著者
原 徹 田中 啓一 前畑 京介 満田 和久 山崎 典子 大崎 光明 大田 繁正 渡邉 克晃 于 秀珍 山中 良浩 伊藤 琢司
出版者
公益社団法人 日本顕微鏡学会
雑誌
顕微鏡 (ISSN:13490958)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.289-291, 2009-12-30 (Released:2020-01-21)
参考文献数
8
被引用文献数
1

透過型電子顕微鏡(TEM)におけるEDS分析のエネルギー分解能を大幅に向上させることを目的として,超伝導遷移端センサ型マイクロカロリメータをTEMに搭載した分析電顕を開発した.実験機として単素子検出器を無冷媒式冷凍機で駆動する検出器を製作し,現在,TEMの性能を損なわずにシリコンKα線の半値幅として7.6 eVを達成しており,多くの近接したピークを分離した測定が可能になっている.
著者
三上 慎司 上條 朋之 小泉 敏三 福田 多介彦 家根 旦有 細井 裕司
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.101, no.2, pp.147-151, 2008-02-01 (Released:2011-10-07)
参考文献数
16

White lesions in the larynx, pharynx, and oral regions, which are called leukoplakias clinically, show a variety of histopathological features, including hyperplasia, dysplasia and cancer. Therefore, they should be treated carefully as precancerous lesions. Eighty-one patients with leukoplakia of the larynx, pharynx and oral tissue were treated between 1996 and 2005.The majority of these patients with leukoplakia in the larynx were heavy smokers.In the 11 cases of leukoplakia in the larynx, the white lesions were resolved by conservative treatment. Based on the findings above, it is important for heavy smokers to stop smoking completely. In leukoplakia of the larynx, squamous cell carcinoma was detected in 15 cases (26.8%).In leukoplakia of the oral tissue and pharynx, squamous cell carcinoma was detected in 2 (8.0%).Among the 81 cases in this series, squamous cell carcinoma was detected in 6 laryngeal lesions and 1 oral and pharyngeal lesions. Histological findings of these lesions were all dysplasia, initially. Therefore, long term follow-up is recommended if the histologoical findings of leukoplakia initially demonstrate dysplasia.
著者
友竹 浩之
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成30年度大会(一社)日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.144, 2018 (Released:2018-08-30)

【目的】そばタンパク質は必須アミノ酸含量とバランスが優れた良質のタンパク質とされてきたが、消化性が低いことが欠点であると指摘されてきた。一方、そばに含まれる消化抵抗性タンパク質(レジスタントプロテイン)は、脂質代謝改善作用などの有用な機能性をもつことが明らかにされている。本研究では、そば加工品に含まれる消化抵抗性タンパク質(レジスタントプロテイン)を定量し、加工方法がタンパク質の消化性に及ぼす影響について調べることを目的とする。【方法】そばの実、そば粉またはそば製品を試料として用いた。各試料のタンパク質含量を、ケルダール法にて測定した後、2gをトリス緩衝液に懸濁し、耐熱性アミラーゼ、タンパク質分解酵素で数時間処理した。遠心分離後、沈殿を蒸留水で2回洗浄し、熱風乾燥した。ケルダール法にて沈殿物のタンパク質含量を測定し、未消化タンパク質の割合を算出した。【結果と考察】そばの実やそば粉を試験管内でタンパク質分解酵素と反応させた結果、全タンパク質のうち、約10~20%が未消化、不溶性のタンパク質(レジスタントプロテイン)として、残存していた。全体的には、タンパク質含量が高い製品ほどレジスタントプロテインの含量も高かった。また、そば加工品の中では、蒸し加熱したそば実よりも焙煎したそばの実の方が、消化性が低くなっていた。以上のことより、そばレジスタントプロテインは、加工処理方法によって影響を受ける可能性が示唆された。
著者
髙坂 泰弘
出版者
一般社団法人 日本ゴム協会
雑誌
日本ゴム協会誌 (ISSN:0029022X)
巻号頁・発行日
vol.91, no.11, pp.400-405, 2018 (Released:2019-04-23)
参考文献数
42

Conjugate substitution reaction of α-(halomethyl) acrylates that proceeds in addition-elimination (SN2’) mechanism is attractive for polymer chemists, because it undergoes under ambient conditions in quantitative yields to afford α-(substituted methyl) acrylates. In this report, the conjugate substitution reaction is applied to elemental reactions in polymer chemistry, including termination of stereospecific living anionic polymerization, polycondensation, and main chain scission.
著者
小野塚 裕視 Onozuka Hiromi
出版者
筑波大学現代語・現代文化学系英語学・英文学グループ
雑誌
筑波英学展望 (ISSN:02886383)
巻号頁・発行日
no.20, pp.127-138, 2001-03-25

