著者
吉田 康成 西 博史
出版者
四天王寺大学大学
雑誌
四天王寺大学大学紀要
巻号頁・発行日
no.64, pp.311-322, 2017-09-25

"本研究はワールドカップ2015 に出場した一流選手のジャンプサーブを3 次元動作分析することにより、強く打撃する一流選手のジャンプサーブの実態を明らかにすることで今後のコーチング資料を得ることを目的とした。被験者は、Anderson 選手(アメリカ)、Zaytsev 選手(イタリア)、Ishikawa 選手(日本)、Yanagida 選手(日本)であった。得られた知見は以下の通りである。1)本研究で得られた打球速度は、先行研究よりも速く、Anderson 選手が30.91m/s、Zaytsev 選手が35.38m/s、Ishikawa 選手が31.31m/s、Yanagida 選手が31.60m/s であった。2)ジャンプサーブの頭部中心を原点とした打撃の相対位置について、Ishikawa 選手とYanagida選手はスパイクに関する先行研究で報告された打撃位置と大差はなかったが、 Anderson 選手とZaytsev 選手は頭上付近で打撃していた。3 )Ishikawa 選手とYanagida 選手の打撃時における腰部速度は水平方向がそれぞれ0.70m/s と0.92m/s であった。跳躍の仕方は、跳躍前に沈み込み、踏み切り足で助走の水平方向の運動量を鉛直方向へ変換するという従来の指導書で述べられている前衛でスパイクするための助走方法であった。4)Anderson 選手とZaytsev 選手の打撃時の腰部速度は、水平方向がそれぞれ2.05m/s と1.87m/sであった。外国人選手のジャンプサーブは日本人選手と比較して跳躍前に大きく沈み込まず、腰部の水平速度を活かして打撃していた。
著者
高野 雅典 和田 計也 福田 一郎
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
2015
被引用文献数
3

Cooperative behaviors are common in humans and are fundamental to our society. Theoretical and experimental studies have modeled environments in which the behaviors of humans, or agents, have been restricted to analyze their social behavior. However, it is important that such studies are generalized to less restrictive environments to understand human society. Social network games (SNGs) provide a particularly powerful tool for the quantitative study of human behavior. In SNGs, numerous players can behave more freely than in the environments used in previous studies; moreover, their relationships include apparent conflicts of interest and every action can be recorded. We focused on reciprocal altruism, one of the mechanisms that generate cooperative behavior. This study aims to investigate cooperative behavior based on reciprocal altruism in a less restrictive environment. For this purpose, we analyzed the social behavior underlying such cooperative behavior in an SNG. We focused on a game scenario in which the relationship between the players was similar to that in the Leader game. We defined cooperative behaviors by constructing a payoff matrix in the scenario. The results showed that players maintained cooperative behavior based on reciprocal altruism, and cooperators received more advantages than noncooperators. We found that players constructed reciprocal relationships based on two types of interactions, cooperative behavior and unproductive communication.
著者
西原 留美子 佐久間 志保子
出版者
東海大学
雑誌
東海大学健康科学部紀要 (ISSN:13474162)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.9-18, 2007

成年後見制度は、判断能力が不十分な人の身上に配慮しつつ、「本人意思を尊重した自己決定の尊重」と「本人の保護」との調和を図ることを制度の理念としている。しかし、判断能力が不十分な人の意思確認は困難を要する場合も多く、本人の最善の利益を成年後見人等が本人に代わって判断しなければならない。社会福祉士が成年後見活動を行う際には、身上に配慮した生活支援のあり方について何を根拠に決定したのか、専門職としての説明責任を果たさなければならない。そのためにはアセスメント項目を明確にする必要があると考え、本研究を開始した。本稿は研究の第一段階として、実際に後見活動を行っている社会福祉士に聴き取り調査を行った結果報告の第一報である。5事例を分析した結果、「安定した生活環境がある」「本人からの訴えの有無」「社会通念」「家庭裁判所の判断」「経済状態」「家族状況」といった要素を見出すことができた。

7 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1926年04月15日, 1926-04-15
著者
中田 晴彦
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

生活関連物質による環境汚染を明らかにし、この種の物質がストックホルム条約の追加物質として新たに登録される可能性を検証した。実験の結果、紫外線吸収剤のUV-327(CAS#:3864-99-1)は、同条約附属書Dの5項目の基準をほぼ満たし、附属書Eの7項目の基準に関する科学的知見も集積されつつある様子が窺えた。UV-327はPOP条約の追加物質になる可能性があり、今後は附属書E およびFに関する詳細な情報収集と解析を行う必要がある。

