著者
木村 惠子
出版者
日本教科教育学会
雑誌
日本教科教育学会誌 (ISSN:02880334)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.19-28, 2008-12-25 (Released:2018-05-08)

生活算術は大正末期から昭和初期にかけて展開された教育運動であり,わが国の算術教育が現代性を獲得する過程で注目すべき実践の総体である。しかし,生活算術の全体像は今日においてなお明確にされているわけではない。本稿は生活算術の全体をとらえるための基礎的研究として,生活算術実践家の一人である藤原安治郎の実践に焦点をあて,その実践の具体的様相を理解しようとするものである。本稿では大正末期から昭和初期の藤原の算術教育実践について,「生活」,「数理」,及び両者の関係を中心に時系列的に検討した。その結果,藤原の算術教育実践は「生活」から「数理」を切り離してそれぞれを独立してとらえる過程で,両者を結びつける統一原理として「函数観念」が意識され,「生活」と「数理」は循環作用をもつものとなった。更に「数理」を中心概念として「生活」をとらえ,「数理」の会得が生活力の基礎であると主張するに至っている。このような変容の過程は4つの時期に区分できた。
著者
藤山 悳正 仙田 隆一 遠山 裕子 菊地 加代子 瀧沢 武雄 城武 昇一
出版者
一般社団法人 日本医療薬学会
雑誌
病院薬学 (ISSN:03899098)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.22-28, 1995-02-10 (Released:2011-08-11)
参考文献数
8

Intravenous hyperalimentation (IVH) treatment has been used in Japan since 1970, many hospitals applying this treatment to patients and receiving good results. Since the introduction of IVH treatment, its prescription and technique of this treatment have improved as a result of the many experiments and clinical reasearch conducted.In this study on the pharmacist's safety while adjusting IVH, it was forcused mainly on the amount and the size of the scattering glass fragments and the distance they traveled when an ampoule is opened.The results of the experiment were follows.(1) The number of glass fragments for those larger than 30μm only Scattered was from a minimum of 2 to a maximum of 33. The largest glass fragment found in each of the three samples used was 182.7μm, 238.3μm, and 126.1μm for Ohtsuka MV® Sohvita®, and distilled water, respectively.(2) Many fragment were from 30μm to 40μm in size, with fragments of this size were contained in each sample as follows: 53.50%, 46.30%, and 57.95% in Ohtsuka MV®, SohvitaR, and distilled water, respectively.(3) It was found that glass fragments could scatter up to 80cm in distance away from the ampoule.
著者
Keishi Kameyama Kikuji Itoh
出版者
Japanese Society of Microbial Ecology · The Japanese Society of Soil Microbiology
雑誌
Microbes and Environments (ISSN:13426311)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.427-430, 2014 (Released:2014-12-19)
参考文献数
23
被引用文献数
77 288

The aim of the present study was to identify bacteria that may contribute to the onset of metabolic dysfunctions. We isolated and identified a candidate bacterium belonging to Lachnospiraceae (strain AJ110941) in the feces of hyperglycemic obese mice. The colonization of germ-free ob/ob mice by AJ110941 induced significant increases in fasting blood glucose levels as well as liver and mesenteric adipose tissue weights, and decreases in plasma insulin levels and HOMA-β values. These results indicated that the specific gut commensal bacterium AJ110941 influenced the development of obesity and diabetes in ob/ob mice with genetic susceptibility for obesity.
著者
矢部 明
出版者
Japan Health Physics Society
雑誌
保健物理 (ISSN:03676110)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.163-172, 1972 (Released:2010-02-25)
参考文献数
35
著者
鹿野 忠雄
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.11, no.12, pp.1027-1055, 1935-12-01 (Released:2008-12-24)
参考文献数
4
著者
村田 浩平
出版者
Arachnological Society of Japan
雑誌
Acta Arachnologica (ISSN:00015202)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.83-96, 1995 (Released:2007-03-29)
参考文献数
22
被引用文献数
9 10

