著者
杉本 毅 松本 征 丸山 伊広 TUYOSI SUGIMOTO SUSUMU MATUMOTO TADAHIRO MARUYAMA
出版者
京都府立大学学術報告委員会
雑誌
京都府立大学学術報告 農学 (ISSN:00757373)
巻号頁・発行日
no.21, pp.46-53, 1969-10

ハナキンポウゲの害虫キツネノボタンハモグリバエの個体群動態を研究するために, 先ず卵, 幼虫の密度および寄主植物の葉面積の推定法を検討した。1)卵および幼虫各令期における, 葉を抽出単位としたときの空間分布はいづれも集中的であることがわかった。よって資料の分散分析を行なうには予めもとの値xをsinh^<-1>√<(β-1)/(α-1)>xに変換すべきである。2)葉当り卵および幼虫数は枝タイプの間で有意差が認められるが, 株の間には認められなかった。他方, 葉当り葉面積は枝タイプおよび株の間に有意差が認められた。3)株当り葉数の変動を知るために, 便宜上株当りの枝数と枝当り葉数の変動を別々に検討した結果, 両者とも株間, 枝タイプ間に大した差はなく, したがって株当り葉数はこれらの要因によってあまり影響を受けないようである。4)株当り葉数と葉当り虫数または葉当り葉面積の間には相関は認められない。すなわちそれぞれ2つの量は互に独立変数として扱うことができる。他方, 葉当り虫数と葉当り葉面積の間にはかなり高い相関が認められた。5)以上から株当り虫数の有効な推定値を得るには枝タイプによって, また株当り葉面積の推定値をより効率よく求めるには, 技術上のはん雑を避けるために株間変動を無視して枝タイプによって母集団を2つに層別するのが望ましい。6)以上の分析に基づいて株当りの虫数, 株当りの葉面積および単位葉面積当りの虫数の推定法を示した。In the present paper it was intended to establish the sampling design to estimate the population density of the leaf mining fly, Phytomyza ranunculi, and the surface area of leaves of the garden ranunculus, Ranunculus asiaticus, as its host plant. The insect population distributed spacially in the overdispersed pattern in all stages of egg and larva. So the original counts (x) should be transformed to sin h^<-1>√<(β-1)/(α-1)>x before the analysis of variance. It was recognized that the number of insects per leaf varied significantly between branch types but did not between plants. On the other hand, the surface area of leaf of host plant per leaf differed significantly both between branch types and between plants. To know the variation of the number of leaves per plant, the number of branches on a plant and the number of leaves per branch were separately subjected to the analysis. The result showed that there were no significant differences between branch types and between plants. Also because there was no significant correlation between the number of leaves per plant and the number of insects per leaf or the surface area of leaf per leaf, two values in each pair seem to be independent of each other. The significant correlation, however, was recognized between the number of larvae per leaf and the surface area of leaf per leaf. From above analyses the population should be stratified basing upon the branch types so as to obtain the more efficient estimates of the number of insects per plant, of the surface area of leaf per plant and of the number of insects per unit surface area of leaf. The last section shows the methods to estimate those values by the subsampling or two-stage sampling with primary units of unequal size.
著者
切明 美保子 久保 宣子 小笠原 みや子
出版者
八戸学院大学
雑誌
八戸学院大学紀要 (ISSN:21878102)
巻号頁・発行日
no.56, pp.141-149, 2018-03-30

高齢者看護実習前後の看護学生の高齢者のイメージ変化を明らかにする目的で、高齢者のイメージについての調査を実習前・2週間後・終了後の3回実施した。実習前は高齢者に肯定的イメージを持っていた。高齢者との同居経験者や祖父母が好きと感じている人が多いことや、9割の学生が基礎看護学実習で高齢者を受け持っていたこと、実習では患者に受け入れられた印象を持っていたことが要因と考える。実習後は高齢者看護への関心は上昇したが、イメージは肯定的ではあったが実習前より低下していた。高齢者看護実習Ⅰ後にⅡを行った群は、終了後にはイメージが低下していたが、実習Ⅱ後にⅠを行った群は、終了後に上昇していたことは、実習の内容による違いと考えられる。
著者
富岡 啓介 森 充隆 佐藤 豊三
出版者
日本植物病理學會
雑誌
日本植物病理学会報 (ISSN:00319473)
巻号頁・発行日
vol.65, no.6, pp.620-623, 1999-12-25
参考文献数
9
被引用文献数
2

