著者
児玉 和也 戸田 和之 山本 誠
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 B編 (ISSN:03875016)
巻号頁・発行日
vol.72, no.724, pp.2894-2900, 2006-12-25 (Released:2011-03-03)
参考文献数
8
被引用文献数
1 1

With improving a computer hardware and CFD software, the problems treated in industries tend to be more complex, physically and geometrically. The turbulent flow with strong unsteadiness is one of physically complex examples. Since Large Eddy Simulation (LES) is still too time-consuming, a great number of unsteady Reynolds-Averaged Navier-Stokes (RANS) computations have been employed in such engineering applications. However, the applicability of RANS to unsteady flows has not been clear. In the present study, RANS computations for two-dimensional turbulent flow with periodic perturbation over a backward-facing step are performed to verify the performance of a low-Reynolds-number type k-ε turbulence model. Visualizing and investigating the temporal change of the flow pattern and the instantaneous term-by-term budget of the governing equations, it is clarified that the RANS computation can reproduce the unsteady nature satisfactorily, and why the RANS model captures the unsteady turbulent flow reasonably.
著者
盛川 周祐 大谷 隆二
出版者
日本作物学会東北支部
雑誌
日本作物学会東北支部会報 (ISSN:09117067)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.67-70, 2009

酸素供給剤や専用播種機を用いる現行の湛水直播は、直播技術単体でみるとコスト低減効果は必ずしも大きくない。湛水直播では、水入れ・代かき後に播種するのに対し、乾田直播では代かきせずに畑状態で播種し、苗立ち後に水入れする。このため、条播を前提とする場合には、畑状態で播種する乾田直播の方が機械の走行性の制約が小さく高能率化を図りやすい。また、代かきを必要としないため、地域で給水が始まる前から播種可能であり、作期分散を図ることができる。乾田直播の現在の播種体系ではロータリシーダが使われことが多いが、グレーンドリルなどの大規模畑作で用いられる高能率な機械が汎用利用できれば更なるコスト削減が期待できる。盛川農場と東北農業研究センターは、2007年よりコスト半減を自指して乾田直播の体系化実証試験を行なっている。ここでは、グレーンドリルを用いた播種体系の概要を示すとともに、実証試験の経過を紹介する。
著者
野尻 純子 柳川 敏彦
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.66, no.5, pp.237-245, 2019-05-15 (Released:2019-06-11)
参考文献数
33

目的 本研究の目的は,自閉症スペクトラム障害(以下ASD)を疑われた児の母親に対してステッピングストーンズ・トリプルP(以下SSTP)を実施し,その効果を明らかにすることとした。方法 対象は,A市の健診後に発達支援教室を利用する児の母親36人であった。児は2歳から6歳で,広汎性発達障害日本自閉症協会評定尺度(以下PARS)が9点以上でASDが疑われた。対象者を介入群と対照群の2群に無作為に割り振り,両群にSSTPを実施した。介入群から介入前後と3か月後,対照群から介入2か月前と介入前後に各々3回ずつ質問紙の回答を得た。質問紙は,親が報告する子どもの困難な行動(SDQ),親の子育てスタイル(PS),夫婦間の関係の質と満足度(RQI),親の子どもへの不適切な行為(JM)の4つの尺度であった。介入前後の効果を介入群と対象群の1回目と2回目の尺度得点を用いた共分散分析で求め,介入3か月後の効果を介入群内の3回の尺度得点を用いた分散分析でそれぞれ調べた。結果 児の平均年齢は3.7±1.4歳,PARS平均得点は20±6.8点のASDを疑われた児であり,児の発達指数(DQ)の全領域平均は76.1±18.8点で知能は境界域にあった。介入前後で得点分布に有意差があったものは,SDQ(行動問題,難しさの合計),PS(過剰反応,多弁さ,総合スコア),JMであり,RQIに有意差は見られなかった。介入後3か月後時点では,介入群内においてSDQ(行動問題,難しさの合計,過剰活発),PS(すべての項目)で1回目と3回目で有意差があった。結論 SSTPを受けることで親の子育てに良い変化がみられ,児の問題行動が改善され,育てにくさが減少した。叩くなどの児への不適切な行為に改善が見られたことで,SSTPが親の養育態度の変化につながることが示唆された。
著者
田野 ルミ 三浦 宏子 尾﨑 哲則
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.66, no.5, pp.246-251, 2019-05-15 (Released:2019-06-11)
参考文献数
24

