著者
神田 兵庫 磯田 弦 中谷 友樹
出版者
東北地理学会
雑誌
季刊地理学 (ISSN:09167889)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.91-106, 2020
被引用文献数
4

<p> 本稿では,1980年から2015年における市町村別人口および1kmメッシュ人口から,日本の大都市雇用圏がこれまでに経験した都市構造の変遷を把握した。その結果,日本の都市圏の多くは,クラッセンの都市サイクルモデルの想定とは異なり,いわゆる人口が増加した都市化や郊外化の段階を経験した後,都市圏全体として人口が減少する局面を迎えると,中心部の人口の割合が相対的に上昇する集中化(中心化)傾向を示すことが明らかとなった。また,人口減少局面においては,都市構造の遷移は小規模な都市圏の傾向を中規模以上の都市圏が追随する傾向にある。</p>
著者
Takuhiro Hashiyama Nobuaki Mori Yasuto Fukushima Takashi Takahashi
出版者
National Institute of Infectious Diseases, Japanese Journal of Infectious Diseases Editorial Committee
雑誌
Japanese Journal of Infectious Diseases (ISSN:13446304)
巻号頁・発行日
vol.73, no.5, pp.373-376, 2020-09-30 (Released:2020-09-24)
参考文献数
9
被引用文献数
3

We report a case of non-necrotizing soft tissue infection and streptococcal toxic shock syndrome (STSS) caused by a novel emm subtype (emm76.10) of group A Streptococcus pyogenes (GAS). A 54-year-old Japanese woman suffering from fever, fatigue, and lower abdominal pain along with erythema for 3 days was admitted to our hospital. Additionally, she presented with hypotension and multiple organ failure. Exploratory incision was performed due to the presence of STSS and for an examination of the necrotizing soft tissue infection from her lower abdomen to the left thigh. Tissue cultures from the exudates and fascia yielded positive results for GAS growth, although blood cultures returned as negative. After 15 days of antimicrobial therapy, she recovered fully without any complications. Genotyping of the isolate indicated a novel emm subtype (emm76.10), with 5 amino acid substitutions in the emm76.0 subtype sequence and the full-length sequence of 780 bp. This isolate was resistant to tetracyclines, macrolides-lincosamides, and fluoroquinolones, owing to the presence of antibiotic resistance determinants, tet(M) and erm(B), and point mutations, Ser79Phe/Ser81Phe, in the quinolone resistance-determining regions of parC/gyrA. In conclusion, our observations suggest the importance of early-stage exploratory incision and drainage from the infected region for the isolation and characterization of causative bacteria to facilitate selection of appropriate antibiotics for treatment.
著者
大谷 元
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

平成8年度及び9年度に「乳汁κ-カゼインの免疫抑制作用に関する研究」という課題のもとに研究を行い、得られた成果は以下の通り要約される。1.牛乳κ-カゼインのTーリンパ球増殖抑制メカニズムについて検討を行い、κ-カゼインはそのκ-カゼイノグリコマクロペプチド(CGP)域(106-169域)のシアル酸を含む糖鎖を介して単球・マクロファージに結合し、IL-1レセプターアンタゴニストの大量生産を誘導することと、CD4+Tーリンパ球に直接結合し、その膜表面へのIL-2レセプターの発現を阻害することにより、Tーリンパ球の増殖を抑制する。なお、CGPは、IL-1レセプターアンタゴニストと同じIL-1ファミリーのサイトカインであるIL-1αやIL-1βの生産には影響を与えない。2.κ-カゼインは本来、マクロファージの食作用や活性化を抑制する作用を有しているが、その作用はペプシン消化では直ちに消失するが、トリプシンやキモトリプシン消化を行っても殆ど変化しない。3.CGPをマウスの飼料に混合し、経口投与すると、経口投与抗原や腹腔内投与抗原に対する特異抗体の生産が顕著に低下し、その原因はサブレッサーTーリンパ球の数が機能、あるいはその双方が増大していることによる。4.人乳CGPはマウスのT、B、両リンパ球に対してアポトーシス誘導能を有する。5.牛乳κ-カゼインをトリプシンで消化するとアポトーシス誘導能を有するペプチドが生じ、そのペプチドはパラ-κ-カゼイン(1-105)域とCGP域の双方から生じる。以上のように、牛乳κ-カゼインによるTーリンパ球の増殖抑制メカニズムを明らかにするとともに、人乳κ-かゼインのペプシン消化により生じるCGPにはアポトーシス誘導能があることや、牛乳κ-カゼインでも直接、トリプシン消化するとアポトーシス誘導ペプチドが生じることを明らかにした。
著者
藤岡 英治
出版者
日本監査研究学会
雑誌
現代監査 (ISSN:18832377)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.21, pp.93-102, 2011-03-31 (Released:2017-05-04)
参考文献数
19

