著者
浮川和宣
雑誌
情報処理学会研究報告計算機アーキテクチャ(ARC)
巻号頁・発行日
vol.1988, no.70(1988-ARC-052), pp.1-9, 1988-09-27

機能の拡張性、操作環境の共通性、および情報資産の継承と可搬性、という3点を骨子とするAAC構想を支える技術について報告する。ここで紹介するのは、マルチタスキングやマルチウィンドウ環境を提供するシングルユーザ向きのスクリーンシステムである。これは、プログラムモニタとスクリーン管理、そしてアプリケーションにわけられる。プログラムモニタは、スクリーン管理とアプリケーションの、プログラムの実行とタスクの管理及びメモリ資源の管理を行う。プログラムモニタの上位にあるスクリーン管理は、機種に依存しないアプリケーションの実行環境を提供する。特徴として、マルチスクリーン論理メモリ管理、アプリケーション間通信、あるいはマルチリンガルや発音記号を含むコード体系があげられる。スクリーンの上で動くアプリケーションは、キーボードやメニューのカスタマイズを可能にし、アプリケーションの特殊な形態であるVAF (Value Added Function)を機能として取り込むことができる。一方、ドキュメントファイルを共通化し、それによってGrouping、Bindingといった応用技術をサポートする。これらの機能によって、AAC構想が実現することを明らかにする。
著者
松田 岳士 近藤 伸彦 渡辺 雄貴 重田 勝介 加藤 浩
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.S44122, (Released:2020-08-28)
参考文献数
8

本研究の目的は,大学生の履修科目選択支援システムの改善を目指す評価の結果を検討し,表示内容の理解度や,システム利用の効果を確認することを通して,追加の機能開発や改善に寄与する示唆を得ることである.4大学から51名の学生が参加したヒューリスティック評価の結果,学生の多くは表示内容をおおむね理解できたと考えており,システムの有用性も認めていたことが示唆された.また,自らの弱点である能力を獲得することを促進する効果や,学生自身の自己管理学習レディネスや獲得したい能力に応じた科目選択に導く効果がみられた.一方で,ユーザビリティを損なう表示内容や,理解度が低い用語があることが指摘され,改善の余地が示された.
著者
左近司 祥子
出版者
学習院大学
雑誌
人文 (ISSN:18817920)
巻号頁・発行日
no.4, pp.5-27, 2005

美を扱う芸術と善を扱う哲学といえば、プラトンは、対話篇『国家』で両者を対立関係においていたと普通思われている。この論文では、そういったプラトンが、善と美をどう扱っていたかを考えてみたい。古代ギリシャ人は善と美を同一視していたと通常理解されている。プラトンは、この二つの言葉にどういうイメージを持っていたかをまず指摘する。その作業は、プラトンが対話編の中で、その単語をどういう風に使用しているかを見ることによってなされる。さらに、プラトンの十八番とも言われるイデアに話を移し、このばあい、善のイデアと美のイデアのことだが、それらについてはプラトンはどう考えていたのかを明らかにする。そのことを通して、プラトンが体系を語ろうとした哲学者でなかったことも再確認される。 ここからがこの論文の主要部分である。彼の哲学を体系化しなかったプラトンに反して、彼の哲学を体系化しようとした哲学者たちがいる。紀元後三世紀に活躍した、ネオ・プラトニストのプロティノスである。彼が善のイデアと美のイデアをどう関係付け、彼の体系の中に位置づけたかを考え、彼にとっての、善を追求する哲学における美の役割を明らかにしていく。そして、実はこの彼の美の思想が、ルネサンス期、ルネサンスのネオ・プラトニスト、M. フィチーノを通して、芸術を志す人々に大きな影響を与えていったのである。 この論文では、1998 年に出たLaurent 氏の論文を足がかりに、プロティノスの語る「美」の真意を明らかにしたい。そのときに、頭に入れておかねばならないのは、体系化を拒否していた人の作品を体系化したという点である。体系的に、だから、鳥瞰図として全体を見ることは当然だが、それだけではない。プラトンがこだわり続けた、「憧れ心」のことである。この心を持って、上のものを仰ぎ見ている人間にとって、ことはいったいどういう仕方で、どういう風に現れてくるのかという関心をもって語る語り方も忘れてはいけないということである。そういった観点からは美はどうなるのか。哲学を志すものにとって、美とは何なのかを明らかにするのが、この論文の主旨である。As a neo-Platonist, Plotinus tried to systematize Plato's philosophical theory, which Plato himself had never done, by drawing an objective and comprehensive bird's-eye view: the universal hierarchy with the One(or the Good)at its summit. This simple scheme is not sufficient, however, to explain Plato's whole theory, in which the continuous desire for wisdom has such significance. Therefore, Plotinus contrived another explanation based on humans' yearing for the One. Previous studies on Plotinus paid little attention to the importance of this perspective in his philosophy. To emphasize the importance, take the beauty for instance, which is defined as a screen before the One. According to only the former explanation, the beauty is a mere horizon to distinguish the intelligible world (nohtØq køsmoq)located in second rank from the One, while the latter point of view reveals the beauty's indispensability to philosophy, however dangerous it may be. That is why neo- Platonism flourished in the Renaissance period, the century of beauty.
著者
伊藤 和行
出版者
日本医史学会
雑誌
日本医史学雑誌 (ISSN:05493323)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.29-40, 1995-03-20
参考文献数
18
著者
瀬戸 文美
出版者
東北大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2006