目的 本研究の目的は,歯科臨床での継続的な禁煙支援活動がニコチン依存度と舌苔,味覚,口臭,唾液にどのような影響を及ぼすか,追跡調査により明らかにすることである。方法 対象は,首都圏にかかりつけ歯科医をもち喫煙習慣を有する14人とした。歯科診療所での禁煙支援に加えて喫煙状況の把握,ニコチン依存度および口腔に関する評価を行った。調査は,医科における禁煙治療の日程に準拠して禁煙支援開始日である初回,初回から2週間後,4週間後,8週間後,12週間後の合計5回実施した。禁煙支援は,歯科衛生士が「禁煙支援教材(日本歯科医師会)」を用いて個別に行った。ニコチン依存度は主要な判定法であるFagerström Test for Nicotine Dependence, Tobacco Dependence Screener, Kano Test for Social Nicotine Dependenceについて自記式にて回答を得た。口腔に関する評価は,①視診による舌苔付着範囲,②舌滴下法による味覚閾値(甘味・塩味),③呼気中の揮発性硫黄化合物濃度,④pHメータを用いた唾液pH値の4項目とした。各調査回におけるニコチン依存度および口腔に関する評価の比較を行うため,Friedman検定および多重比較検定を行った。活動内容 中断者2人を除く12人(男性8人,女性4人)を分析対象とした。これらの12人において,禁煙支援後12週間の時点で禁煙に至った者はいなかった。しかし,禁煙支援後12週間の喫煙本数は,禁煙支援開始時と比較して大きく低減した。ニコチン依存度および口腔に関するすべての評価項目についても,調査回間に有意差が認められた(P<0.001)。次いで,Bonferroniの方法による多重比較検定を行った結果,ニコチン依存度,舌苔付着範囲,味覚閾値,揮発性硫黄化合物濃度が初回に比べて12週後に有意に低下した。唾液pH値は,初回に比べて12週後に有意に上昇した。結論 歯科における12週間の禁煙支援活動は,喫煙本数の減少,ニコチン依存度の低下,そして舌苔,味覚,口臭,唾液の状態に良好な影響を及ぼすことが示唆された。
著者
谷口 優 石井 千惠 茅沼 弓子
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.66, no.5, pp.267-273, 2019-05-15 (Released:2019-06-11)
参考文献数
18

目的 コミュニケーションロボットが介護従事者と共同して,有効な介護予防活動を実践できるかどうかは不明である。本研究は,人型コミュニケーションロボットと介護スタッフが共同で実施する運動プログラムにより,短期間でも高齢者の身体・心理的機能を向上させるとういう仮説を検証するための予備的試験として,運動プログラムを3か月間実施し,参加者の心身機能に及ぼす影響を調べた。方法 地域在住高齢者を,人型コミュニケーションロボットを用いた運動プログラムを行う運動実施群20人(女性20人,平均年齢75.0歳)と,調査のみに参加するコントロール群17人(女性16人,男性1人,平均年齢72.9歳)に,継続的な教室への参加の可否および対象者本人の希望に基づいて割り付けた。運動プログラムには,人型コミュニケーションロボットの操作を行う1人の専門職と,運動指導の補佐を行う5人の高齢者ボランティアスタッフを配置し,1回あたりの所要時間は60分~70分に設定した。運動プログラムの実施期間の直前(事前)および3か月間の運動プログラム実施後(事後)に,心身機能の測定を行った。事前調査の2週間前と,事後調査の3週間後にも測定を実施し,調査項目の学習効果および運動プログラムの持続効果についても合わせて検討した。結果 運動実施群において運動プログラムの実施前後で有意な向上がみられた調査項目は,最大歩行速度(対応のあるt検定:P<0.001)およびMini Mental State Examination(MMSE)得点(P=0.016)であった。コントロール群では,BMI(P=0.007)において有意な向上がみられた。運動実施群における学習効果および持続効果を分析した結果,最大歩行速度およびMMSE得点は,事前調査の2週間前と事前の間(P=0.710, P=0.349)および事後と事後調査の3週間後の間(P=0.298, P=0.723)にそれぞれ有意差はみられなかった。結論 人型コミュニケーションロボットを用いた運動プログラムが,高齢者の下肢機能および認知機能の向上に寄与することが示唆された。人型コミュニケーションロボットを用いた運動プログラムを健康づくりの場や高齢者施設に導入し,ロボットが非専門職の介護職員と共同することで効果的な運動プログラムを実施できる可能性が示された。
著者
釜床 美也子
巻号頁・発行日
2009

