著者
河内 伸夫
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.43-53, 1976-01-01 (Released:2008-12-24)
参考文献数
31
被引用文献数
1

中国山地の穿入蛇行の分布,蛇行の波長と流域面積との関係,穿入蛇行の成因,地質との関係を検討したが,結果は以下のようである. 1) 穿入蛇行には侵蝕平坦面自体を刻むタイプと,侵蝕平坦面の境界付近に発達するタイプがあり,前者は掘削蛇行ないし生育掘削蛇行を示しており,侵蝕平坦面上の自由蛇行より受け継がれた可能性が高い.後者は一般に生育蛇行を示し,必ずしも自由蛇行から受け継がれたと考える必要はない. 2) 穿入蛇行の波長と流域面積との関係は,欧米とほぼ同じであるが,穿入蛇行と自由蛇行の波長の関係は,中国山地に気候変化による明白な無能河流がないことを示す. 3) 古生層地域と花崩岩地域の穿入蛇行を比較すると,谷幅,攣曲度とも一般に前者の方が小さく,またより規則的で滑らかな彎曲を描いている.
著者
春日 正三
出版者
立正大学
雑誌
立正大学文学部論叢 (ISSN:0485215X)
巻号頁・発行日
no.49, pp.75-136, 1974-03
著者
高嶌 寛年 佐々木 明 佐々木 薫
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.71, no.11, pp.2948-2953, 2010 (Released:2011-05-25)
参考文献数
10
被引用文献数
1

症例は60歳,男性.胃癌にて幽門側胃切除術,BillrothI法再建を行った.術後1カ月目に急性胆管炎,閉塞性黄疸が出現し,精査の結果,良性の総胆管の狭窄と診断し経皮経肝胆道ドレナージ(PTCD)を行い減黄をはかるとともに経皮経肝的バルン拡張術等試みるが成功せず,黄疸出現後2カ月目にexpandable metallic stent(EMS)を留置した.これにより症状は劇的に改善しEMS留置1カ月後に外瘻チューブも抜去し軽快退院した.しかし,EMS留置から2年9カ月後に閉塞性黄疸をきたし入院した.総胆管内に結石が充満しており,閉塞性黄疸に対しPTCDを行い胆管洗浄を行いつつ経皮経肝胆道内視鏡(PTCS)を行った.ステントに付着した結石を認めたため,生検鉗子等で結石を破砕しては洗浄吸引する操作を繰り返し一部ステントがほつれてきたところ把持鉗子にてwireを1本ずつ引き抜きEMSを抜去した.以後,総胆管の再狭窄は生じず外瘻チューブを抜去し軽快退院した.
出版者
国立極地研究所
雑誌
極地研ニュース = NIPR news (ISSN:09110410)
巻号頁・発行日
no.62, pp.1-8, 1984-08
出版者
国立極地研究所
雑誌
極地研ニュース = NIPR news (ISSN:09110410)
巻号頁・発行日
no.59, pp.1-8, 1984-02
著者
鈴木 由加里
雑誌
人文 (ISSN:18817920)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.39-56, 2007-03-26

フランス哲学が日本に輸入されて以来、多くの哲学者が紹介されたが、現在では忘れられている哲学者も少なくない。ジャン─ マリー・ギュヨーもそのような哲学者の一人である。ギュヨーは、中江兆民の編んだ『政理叢談』において、その著作が紹介され、明治末期から大正期にかけては、多くの邦訳が出版され、また英訳を介して文壇及び大正期の文化に影響を与えた。アカデミズムでも美学・教育学・道徳学において一時期取り上げられたが、その後アカデミズムでは取り上げられず、主体的に論じられることもないまま現在に至っている。 明治末から大正期にかけて発展した大学制度においては、哲学といえば新カント派のドイツ哲学であり、それに対抗するものとして、当時のフランス哲学が在野の文化人や一部の大学の研究者によって取り上げられてきたものである。フランス哲学の受容において、重視されたのは、「現代性」「同時代性」であり、それ故、明治大正期に取り上げられたベルクソンやブートルーなどは「現代哲学」として受容されていたのである。 難解であるけれども思想的な深さをもつドイツ哲学に対して、明晰判明であるが浅いフランス哲学という批判を退けるために、ギュヨーを初めとするフランス哲学者がアカデミズムにおいて紹介されたのである。その目的は、ギュヨーの思想の研究ではなく、むしろフランス哲学の特性を証明するためであった。 そこには、ドイツ哲学を経由したフランス哲学観を離れてフランス哲学を研究することへの希求が存在している。しかし、そのフランス哲学受容の必要性の主張の裏には、「現代哲学」としてのフランス哲学を研究し、それを日本的な哲学の創生に役立てるという目的も同時に存在しているのである。欧米の思想の輸入過多に対して、日本的なるもの、日本独自の哲学という西欧思想との融合に際して、フランス哲学が利用されていたのである。そのような目的において、ギュヨーの哲学は役立つと考えられなかったためにアカデミズムの中で研究されなくなっていった。ギュヨーの生命の哲学を日本的な文脈の中に置き換えることは難しく、19 世期末に夭逝した哲学者であったために哲学史における評価も定まらず、ベルクソンの哲学ほど利用価値がないと判断されたために忘れられた哲学者となっていったのである。
著者
白 恩正 Eunjeong BAEK
出版者
創価大学社会学会
雑誌
SOCIOLOGICA (ISSN:03859754)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.75-98, 2019-03-20