本研究は生活空間内において人間を支援するロボットの実用化に向けたより効果的な人間とロボットとの協調作業系の実現を目的として,ロボット自身,環境に存在する物体,協調作業の相手である人間の構造・運動の情報からそれぞれSelf-model,Object-model及びPartner-modelという構造・運動モデルを構築し,それらのモデルに基づく人間協調型ロボットの制御システムを提案することを目的にしている.本年度は,協調作業中においてロボットがSelf-Modelに基づいて自己衝突を回避するだけではなく,ロボットの周囲の物体の構造・運動情報から構築されるObject-modelに基づき,協調作業中における障害物回避,及び障害物回避と自己衝突回避を同時に実現する手法を提案し,実機を用いた実験を行うことによってその有効性を確認した.また,ロボットの関節可動範囲から構築したSelf-Modelに基づいて,ロボットが人間との協調作業中において関節の可動範囲限界等の問題を回避可能とする手法を提案し,実機を用いた実験を行うことによってその有効性を確認した.
著者
千野栄一著
出版者
大修館書店
巻号頁・発行日
1980
著者
重田 孝夫
出版者
SBI大学院大学
雑誌
SBI大学院大学紀要 (ISSN:21881359)
巻号頁・発行日
no.4, pp.50-62, 2016-12
著者
沖本 幸子
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.53, no.7, pp.22-31, 2004

平安時代を通して宮廷音楽の中心は雅楽であり、歌声もまた、雅楽の、特に笛の音に規定されるものとして存在していた。これに対して、能楽の声につながっていくような、雅楽の音にとらわれない歌声は、いつ頃からどのような形で登場してきたのか。平安末期から鎌倉初期にかけて流行した「白拍子」「乱拍子」という芸能の声の姿に注目しながら、世阿弥の音曲論につながる、中世的な歌声の始まりについて考察する。
著者
柴田 徳太郎
出版者
比較経済体制学会
雑誌
比較経済研究 (ISSN:18805647)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.1_1-1_14, 2011 (Released:2011-03-14)
参考文献数
33

2007年にアメリカで始まったサブプライム金融危機は,2008年秋のリーマン・ブラザーズ経営破綻を契機にドル流動性危機へと発展し,この流動性危機はエマージング・エコノミーへと波及した.アメリカで発生した金融危機がドル暴落ではなくドル流動性不足を引き起こした原因は,ヨーロッパ系銀行による「ドル・ドル」取引にあった.彼らの短期ドル資金調達困難がドル流動性危機を引き起こしたメカニズムを分析する.
著者
渡邉 真理子
出版者
比較経済体制学会
雑誌
比較経済研究 (ISSN:18805647)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.1_51-1_57, 2010 (Released:2011-02-18)
参考文献数
1
被引用文献数
1 1

2007年に始まったサブプライム危機は,マクロ経済の成長鈍化を通じて中国に伝播した。銀行部門の海外取引は規制され,利益追求インセンティブも弱かったため,サブプライム証券への投資がわずかであったことが幸いした。しかし,中国政府は,大規模な財政拡大,金融緩和政策を打ち出し,急速に銀行与信が拡大した。中国経済は,高度成長期を終える前に,バブル期に一気に突入してしまった感がある。
著者
金京 拓司
出版者
神戸大学
雑誌
国民経済雑誌 (ISSN:03873129)
巻号頁・発行日
vol.202, no.5, pp.61-79, 2010-11