著者
工藤 翔二 植竹 健司 萩原 弘一 平山 雅清 許 栄宏 木村 仁 杉山 幸比古
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.25, no.6, pp.632-642, 1987-06-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
44
被引用文献数
9

たまたま経験した1症例の経験にもとついて, DPBにたいするエリスロマイシン (erythromycin base, erythromicin ethylsuccinate, 以下EM) の少量 (600mg), 長期 (6ヵ月以上) 投与を試みた. 18例のDPB (H. influenzae 16例, P. aeruginosa 2例) について, 平均19.8ヵ月の投与で, 全例に症状, 検査所見の改善を認めた. 労作時息切れ, 動脈血ガスの改善と寒冷凝集素価, IgM値の低下が, 3ヵ月以降比較的早期にみられ, 体重, 呼吸機能, 胸部X線所見の改善がそれに続いた. これらの改善は投与期間中持続した. 菌交代は1例をのぞいて認めなかった. 副作用として, GOT, GPTの軽度上昇がみられた (5例, 28%) が一過性であった. 投与終了9例について, その後平均11.6ヵ月間観察し, 4例に再然傾向を認めたが, うち2例は再投与にて改善, 全体として最終観察時に有意の悪化はみられなかった.本療法は, DPBの治療上きわめて有用であり, DPBを下気道の持続感染による特異な組織反応と考える立場から, EMの作用機序について考察した.
著者
山本 淳子
雑誌
人間文化研究
巻号頁・発行日
vol.36, pp.202-174, 2016-03-10
著者
稲葉 ナミ
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.32-38, 1959-04-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
2

1 家族数の少ない(2人家族)一般家庭の夫婦がひまで、家族数の多い(6人以上の家族)共稼ぎの夫婦が忙しいことは予想される通りであつた。2 夫の家事労働への協力をみると、平日は共稼ぎ家庭・一般家庭による差はほとんどあらわれず、休日には却つて一般家庭の夫が協力的である。共稼ぎ家庭の夫の家事労働は平日必要にせまられた半拘束的性格をおびるためであろうか。3 第1・2・3報を通して要約すると、何れの分類によつても、夫の生活時間構造には、共稼ぎ家庭・一般家庭による大きな差はないが、次の傾向がみられる。(1) 夫の家事労働については本要約2の傾向(2) 勤務時間が、共稼ぎ家庭の夫の方が長い傾向。たとえば、総平均においては17分の差であるが、子供のない家庭1時間20分、夫婦のみの家庭(家族の人数別では2人家族)1時間5分、子供がなくて家族と同居している家庭1時間56分、夫の年齢20歳代40分の差がある。これは、共稼ぎの夫は勤勉とみるべきか、家庭に帰つても妻は留守であつたり、家事労働に忙しかつたりで、家庭的くつろぎを感じることが少ないためとみるべきであろうか。(3) 共稼ぎ家庭は子供数が一般家庭の以下であり、したがつて家族数も少ない。(4) 共稼ぎの妻は平日、職業労働に家事労働が加わるので、最も忙しい生活を営み、夫達が十分の休養をとり余暇を楽しんでいる休日においても、家事労働のために相当の時間を費している。しかし、一般家庭の主婦に比べると、休日には稽々生活を楽しんでおることがうかがわれ、睡眠時間も生理的限界以下の妻はない。(5) 一般家庭の主婦は、休日のない家事労働のために平日休日共に労働時間が相当長く、夫との睡眠時間の差は共稼ぎ夫婦の差により多く、埼玉県下の共稼ぎ家庭の差に近い。このため生理的睡眠時間以下の主婦が6人以上の家族の家庭、夫が40歳代の家庭、主婦が30歳代の家庭にみられる。一般に労働時間が長くなれば、生活や生存にとつて重要度の少いものから時間が切つめられてくる.生物的生存にとつて最も重要なものは睡眠である。これが切つめられなければならないほど、労働時間が長いということは健康がおびやかされつつあることを意味する。忙しいはずの共稼ぎの妻の睡眠は生理的限界を保ち、むしろ一般家庭の主婦にこれをみたことは検討すべき問題である。ところが、内職時間をもつ一般家庭の主婦の労働時間をみると、家事労働時間が他の家庭に比べて短いことからも、主婦の家事労働に対する態度如何が、今後の問題として残されている。
著者
稲葉 ナミ 三東 純子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.212-217, 1963-06-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
3

