著者
前田 圭吾 平井 雄三 高地 いづみ 山本 信祐 谷池 直樹 竹信 俊彦
出版者
日本口腔顎顔面外傷学会
雑誌
口腔顎顔面外傷 : 日本口腔顎顔面外傷学会誌 (ISSN:13479903)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.64-68, 2018 (Released:2019-03-05)
参考文献数
31

Recently, the frequency of maxillofacial injuries has increased and the causes have diversified. Blast injuries due to explosions can be life-threatening. We report a case of blast injury requiring emergency surgery for a mandibular fracture with active bleeding. A 59-year-old woman presented with an injury to the right face with hemorrhage, caused by a gas canister explosion at her home. She was transferred to the Emergency and Critical Care Center of our hospital. Her vital signs were normal and she was alert with a Glasgow Coma Scale score of 15; however, a penetrating wound of the right buccal region and active bleeding in the oral cavity were found. Contrast computed tomography revealed a right mandibular fracture and extravasation around the fracture region. There was a risk of airway obstruction from active oral cavity bleeding; therefore, we performed urgent open reduction and internal fixation for hemostasis. She received an intraoperative blood transfusion and hemostasis was achieved with good reduction and fixation. Fortunately, she had no other injuries and her clinical course was good. It is crucial to understand the unique mechanisms underlying a blast injury, and to perform appropriate clinical evaluation and treatment because of the possibility of head and neck injury, damaged neck vessels, and airway obstruction.
著者
丹治 史弥 鍋倉 賢治
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
pp.17116, (Released:2018-07-12)
参考文献数
38

Step parameters are associated with running economy (RE), but the relationship between these longitudinal changes remains unclear. In the present study, we aimed to clarify the relationship between changes in step parameters and RE at intensities below and above the lactate threshold (LT) in well-trained middle to long-distance runners and to acquire knowledge applicable to coaching. A total of 29 male university students training in distance running (age, 19.4 ± 1.0 yr; height, 171.3 ± 4.5 cm; body weight, 57.1 ± 3.6 kg) participated in the study. Participants performed multistage incremental treadmill tests to measure step parameters (ground contact time: CT; step length: SL; step frequency: SF; leg stiffness: kleg) and RE before and after 4 months of training. Since the LT speed of participants was 16.6 ± 1.1 km・h−1, intensities below, near, and above the LT were set at 13.8 and 15.0 km・h−1, 16.2 km・h−1, and 17.4 and 18.6 km・h−1, respectively. No significant relationships were observed between changes in RE and any of the step parameters at intensities below and near the LT. Moreover, although no significant relationship was noted between changes in RE and both SL and SF, there was a significant positive and negative relationship between changes in RE and CT and kleg, respectively, at intensities above the LT. Changes in kleg showed a strong negative correlation with CT changes at each intensity. It can be concluded from these findings that shortening the CT improves the RE for high-intensity running and that this variation is partly attributable to the improvement in kleg.