わが国監査基準における適正に表示(適正性:fairness)とは,国際監査基準に規定の監査意見の形態のうち,適正表示の枠組みにもとづくものか,それとも準拠の枠組みにもとづくものであるのかは明確ではない。一般的には適正表示の枠組みにもとづき意見表明を行っていると捉えるべきであるが,実務では監査人の責任と絡んで,基準への準拠性のみを考慮した準拠の枠組みと捉えられかねないこともある。そもそも,一般に公正妥当と認められる会計原則(以下,GAAP)に準拠すれば適正であるとした見解が示され,後にGAAP準拠のみでは適正性を満たさないGAAP準拠性≠適正性とする見解が出てきた歴史的な経緯がある。そこで本稿では,GAAP準拠性≠適正性に対して,アメリカでは,GAAPの拡大による対応,イギリスでは,GAAPの枠組みを超える経営者,監査人の積極的な判断にもとづく対応について検討し,その検討にもとづく適正性の位置づけを明らかにする。さらに,わが国の適正性のあり方について若干の示唆を示することにする。
著者
岩永 彩子 爲廣 一仁 松浦 泰雄 木村 芳三 檜垣 浩一 猿渡 彰洋 廣方 玄太郎 青柳 武史 谷口 雅彦 緒方 俊郎
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.52, no.7, pp.345-357, 2019-07-01 (Released:2019-07-31)
参考文献数
102
被引用文献数
3

目的:Segmental arterial mediolysis(以下,SAMと略記)の治療選択肢は多様化してきており,治療法の変遷と選択について検討した.方法:当院12例;2008年から2015年までにSAMと診断された症例について集計を行った.本邦症例報告100例;2004年から2016年までに医学中央雑誌に掲載された症例の検討を行った.結果:当院12例;年齢は中央値69(47~92)歳,男女比は6:6であった.主病変血管は肝動脈,胃大網動脈が3例ずつであった.単発10例,多発2例であった.治療法はTAE 8例,手術2例,治療不能1例,経過観察1例であった.在院日数は中央値23(10~165)日であった.在院死は2例で,退院後他病死が2例であった.8例は健在で1例に8か月後に他部位に再発を認めた.本邦症例報告100例;年齢中央値57(32~88)歳,男女比7:3であった.病変血管は,中結腸動脈が最も多かった.治療方法の内訳は手術52例,TAE 38例,経過観察10例であった.治療方法の時代変遷は2011年以降TAEと手術はほぼ同等になっていた.これらの比較検討では,non-responder,動脈瘤径が大きなものが有意に手術を,膵十二指腸動脈の病変は有意にTAEが選択されていた.再発,在院日数に有意差はなかった.結語:SAMの治療は,患者の全身状態と病変部位,病態を把握し,個々の症例に応じた適切な治療法を選択,施行することが重要であると考えられた.
著者
岡崎 篤行 野澤 康 井上 年和 今村 洋一 川原 晋 大場 修 澤村 明 岡村 祐 池ノ上 真一 井上 えり子 松井 大輔 西尾 久美子
出版者
新潟大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2020-07-30

元来、料亭は宴席以外にも冠婚葬祭や公式会合、商談など日本人の生活と密着していた。しかし、現在ではその役割が他施設へ移り、都市の料亭街が消滅しつつある。一方で、和食や料亭の価値は見直され、重要な観光資源にもなっている。ひとつの重要な建築類型といえる料亭は、あらゆる日本の伝統文化を包括的に継承する場であり、花柳界や業界団体、支援・連携する行政、民間組織など様々な組織が関わっている。このように、ひとつの地域文化システムといえる料亭について網羅的視点で捉え、関連組織・活動の変遷、料亭の分布とその変遷、料亭建築の規模と保全活用の実態を明らかにする。
著者
大串 和雄
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

