著者
佐々木 信博 安藤 康弘 大友 貴史 石原島 繁彦 草野 英二 浅野 泰
出版者
社団法人 日本腎臓学会
雑誌
日本腎臓学会誌 (ISSN:03852385)
巻号頁・発行日
vol.41, no.8, pp.818-824, 1999 (Released:2010-07-05)
参考文献数
14

We report a case whose renal failure was due to malignant hypertension and in whom steroid facilitated the recovery of renal function. The patient, a 41-year-old man, was admitted to our hospital because of malaise and macrohematuria. On admission, his blood pressure was 270/160 mmHg. The plasma renin activity (PRA) and aldosterone were markedly elevated. Chest X-ray, echo cardiography and electrocardiogram revealed marked hypertrophy. Hypertensive retinopathy and arteriosclerotic change were noted on ophthalmoscopy. Because of renal dysfunction (blood urea nitrogen 45.6 mg/dl, serum creatinine 4.9 mg/dl with massive proteinuria and increased FENa, renal biopsy was performed on the 8th clinical day. The specimens showed slight proliferation of mesangial cells with mesangiolysis and inter stitial cell infiltration, in addition to marked arteriosclerosis and partial collapse of the glomerular tuft. After the administration of a Ca antagonist and angiotensin converting enzyme inhibitor (ACE-I), his mean blood pressure decreased to 100-130 mmHg, and urinary protein decreased as well. Nevertheless, renal dysfunction remained unchanged during the following 3 weeks. Thus, prednisolone (PSL, 30 mg/day) was administered on the 22nd clinical day and renal function improved thereafter without a significant change in blood pressure. The improved renal function was maintained after PSL tapered off on the 184th clinical day. It is suggested that PSL might be the therapy of choice in malignant hypertension, when the renalfunction has not been improved by anti-hypertensive treatment alone.
著者
井上 卓也 長谷川 和義 渡部 靖憲 船木 淳悟
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A2(応用力学) (ISSN:21854661)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.I_739-I_746, 2015 (Released:2016-02-22)
参考文献数
27
被引用文献数
2 4

急流河川では,三角状水面波列と呼ばれる恐竜の背のような巨大な水面波列が,洪水時に発生する場合がある.この水面波列は河床の局所洗掘を引き起こし,結果として護床・護岸の安定性に影響を与える可能性がある.この波は反砂堆上の水面波の一種と考えられているが,その発生条件や特性についてはまだ分かっていない部分が多い.そこで本研究では,水面波列の発生条件と横断方向のモード数を把握するための基礎的な実験を行った.実験結果,水面波列の発生条件はフルード数と無次元掃流力に依存し,モード数は川幅水深比に依存することが確認された.
著者
松田 亘 藤本 万里子 満永 拓邦
雑誌
コンピュータセキュリティシンポジウム2017論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, no.2, 2017-10-16

標的型攻撃において,組織に侵入した攻撃者はmimikatzという攻撃ツールを使って組織内で横展開を試みることが多い.mimikatzを使う攻撃では,正規ユーザか攻撃者によるアクセスかを判別するのが難しいという問題がある.そこで,Sysmonを使用して,コンピュータ上でmimikatzがロードしたDLLを検知する研究が行われているが,特定のWindowsやmimikatzのバージョンのみを対象としているため,実環境では誤検知が発生する可能性がある.本研究では,WindowsやmimikatzのバージョンによってロードされるDLLの違いを網羅的に検証し,誤検知を軽減する手法について調査する.また,分析エンジンであるElasticsearchを用いてログを分析し,効率的に検知する方法についても述べる.
著者
細野 敏夫
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 C (ISSN:09151893)
巻号頁・発行日
vol.J77-C1, no.10, pp.519-528, 1994-10-25

Poyntingベクトルは普通,空間における電力流を表すベクトル場と考えられているが,電磁気学の多くの教科書には次のような主張がなされ,混乱を巻き起こしてきた.(a)Poyntingベクトルに発散が零の任意のベクトル場を加えても,エネルギーの保存則に違反しないから,電力流の表現としてPoyntingベクトルは唯一のものではない.(b)帯電した磁石の付近の空間でPoyntingベクトルは零ではない値をもつが,この空間に電力流が実在するとは考えられず,Poyntingベクトルが電力流を表さない場合がある.このような主張がなされ混乱が起きた原因は電磁理論の相対論的側面を軽視した教育にある.本論文は,電磁教育に寄与する目的で,(a)電磁理論が本質的に相対論的であることのわかりやすい説明,(b)抜山ベクトルは,Poyntingベクトルの代役を果たし得ないことの説明,(c)Poyntingベクトルに付加できるベクトル場の満たすべき一般条件,(d)電力流密度の表現としてPoyntingベクトルが唯一のものと考えられる根拠,などについて考察したものである.
著者
大木 裕子
出版者
京都産業大学マネジメント研究会
雑誌
京都マネジメント・レビュー (ISSN:13475304)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.153-171, 2011-10

韓国の利川では伝統的な製法を取り戻し,かつて栄えたような陶磁器の製造を復活させようと産業クラスターの育成に尽力している.2010年にはユネスコからクリエイティブ・シティの認定も受け,世界陶磁器センター,陶芸村,ビエンナーレの開催,教育機関などインフラは整備されつつある.本稿では,利川のクリエイティブ・シティとしてのクラスター戦略を分析し,陶磁器産業発展のための施策について考察する.日用品より芸術志向が強い陶磁家が集まる利川では,集積のメリットを生かし切れていない現状がある.アート市場 の創造,利川ブランドの確立に向けたシステム構築が課題としてあげられる.
著者
大木 裕子
出版者
京都産業大学マネジメント研究会
雑誌
京都マネジメント・レビュー (ISSN:13475304)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.1-22, 2012-12

