著者
太田 修
出版者
佛教大学
雑誌
歴史学部論集 (ISSN:21854203)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.83-110, 2015-03-01

本資料は、日韓会談文書全面公開(「日韓会談文書開示決定処分取消等請求控訴事件」)について東京高等裁判所で行われた裁判のために書いた陳述書である。最初に、日韓国交正常化交渉の歴史をふり返り、植民地支配・戦争被害が清算されなかったことを論じた。次に、この植民地支配・戦争被害を不問にする枠組みは、その後もそのまま維持されたわけではなく、1990年前後の東西冷戦の崩壊後には、日本政府の立場は、植民地支配不当論へと変化したことを明らかにし、その上で、今日の日韓間、および日朝間の植民地支配・戦争被害の問題における現状と課題について述べた。最後に、日韓会談文書非開示の問題点とその公開の公益性および必要性について論じ、日韓間、および日朝間にある植民地支配・戦争被害の問題を真に解決するためにも、日韓会談文書の全面公開が必要であることを訴えた。
著者
坂本 尚也
出版者
東京大学大学院工学系研究科電気系工学専攻
巻号頁・発行日
2011-03-24

報告番号: ; 学位授与年月日: 2011-03-24 ; 学位の種別: 修士 ; 学位の種類: 修士(工学) ; 学位記番号: ; 研究科・専攻: 工学系研究科電気系工学専攻
著者
椋木 大地 今村 俊幸
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.26, pp.1-6, 2014-12-02

NVIDIA が 2014 年にリリースした Maxwell アーキテクチャの GM107・GM204 コア搭載 GPU は,浮動小数点演算の理論ピーク演算性能比が倍精度:単精度 =1:32 である.このような環境ではソフトウェアで実装した疑似倍精度演算を用いた方が,倍精度の計算を高速に行える可能性がある.本稿では GM204 コアを搭載する GeForce GTX 980 を対象に,単精度型を 2 個連結して倍精度型を表現し,単精度演算で疑似的な倍精度演算を実現する double-float 演算 (DF 演算) を用いて,倍精度行列積を計算する BLAS ルーチンである DGEMM を実装した.その結果,ハードウェアの倍精度演算による通常の DGEMM と比べて,DF 演算を用いた DGEMM は約 2 倍の性能が得られた.
著者
山下 澄枝 川喜田 佑介 鈴木 悦子 今田 美幸 神山 和人 市川 晴久
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. AI, 人工知能と知識処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.301, pp.7-11, 2010-11-12
参考文献数
9

Twitterは経営者や政治家も多く利用しており,趣味や挨拶,新製品の発表や政策への意見など公私様々なツイートを投稿している.しかし,大量のツイートにより利用者にとって有益なツイートが埋もれてしまうことがある.そのため,Twitterの情報収集ツールとしての利用には,有益なツイートのみを取得する機能が必要となる.本研究では,ツイートの参照数と単語の出現頻度から,対象とするツイートの有益度を推定する手法を提案する.
著者
丸山 恭司
出版者
一般社団法人日本教育学会
雑誌
教育学研究 (ISSN:03873161)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.111-119, 2000-03