著者
野元 友貴 矢部 綾子 石井 恵美 安彦 和星 本田 篤司 高島 嘉晃
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.CdPF2037, 2011

【目的】<BR> 頸椎は重い頭部を支えるわりに大きな可動性を有し、可動性の確保は頭頸部周囲筋群のバランスが重要視されている。頸部伸展動作では上位頸椎の過伸展、下位頸椎伸展制限(以下、伸展制限)が生じる事が多く、その要因の一つとして頸部深層屈筋群(以下、屈筋群)の機能低下が考えられる。先行研究では頸部痛患者や頭部前方位などの姿勢不良と頸部表層筋群の筋活動増加や屈筋群の機能低下との関連は報告されている。しかし屈筋群の機能低下が伸展制限を起こすとの報告は無く、屈筋群の機能と下位頸椎伸展可動域の関連を明らかにした研究は少ない。その為、本研究ではJullらの屈筋群の評価であるCranio-Cervical Flexion Test(以下CCFT)を用い、圧力量として数値化し、屈筋群と下位頸椎伸展可動域の関連を明らかにする事を目的とした。<BR>【方法】<BR> 頸部に痛みの訴えのない健常成人男性25名、女性15名、年齢25.9±7.0歳、身長166.1±8.0cm、体重63.2±14.4kgとした。頭頸部伸展運動は第3頸椎横突起と肩峰にマーカーを付け、安静坐位にて下位頸椎伸展最終域を矢状面からデジタルカメラ(CASIO社製)で撮影し画像分析ソフトimageJにより角度を算出した(以下、伸展角度)。屈筋群圧力量の測定はベッド上に背臥位となり、後頭下部にアネロイド型血圧計のマンシェットを置き、肩峰と耳垂を結んだ線とベッドが水平となる肢位で行った。CCFTに従い、後頭下部のマンシェットに空気を入れ、圧力計が基準値の20mmHgになるよう調節した。胸鎖乳突筋に筋電計を付け筋活動の観察をしながら頸椎前彎を減少させる様に頭部をうなずいてマンシェットを圧迫してもらった。圧力計が22,24,26,28,30mmHg指すように小さい圧力からうなずいてもらい各目標値を3秒間保持する。その中での胸鎖乳突筋の筋活動が生じない状態での保持可能な最大圧力量を測定した。統計学的検討は保持可能であった最大圧力量と伸展角度に対し正規分布検定を行い、正規分布と仮定した両値の関連性をピアンソンの相関係数を用いて検討した。また各圧力最大値で群分けし、各群の伸展角度に対しノンパラメトリック法の多重比較検定を行った(p<0.05)。<BR>【説明と同意】<BR> ヘルシンキ宣言に基づき事前に被験者に文章と口頭にて実験内容と利益、不利益を十分に説明し同意を得た。<BR>【結果】<BR> 最大圧力量と伸展角度はr=0.66と高い相関を認めた。各最大圧力量の伸展角度は22mmHgでは-6.55±7.50°、24mmHgは2.48±9.40°、26mmHgは6.42±6.74°、28mmHgは9.78±6.16°、30mmHg以上は14.77±5.87°であった。伸展角度は22mmHgと24mmHgの間では有意な差は無く、22mmHg、24mmHgと比べ26、28、30mmHgにおいて有意に増加した。28、30mmHg間での有意な差は無かった。<BR>【考察】<BR> 今回の結果により、屈筋群の機能低下がある場合、伸展制限を有する可能性が高い事が示唆され、また最大圧力量が24mmHg以下の場合に伸展制限がある可能性が高い。これは屈筋群のエクササイズにより頸部伸展可動域が増加するとの先行研究を補足する結果となった。頸部伸展動作は頭部と上位頸椎から動きだし徐々に下位頸椎が動き出す。下位頸椎が伸展する頸部伸展動作の後半では表層屈筋群の屈曲モーメントアームが減少し、屈筋群の遠心性収縮が必要な為、機能低下により伸展制限が生じていたと考える。<BR>【理学療法学研究としての意義】<BR> 今回は屈筋群と伸展制限が関連している事、屈筋群の機能低下が伸展制限として表出する可能性が示唆された。この事から下位頸椎の伸展可動域が屈筋群の機能評価の一つにとなりえる可能性が考えられた。
著者
遠藤 康裕 中澤 理恵 坂本 雅昭
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.Ca0937, 2012