1999年3月,香川県の施設で栽培中のラナンキュラス(ハナキンポウゲ;Ranunculus asiaticus L.)に灰色かび病の典型的な症状を呈する病害が確認された。葉,茎および花に,初め水浸状の不整形病斑が現れ,病斑はしだいに褐変・乾燥しながら拡大・癒合し,それら器官が腐敗して株全体が早期枯死に至る。病斑上には肺&sim;灰褐色のビロード病の菌体が観察され,その出現は多湿条件で促進された。この菌体では典型的なBotrytis属菌の分生子柄と分生子がみられ,本菌を主にその形態的特徴からB. cinerea Person:Friesと同定した。本菌分離菌株の分生子を健全宿主に接種した結果,原病徴が再現されるとともに接種菌が再分離され,同菌の病原性が確認された。本病はすでに記録のあるラナンキュラス灰色かび病と思われた。しかし,病徴とともに病原菌の同定根拠および病原性に関する報告がない。本研究はその科学的根拠を示すものである。
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1380, pp.32-36, 2007-02-26

半導体、パソコン、インターネット検索…。20世紀後半、世界の人々の生活を変えた技術革新のほとんどは、米国で生まれた。中でもハイテク分野で新技術を生み出し、その発信源の役割を担ってきたのが「シリコンバレー」だ。 世界の優秀な技術者が米国に留学して、シリコンバレーで起業し、成功を収めた企業が米国経済の牽引役になってきた。
著者
田中 昭二
出版者
日経BP社
雑誌
日経エレクトロニクス (ISSN:03851680)
巻号頁・発行日
no.827, pp.144-150, 2002-07-29

今,日本のコンピュータ産業は崩壊の危機にひんしている。かつて1960年代に「日の丸コンピュータ」を旗印にして,懸命に米国の跡を追ったことが夢のようである。 1960年代後半,世界を席巻していた米IBM Corp.の「System/360」に対抗するために,通産省(現在の経済産業省)は「超高速コンピュータ開発プロジェクト」を発足させた。
著者
C. G. Nicholas Mascie-Taylor Rie Goto
出版者
Japan Society of Physiological Anthropology
雑誌
Journal of PHYSIOLOGICAL ANTHROPOLOGY (ISSN:18806791)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.109-112, 2007 (Released:2007-04-15)
参考文献数
7
被引用文献数
30 50

Use of BMI as a surrogate for body fat percentage is debatable and universal BMI cut-off points do not seem appropriate; lower cut-off points than currently recommended by WHO should be used in some populations, especially in Asia. The adult WHO BMI database indicates that, on average, women are more obese than men, while men are more likely to be pre-obese than women. Urban rates of overweight and obesity are generally higher than rural rates in both sexes. The trend in pre-obesity and obesity over time is generally upward, with very marked increases in the USA and UK in both sexes over the last 10 years.
著者
亘理 陽一
出版者
北海道大学大学院教育学研究院
雑誌
北海道大学大学院教育学研究院紀要 (ISSN:18821669)
巻号頁・発行日
no.102, pp.55-89, 2007

従来の比較表現の指導上の問題点を解決するために,同じ命題的意味を表すいくつかの比較表現の使い分けについて授業プラン「比較表現の比較・検討」を作成し,2007年1月に大学の授業で実践してもらった。本論は,この実験授業の分析に基づいて英語の比較表現の指導過程について評価を行い,明示的文法指導の方法とその有効性を示すことを目的とする。分析からは、授業プランの積極的意義と共に,改訂に向けたいくつかの示唆が得られた。特に,「語彙によって示される尺度上の相互的な関係」という中心的な比較表現の特徴の理解を学習者が十分には持っていないこと,'as…as'の命題的意味とそれを用いる語用論的動機づけの理解に分析的な扱いが必要であること,それが'not as…as'の意味・用法について体系的な理解を与えるためにも必要であることなどが明らかになった。
著者
森田 仁基
出版者
日経BP社
雑誌
日経コンピュータ = Nikkei computer (ISSN:02854619)
巻号頁・発行日
no.913, pp.42-45, 2016-05-26

インタビュー「モンスターストライク」の次を探せ——。ミクシィの森田仁基社長に課された使命だ。2016年3月期は、売上高で前期比85%増の2087億円、営業利益で同80%増の950億円と大幅な増収増益を達成。
著者
大澤 博隆 佐藤 健
雑誌
研究報告知能システム(ICS) (ISSN:2188885X)
巻号頁・発行日
vol.2016-ICS-184, no.6, pp.1-4, 2016-07-29