米軍政期の各界の韓国人リーダーは、戦前は朝鮮総督府の下位パートナー、戦後は米軍政の下位パートナーとなり、やがて戦後韓国の新しい政治権力へと成長した。この背景として米軍政が人材を登用する際、英語能力、親米派、反共産主義者である点は重視しながらも、戦前の親日経歴は問題視しなかった点を挙げられる。これは民族主義者、反米者、左派、中道派が排除されたことを意味する。もう一つの理由は、戦後の歴史清算の試みである「反民族行為処罰法」が失敗に終わったことである。その結果、プロテスタントは戦後の再建にあたって、戦前の神社参拝に同調・黙認していた人たちが教会のリーダーとなった。この過程において戦前の神社参拝に反対し投獄された人々は排除された。政治権力に順応的であったプロテスタントは、のちの李承晩政権の反共・単政(韓半島の単独政府)路線を支持し、朴正熙の軍部独裁政権の反共路線を支持することにもなった。これに呼応して米軍政と李承晩政権は、プロテスタントに対して積極的な優遇政策を展開する。この国家権力とプロテスタントの関係は信者の拡大に大きく寄与した。今日におけるプロテスタント教会とりわけ大型教会にみられる権力志向的な性格は戦後の歴史清算の失敗と深くかかわっていることを示した。
著者
山下 昭洋
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集 2009年度日本地理学会秋季学術大会
巻号頁・発行日
pp.94, 2009 (Released:2009-12-11)

1895年清国と締結した下関条約により、台湾は大日本帝国の新たなる領土となった。 その結果、同年6月初代台湾総督樺山資紀率いる台湾総督府一行は、台北を台湾統治の駐剳地とし基隆に上陸し台北へ向かった。それを嚆矢に島都となった台北には日本内地から多くの内地人(日本人)が居住することとなり、戦前、最大で約11万7千人(『臺灣常住戸口統計』)の内地人が居住する台湾第一位の都市となった。 しかし、現在の台湾研究では日本統治下の内地人を対象とした研究は数が少なく、昭和期を題材にした先行研究が大半を占めているのが現状である。 報告者は2009年3月の日本地理学会で「日本統治初期の台北における内地人居住地の復原と社会空間の研究」とし図1のように、1900年の台湾統治初期の台北三市街(城内・艋舺・大稲埕)における業種別内地人の店舗の分布を明らかにすることができ、城内における多業種の分布、大稲埕における回漕業の比較的集中艋舺における接客業(貸座敷業等)の集中があったことを明らかにすることができた。また、この表とは別に1902年の台北三市街中の各街庄別の人口分布も明らかにし、さらにこの時期の艋舺における内地人女性の割合が高かったということも明らかにしたことで、芸娼妓が艋舺に集中していた事実も統計的に明らかにすることができた。 また、2009年5月に台湾で出版された『南榮技術學院人文學群2009年異文化交流國際學術研討會論文集』で「日本統治下台湾及び台北における1897~1902年の現住内地人の社会分析―『臺灣總督府統計書』「戸口」のデータ分析を中心に―」を発表した論文では、主に台北県庁の管轄範囲での年齢別人口、職業別の人口、出生地別人口を調査した。その結果、この時期の内地人は移動期にあたり、年齢的には男女とも青壮年層が突出して多く、性別的には圧倒的に男子が多かったことが確認された。また内地人を出生地別に見ると九州出身者と大都市出身者の割合が高く、女性は長崎、熊本の出身者の割合が高かった。それ以外にも、台湾の内地人居住地形成には官吏先行民間追随という形があったことも判明した。 これらの研究を踏まえた上で、本研究の対象時期は北白川宮能久親王率いる近衛師団が三貂湾に上陸した1895年5月から1902年頃までとするが、特に1895年から1900年を中心に台北の内地人居住地の形成過程を研究することとする。 主要な対象地域は、当時台北三市街と呼ばれていた城内・艋舺・大稲埕であるが、台北の内地人居住地の形成過程を明らかにするには、当時の交通移動手段を含めた調査を行うため、基隆及び淡水等をも含めた台湾北部一帯とする。 本研究の概要としては1895年の日本統治以前の本島人居住地と統治開始以降の内地人居住地形成過程を当時発行されていた「臺灣日日新報」や、戦前に記された回顧録や調査報告書等の文献を用い比較検証していくこととする。これらの資料を駆使し、台北の内地人居住地がどのようにして1900年当時の図1のように至ったかを、日本統治前からの台北三市街の発展や衰退、台北への運輸交通手段、台北を取り巻く社会情勢等を考慮しながら内地人居住地形成を多角度的に検証していくこととする。
著者
世古 淳也
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.22, no.11, 1981-11-15
著者
井川 純一 中西 大輔
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.210-220, 2019
被引用文献数
2