【はじめに、目的】 中学生年代の野球選手では,骨端線の存在や骨の成長が筋・腱に比べ早いといった特徴があり,身体が解剖学的に未熟で成人より脆弱である.これらの特徴より,Little leaguer's shoulder,Little leaguer's elbowなど上肢の障害が多くみられる.また,投球肩障害の評価項目の一つとして,座位での徒手的肘関節伸展筋力の評価が行われており,これにより体幹・肩甲帯のインナーとアウターの筋機能バランスを評価することができると考えられている.臨床でも肩甲帯,体幹の機能低下により肘関節伸展時,脱力現象がみられるものが少なくない.そこで今回は,姿勢による等尺性肘関節伸展筋力の違いと体幹機能との関連を検討し,体幹機能評価としての肘関節伸展筋力測定の有用性を明らかにすることを目的とした.【方法】 対象は中学校軟式野球部に在籍する男子中学生1・2年生23名(年齢:13.2±0.8歳,身長:157.3±8.6cm,体重:49.6±9.9kg)とした. 測定項目は,等尺性肘関節伸展筋力,体幹stability endurance test(以下,stability test)とし,等尺性肘関節伸展筋力については椅子座位,立位の2条件で測定を行った.等尺性肘関節伸展筋力の測定肢位は壁に正対し,肩関節屈曲90度,肘関節屈曲90度位とし,前腕遠位部の高さに合わせて壁に設置した等尺性筋力測定機器μ-tas(ANIMA社製)に5秒間最大努力で肘関節伸展運動を行った.測定された筋力(N)を体重で除し,肘伸展筋力体重比(以下,肘伸展筋力)を算出した.尚,体幹・下肢の固定は行わなかった.Stability testはサイド右・左,体幹伸展・屈曲の4項目とした.サイド右(左)は右(左)側臥位にて右(左)on elbow,体幹伸展はpuppy positionを開始肢位とし,肩関節・股関節・膝関節・足関節が一直線となるように保持させた.体幹屈曲は,膝立て位から体幹と床面が45度となる姿勢を保持させた.全ての項目で姿勢が保持できなくなった時点の時間を計測した. 統計学的解析においては,肘伸展筋力について各条件内の投球側と非投球側間,および各条件間での比較をWilcoxonの符号付順位検定により検討した.また,各条件の肘伸展筋力とstability test間の関連性の検討のために,Spearmanの積率相関係数を求めて,相関分析を行った.危険率5%未満を有意差ありとした.【倫理的配慮、説明と同意】 対象者全員およびチーム責任者に本研究内容,対象者の有する権利について十分に説明を行い参加の同意を得た.【結果】 肘伸展筋力の測定結果は,座位において,投球側172.7±28.7(N/kg),非投球側164.9±24.9(N/kg),立位において投球側142.1±31.3(N/kg),非投球側133.8±22.9(N/kg)であった.Stability testの結果,サイド右は52.5±23.9 sec,サイド左は55.7±31.4 sec,体幹伸展は103.3±44.1 sec,体幹屈曲は35.5±23.1 secであった.各条件内での投球側・非投球側間の肘伸展筋力の比較では,両条件とも投球側が有意に大きかった.2条件間での肘伸展筋力の比較では,投球側・非投球側とも座位が有意に大きかった.肘伸展筋力とstability testの相関関係は,座位の投球側肘伸展筋力とサイド右,体幹伸展,および非投球側肘伸展筋力とサイド右で有意な正の相関が認められた.【考察】 投球動作の運動連鎖について,先行研究では全身を使って投げた場合に比べ,腕だけで投げる場合約50%の速度しか出ないとされおり,下肢・体幹から上肢への効率のよいエネルギーの伝達が重要であると考えられている.しかし,今回肘伸展筋力については,立位よりも座位の方が大きな結果となった.立位では,肘伸展運動時にエネルギーが放散され,座位に比べ筋力が小さくなったと考えらえる.また,肘伸展筋力と体幹stabilityの関連では座位でのみ有意な相関が認められた.立位時には,下肢・骨盤帯が影響するため,体幹stabilityと相関が認められなかったと考える.本研究より,座位での肘伸展筋力の測定により体幹機能の評価が可能であることが示唆された.【理学療法学研究としての意義】 肘伸展筋力の評価が体幹機能の評価として有効であることが示唆された点,中学生野球選手では下肢・骨盤帯の機能低下が上肢機能発揮低下の要因となることが示唆された点で,成長期の投球障害に対する理学療法評価,アプローチにおける提言として大変意義のあるものであると考える.