共稼ぎ家庭と一般家庭の夫婦の生活時間調査を行ない5年前の同調査と比較して、次のような結論を得た。1 共稼ぎ家庭の夫婦の生活は、5年前より忙しくなったとみられるが、平日の夫のみ危険率1%で有意である。そのため、夫婦の生活時間構造は5年前より近似して夫も協力的になったと思われる。予想に反して、「家事労働時間」が夫婦ともに5年前より増加しているのは、家事手伝い人を得にくいためではないかと思われる。2 一般家庭の夫婦の場合は、夫は平日、5年前よりも忙しくなったようであるが有意差ではなく.休日には4者中最も休養的である。妻は予想通り「家事労働時間」が5年前より短縮し、経済も安定したためか、内職をするものは皆無で、そのため、主婦は5年前より「余暇時間」が増加したと、危険率5%でいえる。なお、「睡眠時間」は、平日の一般家庭の妻以外は減少しているにもかかわらず、平日には一般家庭の妻は僅かながらも増加していることからみても、主婦は十分に休養をとり、夫とともに余暇を楽しんでいるといえる。3 31年調査においては、夫達の生活には大差がなく、共稼ぎ家庭の負担は妻にかかると結論したが、本調査においては、共稼ぎ家庭は夫婦ともに休養率が低く、夫婦ともにオーバーワークである。4 平日は共稼ぎ家庭の妻・共稼ぎ家庭の夫・一般家庭の夫・一般家庭の妻の順に忙しく、各者間に有意差がある。休日は各々の妻はそれぞれの夫より忙しいといえるが、妻同志・夫同志の間には有意差はない。共稼ぎ家庭の夫婦の「全労働時間」の延長を何で補っているかをみると、「余暇時間」は案外減っておらず、「睡眠時間」を減らしている。これはラジオ・テレビなどの普及・レヂャーブームの影響によるものではないかと考えられるが、労働時間が長いにもかかわらず、「睡眠時間」か生理的時間以下であることは問題である。5 「勤務時間」が3者とも、前調査より増加の傾向にあることは研究すべき問題である。
出版者
図書刊行会
巻号頁・発行日
vol.第5 浮世栄花一代男, 色里三所世帯, 真, 1916
著者
輿古田 孝夫 石津 宏 高江洲 なつ子 赤嶺 依子 垣花 シゲ 佐和田 重信 兪 峰 森山 浩司
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.44, no.9, pp.681-687, 2004-09-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
9

沖縄県は全国でも有数の長寿県であり,伝統文化と風土に培われた地域性を有している.本研究では,こうした沖縄の地域特性をふまえ,地域高齢者のメンタルヘルスとその関連要因について検討することを目的とした.沖縄県中部に位置する具志川市平良川地区の65歳以上の地域住民120名を対象に,自尊感情と関連する要因を検討した.その結果,self-esteem得点が有意に高値を示した者は,男女ともに健康状態が良好で,暮らしにゆとりがあり,生活満足度や健康度自己評価が高かった.また,地域の伝統行事や祭事の際に役割を有するものはself-esteem得点も有意に高値を示した.沖縄県中部に位置する中城村2地区の65歳以上の地域住民162名を対象に, self-efficacy(自己効力感)に着目した調査では,男女とも健康度自己評価,老研式活動能力指標の社会的役割が有意な関連を有した.男女別にみると,男性では伝統的祭事への参加状況で,女性では経済状況で有意な関連を認めた.また,同村における80歳以上の地域住民610名を対象にCenter for Epidemiologic Studies Depression Scale (CES-D)を用いた抑うつ傾向との関連をみると身体的自立直やself-esteem得点,主体的な日常生活や社会への関心度,社会参加の程度とCES-D得点では,有意な負の相関関係がみられた.以上の結果から,高齢者のメンタルヘルスには,心身の健康状況や社会的役割,社会的活動性といつだ多くの要因が関連していた.また沖縄の伝統的行事や祭事が高齢者のQOL(quality of life)に影響している可能性が示唆された.今後,伝統的社会風土を基盤とする地域性を考慮した高齢者の健康長寿対策の必要性が示唆された.
著者
William Gowland
出版者
Nichols
巻号頁・発行日
1897
著者
岩田 京子
出版者
日本産業教育学会
雑誌
産業教育学研究 (ISSN:13405926)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.16-23, 2011-07-31 (Released:2017-07-18)

日本企業は国際競争力を高めるために、終戦直後から英語教育を実施し、勤労者の英語学習に一定の成果を上げてきた。今日、企業活動はグローバル化し、勤労者にとって英語はますます必須となっている。本論文では、企業内英語教育が実施されてきた時代的背景、発展経緯と現状を検討する。さらに、企業内英語教育を勤労者の自発的なキャリア形成や日本社会における職業能力開発システムの確立の視点から解釈し、企業英語教育を「勤労者の英語教育制度」として展望できることを提起する。
著者
田熊 保彦 加藤 茂 小島 紀徳
出版者
社団法人 環境科学会
雑誌
環境科学会誌 (ISSN:09150048)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.85-92, 2005

1970年頃まで使用されていた強力な毒性を有する有機リン系農薬は使用を禁止されたが,一部の農家などで未使用のまま保持され続けている。本研究ではパラチオン等の有機リン系農薬5種類をアルカリにより分解した。2種については室温でも十分速い分解速度が得られた。他の3種類については反応速度論的検討を行った結果,有機リン系農薬とアルカリとの反応は,それぞれに対して一次の二次反応であることがわかった。二次反応速度定数を決定し,さらにその温度依存性を定式化した。これにより,おのおのの農薬を十分分解するための条件を定量的に与えることができた。また,分子構造の違いが反応性に大きな影響を与えていることが確認できた。さらに,分解により生成した物質についてGC-MSを用いて定性分析を行ったところ,いずれも毒性が認められない分解生成物であった。以上のことから,アルカリによる分解は有機リン系農薬の無害化に有効な手段の一つであるといえる。
著者
須藤 弘敏
出版者
國華社
雑誌
國華 (ISSN:00232785)
巻号頁・発行日
vol.115, no.11, pp.3-26, 2010-06