本研究では,不完全情報ゲームであり,正体隠匿型ゲームに分類されるコミュニケーションゲーム人狼を用い,人狼ゲームの最小系である 3 人人狼を考え,どのような戦略がありうるか検討した.検討のため,各プレイヤーの発言を可能世界の合成として記述するとともに,各プレイヤーのルールを記述するための言語を開発し,総当りで戦略の検討を行った.検討の結果,直感に反し,占い師が積極的に嘘をついた場合でも,村が勝利する場合のあることが判明した.
著者
壇 和弘 永田 雅靖 山下 市二
出版者
japan association of food preservation scientists
雑誌
日本食品低温保蔵学会誌 (ISSN:09147675)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.127-132, 1995-08-31 (Released:2011-05-20)
参考文献数
20
被引用文献数
1

青果物の呼吸におよぼす低酸素の影響を調べるためにナス, トマト, ピーマン, キュウリ, ソラマメ, エンドウ, ダイコン, ニンジン, ハクサイの呼吸量を空気下および酸素濃度1%, 4%, 7%, 10%環境下で測定した。低酸炭環境下における各種野菜の呼吸量は, 先に開発したガス分離膜方式修整空気システム (GSM-MAS) ・CO2発生量測定装置およびPSA (Pressureswingadsorption) 方式修整空気システム (PSA-MAS) ・CO2発生量測定装置を用い, 試料が排出する二酸化炭素の割合を測定して求めた。供試した全ての野菜において雰囲気中の酸炭濃度を低下させると数時間以内に呼吸の低下が始まり, 空気下に比べ低酸炭環境下では呼吸量が抑制された。ナスおよびニンジンでは雰囲気中の酸素濃度と呼吸量の間に比例関係が認められ, 酸素濃度を低下させると空気下に比べ呼吸量は明らかに減少した。しかし, その他の野菜では酸炭濃度が7%以上の条件下では呼吸の抑制程度は小さく, 酸素濃度7%以下の環境下において酸素濃度の低下とともに明らかな呼吸の減少が認められた。
著者
塩見 慎次郎 丁野 久美 西川 美穂 岡部 真美 中村 怜之輔
出版者
Japan Association of Food Preservation Scientists
雑誌
日本食品保蔵科学会誌 (ISSN:13441213)
巻号頁・発行日
vol.28, no.5, pp.235-241, 2002-09-30 (Released:2011-05-20)
参考文献数
15
被引用文献数
2 3

パイナップル果実の収穫後のガス代謝および果皮色の変化に対するエチレンの関与について, エチレンの作用阻害剤である1-メチルシクロプロペン (1-MCP) を用いて調べた。緑熟段階で収穫した果実の炭酸ガス排出量およびエチレン生成量は貯蔵中に上昇し, 末期上昇型パターンを示したが, エチレン生成量は最大でも1nl g-1 h-1に達しなかった。1-MCP処理によって呼吸量は減少し, エチレン生成量は一時的に上昇した。プロピレン処理は呼吸を一時的に増加させたが, エチレン生成を促進しなかった。果実をクラウンと果実部に分けてガス代謝を調べたところ, 末期上昇パターンはクラウンではなく, 果実部に依存していた。未熟果・緑熟果・適熟果に1-MCP処理を複数回行うと, いずれの熟度においても処理直後にエチレン生成が一時的に促進された。呼吸およびエチレン生成は樹上で発育に伴って増加し, 収穫後も増加し続けた。果皮の着色は収穫熟度に関係なく進行したが, 未熟果になるほど1-MCP処理によってその進行が遅延した。以上より, パイナップル果実のエチレン生成はエチレンによるネガティブフィードバック調節 (自動抑制作用) を受けること, 果皮色の変化にエチレンが関与しているごとが示され, 収穫後のガス代謝や果皮色の変化が樹上での変化と同様であることからパイナップルは少なくとも一部追熟性をもつことが明らかになった。
著者
岩田 隆 大亦 郁子 緒方 邦安
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.350-358, 1969 (Released:2007-07-05)
参考文献数
8
被引用文献数
1 2

