センター
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では、ニホンウナギにおいて2世代でクローン系統作出を可能にする雌性発生条件について検討した。ウナギ精子を遺伝的に不活性化する紫外線の照射条件は400 μW cm-2 s-1 の強度で35~75秒間(1,400~2,800 erg/mm2)だった。第二極体放出阻止は、受精後3分に、水温0℃の海水に、5~15分間浸漬という低温処理で可能だった。さらに、第一卵割阻止を可能にする高圧処理条件について検討したところ、受精後40~45分に、9,000~10,000 psiの圧力条件で、4分間という条件によりゲノムを倍加した4倍体の作出が可能であった。
著者
坂本 圭 小渕 千絵 城間 将江 松田 帆 関 恵美子 荒木 隆一郎 池園 哲郎
出版者
日本聴覚医学会
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.92-98, 2014

要旨: 人工内耳装用者 (以下CI装用者) の語音聴取における発話速度の影響と, 聴取能を補うための休止区間挿入の効果について検討した。対象は健聴者10名, CI装用者13名であり, 通常の発話速度 (以下, 基準文) を1倍速とし, これに対して2段階に倍速にした音声 (1.5倍速, 2.0倍速, 以下倍速文) の聴取成績を分析した。また, 各倍速音声に休止区間を文節, ランダムの2種の方法で挿入しその効果を実験的に検討した。この結果, 両対象者共に発話速度が速くなるにつれて有意に正答率の減少がみられた。特にCI装用者で顕著であり, 2.0倍速ではほとんどのCI装用者が聴取困難となった。また, 休止区間挿入の効果は, CI装用者で1.5倍速文においてのみ有効であった。倍速音声聴取が困難であるCI装用者であっても休止区間挿入により処理時間が確保され聴取能改善につながるため, 会話時においては意味的に区切って発話することの重要性が示唆された。
著者
上田 洋 牛島 栄 出頭 圭三
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集E (ISSN:18806066)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.27-41, 2007 (Released:2007-01-19)
参考文献数
26

酸性水の作用を受けたコンクリートの劣化について,設計基準強度が24N/mm2クラスの一般的なコンクリートから,高強度・高耐久性を有する超高性能コンクリート(Super Quality Concrete)までを対象とした評価を行うことを目的として,試験体による室内試験を行うとともに,酸性水に対する劣化の予測式を提案した.提案した予測式は,コンクリートの配合と酸性水の作用環境をもとに劣化を予測するもので,通常のコンクリートおよび超高性能コンクリートの各配合に適用できるほか,乾湿繰り返しを伴う酸の作用に対しても適用可能であり,構造物の設計段階における照査にも利用できるものである.
著者
早川 亮太 小林 直樹 加藤 登 工藤 由起子 荒木 惠美子
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.54, no.6, pp.402-409, 2013-12-25 (Released:2013-12-28)
参考文献数
20
被引用文献数
2

日本で流通する日本産海産魚におけるヒスタミン生成を明らかにするために,市販の73魚種について筋肉および腸管を混合したヒスタミン生成モデル試料を作製した.25℃で12時間保存した結果,35魚種において50 mg/kg以上のヒスタミン生成が認められ,これらの魚種がヒスタミン食中毒の原因となる可能性が示唆された.また,1か月の-45℃凍結によるヒスタミン生成の低減の検討では,一部魚種についてヒスタミンが生成され,ヒスタミン生成菌としてPhotobacterium damselaeおよびPhotobacterium iliopiscariumが分離されたが,全魚種について,ヒスタミン生成が低減したことから,この方法が有効なヒスタミン生成の制御方法であることが明らかになった.
著者
辻本 法子
出版者
桃山学院大学総合研究所
雑誌
桃山学院大学総合研究所紀要 = ST. ANDREW'S UNIVERSITY BULLETIN OF THE RESEARCH INSTITUTE (ISSN:1346048X)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.41-55, 2018-07-30

Japan has seen an increase in the number of foreign tourists over the years ; the number stoodat 24 million in 2016. In fiscal 2016, the number of inbound tourists increased by 71.5% on ayear-on-year basis. The travel consumption was valued at JPY3.75 trillion, which is primarilyattributable to tourists from China.This study proposes a new viewpoint on the travel souvenir-related purchasing behavior ofChinese tourists in Japan. The purchase of a travel souvenir is typically a one-time purchase bya tourist during a visit to a location. To increase the sales of travel souvenirs, it is important topromote repeat purchases. To ensure repeat purchases, it is necessary to create brandawareness and increase brand accessibility, so that the tourist can easily recall the brand nameand place a repeat order even from his or her native place. This study focuses on the changes inChinese tourists’ purchasing behavior and brand awareness, and makes a comparison betweenthe periods 2016 and 2013/2014.The study noted the following.(1) Visits by Chinese middle-class tourists increased in 2016.(2) The number of first-time visitors to Japan increased, and these visitors visited less placescompared to those who are visiting again.(3) As for the person with multiple visit-to-Japan experiences, brand awareness may increase.
出版者
一橋研究編集委員会
雑誌
一橋研究 (ISSN:0286861X)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.127-131, 1977-06-30

1 0 0 0 IR 学問以前

出版者
一橋大学大学院学生会
雑誌
一橋研究 (ISSN:0286861X)
巻号頁・発行日
no.3, pp.117-122, 1957-03-27

論文タイプ||座談会
出版者
一橋研究編集委員会
雑誌
一橋研究 (ISSN:0286861X)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.100-104, 1978-06-30
著者
山内 清郎
出版者
教育思想史学会
雑誌
近代教育フォーラム (ISSN:09196560)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.45-55, 2010

本コメント論文の主要な話の筋立ては、次の四点である。第一に、人間の存在を、物語的な存在と捉えることによって、物語が人間にとってはたす機能を確認する。そして、そうした人間の有様を、仮に「物語的理性」というように呼称することにする。第二に、野平氏が物語なるものの推移を語る際に大きな参照点としたベンヤミンによる物語についての論考をあらためて検討することによって、物語なるものを歴史的な条件から論究する際のやっかいさについて若干の指摘を行なう。第三に、物語なるものの論究のやっかいさを示す傍証として、アウエルバッハ『ミメーシス-ヨーロッパ文学における現実描写』より「オデュッセウスの傷痕」を、その物語の巧みな分析手法とともに紹介する。第四に、物語(論)が射程とすべき主戦場の範囲を明らかならしめることによって、物語(論)が、今後問うていくべき問題の領野、ならびに、そのための方法論への示唆を記す。