著者
山下 公輔
出版者
日本小児血液・がん学会
雑誌
日本小児血液・がん学会雑誌 (ISSN:2187011X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.214-218, 2017

<p>公益財団法人がんの子どもを守る会は,1968年に小児がんで子どもを亡くした親によって設立された小児がん親の会であり, 本部及び21の支部を通じ小児がん克服のための幅広い活動をしている.2月15日の国際小児がんデー (International Childhood Cancer Day: ICCD)は,国際的に展開されている小児がん啓発の日である.当会では,2012年よりこの日を活用した啓発活動を展開しており,現在は同日を中心とした前後約1か月間,全国の支部でイベントや街頭募金を実施している.グッズとしてカード,ティッシュ,Tシャツ等を準備し,小児がんに対する関心を募るツールとし,新聞やテレビ等のメディアにニュースを配信するなど,広く社会に発信をしている.参加者は,親や経験者に加え,県庁,図書館,保健所等の公的機関,病院等医療機関,そして企業や学生ボランティア等の個人と,年々幅が広がってきている.初期の2012年~2013年は啓発カード配布が中心であったが,2014年以降はオリジナルTシャツを募金額に応じ頒布,また,小児がんの子どもが描いた絵のパネルの展示などツールの拡大を図り,全国各所での募金活動,イベント活動を展開している.2016年にはゴールドリボン・ツリーへのリボン付けの呼びかけ,小児がんのシンボルマークであるゴールドリボンの普及にも力を入れた.今後も引き続き,日本における小児がんへの理解向上と,併せてシンボルマークのゴールドリボン普及に向けて,積極的な活動を展開してゆきたい.</p>
著者
末吉 雄二
出版者
慶應義塾大学
雑誌
哲學 (ISSN:05632099)
巻号頁・発行日
vol.83, pp.111-135, 1986-11

This paper reinvestigates the old but yet controversial problem : what is the most decisive factor for the formation of Giotto's art? The role of Byzantine "volume style" in the development of italian painting during the 13th century-a role which the famous byzantinist Kitzinger defined as that of midwife-must not be overestimated. Because the 14th century italian painters, patrons and literary men had the awareness that their contemporal painting was "moderna" and that there was a gap between the painting before Giotto and after. The reception of a style does not always occur wherever the channels of transmission exist. It needs aspiration or sympathy for the art and the society which creates the art. Nicola Pisano and his "bottega" is known as the channel through which the Gothic art spread into Italy. Giotto was sure to have a contact with this "bottega", so the Gothic sculpture at least was available to him. In the Scrovegni Chapel, Giotto represented Gothic architectures with the pointed arch, a characteristic formal element of Gothic architecture, as the symbol of the ideal and spiritual world. Here we can see Giotto had the aspiration for the Gothic art. And the church of San Francesco in Assisi where Giotto's new art was formed was rebuilt and decorated under the edict by Innocent III, which expressed clearly the aspiration for the Gothic art and culture. The importance of the role of Gothic sculpture for the creation of the new painting by Giotto deserves special emphasis.
著者
川久保 嘉昭 竹井 謙之 泉 光輔 山科 俊平 今 一義 榎本 信行 鈴木 聡子 池嶋 健一 大久保 裕直 佐藤 信紘
出版者
順天堂大学
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.73-81, 2007-03-31
参考文献数
27

目的: 肝星細胞は肝障害が継続すると筋線維芽細胞様細胞に形質転換し,コラーゲンをはじめ,細胞外マトリクスを過剰産生し,肝線維化機序の中心的な役割を果たす.このため,活性化した星細胞に細胞死を誘導することができれば,肝線維化抑制につながると期待される.グリオトキシンは活性化した星細胞にアポトーシスを引き起こすことが知られているが,その分子機序は明らかではない.一方,inverse genomicsの手法は,ランダムな切断配列をもつリボザイムライブラリーを導入し,細胞の表現型・性質を変化させる刺激を与えた際,変化が起こらなかった細胞からリボザイムを単離し,その塩基配列を知ることで表現型変化に関わる機能遺伝子を同定することが可能である.われわれはこの手法を用いてグリオトキシンによる星細胞のアポトーシスに関わる遺伝子の探索を行った.対象・方法: 株化星細胞であるHSC-T6にリボザイムライブラリーを搭載したプラスミドをトランスフェクションし,48時間後にグリオトキシン(1.5μM)を培養液に添加して24時間培養後,生存細胞からプラスミドを回収した.このグリオトキシンによるセレクションを3回繰り返した後にリボザイムを単離してシークエンス解析を行い,その配列情報をもとにアポトーシス関連遺伝子の検索をデータベース上にて行った.結果: われわれは20の星細胞アポトーシスに関わる候補遺伝子の配列を得た.その中の1配列は,カスパーゼ7に相補性を有していた.同配列を持つリボザイムをHSC-T6に導入したところ細胞はグリオトキシンによるアポトーシスの誘導に抵抗性を示した.結論: 以上の結果によりグリオトキシンによるアポトーシスの誘導にはカスパーゼ7が関与していることが示唆された.またinverse genomicsによるアプローチは,肝星細胞のアポトーシスに関わる機能遺伝子の探索に有用であることが示唆された.
著者
加藤 直哉
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.67, no.Suppliment1, pp.14-16, 2004-05-27 (Released:2011-08-11)
参考文献数
16