前報で, 収穫後の果実の成熟に伴う呼吸型は3種に分類するのが適当であることを述べたが, 本報はこれをエチレンとの関係について検討したものである。一時上昇型 (climacteric 型) としてトマトおよびバナナ, 末期上昇型としてイチゴ•カキおよびモモ, 漸減型果実として温州ミカンを選んだ。(1) トマト緑白色果はエチレン処理によつて着色が促進された。同一圃場から得られた緑白色果でも, 遅い時期に収穫されたもののほうが効果が大であつた。呼吸の climacteric rise はエチレン処理によつて早く現われた。着色果に処理した場合には効果がなかつた。緑白色果を貯蔵すると, 着色に伴つて果実組織内のエチレン濃度が著しく増大し, また, 呼吸上昇以前にかなりの水準に達していた。(2) バナナ緑色果にエチレン処理を行なうと急速に成熟が進んだ。やはり climacteric rise が促進されたがピーク値は自然な climacteric の場合よりもかなり大きくなつた。(3) イチゴは, 緑色が消失して白色に近い状態となつた果実を収穫し, エチレン処理を行なつたが, 着色や軟化の進みかたに影響はなかつた。呼吸量についても処理効果はみられなかつた。果実組織内エチレン濃度は白色果でかなりの値となり, 以後はあまり変わらないようであつた。(4) モモ未熟果にエチレン処理を行なつても, 軟化の進展に影響はなく, 呼吸量もほとんど変わらなかつた。果肉組織内エチレン濃度は, かなり未熟な段階でも高い値となつた。(5) カキ未熟果はエチレン処理によつて急速に着色し, 軟化が進んだ。渋ガキは脱渋された。呼吸量は未熟果, 熟果ともにエチレン処理によつて著しく増大した。果肉組織内エチレン濃度は, かなり軟化した段階でやや大きくなつたが, 全般に低い値であつた。(6) 温州ミカン未熟果はエチレンによつて黄化が促進された。呼吸量は未熟果, 熟果とも処理によつて著しく増大した。エチレン処理によつて呼吸の増大した果実から, エチレンを除去すると, 呼吸量は無処理のものと同じ水準に戻り, これにエチレンを処理すると, また増大した。果実内エチレン濃度は全般に低い値であつた。(7) エチレン処理の効果の有無は, 処理時の果実内エチレン濃度が生理的に活性な値にあるかどうかによるものであり, エチレン処理に対する反応から climacteric の有無を区別することはできないと考えられた。
著者
小川 哲生
出版者
独立行政法人 科学技術振興機構 戦略的創造事業本部
雑誌
源流 (ISSN:13453610)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.2, pp.16-19, 2000

結晶の光励起による協力的構造相転移の簡単なモデルとして、局在電子-格子系の解析を行った。特に1 つの単位胞を光励起した場合に誘起される構造相転移について考察し、断熱極限と透熱極限の双方で、短距離力で適当な強度を持つ相互作用の場合に、大域的な構造相転移を引き起こすことがわかった。そのダイナミクスは「ドミノ倒し」であり、断熱極限では「決定論的ドミノ倒し」、透熱極限では「確率論的ドミノ倒し」と称される質的に異なる過程から成る。
著者
竹内 明禅 佐田 直哉 五十峯 淳一
出版者
九州理学療法士・作業療法士合同学会
雑誌
九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 (ISSN:09152032)
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.348, 2010