7 0 0 0 OA 日本刀の話

著者
成瀬関次 著
出版者
増進堂
巻号頁・発行日
1942
著者
山田 周治 忽那 一代
出版者
大学図書館研究編集委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.53, pp.27-35, 1998-08

京都大学附属図書館では、平成8年度から世界へ向けて情報発信を目指した電子図書館システム(京都大学エンサイクロペディア)を計画し、平成10年3月より正式公開した。このシステムの主要な機能の1つである新しいデータベースとして、附属図書館の所蔵する貴重資料の画像テータを含んだマルチメディアデータベースがある。このデータベースの作成を電子図書館の公開に先行して平成8年度科学研究費で実施した経緯を報告する。併せて画像データ作成テスト結果の概要を報告する。
著者
樋口 雄二郎 髙嶋 博
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.104, no.7, pp.1470-1478, 2015-07-10 (Released:2016-07-10)
参考文献数
9

遺伝性ニューロパチーは,運動・感覚または自律神経障害を呈する疾患の総称であり,臨床的にも遺伝的にも非常に多様である.これまでに70以上の原因遺伝子が同定されており,分子病態は細胞内の様々な小器官に複雑に関与していることがわかっている.遺伝性ニューロパチーの遺伝子診断は次世代ゲノムシークエンサー(next-generation sequencer:NGS)を用いたターゲットリシークエンスやエクソーム解析が非常に有用であり,診断確定だけでなく患者の予後予測や治療法の確立につながる.また,分子病態ごとに様々な治療法が開発されており,モデル動物では有効性が確認されている薬剤もあり,なかでもクルクミン治療は我が国でヒトへの臨床試験が計画されている.
著者
植田 康孝
雑誌
江戸川大学紀要 = Bulletin of Edogawa University
巻号頁・発行日
vol.27, 2017-03-31

「シンギュラリティ(技術的特異点)」とは,人工知能が人間の能力を超える時点を言う。ヒトは自らの学名を傲慢にもホモ・サピエンス(賢明なヒト)と名付けたが,ホモ・スタルタス(愚かなヒト)になる瞬間である。近年の急激な技術進化により「シンギュラリティ」はもはや夢物語とは言えなくなっている。英オックスフォード大学のニック・ボイスロム教授の調査では,「シンギュラリティ」が到来しないと回答した人工知能分野の研究者は僅か10% に過ぎなかった。厚生労働省発表に拠れば,2016 年に生まれた子供の数(出生数)が98 万1,000 人となり,初めて100 万人を割り込んだ。出産に携わる20 ~ 39 歳の女性は2010 年(1,584 万人)から2014 年(1,423 万人)の4 年間で160万人以上減るなど構造的な問題であり,今後も進展する。団塊世代のピーク1949 年には269 万,第2 次ベビーブームのピーク1973 年には209 万人もいたから,半分以下の激減である。猛スピードで少子高齢化が進展する日本では,特定職種における労働力不足が深刻化している。人手不足を解消する,という社会的要請に応じる形で,人工知能の浸透が進む。人工知能に置き換えられる労働人口の割合はアメリカ(47%)やイギリス(35%)と比べて,日本(49%)が最も高い。これは,労働者が比較的守られて来た日本で,置き換えが遅れていたためである。人工知能の進化によって,産業構造や人の働き方が激変する。伴って,近い将来,私たち生活者の価値観や生き方が大きく変わるようになる。人工知能によって労働や生活における問題の大半が解決された場合,人間はどのような悩みを持つ存在になるのか。人工知能の進化は,人間の拠って立つ軸,例えば,信念や価値観,行動の判断基準を変えることを迫る。日本人は子供の頃から「働かざるもの食うべからず」と教えられ,「勤勉」を尊ぶ価値観が日本人の精神には深く根付いて来た。しかし,2016 年女性人気が爆発した深夜アニメ「おそ松さん」は,6 人の兄弟が揃って定職に就かず,遊んで暮らす「脱労働化生活」を送る。全員同じ顔と性格を持つ6 つ子が登場していた原作に対し,それぞれに細かくキャラクタを設定し声優の割り当てを別としたことにより,キャラクタごとに「推し松」と呼ばれる熱狂的な女性ファンが続出し,社会現象となった。人間は,2030 年に到来すると予想される「シンギュラリティ」以降には,仕事を減らすための人工知能が増え,「おそ松さん」的脱労働化生活を送るようになる。「おそ松さん」的ライフスタイルとは,ある程度,物質的な欲望を満たした場合,「モノ」の充足を超えて,文化や芸術,旅行,あるいは自分自身の想い出など,「コト」についての関心を増やすことである。政府がすべての国民に対して最低限の生活を送るために必要とされる現金を支給する「ベーシック・インカム」制度の導入により,お金のために労働する,お金を使って消費するという生活から少しでも自由になることを可能にする。社会のために必要な「仕事」を人工知能が肩代わりしてくれるのであれば,賃金が支払われるだけの「労働」を行うことを中心とした生き方よりも,個性を大切にする生き方の方が余程「人間らしい」と言える。過去の常識に振り回されることを防いで,創造的な行動を行うことが,「おそ松さん」的「脱労働化生活」を実現することである。歴史家ホイジンガが説いた「人間はホモ・ルーデンス(遊ぶ存在)」の体現である。
著者
佐藤 未央子 サトウ ミオコ Satoh Mioko
出版者
同志社大学国文学会
雑誌
同志社国文学 (ISSN:03898717)
巻号頁・発行日
no.80, pp.38-52, 2014-03

