著者
江藤 真生子 嘉数 健悟
出版者
日本体育科教育学会
雑誌
体育科教育学研究 (ISSN:13428039)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.1-16, 2019

The purpose of the present study was to classify studies on physical education teacher education using theoretical orientations (Tinning, 2006), the framework of which is a basic conceptual structure, and to analyze research questions and methods. We classified domestic and international studies on physical education teacher education into behavioristic orientation, personal orientation, traditional/craft orientation, and critical inquiry orientation and analyzed the purpose and research methods of representative studies that characterized each orientation. The results revealed the research questions researchers have about teachers' competency development and the research methods applied in each theoretical orientation. Moreover, it became clear that personal orientation was most common in overseas literature. The traditional/craft orientation was most common in domestic literature. We realized that with regard to research methods, qualitative research is most common in foreign literature, while in Japanese literature, quantitative, qualitative, and mixed research are all nearly equally present. In Japan, the reason many qualitative studies are being conducted as a traditional/ craft orientation is believed to be that instructors use them to implement what they learn in workshops and programs in order to investigate their development and formation of competence. It is inferred that modeling can be achieved by showing the outcome of the program and training. <br> Within Japan, in the future, more incisive perspectives are desired (Fukami, 2015; Kihara, 2015; Kitazawa/Suzuki, 2013). By incisive perspectives, we mean those that examine—from the perspective of development and growth—the beliefs and perceptions of teachers related to their practice of teaching, as well as the processes by which they developed their teaching capabilities. This sort of research would indicate individualistic trends. In other words, in Japan, research examining individualistic trends is greatly desired.
著者
昆 健志 井上 潤
出版者
日本古生物学会
雑誌
化石 (ISSN:00229202)
巻号頁・発行日
vol.106, pp.5-17, 2019

Understanding the process by which life diversifies is one of the central issues in biology. To clarify this process in focal taxa as well as to conduct phylogenetic analyses, a divergence time estimation —an important analysis to determine the timescale of a phylogenetic tree— must be performed. It is thought that the diversification process can be vividly reconstructed by estimating the diversification rate and ancestral geographic area, characterizing ancestral ecology, and mapping ancestral habitats according to a time-calibrated phylogenetic framework. Here we introduce a divergence time estimation method and various other methods for reconstructing the process of diversification based on the time-calibrated phylogenetic framework with some study examples of aquatic organisms, mainly fish.
著者
砂田 安秀 杉浦 義典 伊藤 義徳
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
2019
被引用文献数
2

<p>近年,倫理を伴ってマインドフルネスの訓練を行う重要性が指摘されている。本研究では,マインドフルネスと無執着・視点取得の関連に対する倫理の調整効果を検討することを目的として,一般成人193名を対象としたウェブ調査を実施した。階層的重回帰分析の結果,倫理観が強い場合,マインドフルネスが高いほど,無執着が高かった。一方で,倫理観が弱い場合,マインドフルネスが高いほど,無執着が低かった。また,倫理観が弱い場合,マインドフルネスが高いほど,視点取得が低かった。以上の結果から,マインドフルネスは倫理を伴って機能することで有益な結果をもたらし,倫理が欠如した中では有益な結果につながらない可能性が示唆された。</p>
著者
村上 拓彦 吉田 茂二郎 高嶋 敦史
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.101, no.4, pp.163-167, 2019

<p>1660年頃作成の屋久島の古い絵図「屋久島古図」が存在する。この絵図は非常に詳細で,島内の集落名,山頂名,河川名,場所名,スギを含む数種の樹木の存在,島中央への歩道等が書き込まれている。そこで本研究では,この地図を現代図と重なるようにGIS上で補正し,当時のヤクスギ分布を推定した。さらに現代図のヤクスギ分布域との比較から,その間の変化を把握しかつその変化要因を分析し,最後にこの地図の今後の利用可能性を検討した。その結果,この地図は現代図と非常に良く重ね合わせることができ,当時のヤクスギ分布域は島東部の安房川流域に偏り,標高200 m付近の低標高域にも存在していたことが判明した。1660年当時にヤクスギが分布していた地域で,その後の伐採でヤクスギが消失した地域は,低標高の地域と川の近くに多かった。以上からこの屋久島の地図は,作成当時の森林状態を詳細に記録した地図として活用できる可能性が示唆された。</p>
著者
久保 公利 松田 宗一郎 間部 克裕 加藤 元嗣 迫 康仁
出版者
道南医学会
雑誌
道南医学会ジャーナル (ISSN:2433667X)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.44-46, 2019 (Released:2019-06-03)
参考文献数
9