著者
栗田 健 明田 真樹 森 基 大石 隆幸 高森 草平 小野 元揮 木元 貴之 岩本 仁 日野原 晃 田仲 紗樹 吉岡 毅 鈴木 真理子 山﨑 哲也
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.Cb1390, 2012

【目的】 先行研究で投球障害肘群は肩群に比べ手内筋の筋力低下を有していることが分かった。このことは手内筋が効率よく機能せずに、手外筋を有意に働かせてボールを把持することで、手・肘関節への影響が大きくなることが示唆された。しかし手内筋機能不全が投球動作の繰り返しで生じたものか、もともと機能不全が存在したことにより投球障害肘の原因となったのかは不明であった。そこで今回我々は手内筋機能不全が多く認められた投球障害肘群において、投球による影響がない非投球側の評価を行い、両側に機能不全を有する割合について調査したので以下に報告する。【方法】 対象は、投球障害肘の診断により当院リハビリテーション科に処方があった20例とした。対象は肘単独例のみとし、他関節障害の合併や既往、神経障害および手術歴を有する症例は除外した。性別は全例男性で、年齢は、平均16.4±5.1歳(11歳~34歳)であった。観察項目は、両側の1.手内筋プラス肢位(虫様筋・骨間筋)と2. 母指・小指対立筋の二項目とした。共通肢位として座位にて肩関節屈曲90°位をとり、投球時の肢位を想定し肘伸展位・手関節背屈位を保持して行った。1.手内筋プラス肢位(虫様筋・骨間筋)は、徒手筋力検査(以下MMT)で3を参考とし、可能であれば可、指が屈曲するなど不十分な場合を機能不全とした。2.母指・小指対立筋も同様に、MMTで3を参考とし、指腹同士が接すれば可、IP関節屈曲するなど代償動作の出現や指の側面での接触は機能不全とした。なお統計学的評価には、二項検定を用い、P値0.05未満を有意差ありと判断した。【説明と同意】 対象者に対し本研究の目的を説明し同意の得られた方のデータを対象とし、当院倫理規定に基づき個人が特定されないよう匿名化に配慮してデータを利用した。【結果】 投球障害肘の投球側虫様筋・骨間筋機能不全は、65.0%、に発生しており、そのうち健側にも認められたものが76.9%であった(統計学的有意差なし)。投球側母指・小指対立筋機能不全は、65.0%に発生しており、そのうち健側にも認められたものは53.8%であった(統計学的有意差なし)。一方、非投球側での機能障害をみると、両側に発生している比率が、虫様筋・骨間筋機能不全例では90.9%、母指・小指対立筋機能不全例では100%であった(統計学的有意差あり)。【考察】 我々は第46回日本理学療法学術大会において手内筋機能低下が投球障害肩より投球障害肘に多く認められることを報告している。しかし手内筋機能不全が伴って投球動作を反復したために投球障害肘が発生するのか、肘にストレスがかかる投球動作を反復したために手内筋機能不全が発生したのかは過去の報告では分からなかった。そこで今回投球していない非投球側の機能と比較することで投球による影響なのか、もともとの機能不全であるのかを検討した。今回の結果より、各観察項目での投球側・非投球側の両側に手内筋の機能不全を有する割合は多い傾向があったが、統計学的有意差はなかった。一方、非投球側に機能不全がみられた症例は、投球側の機能不全も有す症例が多く、統計的有意差もあることが分かった。このことより手内筋の機能不全は、投球の影響によって後発的に生じるのではなく、もともと機能不全を有したものが、投球動作を繰り返したことにより投球障害肘を発症している可能性が高いと考えられた。そのため投球障害肘の発生予防や障害を有した場合のリハビリテーションの中で虫様筋・骨間筋機能不全および母指・小指対立筋機能不全の評価と機能改善が重要であると考えられた。【理学療法学研究としての意義】 投球障害肘の身体機能の要因の中で手内筋である虫様筋・骨間筋や母指・小指対立筋に機能不全を有することが多いということが分かった。本研究から投球障害肘を治療する際には、評価として手内筋機能に着目することが重要と考える。また今回設定した評価方法は簡便であり、障害予防の観点からも競技の指導者や本人により試みることで早期にリスクを発見できる可能性も示唆された。
著者
板垣 昭宏 山本 泰三 豊田 和典 矢上 健二 関口 成城 榊 佳美 石井 さやか 山口 茜 福山 勝彦
