著者
KASAHARA Yuji GOTO Hirozo SHIMADA Yutaka SEKIYA Nobuyasu YANG Qiao TERASAWA Katsutoshi
出版者
和漢医薬学会
雑誌
和漢医薬学雑誌 = Journal of traditional medicines (ISSN:13406302)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.51-57, 2002-04-20
参考文献数
24
被引用文献数
2

自然発症高血圧ラット(SHR)摘出胸部大動脈におけるキサンチン-キサンチンオキシダーゼ(XOD)誘発血管収縮反応に対する桂皮エキスおよびケイヒアルデヒド(CA)の収縮抑制作用についてオルガンバス法を用いて検討した。キサンチン-XOD誘発血管収縮反応は,SHR対照群と比較して,桂皮エキス(10^<-4>g/ml)前処置群,CA(10^<-4>M)前処置群で,有意に抑制されていた。キサンチン-XOD収縮反応時のトロンボキサンB_2(TXB_2)産生量は,SHR対照群と比較して,桂皮エキス(10^<-4>g/ml)群,CA(10^<-4>M)群で,有意に抑制されていた。CAのTX産生抑制の機序を検討するため,フォスフォリパーゼA_2(PLA_2)誘発血管収縮反応に対する収縮抑制作用について検討したところ,PLA_2誘発血管収縮反応はSHR対照群と比較して,CA(10^<-4>M)群で,有意に抑制されていた。PLA_2収縮反応時のTXB_2産生量は,SHR対照群と比較してCA(10^<-4>M)群で,有意に抑制されていた。以上のことから,桂皮は,血管収縮因子であるTXA_2抑制作用を持つ生薬である可能性が示唆された。
著者
平石 隆敏
出版者
京都教育大学附属教育実践総合センター
雑誌
教育実践研究紀要 (ISSN:13464604)
巻号頁・発行日
no.7, pp.85-94, 2007-03

教員免許必修科目である「総合演習」において、筆者は2003年度、2004年度、そして2006年度と「NIE入門講座」を内容とした授業をおこなってきた。大学での座学にとどまらず、NIE実践を体感してもらう目的で、2006年度は附属桃山中学校でのNIE授業「ハロー・ニュースペーパー」への参加を授業の一部に取り入れようと試みた。時間割の都合で参加できた学生は少数であったが、中学生と大学生との三回のコラボレーション授業の試みにより多くの成果をえることができた。
著者
向吉 秀樹 林 広樹 内田 嗣人 吉崎 那都 武田 哲也 後藤 和彦 関根 秀太郎 笠原 敬司
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.124, no.5, pp.361-366, 2018-05-15 (Released:2018-06-30)
参考文献数
15
被引用文献数
2

In 1997, two strong earthquakes occurred on March 26 (Mj6.6) and May 13 (Mj6.4) in the northwestern part of Kagoshima Prefecture, Japan (termed the 1997 Northwestern Kagoshima Earthquakes). However no seismogenic faults associated with these earthquakes had previously been recognized at the surface. In this study, we report structural observations from newly recognized fault outcrops located 1.5 and 2 km southwest of the epicenter of the Mj6.6 earthquake. One outcrop consists of the Miocene Shibi-san Granodiorite, which is unconformably overlain by lower sandy loam, lower humic soil, upper sandy loam, and upper humic soil layers that are clearly offset by steeply dipping faults. We measured ~ 40 cm of vertical separation of the contact between the lower sandy loam and lower humic soil layers along a WNW-trending fault, above which the ground surface flexed upward by about 20 cm. The second outcrop is a streambed exposure of the Shibi-san Granodiorite that shows a 30-cm-thick layer of foliated cataclasite along a fault plane, with textural evidence of sinistral slip.
著者
廣瀬 知二
出版者
公益社団法人 日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科学会誌 = Annals of Japan Prosthodontic Society (ISSN:18834426)
巻号頁・発行日
vol.5, no.3, pp.272-280, 2013-07-10
参考文献数
50
被引用文献数
1

<b>目的:</b>素材の異なる各種市販ノンクラスプデンチャー材料の特徴を,曲げ特性の面から明らかにする.<br><b>方法:</b>ノンクラスプデンチャー材料(ポリアミド系樹脂:ルシトーンFRS,ポリカーボネート系樹脂:レイニング樹脂,ポリエステル系樹脂:エステショット,アクリル系樹脂:アクリトーン),加熱重合型アクリル樹脂(アクロン)を対象に,成形したままの試験片(乾燥)と30日間水中浸漬試験片(浸漬)の3点曲げ試験を行った.応力-ひずみ曲線を作成し,曲げ強さ,曲げ弾性係数,0.05% 耐力を算出した.得られたデータについて各材料の比較,材料ごとの乾燥と浸漬の比較を行った.<br><b>結果:</b>応力-ひずみ曲線は,アクロンが脆性材料の特徴を示すのに対し,ノンクラスプデンチャー材料はいずれも靱性材料の特徴を示した.曲げ強さはレイニング樹脂を除き,アクロンに比べ有意に小さい値を示した.曲げ弾性係数はいずれのノンクラスプデンチャー材料も,アクロンに比較して有意に小さい値を示した.0.05% 耐力はエステショットが他のノンクラスプデンチャー材料に比較して有意に大きい値を示した.アクリトーンの曲げ強さ,曲げ弾性係数,0.05% 耐力は浸漬が乾燥に比べ有意に小さい値を示した.<br><b>結論:</b>各材料の曲げ特性は素材となる樹脂の性質に基づくことが示唆された.ノンクラスプデンチャーの症例選択,義歯設計には材料の基礎的物性を把握した上での十分な配慮が必要である.
著者
小原 美枝 中村 孝之 安藤 秀俊
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 37 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.262-263, 2013-09-06 (Released:2018-05-16)