【症例1】21歳,男性【主訴】虫体の排泄【現病歴】2018年6月末に排便時に紐状の虫体が排泄され,途中で断裂した。断端が肛門内に自然寛納されたために近医を受診した。便虫卵検査で広節裂頭条虫卵と診断され、駆虫目的に当院を紹介受診した。【既往歴】なし【職業歴】調理師【経過】問診により調理中の味見に伴うマス生食が原因と考えられた。入院翌日にプラジカンテル20mg/kgを投与し、3時間後にマグコロールPを投与した。虫体が排泄され、種の同定目的に旭川医科大学寄生虫学講座に発送した。Multiplex-PCR検査で日本海裂頭条虫症と同定された。【症例2】44歳,男性【主訴】虫体の排泄【現病歴】2018年7月末に排便時に紐状の虫体が排泄され,途中で断裂した。その後も2度排泄があり近医を受診し、駆虫目的に当院を紹介受診した。【既往歴】高血圧【職業歴】調理師【経過】問診によりマス生食が原因と考えられた。入院翌日にプラジカンテル20mg/kgを投与し、3時間後にマグコロールPを投与した。虫体が排泄され、種の同定目的に旭川医科大学寄生虫学講座に発送した。頭節が確認され、Multiplex-PCR検査で日本海裂頭条虫症と同定された。【結語】プラジカンテルで駆虫しえた日本海裂頭条虫症の2例を経験したので報告する。
著者
中山 慎一郎 長山 昌平 鳥海 不二夫
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.53, no.9, pp.898-903, 2012-08-15

近年IT技術の発展とともに,株式の自動売買に注目が集まっている.従来に比べ大量かつ豊富な情報が得られるようになり,また,自動売買のための計算もリアルタイムに行えるようになったことから,自動売買による取引が増加している.本稿ではシステムトレードの利点を説明し,システムの評価手法,スクリーニング手法などシステム構築のための基本技術の解説,および実用上のリスクについて述べる.
著者
小林 史幸 小竹 佐知子 大久保 恵子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.64, 2012

<b>目的:</b>南総里見八犬伝、椿説弓張月等の作者として知られる戯作者・曲亭馬琴(1767-1848年)は、身辺の出来事について詳細な日記をつけていた。その『曲亭馬琴日記』の天保2および3年(1831~32年)の2年間を対象とし、当時の食の状況を知ることを目的にして、特に菓子類について、その種類と用途に注目して文献調査をおこなった。<b>資料:</b>『曲亭馬琴日記』(中央公論社、2009)の天保2年と同3年の本文から菓子の記述を抜き出し、各種菓子の記録数および全体に対する記録数の割合を調べた。その際、種類別と用途別の2種類の方法で集計した。種類別の集計では1種類の菓子の記録1つにつき1回と数え、用途別の集計においては、1つの用途に必要とされる菓子の数を菓子の登場回数とした。また、砂糖については入手頻度と入手量からその使用状況を推測した。<b>結果:</b>日記に登場する菓子類を種類別にみると菓子、餅菓子といった大まかな分類の他、落雁、団子など個々の名称もあわせて25種類の菓子類に関する事柄が記録されていた(天保2年に143回、天保3年に162回の記録)。両年とも最も記録回数が多かったものは餅菓子(38回、55回)であり、正月準備に多種多様な餅を注文したものが多く見られた。次いで多かった砂糖(29回、36回)の場合は、白砂糖、黒砂糖の分類、分量等詳細に記録された日もあったが、砂糖を入手したということのみ記録された日もあった。用途では贈答、供え物、注文品記録、購入品記録等全部で20種に分類できた(169回、193回)。その中では貰い物が最も多く(68回、61回)、その送り主は大家にあたる人物、身内、友人、板元からの物が多数記録されていた。
著者
布川 隆三
出版者
日本舌側矯正歯科学会
雑誌
日本舌側矯正歯科学会会誌 (ISSN:18836216)
巻号頁・発行日
vol.2015, no.25, pp.21-32, 2015 (Released:2016-06-22)
参考文献数
9