有田の陶磁器クラスターをポーターのダイヤモンド・モデルにより分析した.有田の製品は業務用食器が中心で,作家による芸術品とは明確な区別がされながら二極化している.有田では共販制度のために,産地問屋が資本力,組織力,信用力を組合に依存している構図となっており,集積には大資本もプロデュース力もない.他の産地は問屋だけがリスクテイカーだったが,有田は問屋もリスクを負わない仕組みとなっている.陶磁器産業では世界的にも有田のように300年以上の年月をかけ伝統が脈々と続いている産地は少ない.有田は分業体制の呪縛の中で,クラスターを存続させるための模索している.
著者
瀬戸 康雄 井浦 一光 金森 美江子
出版者
日本法科学技術学会
雑誌
日本法科学技術学会誌 (ISSN:18801323)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.49-61, 2005 (Released:2007-12-10)
参考文献数
20
被引用文献数
5 5

Gas chromatographic mass-spectrometric analysis was performed for chemical warfare agents and related compounds including sarin, soman, tabun, VX, mustard gas, lewisite 1, 2-chloroacetophenone, o-chlorobenzilidenemalononitrile and capsaicin, under electron ionization and methane chemical ionization conditions using apolar and polar capillary columns. It was possible to identify the tested compounds with respects to their retention indices and mass spectra. Under the analytical conditions of split ratio (50:1), electron ionization and scan mode data aquisition, the limit of detection ranged from 0.06 to 7 μg/ml, except for the low detection sensitivity of lewisite 1.
著者
大木 裕子
雑誌
尚美学園大学芸術情報研究 = Journal of Informatics for Arts, Shobi University (ISSN:18825370)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.27-39, 2011-03-01

ウクレレはハワイで民族楽器として誕生した小型の弦楽器で、1920年代に第1次ブーム、1950年代に第2次ブームを迎えた。その後は大手企業が撤退する中で、家内工業的なメーカーが細々と生産を続けてきたが、ウクレレを使う著名アーティストの出現もあり近年になって人気が復活し、現在は第3次ブームの到来とも言われている。音量の弱い、柔らかい音色を特徴とするウクレレだが、京都の占う らべ部弦楽器製作所ではこれまでのウクレレの概念を覆す革新的な楽器を作り出そうとしている。ここでは、素材や技術、情報といった側面において京都という伝統ある「場」をうまく活用しながら、販売面では東京を拠点としたビジネスの展開を特徴としている。本稿では、この占部弦楽器製作所のウクレレ製作の事例からイノベーションの源泉について考察する。
著者
新名 隆志
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿児島大学教育学部研究紀要. 人文・社会科学編 (ISSN:03896684)
巻号頁・発行日
vol.65, pp.1-21, 2013

Bernard Reginster が2006 年に著したThe Affirmation of Life は、独自の非常に説得的な解釈視点からニーチェ思想全体を包括的かつ体系的に捉える野心的な試みである。本論文の目的は、この著作のニーチェ研究史上の重要な意義を認めながらも、筆者自身のニーチェ解釈を踏まえつつその批判的検討を行うことにある。検討するのはReginster の解釈の幹となる部分であり、ニヒリズム、永遠回帰、力への意志という三つの主要思想とそれに関連する重要思想の解釈についてである。一では、ニヒリズムという問題の位置づけとその意味に関する彼の解釈について、いくつか問題点を指摘する。二では、永遠回帰肯定についての彼の解釈の問題点を指摘し、筆者がこれまでに公表してきた永遠回帰解釈がこの問題に解決を与えることを示す。三では、自己克服あるいは悲劇という問題についてのReginster の大きな誤解を指摘し、この誤りの本質が彼の力への意志の解釈の不完全性にあることを示す。
著者
矢沢 知海 中村 光司 長廻 紘 饒 熾奇 小坂 知一郎 生沢 啓芳 渡辺 修身 金山 成保 竹本 忠良
出版者
日本大腸肛門病学会
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.373-377,406, 1974

大腸ポリープは癌と同様に,S状結腸以下に64.6%の発生をみた.他方,大腸早期癌(粘膜内,粘膜下層まで)32例では,潰瘍型は3例(すべて粘膜下層癌)で,他はポリープ型であった.<BR>そこで,良性,悪性ポリープの内視鏡的術前診断を試みたが,50%程度の癌特有の所見のみしかみられず,また,pedunculatedのものでは,生検でも陰性のことすらある.<BR>故に,polypoid lesionに対する正しき診断はExcision Biopsyによらねばならぬと考え,現在まで48個のpolypを内視鏡下に切除したが,その中に4例の早期癌が含まれている.そこで,subpedunculated,pedunculatedのpolypで,茎1.6mm以下であればすべて内視鏡下にpolypectomyを行ない,組織検査の結果で粘膜内癌は診断と治療がpolypectomyで完了し,粘膜下層癌では腸切除を追加すべきであり,また広基性(Sessile)ポリープでは,癌が生検で証明されたものは,深達度の判断が不可能であること,polypectomyが完全に,安全に施行できないことを考え,粘膜下層癌と同様に腸切除を施行すべきものと考える.

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著者
田原達也 著
出版者
丸善等
巻号頁・発行日
1890
著者
福原 有信
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
藥學雜誌 (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
no.43, pp.357-365, 1885
著者
内田 祥士
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.68, no.573, pp.155-161, 2003-11-30 (Released:2017-02-09)
参考文献数
56
被引用文献数
1 1

In the Taisho Period, there is the correction of Nikko Tosho-gu Kanei-Zotai term. In this correction the term became 1 year and sevral month from 13 years. This study is to make clear the change of estimation about Tosho-gu through this correction.