<p>本研究では,グリット(Grit:根気・一貫性)とバーンアウト傾向(情緒的消耗感・脱人格化・個人的達成化の低下)及び社会的地位との関係について,対人援助専門職(医師,看護師,介護福祉士(男性233名,女性217名))を対象に検討した。Gritと社会的地位に関連が認められるのであれば,職業威信スコアの最も高い医師のGrit得点が最も高くなると予測したが,Gritの間に職種間の差異は認められなかった。一方,管理職と非管理職を比較したところ,一貫性において管理職のほうが高い値を示した。また,Gritがバーンアウト傾向に与える影響について検討したところ,根気は脱人格化及び個人的達成感の低下,一貫性は情緒的消耗感及び脱人格化を抑制していた。分位点回帰分析を用いた検討では,これらのGritのバーンアウト傾向抑制パタンは症状の増悪に伴って変化するものの,どのパーセンタイルでもバーンアウトを増加させる要因にはならないことが明らかとなった。</p>
著者
Miwa Yamaguchi Yosuke Inoue Tomohiro Shinozaki Masashige Saito Daisuke Takagi Katsunori Kondo Naoki Kondo
出版者
Japan Epidemiological Association
雑誌
Journal of Epidemiology (ISSN:09175040)
巻号頁・発行日
vol.29, no.10, pp.363-369, 2019-10-05 (Released:2019-10-05)
参考文献数
46
被引用文献数
40

Background: This study aimed to examine the contextual effects of community-level social capital on the onset of depressive symptoms using a longitudinal study design.Methods: We used questionnaire data from the 2010 and 2013 waves of the Japan Gerontological Evaluation Study that included 14,465 men and 14,600 women aged over 65 years from 295 communities. We also used data of a three-wave panel (2006–2010–2013) to test the robustness of the findings (n = 7,424). Using sex-stratified multilevel logistic regression, we investigated the lagged associations between three scales of baseline community social capital and the development of depressive symptoms.Results: Community civic participation was inversely associated with the onset of depressive symptoms (men: adjusted odds ratio [AOR] 0.93; 95% confidence interval [CI], 0.88–0.99 and women: AOR 0.94; 95% CI, 0.88–0.997 per 1 standard deviation unit change in the score), while no such association was found in relation to the other two scales on social cohesion and reciprocity. This association was attenuated by the adjustment of individual responses to the civic participation component. Individual-level scores corresponding to all three community social capital components were significantly associated with lower risks for depressive symptoms. The results using the three-wave data set showed statistically less clear but similar associations.Conclusions: Promoting environment and services enhancing to community group participation might help mitigate the impact of late-life depression in an aging society.
著者
中村 宏
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電氣學會雜誌 (ISSN:00202878)
巻号頁・発行日
vol.89, no.970, pp.1230-1235, 1969-07-01 (Released:2008-11-20)
参考文献数
18