水田の栽培管理が水稲害虫の有力天敵であるクモおよびその餌昆虫の発生消長に与える影響を明らかにするために, 農薬および化学肥料を使わない保全田と慣行田において調査を行った. 1990年と1991年に, 水田内および畦畔においてクモおよび餌昆虫の個体数をスイーピソグ法によって調査し次のような結果を得た.1. 畦畔を含む水田環境では, 10科から14科のクモが採集された. 各水出とも水田内のクモの個体数はアシナガグモ科, カニグモ科, フクログモ科の順に多かった.2. 保全田の水田内では慣行田に比べてクモの個体数が明らかに多く, その差は2倍以上であった. 特に保全田では慣行田に比ベアシナガグモ科, カニグモ科, ハエトリグモ科の個体数が多かったのが特徴である. 保全田と慣行田のこのような違いは, 栽培管理の違い, 特に水管理によると考えられた.3. 水田内と畦畔のクモ相を比較すると, 両年とも畦畔が科数, 個体数ともに多い傾向がみられた. このことは, 畦畔が天敵としてのクモの温存場所として重要であることを示唆すると考えられる.4. 全ての調査水田でウンカ, ヨコバイの発生消長とクモの発生消長が重なる傾向が見られ, この傾向はウンカに比べヨコバイに対してより強かった.5. 保全田では慣行田に比べてユスリカの個体数が多く, これはクモの密度を維持するうえで重要であると考えられた.以上のことから, クモを天敵として有効に活用するためには, 農薬の使用を避け, 春期にはゲソゲを栽培し, 落水時も水田内を完全に干上がらせないことによって, ウンカ, ヨコバイの発生の間隙においても餌昆虫の安定した供給を計ること, 畦畔の除草回数を減らしクモの温存場所を確保することが重要であると考えられた.
著者
結城 憲司 結城 憲司
巻号頁・発行日
2019-09-12
著者
田中 孝治 三輪 穂乃美 池田 満 堀 雅洋
出版者
日本認知心理学会
雑誌
認知心理学研究 (ISSN:13487264)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.11-25, 2019-08-31 (Released:2019-09-14)
参考文献数
51

本研究では,一般的な知識として適切な行動を問う知識課題と自身が実際に選択する行動を問う意図課題を用いて,大学生を対象に知識と行動意図の不一致について検討を加えた.実験1・2では,実験参加者が適切な知識を有しているにもかかわらず情報モラルに反する行動意図が形成されることが示された.実験1では,大学生のほうが高校生に比べて知識保有の割合は高く,適切な行動意図形成の割合が高かった.実験2では,計画的行動理論の要因(行動に対する態度,主観的規範,行動コントロール感)から検討を加えた.意図課題で遵守行動を選択した場合は,要因にかかわらず,肯定的に評価する行動を選択していることが示された.一方,不遵守行動を選択した場合は,要因ごとに異なる結果が得られた.態度については,遵守行動を肯定的に,不遵守行動を否定的に評価しており,行動コントロール感については,不遵守行動は容易であり,遵守行動は困難であると評価していることが示された.主観的規範については,遵守行動と不遵守行動を同等に評価していることが示された.
著者
Noriho Sakamoto Hiroshi Ishimoto Shota Nakashima Hirokazu Yura Takuto Miyamura Daisuke Okuno Atsuko Hara Takeshi Kitazaki Tomoyuki Kakugawa Yuji Ishimatsu Minoru Satoh Hiroshi Mukae
出版者
The Japanese Society of Internal Medicine
雑誌
Internal Medicine (ISSN:09182918)
巻号頁・発行日
vol.58, no.6, pp.837-841, 2019-03-15 (Released:2019-03-15)
参考文献数
19
被引用文献数
24

Anti-melanoma differentiation-associated gene 5 (anti-MDA5) antibody is associated with rapidly progressive interstitial lung disease (RP-ILD) in patients with clinically amyopathic dermatomyositis (CADM) or dermatomyositis (DM). We herein report three Japanese cases of anti-MDA5 antibody-positive RP-ILD without signs of CADM or DM. High-resolution computed tomography revealed patchy or subpleural distribution of consolidations and/or ground-glass opacities accompanied by traction bronchiectasis. All patients succumbed to respiratory failure within two months. Anti-MDA5 antibody-positive RP-ILD without signs of CADM or DM should be included in the differential diagnosis of acute/subacute ILD. Measurement of anti-MDA5 antibody and an intensive immunosuppressive regimen might rescue these patients from RP-ILD.
著者
設楽 博己
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.49, pp.7-46, 1993-03-25