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.48100847, 2013

【はじめに、目的】上腕骨小頭と橈骨頭で構成される腕橈関節は,上腕骨小頭との適合性を高めるため,橈骨関節面は凹型の構造となっている.構造的な特徴から,肘関節伸展時に上腕骨小頭に対して,橈骨頭は後方へ滑るとされている.Gotoらは,肘関節運動時の腕橈関節における関節面接触に関する研究において,上腕骨小頭関節面は肘関節屈曲135°に比べ90°,0°では後方での接触になり,橈骨関節面は肘屈曲135°では前方での接触,屈曲90°,0°では全体での接触になると報告している.しかし,超音波画像診断装置を用いて,肘関節伸展時の腕橈関節を評価した報告は少ない.我々は,超音波画像診断装置を用いて,肘関節伸展時の橈骨頭の後方への移動量について検討したので報告する.【方法】対象は神経学的および整形外科疾患の既往の無い健常女性10名10肘で,測定肢はすべて左肘とした.対象者の平均年齢は24.2±1.6歳,平均身長は156.4±2.9cm,平均体重は48.9±3.1kgであった.測定肢位は背臥位とし,被験者の右上肢で測定側上腕近位部を把持させ,肩関節内外旋0°の位置で固定した.計測する角度は,前腕回内外中間位で肘関節伸展-20°,-15°,-10°,-5°,0°,5°とし,ゴニオメータにて設定した.上腕骨小頭に対する橈骨頭の後方への移動を,超音波画像診断装置(東芝社製famioSSA-530A 12MHzリニア式プローブ)を使用し,腕橈関節前面からの長軸像を計測した.プローブ操作は,短軸像での上腕骨小頭頂点を描写し,上腕骨小頭頂点を軸に90°プローブを回転させて,腕橈関節長軸像を描写した.腕橈関節長軸像から内蔵デジタルメジャーのパラレル計測を用いて,矢状面での上腕骨小頭頂点を通る線と,その線に対し橈骨頭前縁を通る平行な線の二つの線の間の距離を腕橈関節前後距離(以下,腕橈関節前後距離とする)として計測した.腕橈関節前後距離は,上腕骨小頭に対する橈骨頭の後方への移動量を正の値として算出した.各角度における腕橈関節前後距離を3回計測し,平均値を測定値とした.なお測定はすべて同一検者により実施し,プローブを皮膚に対して直角にあて過度な圧をかけないように注意しながら行った.各角度間における腕橈関節前後距離を,一元配置分散分析にて比較し,有意差のみられたものにTukeyの多重比較検定を行った.統計処理には統計ソフトSPSSを使用し,有意水準は5%未満とした.【倫理的配慮、説明と同意】実験に先立ち,対象者には研究内容について十分に説明し同意を得た.【結果】腕橈関節前後距離の平均値は,肘関節伸展-20°で0.93±0.7mm,-15°で1.90±0.78mm,-10°で2.7±0.60mm,-5°で3.32±0.69mm,0°で3.92±0.74mm,5°で3.98±0.82mmであった.肘関節伸展-20°では,-10°以上の各角度との間に,肘関節-15°では,-5°以上の各角度との間に,肘関節-10°では,-20°および,0°,5°との間に有意差があったが(P<0.05),肘関節伸展-5°,0°,5°の各角度間には有意差はなかった.【考察】今回の結果において,肘関節-5°,0°,5°の間での腕橈関節前後距離に有意差はなかったことから,肘関節屈曲位から伸展する際に,上腕骨小頭に対して橈骨頭は後方へ移動するものの,肘関節最終伸展域では橈骨頭は後方への移動はしていない,または少ない可能性が示唆された.腕橈関節の特徴として,上腕骨小頭の関節面は上腕骨長軸に対し,矢状面で前方に約30°傾いており,さらに関節軟骨は前方のみに限局していることから,肘関節最終伸展域では,橈骨頭は上腕骨小頭関節面に対し狭い関節面で適合しなければならない構造となっている.肘関節伸展可動域を改善するためには,上腕骨小頭に対して,橈骨頭が後方に移動できるよう周囲の軟部組織の柔軟性を確保するとともに,最終伸展域では橈骨頭を後方へ移動させるのではなく,上腕骨小頭関節面に適合させるような誘導をする必要性が示唆された.【理学療法学研究としての意義】肘関節伸展可動域を拡大させるためには,腕橈関節に対する評価や運動療法を実施する意義があると考える.腕橈関節の可動性を引き出すためには,上腕骨小頭に対して橈骨頭の後方への移動が必要であり、肘関節最終伸展域では上腕骨小頭関節面に橈骨頭を適合させる必要があると考える.