筑波大学博士 (デザイン学) 学位論文・平成21年3月25日授与 (甲第5139号)
著者
佐藤 拓哉
出版者
一般社団法人 日本高圧力技術協会
雑誌
圧力技術 (ISSN:03870154)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.40-50, 2005 (Released:2005-03-05)
参考文献数
14

It is a responsibility for every structural engineer of power plants, refineries, gas plants and chemical plants to design and construct high quality pressure vessels and piping system. To complete this responsibility, it is very important to understand failure modes of pressure vessels, piping and their components, relation between each failure mode and stresses, and design consideration to prevent the failure. In this paper, basic characteristics of each failure mode are described with several examples of failure accident. Typical failure modes described here are a ductile rupture, brittle fracture, excessive deformation, instability (buckling) , progressive deformation (ratcheting) , fatigue fracture, creep rupture, creep ratcheting, creep-fatigue interaction, creep buckling, and environment effect on cracking. For these failure modes, the relation with stresses and design consideration are emphasized.
著者
佐久間 智広
出版者
日本管理会計学会
雑誌
管理会計学 : ⽇本管理会計学会誌 : 経営管理のための総合雑誌 (ISSN:09187863)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.27-46, 2016-03-31 (Released:2019-03-31)

本研究の目的は,ビジネスユニットのマネジャーの個人差が自身のユニットの業績に与える影響を検証することにある.経営者やマネジャーが誰であるかによって意思決定が異なり,その結果として業績も異なるということは,多くの企業実務や経営学の研究において前提となっている.しかしながら,マネジャーが誰であるかによって担当するビジネスユニットの業績にどの程度の違いが生じるのかについて,理論的予測は必ずしも一貫しておらず,実証的な証拠も示されていない.そこで本研究では,株式会社ドンクにおける店舗別の財務・人事データを用いて,マネジャーの個人差が組織業績に与える影響の有無とその大きさを推定した.検証の結果,マネジャーの個人差は,ビジネスユニットの業績に対して経済的に重要な影響を与えるということを発見した.加えて,推定された個人差は,マネジャーのキャリア,年齢の違いと有意に関係していることを発見した.
著者
日本学術振興会学術部 [編]
出版者
日本学術振興会
巻号頁・発行日
vol.其ノ6 昭和8年度(1933)發表獨國ノ分, no.1, 1935
著者
宇野 文重
出版者
尚絅大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は、明治前期の下級審における雇用契約訴訟を素材に、幕藩期には「家」の<主人‐奉公人>として身分的要素が濃厚であった雇用契約関係が、西洋近代法の継受によって受けた影響を検討したものである。具体的には、幕藩期には制禁であった被用者から雇主に対する給金支払請求訴訟と、雇主への従属性が最も強い弟子奉公契約を分析し、契約当事者の意思や「人身ノ自由」を重視する点に西洋法の影響を看取できるとともに、身元保証人の責任や共同体の法意識には幕藩期からの連続性が確認できた。また、明治民法では「家」から排除された奉公人を、「世帯」概念を媒介にして「家」成員に含める学説が1920年代に登場したことを指摘した。
著者
味岡 直己 横山 明弘 横澤 勉
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.64, no.12, pp.907-921, 2007

本報では置換基効果を利用した連鎖縮合重合法によって合成できる分子量分布の狭い縮合系高分子を含むさまざまな高分子アーキテクチャーの合成およびその自己集積化について述べる.芳香族ポリアミドまたは芳香族ポリエーテルを一成分とする一次構造の制御された AB, ABA, BAB, ABC ブロック共重合体やスターポリマー,スターブロック共重合体,ミクトアームスター共重合体をポリマーどうしのカップリング反応,リビング重合末端を利用した方法,末端修飾を行うマクロ開始剤法,オルソゴナル開始剤を用いたマクロ開始剤法で合成した.それらの自己集積では特異的な集積構造が形成された.<br>
著者
秋永 孝義 岡留 博司 國府田 佳弘
出版者
The Japanese Society of Agricultural Machinery and Food Engineers
雑誌
農業機械学会誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.51-56, 1994 (Released:2010-04-30)
参考文献数
12

沖縄県産の黒糖は粘度, 硬度, 色, 水分などの物性が産地によって異なり品質が安定せず, 主な需要先である加工業者からは安定した品質の製品が望まれている。品質の向上や製造技術を改善するためには黒糖の各種の特性を調査する必要がある。そこで, 沖縄県内全工場の黒糖の物理的特性を調査した。その結果, 黒糖の物性が産地によって大きく異なり, その原因が製造工程, 特に最終濃縮工程にあることを示唆した。