1. 導入 この論文では、英語の目的語省略を扱ったいくつかの先行研究をもとにして、分類と構成員と動詞の相特性との関係という三点を取りあげ、気づいたところを述べる。 2. 分類の基準となる四つの要因 英語の目的語省略構文は、 ...
著者
石戸谷 豊昌 岡田 正紀
出版者
The Society of Cosmetic Chemists of Japan
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.64-66, 2001-03-20 (Released:2010-08-06)
参考文献数
7

角層の自然剥離は, 角層中のプロテアーゼによりデスモゾームが加水分解することによって起こり, 乾燥による水分不足がプロテアーゼ活性を阻害し, 角層の剥離不全をきたすことが知られている。そこで被験者に睡眠不足をストレスとして与え, 就床時に嗜好性の高い香りをルームフレグランスの剤型として用い, 香りが角層中のプロテアーゼ (トリプシン) 活性にどのような影響を及ぼすかについて検討した。その結果, 香りの存在する場合の方が, 存在しない場合に比較して角層中のプロテアーゼ活性が有意に高かった。快適な香りが心理面に好影響をもたらし, 良質な睡眠により正常時の心身状態に近づいたためではないかと思われた。
著者
伊藤 重剛
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文報告集 (ISSN:09108017)
巻号頁・発行日
vol.425, pp.113-122, 1991

1.はじめに前報では古典古代の神域の配置計画について分析し,とくにヘレニズム期およびローマ期の神域が,グリッドを用いて平面が計画されていることを述べた。最初グリッドで基本計画が決定されると,次の段階で様々な微調整が行われ,さらに詳細部が決定されていくと仮定し,現在遺跡に見られる建築遺構について,最終的な寸法がどのような手順を経て決定されたかを実証した。本稿では,このグリッドあるいはそのグリッドの1単位であるモジュールを使用して,神域のみならず単体の建築も設計されたことを示し,また最終寸法が決定されるまでの過程を実証する。2.オリンピアのレオニダイオンレオニダイオンはオリンピック競技の参加選手や役員の宿泊施設として,紀元前4世紀の中頃に建設された。建物各部の寸法を,古代尺の1ftを0.3m前後と考えてこれに換算し,この換算値による各部の比の値ができるだけ簡潔で,できるだけ端数のない寸法となるような1ftの値を探す。分析の結果,中庭列柱の真々距離29.67mを100ftと仮定したイオニア尺に相当する0.2967mが,1ftの値としてもっとも合理的な値と判明した。これをもとにして,設計の手順を次のように推定した。最初にまず,設計の基本モジュールを35ftと決めグリッドを設定した。このグリッドは各部屋の基本寸法とされ,それぞれ6個ずつが正方形をなす形で配置された。そしてこの部屋群の内側と外側それぞれに,奥行き20ftのペリスタイルの列柱廊を廻した。この時点で内側列柱の長さは真々で100ft,外側列柱の長さは同じく250ft,並んだ部屋群は内側140ft外側210ftの大きさとなった。ところが,西側に配列された部屋の前にそれぞれ奥行き20ftの前室が付加され,最終的に東西方向の外側列柱の長さは270ftと変更された。ドリス式の内側列柱は真々100ftの長さで,柱数は各辺12本である。標準柱間は微調整ののち9_<1/16>ft,隅の柱間は9_<3/16>ftと決定された。現在の柱直径と柱間の関係から判断して,本来は集柱式であったと考えられ,その関係を当てはめて柱の直径は最終的に2_<15/16>ftとされた。イオニア式の外側列柱については,基本計画で真々長さ250ftと270ftとされた。また真々柱間は7_<1/2>ftとされていたが,最終的に7_<9/16>ftおよび7_<17/32>ftと微調整された。3.エピダウロスのギムナジオンヘプフナーによると,年代は紀元前3世紀とされている。オリンピアのレオニダイオンと同じ方法で1ftの俑を想定して,設計の手順を推定する。まず最初に,35ftを1モジュールとして,グリッドが設定された。そしてこれによって,東側と西側の外提長さが227_<1/2>ft(6.5モジュール),北側と南側のそれが210ft(6モジュール),東・西部屋幅,南部屋幅が43_<1/8>ft(1.5モジュール),北部屋幅十柱廊幅が42_<1/2>ft(1.25モジュール),中庭列柱廊長さが140ft(4モジュール)と決定された。さらに中庭ペリスタイルの列柱の真々長さが. 100ftの完数の値で決定された。ここまでが,一応第一段階となり,35ftのグリッドを用いて全体の基本的な形が決定された。次に第二段階に入り,部屋の割り付けが決められる。南側の部屋割りは,主室(Y)に建物の東西幅を9等分しその7/9をあて,両側にある3室には1/9をあてている。つまり1:7:1の比で分割している。東側の一連の部屋(Q, R, S, T, U)とそれに対応する部屋(H, I, J, K, L)は基本的に3モジュールの大きさで,それを東側の部屋群では1:8:1に分割し,西側では60ftという完数と43_<3/4>という1.5モジュールに相当する寸法に分割した。北側の部屋群は第一段階の分割をそのまま踏襲した。4.結論以上の考察から,これら二つのペリスタイルの建物が,どちらも1モジュールを35ftとするグリッドプランで,計画されたことが明らかになった。35ftという寸法がどちらにも共通していることから,これはヘレニズム時代の初期から中期にかけての,こうしたレオニダイオンのような宿泊施設やギムナジオンなどの,実用的な建物の部屋の基本単位として,標準的な大きさのひとつだったと考えられる。一旦基本計画が決められると,その後は簡潔な比例を用いたり,完数のftの寸法を用いたりしながら,各部分の寸法を決定し,最後に隅の柱間などの微調整が行われた。
著者
岩下 明徳
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.424, 1996-02-26