【はじめに】<BR> 腰痛症患者は臨床で最も多く治療する機会があり、その中で頸部及び胸腰部の回旋方向への可動域制限を認める場合があり、頸椎の環軸関節(以下、C1/2)を治療し可動性を改善することで症候の緩和を認める経験をする。今回、腰痛症患者において頚部可動性と胸腰部可動性との関連性を調査し、C1/2治療後の症候の変化及び胸腰部の可動性の影響について研究を行ったので報告する。<BR>【対象と方法】<BR> 腰痛群(以下、P群)は外来患者20名(男性6名・女性14名)、平均年齢25.7歳±11.1とし、対照群(以下、C群)は健常成人20名(男性9名・女性11名)、平均年齢30.1歳±7.72の2群とした。<BR>1.測定器具は東大式角度計を用いて頚部のa.屈曲b.伸展c.回旋d.側屈、胸腰部のe.回旋のROMを測定し、c~eに関しては左右差を算出して2群間を対応のないt検定にて比較検討した。<BR>2.頸部への治療技術はC1/2回旋に対する接近滑り法を実施し、P群の治療前後のa~eを測定し対応のあるt検定にて比較検討し効果判定を行った。<BR>3.P群において治療前後でのeに対するa~dの相関係数と治療前後のVisual Analogue Scale(以下、VAS)に対するa~eとの関連性をピアソンの積率相関分析を用いて分析した。<BR>【結果】<BR>1.C群と比較してP群のbが有意に減少(p<0.01)、c・d・eが有意に増加し (p<0.01・p<0.01・p<0.01)、頚部及び胸腰部の可動域制限を認めた。<BR>2.P群において治療前と比較して治療後にc・d・eが有意に減少し(p<0.01・p<0.01・p<0.01)、可動性が改善した。<BR>3.P群において治療前と後のcはeに対して高い相関を認め (r=0.66・r=0.62)、頚部の回旋制限が大きいと胸腰部の回旋制限も大きく、頚部の回旋制限が改善すれば胸腰部の回旋も改善した。また、治療前のcはVASに対して高い相関を認め(r=0.52)、頚部回旋制限が大きければVASも大きく、治療後のc・eはVASに対して高い相関を認め(r=0.65・r=0.76)、頚部・胸腰部の回旋可動性が向上すればVASは軽減した。<BR>【考察】<BR> 結果1よりWhite, Panjabiが提示する脊柱の可動範囲から頸椎~胸腰椎の骨運動と関節内運動は四肢関節における運動とは異なる点が多く、動く骨体が軟骨で結合されている為、動きが僅かしか起こらない。しかも、運動分節は上位から下位に向かってドミノ倒しのように順番に動きが起こる特徴を考慮すると上位または下位からの連動性に問題が生じた為だと推測される。<BR> 次にC1/2回旋に対する接近滑り法は頸椎のROMを総合的に改善することができ、特に回旋方向への可動性を向上することで頚部可動性の左右差を軽減し、胸腰部の可動性を増加させ、さらには疼痛の軽減も図ることが可能となった。これは治療対象器官を関節に設定したことで、Mennellが定義する関節機能障害の存在が推測でき、一連の脊柱のROM制限と疼痛の一要因が関節機能障害の関与ではないかと考えられる。<BR> 今回の研究では、脊柱のROM制限と疼痛の関係が密接に関わっていることが分かり、特に頸部回旋運動、胸腰部回旋運動、疼痛との関連性が高いことが示唆された。
著者
簗瀬 洋平
出版者
情報処理学会 ; 1960-
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.134-141, 2018-01-15

Unityはもっともメジャーなゲームエンジンとして知られていますが,ゲームのみならず建築,医療,自動車,メディアアートなどさまざまな分野で使われており,研究でもバーチャルリアリティを始めとするインタラクティブ分野ではデモンストレーション作成などで数多く使われています.本稿ではUnityについての説明に加え,インストールから簡単なアプリケーション作成までを解説します.
著者
菊地 栄治
出版者
日本教育社会学会
雑誌
教育社会学研究 (ISSN:03873145)
巻号頁・発行日
vol.98, pp.51-70, 2016

<p> 本論文では,グローバル化社会における「能力」の社会的定義に焦点を合わせ,「質保証」問題を手がかりにしながら,高校と大学の教育実践と接続関係に与える影響について吟味する。高校教育の多様な実態との齟齬等を中心に,これまでの改革の言説と実践の問題点を批判的に考察する。最後に,具体的な実践事例の知見にもとづきながらもうひとつの改革モデルを提案する。一連の考察によって得られた知見は,以下の通りである。<BR> 第一に,「質保証」問題は,低成長時代に特有の功利主義に影響されながら語られている。大学での「教養」の解体とともに経済ニーズが直接に教育のありように影響し始めている。<BR> 第二に,「学士力」の定義は,有用性と広範さを特徴としており,実体論的な定義と線型的な自己成長が含意される点で旧来の理論の域を出ていない。<BR> 第三に,新接続テスト(=二種類の共通テスト)が政策提案されているものの,矛盾と齟齬を抱えている。かつ,多様化した高校の実態とは大きく乖離した内容にとどまっている。<BR> 第四に,実際の高校教育の実態は,学力と規律の点で向上しているが,職務多忙化の中で生徒・教師間の関係性の深さは浅くなってきており,教師の自律性も減衰している。<BR> 最後に,主に大阪の高校の事例研究をふまえて,〈一元的操作モデル〉から〈多元的生成モデル〉へと学びの構造転換を図ることの重要性が浮き彫りになる。</p>