当初の計画通り、平成30年度は現地調査を実施せず、前年度の現地調査のインタビューを整理するとともに、文献資料に基づいて研究を進めた。平成30年度は、コロンビアの動きを追うことにやや多めに時間を割いた。コロンビアでは、国内最大のゲリラ勢力FARCと政府との2016年の和平合意に基づき、移行期正義のシステムが設置された。中でも、ゲリラ及び治安部隊の人権犯罪を修復的正義のアプローチで裁き、加害者が真実の解明と賠償に協力すれば服役を免れるという「特別和平司法」(JEP)の仕組みは、国論を二分し、2018年の大統領選挙の争点となった。大統領選挙ではJEPが「ゲリラに甘い」として反対する勢力が勝利し、現在では、国際社会を含むJEPを支持する勢力と、JEPを骨抜きにしようとする政府及び与党との綱引きが続いている。このような流動的状況を背景として、コロンビアでは全国レベルでは和解どころかJEPをめぐってヘイトスピーチが飛び交う状況が続いている。ただその一方で、ミクロなレベルでは、旧武装勢力と犠牲者との和解の実践も観察される。コロンビアとともに本研究が重点を置くペルーでは、移行期正義は多くの国民の関心事ではない。人権侵害等の罪で収監されていたアルベルト・フジモリ元大統領が、当時の大統領とフジモリ派との政治的駆け引きの結果として2017年末に特赦を受けた際には、犠牲者たちと彼らを支援するNGOが米州人権裁判所にアピールし、結果的にペルーの最高裁が特赦を無効とした。この件に見られるように、ペルーでは移行期正義は、犠牲者を含む一部の活動的なアクターにおおむね限定された関心事となっている。また、ミクロなレベルにおける和解の実践もペルーではあまり観察されない。農村では元ゲリラが出身の共同体に再び受容されていることがあるが、和解というよりは緊張を孕む共存として描写されている。
著者
亀岡 弘 北側 忠次
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.50, no.9, pp.389-393, 1976 (Released:2008-11-21)
参考文献数
9
被引用文献数
7 10

梅の果肉の水蒸気揮発性油の成分およびその組成比をTable IIIに,種子のn-ヘキサン抽出キスのカルボン酸および中性成分の組成比をTable IV に示す.これら組成比は,いずれもGLCの面積比から算出したものである. Table IIIから, 2, 3-ジメチル無水マレイン酸ならびに5-メチル-2-フルフラールなどフラン系化合物の存在が特徴的であり,特に2, 3-ジメチル無水マレイン酸は,炒ったコーヒーの揮発性成分として(8)確認されているかこのように梅の果実の水蒸気揮発性油に主成分として存在することは大変興味深い. Table IVから,脂肪酸がその大部分を占めるのは当然といえるが,ベンズアルデヒド,安息香酸,安息香酸エチルなど,芳香族化合物は微量存在することが認められた.これは以前,小竹ら(9)によって梅の花の香気成分として,ベンズアルデヒド,安息香酸,安息香酸ベンジル,ベンジルアルコール,イソオイゲノールを確認しているが,今回著者らが行なった研究と比較検討すると,花に存在していた成分が果実中にも存在することが認められることから,花と果実とではその成分が類似していることがわかる.これらのことから,花に存在した成分は,果実に移行するのではないか考えられ,これらの間には,なんらかの相関関係があるように思われる.なお,これら芳香族化合物およびフラン系化合物は,梅の果実の香気成分の1因を成しているものと考えられる.
著者
荒川 志津代
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.35, no.5, pp.354-363, 1984-05-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
8

多くの要因を含んだ子ども写真を視覚刺激として提示した場合のかわいさの要因について検討した.1) 被験者は子どもの身体以外のものにも関心をもっており, それをかわいくも感じているが, かわいさの基準を具体的に明示するように求める場合には, キンダーシェマとかわいさとの関連が生じることが推測された.2) 被験者の属性が子どものかわいさの要因の一つであることが明らかとなった.3) かわいさの因子として, 楽しさ, 無力さ, 活発さ, 緊張, 力動性, 従順さが見いだされた.4) 子ども観の三つの因子が見いだされた.伝統的・保守的子ども観, 客観的・理性的子ども観, 保護的・共感的子ども観である.5) 子ども観とかわいさイメージとの関連が示唆された.
著者
荒川 志津代
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.56, no.10, pp.729-736, 2005-10-15 (Released:2010-03-10)
参考文献数
11

The purpose of this study is to compare views of grownups on the cuteness of children between 1980 and 2005. A 21-item questionnaire was answered by 80 adults in 1980 and 200 adults in 2005. The adults who responded consist of 4 groups; a male group with a child or children, a female group with a child or children, male university students with no children, and female university students with no children. The main results are as follows : 1) In the case of the second group, or the female group with a child or children, their views are not identical between 1980 and 2005, the variance between the two is greater than that of the other groups, although their views come closer to those of the other 3 groups in 2005. 2) The number of those who stated that children were all lovely is larger in 2005 than in 1980. 3) The number of those who answered that they felt sympathy for babies or little children is larger in 2005 than in 1980. 4) Notable is the number of the respondents in the first and second groups who objected to the item that pensive or inactive children are not childish. Those who objected to the statement is larger in 2005 than in 1980.