本研究は数学と理科の関連性を重視した高等学校での学習指導プログラムを構築することを目的とし,フィボナッチ数列と黄金比に着目し,自然の中に見られる数学の法則を見つける授業を提案,予備実践を行った。その結果,企画したプログラムは生徒に好意的に受けとめられた。
著者
坂東 芳行 倉石 迪夫 西村 誠 服部 真 竹下 功
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.14, no.6, pp.803-809, 1988-11-10 (Released:2009-10-21)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

ガス吸込み式気液同時吹込みノズルを備えた気泡塔の流動特性について実験的に検討した.吸込みガス量およびガスホールドアップは, 液流量の増加につれて, 増大した.また, 前回報告したエアリフトと気液同時吹込みノズルを組合せた場合と比較した.本測定条件下では, 吸込みガス量についてのノズル部の最適寸法は次のようであった.ノズル長さ/ノズル径= 20 ~ 30オリフィス径/ノズル径 =0.5 ~ 0.6また, ノズル径 30mm以下では, ノズル径が大きいほど, 動力当たりの吸込みガス量は高くなった.一方, ガスホールドアップについては, 操作条件により最適ノズル径が変った.気泡塔内においては, エアリフトと組合せた場合と同様, 噴流部および斉流部が観察され, 気泡径は小さく, ガスホールドアップおよび気液界面積は高くなった.ガスホールドアップ, 気液界面積のエネルギー効率は本方式の方がエアリフト式よりも高かった.
著者
小佐野 豪績
出版者
日経BP社
雑誌
日経情報ストラテジ- (ISSN:09175342)
巻号頁・発行日
vol.19, no.7, pp.12-15, 2010-08

2010年4月に宅配便最大手のヤマトホールディングスのCIO(最高情報責任者)に就任した小佐野豪績執行役員(45歳)は異色の経歴を持つ。2005年までヤマト運輸の情報システム部門で基幹システム開発リーダーとして活躍したが、プロジェクト半ばで異動。4年11カ月間、ヤマト本体を離れて関連会社のヤマトリースとボックスチャーターで社長を歴任した。
著者
戴 玉才
出版者
林業経済学会
雑誌
林業経済研究 (ISSN:02851598)
巻号頁・発行日
no.127, pp.185-190, 1995-03
被引用文献数
2

中国の国有林地域は,従来から社会的・経済的諸条件によって人口が希薄であった。国有林は主に「組織移民」,「官民協力移民」,「復員対策移民」という政策によって人口の多い黄河,長江下流域からの未婚中壮年農民や解放軍の除隊兵士を主体に移民させることによって森林開発に必要な労働者を求めた。国有林企業を中心とする地域の社会基盤の整備と移民労働者とその家族の定住によって辺鄙な奥地に地域社会が形成された。国有林地域への大規模な移民は,10年間ほど続けられたが,1960年代にはほぼ停止された。しかし少数の移民は1970年代後半まで続けられた。1980年代に入り,国有林労働者は,ようやく地域内の高校,中学卒業生やUターンして戻った大学,専門学校卒業生および復員兵士で地域内供給できるようになり,移民政策は完全に終止符を打った。国有林経営が単なる森林開発から林産物生産以外に係わる多角経営に取り組むにつれて,移民労働者の就業は森林開発の一極集中から離脱し,森林経営,木材加工,一般的産業及び社会部門へと分流し,多元的就業構造が形成されている。
著者
江島 尚俊
出版者
田園調布学園大学
雑誌
田園調布学園大学紀要 = Bulletin of Den-en Chofu University (ISSN:18828205)
巻号頁・発行日
no.10, pp.137-151, 2016-03

本稿においては,“日本倫理学史”を大学という視点から明らかにしていくべく,1874(明治7)年度から1881(明治14)年度の東京大学(前史を含む)における「ethics」の教育課程に着眼し調査を行った。その結果,この時期では「倫理学」という名称の科目は設置されておらず,「修身学」,「道義学」という名称であったこと,かつ,それらの科目はサイルやクーパーといった外国人教師が担当していたことを明らかにした。なお,そこでの内容は現在でいう「史学」,「心理学」が教授されていた。「倫理学」概念が大きく変化したのが1881(明治14)年度であり,井上哲次郎によってであった。井上は,「倫理問題」ではなく「倫理学問題」を解決するための学問として「倫理学」を定義し,「倫理学」の学問領域の確定を試みていたが,その背景には,「東洋」の再発見という文化史的な背景が存在していたことを論じた。