<他者>あるいは他者性は現代思想のみならず、教育研究においても重要な概念である。この概念に着目することによって、抑圧された人々を不当に扱うことを避けることができる。研究者は<他者>承認の可能性を問うてきた。しかしながら、教える者と学習者の教育的関係は他の人間関係とは異なっているため、<他者>の一般概念を教育の文脈に応用するとき、誤謬が生じることになる。しかし、一方で、教育的関係において<他者>が何を意味するかは決して明確ではない。よって、本論の目的は、教育的関係に現れる<他者>の特性を明らかにし、学習者の他者性を問うことの意味を探ることである。第1節では、まず「他者」概念と他者問題の歴史を概観したうえで、現代思想において問われる<他者>と教育関係における<他者>の相違が考察される。<他者>をめぐる現代の思想家の関心は哲学的であると同時に論理的-政治的なものである。それは、抑圧された人々の解放である。一方、教育的関係において<他者>は必ずしも抑圧されているわけではない。抑圧と解放の図式に囚われてしまうと、教育的関係において現れる<他者>の特性を見落としてしまいやすい。教育的関係において学習者の他者性がいかに現れ、消滅するのかを明らかにするために、第二節では、ヘーゲルとウィトゲンシュタインの他者論を比較する。ヘーゲルの他者概念ではなく、ウィトゲンシュタインの他者概念によって教育的関係における<他者>の特性が説明されることが示される。ヘーゲルおよびその継承者は主人と奴隷の関係が逆転する主奴の弁証法に関心があり、自己意識は初めから承認を求めて闘争する者として描かれている。一方、ウィトゲンシュタインは、<他者>を戦士としても、被抑圧者としても描かない。彼は教育的関係における<他者>の文法的特性に明らかにする。学習者の他者性はその技術と知識の欠如ゆえに言語ゲームの進行を妨げる者として現れ、実践ないし生活形式における一致のうちに解消されるけれども、また顕在するかもしれないものなのである。教育的関係において<他者>を承認する可能性を探るために、学習者の他者性を問うことの意味が、最後に明らかにされる。ウィトゲンシュタインの議論は教育の概念を制限づける。教育は学習者の心性を制御することでも彼らを放置することでもありえない。それは実践における一致として終了する。教育はユートピアを実現するための手段ではなく、われわれは学習者の潜在的な他者性を引き受けるねばならないのである。
著者
山崎 彬 山本 和弘 山田 明文
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.5, pp.369-375, 1995-05-15 (Released:2009-05-26)
参考文献数
25

餅の劣化は製造後の熱的環境に大きく依存することが知られている.これは熱により,餅の中の水の存在状態が変化し,復元性が喪失されるものと考えられる.本研究は餅の熱による劣化度を,温度と導電率との関係により数値化しようとしたものである.製造直後の餅から60℃, 1時間の熱処理の繰り返しにより,劣化度の異なる4種類の餅のサンプルを作成し,0℃以下で凍結させながら導電率を測定した.その結果,水分が41.5-44.0%の場合,凍結により導電率の急減する温度点が離水による劣化の程度と密接に関係し,餅の劣化を示す指標となることを確認した.また,離水状態の確認のために行なったDSC, DTA,および酸に対する溶解度もこの傾向を裏付けるものであった.さらに,無添加で製造された種々の餅について食味テストで判断した結果,3回の熱履歴を受けたサンプルが品質限界と考えられ,このサンプルの導電率の急減開始温度点は,-6.0±0.5℃であった.

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著者
平井恒子 著
出版者
長崎書店
巻号頁・発行日
1941
著者
石黒 格
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.389-404, 2011 (Released:2012-09-01)
参考文献数
29

Fischerによる下位文化理論や山岸による信頼の解き放ち理論,さらには社会関係資本論など,社会科学に影響を持つ多くの理論において,知人数は重要な要素になっている.しかし,交換関係や高頻度の接触があるなど,比較的関係の強い他者の範囲を超えて,その総数と相関する要因が探索された事例はほとんどない.本研究は,電話帳法を用いて測定された知人数を目的変数とし,分位点回帰分析を用いてメディアンと上位,下位のパーセンタイルに対する説明変数の効果を検討した.分析の結果,知人数のメディアンに対する年齢,教育年数,世帯年収,携帯利用,一般的信頼の正の効果が確認され,おおよそ,先行研究の結果が再現された.さらに,q10(10パーセントタイル点,以下,同じ)からq90まで,10パーセントタイル刻みで分位点を予測したところ,年齢と教育年数が高いときに,特にq10,q50よりもq90が大きく増加すること,居住地人口と対人不安が高いときには逆に減少することが明らかになった.すなわち,知人数が極端に大きい,ネットワークのハブと考えられる回答者は,高齢,高学歴で対人不安が低く,都市度が低い地域に存在する確率が高いことが示された.
著者
崎濱 秀行
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.62-73, 2005-03-31
被引用文献数
3 4