過蓋咬合を伴うAngle ClassII Div1症例に対して,リンガルブラケット矯正法により上下顎歯列弓に対して歯科矯正用アンカースクリューを併用して治療したところ,II級咬合関係の改善のみならず,上下顎前歯の圧下に加えて上下顎歯列全体が圧下された結果,良好な咬合関係および顔貌変化を得た症例を報告する.
著者
辰巳 隆一 水野谷 航 ANDERSON JUDY E. ALLEN Ronald E.
出版者
九州大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

骨格筋の肥大・再生は、筋幹細胞(衛星細胞)の活性化に大きく依存している。これまでに代表者は、「運動や筋損傷などの物理刺激を引き金として、細胞外マトリックスから遊離する肝細胞増殖因子(HGF)依存的に衛星細胞が活性化する分子機構」をほぼ解明した。これを更に発展させるため本研究では、活性化の抑制機構を調べた。その結果、過剰なNOラジカルの産生によって遊離HGFがニトロ化されることを見出した。筋の肥大や治癒を妨げている「活性化抑制機構(HGFの不活化)」を更に追究することにより、筋肥大・再生を促進する食肉生産システムの開発に資する他、筋再生医科学・加齢筋医科学・スポーツ科学などに貢献が期待された。
著者
Jake P. Greenhalgh Daniel Amund
出版者
Food Safety Commission, Cabinet Office, Government of Japan
雑誌
Food Safety (ISSN:21878404)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.74-78, 2019 (Released:2019-09-27)
参考文献数
26
被引用文献数
8

Edible insects present a potential solution to increasing global food insecurity. However, there is limited research on the microbial hazards they may pose. These include opportunistic pathogens like Cronobacter spp. (formerly Enterobacter sakazakii). In this study, nine types of ready-to-eat edible insect products purchased in the UK were examined for their microbial load (total aerobic count, total Enterobacteriaceae count), and screened for the presence of Cronobacter sakazakii(C. sakazakii) by selective enrichment and plating on chromogenic agar. While microbial load was generally low, presumptive Cronobacter spp. were detected in five of the edible insect products. Four of the isolates were identified as C. sakazakii, using the Remel RapID ONE biochemical test kit. Genotypic characterisation of the isolates by ITS-PCR, however, demonstrated that the isolates may be other species of Cronobacter instead. Further studies into understanding microbial hazards linked to edible insects for human consumption are required.
著者
越後 和典
出版者
滋賀大学経済学会
雑誌
彦根論叢 (ISSN:03875989)
巻号頁・発行日
no.第369号, pp.97-113, 2007-11
著者
市川 貴紀 安井 孝志 高田 主岳 湯地 昭夫
出版者
日本分析化学会
雑誌
分析化学 = Japan analyst (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.58, no.8, pp.749-752, 2009

Three solid-state ISEs (Cd, Pb, Cu) were evaluated for direct potentiometry of polyacrylate. Cd-ISE had a lower pH response but an appreciably high response to PA, while Cu-ISE had a remarkably high pH response but a rather low response to PA. Pb-ISE showed intermediate behaviors. These results suggest direct potentiometry of PA by simultaneous measurements of pH and the Cd-ISE response. Anions of foreign salts may cause positive errors by the interactions with Cd2+, whereas cations of salts may cause negative errors by the interactions with PA. The extent of such errors is, however, negligible in the detection of PA in the circulating water of cooling systems.
著者
小田切 陽一 内田 博之 市川 敏美 近藤 直司
出版者
山梨県立大学
雑誌
山梨県立大学看護学部紀要 (ISSN:18806783)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.1-8, 2010