いったん遺体を骨にしてから再び埋葬する葬法を、複葬と呼ぶ。考古学的な事象からは、死の確認や一次葬など、複葬制全体を明らかにすることは困難で、最終的な埋葬遺跡で複葬制の存在を確認する場合が多い。そうした墓を再葬墓、その複葬の過程を再葬と呼んでいる。東日本の初期弥生時代に、大形壺を蔵骨器に用いた壺棺再葬墓が発達する。その起源の追究は、縄文時代の再葬にさかのぼって検討する必要がある。縄文後・晩期の再葬は、普遍的葬法といえるものはまれであるものの、南東北地方から近畿地方にいたる比較的広い地域に広がっていた。再葬法には遺骨を集積した集骨葬や、土器に納めた土器棺再葬、人骨を破壊して四角く組んだ盤状集骨葬や、人骨を焼いて埋葬した焼人骨葬などがあり、けっして縄文後・晩期の再葬も一様ではない。縄文時代には、生前の血縁関係や年齢に応じたつながりを死後も維持するためと思われる合葬がしばしばおこなわれるが、再葬のひとつの要因として合葬が考えられる。そうした再葬を伴う合葬のなかには、祖先や集落の始祖に対する意識の萌芽的な側面が指摘できるものもある。しかし、同様な形態の再葬でもその内容が同じとはいえず、さらに長い年月の間、その性格も不変のものではありえないと思われる。地域間の相互交流、再葬の際の骨の扱い方の変化など再葬法の時代的な変化を整理することにより、そうした多様性の内実に近づくことが可能だろう。中部高地の縄文晩期の再葬の特色は、多人数の遺骸を処理する焼人骨葬であり、それは北陸に広がり、伊勢湾、近畿地方に伝播した。一方、中部高地には伊勢湾地方の集骨葬が影響を与えた可能性がある。再葬の際の骨の取り扱い方という点では、縄文後期に顕著であった全身骨再葬と、頭骨重視の傾向が晩期初頭~前葉にも引きつがれる一方、それ以降部分骨再葬や中期にさかのぼる遺骨破壊の行為も比較的広範囲に広まるように、晩期前葉を過渡期として遺骨の取り扱いにも変化がみられるようになる。晩期中葉の近畿地方では部分骨再葬と結びついた土器棺再葬をおこなっていた。土器棺再葬を部分骨再葬とみなせば、焼人骨はその残余骨の処理であったと考えられ、遺骨破壊の必要性が高まった反面、遺骨保存の措置が採られた二重構造を想定することができる。多様な再葬の形態と相互の影響関係が認められる近畿地方から中部高地の内陸地帯で、晩期中葉には集骨葬が衰退するなか、類例は少ないが土器棺再葬と焼人骨葬が晩期終末まで継続するのは、弥生時代の壺棺再葬墓の成立を考えるうえで重要な現象である。
著者
平本 匡寛 望月 寛 高橋 聖 中村 英夫 Hiramoto Tadahiro Mochizuki Hiroshi Takahashi Sei Nakamura Hideo
雑誌
【全国大会】平成19年電気学会全国大会論文集
巻号頁・発行日
pp.264, 2007-03-15

鉄道システムの保安装置の多くに使用されている変周式ATS の地上子の状態監視技術について提案する。ATS地上子のQ値管理は、安全性確保のためには必須の要件である。このため、沿線に配置されたATS地上子を定期保全によりQ値測定装置で計測している。一方、省力化を目的として車上からATS地上子のQ値を検測することもおこなわれているが、レベル管理が主体であり正確なQ値計測と対応性の点で問題がある。提案する手法は車上子の電流値検測によりQ値を算出するもので、地上子対アンテナ間の距離や相互誘導係数値によらない安定した計測ができる。