本研究では, 大学生・大学院生を対象として, 文章を書く際に産出字数を短く制限することにより, 書き手の文章は必要な情報がコンパクトにまとまったエッセンスの詰まったものになるのかどうかを検討した。45人の大学生・大学院生が, モーリタニア国の資料を基に, この国を知らない仲間に向けて国を紹介する文章を産出した(字数は200字, 400字, 字数無制限のいずれか。被験者間計画)。その結果, 200字群における重要な情報(核情報)の使用個数が400字群および字数無制限群に比べて少なくなったが, 使用情報総数に占める核情報の使用割合は200字群の方が字数無制限群よりも高くなった。また, 一情報あたりの使用字数は, 字数制限を行った方が字数無制限群よりも少なくなった。さらに, 文章に書く内容の構成について考える度合いは群によって異ならなかったが, 200字群において, 下書きをして情報量の調整をしていた人数が有意に多かった。これらの結果から, 字数を短く制限することにより, 産出された文章は, 必要な情報がコンパクトにまとまった, エッセンスの詰まったものになることが示された。
著者
長谷部 陽一郎
出版者
同志社大学
雑誌
言語文化 (ISSN:13441418)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.373-403, 2006-12
被引用文献数
1 2

近年、コーパスを用いた言語研究の手法に多くの注目が集まっている。英語に関しては以前から、British National Corpusをはじめ、大規模なコーパスが複数存在している。また日本語を含む他のいくつかの言語に関しても、これらに匹敵する規模のコーパスの構築が進められている。しかし現時点で、研究者が自由に利用できる日本語コーパスの選択の幅は非常に限られている。要因としては、テキストデータの著作権に関する問題と、それに付随する様々な制約といったものが挙げられる。 このような状況を鑑み、本稿ではオープンソース-すなわち著作権フリーで再配布・改良自由の形式-で提供されるインターネット百科事典サイトWikipedia日本語版のデータをコーパスとして用いることを提案する。また、Wikipediaのアーカイブファイルから言語学的に有用なデータを抽出するために筆者が開発したツールキットを紹介し、解説を行う。本稿で解説するツールキットはプログラミング言語Rubyを用いて作成されており、2つのプログラムから成る。第1のプログラムwp2txt.rbは、オリジナルのXMLデータから各種のタグ類を除去するとともに、指定されたサイズのテキストファイルにデータを分割する。第2のプログラムmconc.rbは、入力ファイル中のデータを文ごとに分割するとともに、オープンソースの形態素解析システムMeCabを用いて、あらかじめ正規表現(Regular Expressions)で指定された形態素パターンとマッチするものだけをCSV形式で出力する。これにより、例えば「このツールは言語分析にかかる時間と労力を省く」といった文字列を抽出するのに、〈時間と労力を省く〉のような表層形式だけでなく、〈名詞+助詞+名詞+助詞+動詞〉のような品詞の並びによる指定や、〈時間と労力+助詞+動詞〉といったミックス形式での指定が可能になる。 Wikipedia日本語版を活用することにより、最低限の環境を整えるだけで、用例採取や言語現象の定量的分析のための大規模コーパスが得られる。また、同一の言語データを異なる研究者やプロジェクト間で共有することができる。つまり、Wikipediaコーパスは、追試・修正・拡張・応用といった試みに対し、完全に開かれた研究資源を提供するのである。このことは、日本語を対象とする様々な言語研究の可能性を大きく広げると考えられる。
著者
当麻 哲哉 瀧塚 博志 鳥飼 俊敬 鈴木 等 小木 哲朗 小池 康博
出版者
国立研究開発法人 産業技術総合研究所
雑誌
Synthesiology (ISSN:18826229)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.118-128, 2014 (Released:2014-08-27)
参考文献数
7
被引用文献数
2 5

ハイビジョン映像の品質を超える高精細なビデオ?フォーマットが開発されているが、その伝送のための高速データ通信技術は必ずしも一般家庭への適用が容易ではない。家庭向けには、高速通信というテクニカルな要求だけではなく、取り扱い易さ、接続不良のない信頼性、入手しやすい価格等の条件が満たされる必要があり、高速通信で代表的な石英系光ファイバーは、脆く折れやすい上、低コストで精度のよい簡単接続が困難なため、消費者のニーズに合わない。この研究では、折れにくく高速通信が可能な屈折率分布型プラスチック光ファイバーの端面に、球状のガラス・コリメータレンズを組み込んだ超小型ビーム拡大インターコネクトを、低コストで精度の高いボールペン製造技術の応用で実現し、4K3D高精細非圧縮映像伝送実験によるシステム検証を行った。