山梨県の自殺率と既存統計を用いた生態学的分析から自殺との関連が示唆される人口学的、社会学的要因の抽出をおこなった。その結果、人口世帯要因では、老年人口割合、単身高齢者割合、死別高齢者割合が正の相関、平均世帯人員が負の相関を示した。産業・経済要因では、管理的職業従事者割合、生活保護率と正の相関、課税対象所得と負の相関を認めた。医療・福祉要因では、腎不全死亡率、老人クラブ加入率と正の相関、精神作用物質による精神・行動の障害による受療率と負の相関を認めた。また神経症障害、ストレス関連障害および身体表現性障害の受療率と正の相関傾向、気分障害 (躁うつ病を含む)、その他の精神および行動の障害による受療率、精神保健福祉相談 (心の健康づくり相談) 件数と負の相関傾向を認めた。本研究の結果、山梨県の自殺率に関連する要因として、人口の高齢化や脆弱な経済基盤、精神障害に関わる相談や受療行動が低いことなどが示唆された。
著者
横井 秀一 井川原 弘一 渡邉 仁志
出版者
岐阜県森林研究所
雑誌
岐阜県森林研究所研究報告 (ISSN:1882840X)
巻号頁・発行日
no.38, pp.17-26, 2009-03
被引用文献数
1

間伐が遅れて過密状態になったヒノキ人工林は、下層植生が貧弱になる。下層植生が衰退すると、表土流亡の危険性が高くなる。このため、下層植生を発達させるためにも間伐が必要であるとされ、下層植生の発達を目的とした公共事業(例えば、保安林整備事業における本数調整伐)なども行われている。しかし、間伐が行われたヒノキ林で、必ず下層植生が発達するとは限らない。間伐されたヒノキ林に下層植生が発達しない理由として、中村は、間伐率が低いこと、間伐以前に無植生状態が長く続いていたこと、間伐間隔があきすぎていたことが考えられるとし、横井らは、下層植生が衰退したヒノキ林では埋土種子が少ないこと、下層植生の発達に対して間伐後の林内の明るさが十分でないことが考えられるとしている。ここで、その理由が間伐率の低さや林内の明るさ不足にあるとすれば、林内がより明るくなるような間伐を行えば、下層植生の発達が期待できることになる。間伐後の林内を明るくするには、間伐率を高くする(「強度な間伐」とする)ことの他に、間伐のときにところどころを小集団で伐採する(「群状間伐」とする)ことによって、部分的に明るい箇所をつくり出すという手法も考えられる。前者は林床全体に、後者は部分的にでも下層植生を発達させることで、表土流亡の危険性を低くすることができる可能性がある。本研究は、ヒノキ人工林における群状間伐と強度な間伐の、下層植生の発達に対する効果を検証する目的で実施した。本報告では、間伐後2年間の下層植生の変化を示し、下層植生の発達に対するこれらの間伐の効果を考察する。
著者
宮本 和樹 奥田 史郎 稲垣 善之 小谷 英司 野口 麻穂子 伊藤 武治
出版者
森林立地学会
雑誌
森林立地 (ISSN:03888673)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.21-26, 2009
参考文献数
32
被引用文献数
1

四国のヒノキ人工林において本数率30〜50%の間伐を行い,5年経過後の残存木の成長と葉面積指数(LAI)を林分間で比較した。プラントキャノピーアナライザ(LAI-2000,Li-Cor社)を用いて測定した2007年における50%区のLAIは30%区と同程度の値を示し,強度間伐区において葉量が速やかに回復していることが示唆された。5年間の胸高断面積合計(BA)の増加量についても30〜50%区間で顕著な差は見られなかった。個体レベルの成長についてみると,間伐により単位BAあたりおよび個体あたりのLAIが大きくなるほど幹胸高直径の成長速度(中央値)は増加した。本調査地においては,これまでのところ強度な間伐による残存木への著しい負の影響は現れておらず,間伐率が高くても胸高断面積合計ベースの林分成長には従来の間伐と比べて差がほとんどないことが示された。またその要因として,個体あたりの葉量の増加が残存木の個体成長を促進していることが示唆された。
著者
菊池 浩明
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 第24回ファジィ システム シンポジウム
巻号頁・発行日
pp.86, 2008 (Released:2008-12-06)

フィッシングサイトや送信者偽装メールなどの脅威によって, ネットワークにおける情報の信頼性が揺らいでいる.複数の 証拠から対象とするサイトやサービスの「信頼」を正しく 評価する技術が求められてきている.そこで,信頼の数学 モデルとして,MaとOrgunによって提案されている エージェントのトラストモデルについて議論する.様相論理に 基づく定式化と信頼性の動的な変化による更新が大きな 特徴である.
著者
小鷹信光訳
出版者
東京創元社
巻号頁・発行日
1977