著者
宇賀 大祐 遠藤 康裕 森本 晃司 福原 隆志 中澤 理恵 坂本 雅昭
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.48101342, 2013

【はじめに、目的】 野球選手において,肩関節障害はパフォーマンス低下や選手生命を左右する問題であり,その予防が重要となる.障害発生要因の一つとして,肩関節内外旋筋力バランスの不良があり,特に肩関節外旋筋力低下が問題になる.また,回旋筋腱板の付着部位である肩甲骨の安定化が重要視されているが,肩甲骨周囲筋の筋活動を報告したものは上肢挙上運動時のものがほとんどであり,外旋運動時の筋活動を報告したものは少ない.さらには,異なる上肢挙上角度における肩関節外旋運動時の肩甲骨周囲筋や棘下筋の筋活動特性を報告したものはほとんどないため,本研究では,表面筋電図を用いて,それらを明確にすることを目的とした.【方法】 肩関節に整形外科的疾患を有さない健常男性20名(年齢22.4±1.5歳,身長172.9±4.4cm,体重67.1±5.8kg)40肩を対象とした.表面筋電図の記録および解析は,能動電極(DL-141, S&ME Inc.),データ収録システム(Powerlab 16/35, AD Instruments),解析ソフトウェア(LabChart7,AD Instruments)を使用し,サンプリング周波数1,000Hz,デジタルフィルタは10-500Hzの帯域通過とした.被検筋は棘下筋,僧帽筋上部線維,僧帽筋中部線維,僧帽筋下部線維,前鋸筋の5筋とした.測定課題は,肩関節最大等尺性外旋運動とし,上肢下垂位,肩甲骨面45度,90度,135度挙上位の4肢位で実施した.体幹部をベルトで固定した椅座位にて,肘関節90度屈曲位,肩関節内外旋中間位とし,上腕遠位部は安定した台の上に設置させた.測定は5秒間実施し,中3秒間の各筋の波形の実効値を算出し,肩関節外旋運動時の筋活動量を求めた.筋活動量は,最大等尺性随意収縮(Maximum Voluntary Contraction:MVC)時の筋活動量で正規化し,%MVCとした.各肢位3回ずつ測定し,その平均値を算出した.算出項目は,各肢位における5筋の筋活動量および棘下筋の筋活動量に対する各肩甲骨周囲筋の筋活動量(以下,筋活動比)とした.統計学的処理は,IBM SPSS Statistics 21.0を使用し,各肢位における同筋の筋活動量および筋活動比の比較を,Friedman検定を行った後, Bonferroniの方法に基づいて有意確率を調節したWilcoxonの符号付き順位検定を用いて多重比較を行った.有意水準は5%とした.【倫理的配慮、説明と同意】 対象者には本研究の目的および内容, 対象者の有する権利について十分な説明を行い, 参加の同意を得た上で測定を実施した.【結果】 各肢位における筋活動量の比較では,棘下筋は97.3~64.8%MVCと挙上角度増加に伴い有意に筋活動が減少した.僧帽筋上部線維は,いずれの肢位においても有意差は認められなかった.僧帽筋中部線維および僧帽筋下部線維は,それぞれ59.1~41.0%MVC,70.9~54.7%MVCと,挙上角度増加に伴い筋活動が緩やかな減少傾向を示した.前鋸筋は,22.7~59.4%MVCと挙上角度増加に伴い筋活動が増加傾向を示した.各肢位における筋活動比の比較では,僧帽筋中部線維および僧帽筋下部線維は,それぞれ0.63~0.78,0.81~0.93と全挙上角度においてほぼ一定した筋活動比を示したが,僧帽筋上部線維および前鋸筋はそれぞれ0.31~0.65,0.24~0.99と挙上角度増加に伴い筋活動比が増加した.【考察】 肩関節外旋筋である棘下筋の効率的な外旋トルク発生のためには,付着部位である肩甲骨の安定化が重要であり,肩甲骨周囲筋の協調的な作用が重要となる.今回の結果から,僧帽筋中部線維および下部線維は,全挙上角度において,棘下筋に対し中等度以上の一定した活動をすることが分かった.また,挙上角度増加に伴い前鋸筋の貢献度が大きくなった.僧帽筋中部線維および下部線維は,棘下筋や前鋸筋による肩甲骨外側偏位力に抗して常に内側に引きつける作用として重要と考える.今回の測定方法では,挙上角度増加に伴いゼロポジションに近似した肢位となる.ゼロポジション肢位は,筋線維の配列から,本来上腕骨の回旋が生じないとされているため,外旋トルク発生には肩甲骨の後傾運動も必要となる.前鋸筋は肩甲骨後傾作用を有する唯一の筋であるため,挙上角度増大に伴い筋活動が増加したと考えられ,肩甲骨安定化,外旋トルク発生の両方の働きを担ったと考えられる.肩関節は可動範囲が大きく,特に野球などのオーバーヘッドスポーツにおいては,挙上位での動作が要求される.このような対象者のより動作を想定した評価およびトレーニングを実施するためには,一定の角度のみでなく,様々な挙上角度で実施することが重要であると考えられる.【理学療法学研究としての意義】 肩甲骨安定化には多数の筋が貢献するが,上肢挙上角度の変化に伴いそれらの筋の貢献度が異なり,また回旋トルクの力源にもなりうるため,様々な上肢挙上角度での評価の重要性や,目的動作に応じた挙上角度を設定してトレーニングすることの重要性が示された.
著者
石田 芳文 山本 仁志 岡田 勇 太田 敏澄