消化管壁の全層,すなわち粘膜,粘膜下層,固有筋層,漿膜(外膜)のすべての層にわたる炎症を全層性炎症と言う.この言葉は,炎症性腸疾患inflammatory bowel disease(IBD)と総称されるCrohn病(特に大腸Crohn病)と潰瘍性大腸炎の病理組織像の差異を表現する際によく使用される.例えば,Crohn病の炎症反応はリンパ球集簇を主とする全層性炎症を特徴とし,潰瘍性大腸炎のそれは,急性電撃型を除き,粘膜と粘膜下層に限局する表層性炎症(superficial inflammation)を特徴とするごとくである. 大腸Crohn病は上述したように全層性炎症を示すので全層性大腸炎(transmural colitis)とも呼ばれる.なお,全層性炎症のみられる他の腸疾患として,腸結核,単純性潰瘍,腸型Behçet病,虚血性腸炎などが挙げられる.一方,主として粘膜と粘膜下層に限局する表層性炎症を示す腸疾患には非特異性多発性小腸潰瘍症がある.
著者
松永 俊男 Toshio Matsunaga 桃山学院大学社会学部
雑誌
桃山学院大学キリスト教論集 = St. Andrew's University Journal of Christian Studies (ISSN:0286973X)
巻号頁・発行日
no.40, pp.1-29, 2004-02-20

In the Church of Scotland of the 1830s, there was the dissension between the Moderates and the Evangelicals. The Moderates accepted the right of wealthy landowners to appoint ministers to local churches. The Evangelicals were strict Calvinists and insisted on the right of congregations to elect their own ministers. Finally in 1843, the Evangelicals, led by Thomas Chalmers (1780-1847), left the established church and formed the Free Church of Scotland. Chalmers was also famous for his knowledge of science. Some prominent scientists were the Evangelicals as well. David Brewster (1781-1868) was famous for his optical research. John Fleming (1785-1857) was the representative naturalist of Scotland. Hugh Miller (1802-1856) was the most popular writer on geology. In this article, we examine their scientific writings and conclude that their scientific studies were based on their evangelical faith.
著者
藤 桂 遠藤 寛子
出版者
WebLab
雑誌
メディア・情報・コミュニケーション研究 (ISSN:2432048X)
巻号頁・発行日
no.1, pp.43-57, 2016-03

インターネットの普及に伴い,ネットいじめという新しい形態のいじめも増えつつある。このネットいじめは,学校の中で生じる従来型のいじめと同じく,ネガティブ感情を引き起こすだけでなく,長期に渡る心理的問題をもたらすことが示されてきている。これを踏まえ本研究では,Wegner(1994)が示した思考抑制の逆説的効果に関する議論に基づき,ネットいじめ被害時において遮断的対処を取ることが,むしろ思考の反すうを引き起こし,短期的にはネガティブ感情の増大をもたらすと同時に,長期的にも対人面における否定的影響を及ぼすと予測した。ネットいじめ被害経験のある217名(男性85名,女性132名)を対象にウェブ調査を実施し,被害時における遮断的対処,ネットいじめ被害に関する思考の反すう,ネガティブ感情,長期的な影響としての対人的消極性について尋ねた。共分散構造分析の結果は,本研究の予測を支持するものであり,被害時における遮断的行動は,ネットいじめ被害者における否定的影響の長期化をもたらす要因となっていることが示された。