雨の激しい暗夜,実験用送電線に定格電圧の数割高い電圧を印加すると,電線は夕だちのような激しい放電音を発生しながら淡い真珠色の長大なネオンのように輝く。第5.1図は4導体の2回線送電線のコロナ放電の情況を撮影した写真である。もっとも,この写真はカメラのシャッタを約2分間開放して撮影したものだから,何万回とくり返えされた放電の光の集積を示しているものであり,肉眼ではこれほど詳明には見えない。暗闇になれた目でじっとひとみをこらしていると,あたかも電線の周囲にたくさんのほたるが群れているかのようにちかちかと光って見えるのである。望遠レンズを使ってこの放電の様子を詳しく観察すると,電線表面の放電には第5.2図に示すように,(i) 電線からほとばしり出るように,先端が枝分れしながら激しく光る強い放電(ii) 淡い光を発しながら比較的安定して持続する弱い放電の2種類があることがわかる。さらに,ストロボスコープによってこの放電を正負に分離して観測すると,(i) は正半波において発生する正コロナであり,(ii)は負半波において発生する負コロナであることが確認される。次に,シンクロスコープによってこれらの放電の波形を観測すると第5.3図を得る。負コロナパルスは波頭長0.01μsに達するきわめて急しゅんなパルスであり,正コロナは波頭しゅん度は負コロナより低いが,振幅は数倍に達するきわめて強い放電であることがわかる。(1)送電線のコロナ雑音は,このようなコロナパルスが送電線上の何百万箇所かで,1秒間に何万回かくり返えして発生することによって生ずる高周波雑音である。コロナパルスの波頭しゅん度から考えると,そめ雑音の周波数スペクトルは数十メガヘルツ以上の高い周波数にまで広がっていることが予想されるが,実際上は受信機の内部雑音以下の強さの雑音は問題にならない。このため,電線から発生するコロナ雑音が電波障害上の問題となるのは,主として中波のラジオ受信機(受信周波数540kHz~1.6MHz)に対してであり,テレビジョン放送(使用周波数90~222MHz,590~770MHz)およびFM放送(使用周波数76~90MHz)に対してはほとんど問題にならない。また,ラジオ放送でも都市近郊のように放送局からの電波が強い所では,じゅうぶん信号対雑音比が確保されるから受信障害とはならない。受信障害は放送局から非常に遠く離れている地方や山にさえぎられて放送電波がよく届かない弱電界地域において,放送波に対して雑音の割合が大きくなった場合にのみ発生するのである。
著者
後藤 嘉宏
出版者
日本出版学会
雑誌
出版研究 (ISSN:03853659)
巻号頁・発行日
vol.47, pp.1-22, 2017-03-20 (Released:2018-11-01)
参考文献数
31

中井正一(1900-52)の「委員会の論理」(1936)の「印刷される論理」は現代では抑圧的になるとの鈴木正の指摘がある.しかし「委員会の論理」の「印刷される論理」はソクラテスの外に開かれた弁証法の復活を意図し,「いわれる論理」の双方向性を内包する.大量の複製本が出回ることがかえって多様な解釈による大量の異本を生むビジョンである.しかし回転の速さが重視される現代の出版状況に鑑みると鈴木の懸念は正鵠を射ている.
著者
Sakura YOSHII Masanobu MORI Daisuke KOZAKI Takayuki HOSOKAWA Hideyuki ITABASHI
出版者
The Japan Society for Analytical Chemistry
雑誌
Analytical Sciences (ISSN:09106340)
巻号頁・発行日
vol.35, no.10, pp.1117-1122, 2019-10-10 (Released:2019-10-10)
参考文献数
35
被引用文献数
4

This study demonstrated that a guard column containing anion-exchange resin has the potential for use as a separation column for acid eluent. Specifically, a 1-cm long anion-exchange guard column with a 4.6-mm internal diameter provided good separation of monovalent inorganic anions, by elution of 8 mM tartaric acid or 4 mM malic acid. Using the guard column with acid eluent could be applied to evaluation of nitrite and nitrate ions in mountain and urban river water samples. When the guard column was connected in front of a cation-exchange separation column (15 cm long × 4.6 mm internal diameter) in a series, the system provided simultaneous separation of anions and cations in eluent of 8 mM tartaric acid and 0.5 mM 18-crown-6 ether by a single injection.