谷崎の映画テクストをもとに、明治四十四年から大正五年に谷崎が受容した映画の概要と評価を確認し、いかなる要素が作品に抽出されているか分析した。映画の倒錯性、非現実性を好んだ谷崎は、映画タイトルを用いた修辞によって作品世界に同様の性質を付与していた。また谷崎の映画テクストにおいて特徴的な要素である俳優に対するまなざしは、この時期既に萌芽していた。更に、谷崎の映画受容とその記録からは、第一次世界大戦前におけるヨーロッパ映画の隆盛を看取できた。
著者
松本 宗太郎 南出 靖彦
雑誌
情報処理学会論文誌プログラミング(PRO) (ISSN:18827802)
巻号頁・発行日
vol.49, no.SIG3(PRO36), pp.39-54, 2008-03-15

本研究では,多相レコード型に基づいてRubyプログラムの型推論ツールを設計,実装した.型推論ツールは,組み込みライブラリの型を記述したシグネチャとRubyプログラムを入力とし,プログラムの型を推論し,誤りを検出する.しかし,Rubyの柔軟性を表現できる,実用的で健全な型体系を設計しようとすると,体系は非常に複雑になる.それを避けるため,多相レコード型によって拡張されたMLの型推論アルゴリズムを,直接,Rubyに適用した.型体系は,非常に制限されたRubyプログラムに対しては,健全になるように設計した.Rubyにおいては,組み込みクラスなどの既存のクラスを拡張することが許されており,実際に多くのプログラムで既存のクラスが拡張されている.このようなプログラムを処理するために,シグネチャとプログラムを分離して型推論するのではなく,プログラムの一部としてシグネチャが含まれるよう型体系を設計した.実際のRubyプログラムを型付けする場合には,多相レコード型の表現力やMLの型推論アルゴリズムにおける再帰的な定義の型推論に関する多相性の制限から,いくつかの問題が生じることが分かった.これらの制限は,特に組み込みライブラリの型付けにおいて問題になることから,クラス定義を複製し展開することによって型推論を行った.
著者
菊池,三郎
出版者
調理科学研究会
雑誌
調理科学
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, 1987-12-20
著者
Lee Chuin Chen Kentaro Yoshimura Satoshi Ninomiya Sen Takeda Kenzo Hiraoka
出版者
The Mass Spectrometry Society of Japan
雑誌
Mass Spectrometry (ISSN:2187137X)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.S0070-S0070, 2017-08-25 (Released:2017-08-23)
参考文献数
42
被引用文献数
2

In this paper, we briefly review the remote mass spectrometric techniques that are viable to perform “endoscopic mass spectrometry,” i.e., in-situ and in-vivo MS analysis inside the cavity of human or animal body. We also report our experience with a moving string sampling probe for the remote sample collection and the transportation of adhered sample to an ion source near the mass spectrometer. With a miniaturization of the probe, the method described here has the potential to be fit directly into a medical endoscope.