Spectral sensitivity of CCD color filters is one of the most important factors that determine essential image quality of an electronic camera. such as color reproduction and noise. Therefore, it is highly important to appropriately evaluate and optimize the CCD color filter characteristics. This paper introduces a new method for two-dimensional visualization of a tradeoff between color and noise properties. It was proved that newly-developed 4-color-CCD camera has advantages against conventional filter sets.Also, an extended-gamut color space is essential to accurately store colors that are out of sRGB-gamut, and sYCC color space was used here. The sYCC color space was compared with other extended-gamut color spaces, such as Adobe/RGB, with evaluation of the media gamut cover ratio and the quantization level interval.
著者
吉田 博 藤本 水石 林 淳三
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.122-129, 1991

クリタケの栄養世代における栄養要求性(無機塩類,ビタミン類,核酸関連物質,植物ホルモン)を基礎培地を設定して静置培養法により検討した.<BR>(1) 燐酸カリウムおよび硫酸マグネシウムはクリタケの栄養生長に不可欠であり,添加量の増加に伴い生育速度ならびに菌糸体収量は増加し,30mg/lの濃度で最大生長に達した.硫酸亜鉛も生長促進効果を示し,3mg/<I>l</I>の濃度で最大生長に達した.<BR>(2) チアミンは栄養生長に不可欠であり,添加量の増加に伴い生育速度ならびに菌糸体収量は増加し,30μg/<I>l</I>の濃度で最大生長に達した.しかし,チアミンの単独添加では栄養生長は不十分であり,他の8種のビタミン類(ニコチンアミド.リボフラビン,パントテン酸,ピリドキシン,葉酸,シアノコバラミン,ビオチン,イノシトール)の添加により栄養生長は促進された.<BR>(3) 核酸塩基(アデニン,グァニン,シトシン,チミン,ウラシル,オロット酸),ヌクレオシド(アデノシン,グアノシン,シチジン,イノシン,ウリジン,チミジン),ヌクレオチド(アデニル酸,グアニル酸,シチジル酸,ウリジル酸)は生長促進効果を示したが,核酸塩基類,ヌクレオシドおよびヌクレオチド間の効果には顕著な差は認あられなかった。<BR>(4) IAA, NAAおよびGA<SUB>3</SUB>は1mg/<I>l</I>の濃度で若干の生長促進効果を示したが,IAAおよびNAAは10mg/<I>l</I>の濃度で逆に生長阻害作用を示した.
著者
秋 亜綺羅
出版者
思潮社
雑誌
現代詩手帖 (ISSN:13425544)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.220-223, 2015-01
著者
山田 健太
出版者
日本出版学会
雑誌
出版研究 (ISSN:03853659)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.3-44, 2010-03-20 (Released:2019-03-31)

本稿は,グーグル・ブック検索訴訟を巡る問題を表現の自由の観点から論じたものである.グーグルが著者に無断でスキャニングしたデジタル書籍データを利用して,インターネット上での閲覧や購読配信をすることに対し,米国の作家・出版社が提訴をし,当事者間での和解がまとまった.しかしながら,グーグルのスキャニング行為は日本の著作権法上違法な行為であるほか,一私企業による情報・情報流通の独占による出版の多様性への悪影響などが考えられる.その根底には日米間の著作権法制や出版慣行の違いについての無理解や,表現行為に関わる企業としてのありようなど,多くの問題が伏在している.
著者
金沢 定一 大谷 昌朗 佐藤 徹雄
出版者
社団法人 日本化学会
雑誌
日本化學雜誌 (ISSN:03695387)
巻号頁・発行日
vol.80, no.5, pp.517-521, 1959
被引用文献数
1