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.1_70-1_80, 2007 (Released:2007-06-11)

相互作用関係がスケールフリーネットワークである繰返し囚人のジレンマにおいて,協調は安定的に維持されるのであろうか? また,協調を安定的に維持するためにはどのような方策が望ましいだろうか.我々は,エージェントの相互作用関係がスケールフリーであるネットワークに対し,協調の進化と崩壊の動的なメカニズムを明らかにするために,エージェントベースドシミュレーションをおこなった.我々の成果は,以下の通りである.(1) スケールフリーネットワーク上の囚人のジレンマにおいて,協調は達成されるが脆弱であり崩壊しやすい.(2) ネットワークの接続次数の高いエージェントが寛容になることが協調の崩壊を招き,また厳格になることで協調は最も高いレベルで維持される.(3) ネットワークの接続次数の高いエージェントが,一定の確率で裏切り行為をとることで,集団全体の寛容性を抑制し,裏切り戦略の侵入を防ぐ効果がある.
著者
前原 恵美 橋本 かおる
出版者
国立文化財機構東京文化財研究所
雑誌
無形文化遺産研究報告
巻号頁・発行日
no.12, pp.41-65, 2018

There are many traditional performing arts in Japan that are accompanied by musical instruments. For the transmission and promotion of traditional performing arts, techniques for making these instruments and repairing them, techniques for the manufacture and repair of the tools necessary for making the instruments, and producing necessary materials are indispensable. The Department of Intangible Cultural Heritage has continued investigation on these techniques. The present report provides an outline of 20 cases of investigation conducted between February and December 2017.According to the Law for the Protection of Cultural Properties in Japan, there is a system to select preservation techniques and for registering persons or groups of persons holding such techniques. For this report investigation was conducted of holders of such techniques, whether they are registered or not, limiting the contents of investigation to the following 7 items so as to avoid imbalance of information, categorized them according to musical instruments and provided information for each holder.(1) name of the person holding the technique(2) year of birth(3) address(4) date of investigation(5) investigator(6) outline of the person holding the technique(7) opinion of the investigatorAdditional investigation is being conducted to supplement information where it is considered necessary. Results will be announced separately.This report contains subjects that were investigated upon request from the Traditional Culture Division of the Cultural Properties Department, Agency for Cultural Affairs. With these, information is shared with the Agency upon acquiring acknowledgment from the persons investigated.

1 0 0 0 OA 花押譜 7巻

著者
桧山義慎
巻号頁・発行日
1816