メチル-β-D-リボフラノシドをトシル化し生成物をカラムクロマトグラフィーによって分離したところモノ,ジおよびトリトシル誘導体が得られた・これらの化合物のうちモノトシル体のアセタートをヨウ化ナトリウムと反応させメチル-2,3-ジ-O-アセチル-5-デオキシ-5-ヨ一ド-β-D-リボフラノシドとしたのち,これに塩化水素を作用させたところ2,3-ジ-O-アセチル-5-デオキシ-5-ヨード-Dリボフラノシルクロリド(リボースの1,5-ジハロゲン体)が得られた。また・ジおよびトリトシル体もヨウ化ナトリウムと反応させたところ,5位のトシル基のみがヨウ素で置換され,相当する5-デオキシ-5-ヨード体が得られた。同様にして・ベンジル-β-D-リボフラノシドからも同じようなトシル誘導体および5-デオキシ-5-ヨ_ド誘導体が得られた。これらの5-ヨード誘導体のうちベンジル-2,3-ジ-O-アセチル-5-デオキシ-5-ヨード-β-Dリボフラノシドに塩化水素を作用させたところ・メチルーリボシドの場合と同様にリボ一スの1,5-ジハロゲン体をうることができた。
著者
木嶋 彰
出版者
一般社団法人 色材協会
雑誌
色材協会誌 (ISSN:0010180X)
巻号頁・発行日
vol.75, no.5, pp.243-248, 2002-05-20 (Released:2012-11-20)
参考文献数
6
著者
片平 理子 松井 亜友 芦原 坦
出版者
日本植物生理学会
雑誌
日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.303, 2007

ピリジンヌクレオチドであるNAD(P)は単に酸化・還元反応のみならず、転写やシグナル伝達に関与することが明らかになってきた。ピリジンヌクレオチドのターンオーバー(分解と再合成)は、ピリジンヌクレオチドサイクル(PDC)によりなされるが、生物種によりサイクルの構成酵素は異なる。植物では、PDCは、動物よりも多くの構成酵素からなり、さらにサイクルから派生してトリゴネリンやニコチン酸グルコシドが生産されるなど特有な代謝経路があることが推定されるが、その詳細は明らかにされていない。本研究では、植物におけるPDCの特徴を、ジャガイモ、ミヤコグサ、モヤシマメなどの植物を用い、標識化合物の代謝と関連酵素活性についての実験データと、遺伝子データベースから調べ、動物のPNCと比較した。各植物で、NAD→ニコチンアミドモノヌクレオチド→ニコチンアミドリボシド→ニコチンアミド→ニコチン酸→ニコチン酸モノヌクレオチド→ニコチン酸アデニンジヌクレオチド→NADの7酵素が関与するPNCVIIが機能しうることが示された。これ以外にも、ニコチン酸リボシドを経由するサイクルの存在も示唆された。このサイクルの中間産物であるニコチン酸の一部は、トリゴネリンやニコチン酸グルコシドに変換されるが、どちらに変換されるかは、植物種や器官により異なった。植物におけるこれらのニコチン酸抱合体の役割について考察する。
著者
入山 恭寿 田中 優実 林 晃敏 大久保 將史 本山 宗主 喜多條 鮎子 館山 佳尚 獨古 薫 松井 雅樹 藪内 直明 雨澤 浩史
出版者
名古屋大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2019-06-28

イオンが電荷キャリアに含まれる材料(=蓄電固体材料)の界面で発現する特異なイオンダイナミクスの機構を解明し、イオンを自在に超高速輸送・高濃度蓄積し得る界面構築のための指導原理を確立します。A01界面構築(高制御界面)、A02高度計測、A03計算・データ科学、A04機能開拓(ナノ界面)の4つの計画研究のもと、化学・物理・情報・材料の分野を融合し、新たな「蓄電固体界面科学」の学理構築に向けて、本研究は領域の研究支援活動を効率的かつ効果的に行うための運営を中心に領域活動に貢献します。
著者
濱脇 諒 和泉 潔 坂地 泰紀 米納 弘渡
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, pp.2P202, 2018

<p>ある企業の倒産が原因となり、その他の企業まで倒産し、ドミノ倒しのように倒産が続くことを連鎖倒産と呼ぶ。本研究では、エージェントシミュレーションを用いて、「銀行の保有する市場性資産の価格変動」と「銀行間の貸借ネットワーク形状」を変化させた時の銀行の連鎖倒産への影響を調査した。得られた結果は以下の通りである: (1)市場性資産の価格の変動率が高いほど最終的な倒産数も増加する; (2)リンク密度が高いほど最終的な倒産数は減少する。これらの結果は、銀行の連鎖倒産の原因が、資産市場の価格変動と銀行間の貸借のどちらか一方ではなく、両方であることを示唆している。</p>