著者
全 珠美 水野 貴之
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.1P2J1303, 2019 (Released:2019-06-01)

本研究は匿名性を持つサイバー空間でのユーザーの地域情報を推定しそれを実空間に可視化することを目的としている.我々は人間の活動が一日中パターン化されることに着目し,そのパターンから地域情報を分類する分類器を構築する.分析の対象として代表的な仮想通貨であるビットコイ ンに注目する.ビットコインにおける各ユーザーの取引の日中パターンを機械学習により分類することで,ユーザーの活動地域を推定し,サイバー空間でおこわれている仮想通貨の流れを実空間に可視化する.
著者
近藤 浩史 與五澤 守 成瀬 道紀 森 正和
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.1P2J1302, 2019 (Released:2019-06-01)

従来,経済動向を把握するために政府や中央銀行が発表する統計が使用されてきた.これらの統計は,調査時期と結果の公表時期にずれが発生するため,速やかに経済動向を把握するためには,統計を補完でき,かつ速報性のある新しい指標が必要となってきている.本研究では,金融機関が作成した膨大なテキストデータを分析することで,景気センチメントの定量化を試みた.その結果,テキストデータから計測した景気センチメントは,日銀短観と高い相関を示すことが分かった.また,事前に予測できないイベントが発生した場合の景況感について,速報性がある可能性を示唆した.
著者
松井 藤五郎 米田 一樹 森山 甲一 武藤 敦子 犬塚 信博
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.1M4J1304, 2019 (Released:2019-06-01)

本論文では、リターンの時系列に基づく動的クラスタリングを用いて投資信託を分析する手法を提案する。複数の期に分割されたファンドのリターン時系列を対象として、(1) 期ごとにt-SNEを用いて2次元空間に圧縮し、(2) 期ごとにx-meansを用いてクラスタリングを行い、(3) FBL-MONICを用いてクラスター遷移を検出することによって、動的クラスタリングを行ってそのクラスター遷移を検出する方法を提案する。 提案手法を用いてTOPIX連動型インデックス・ファンドを分析したところ、1期から4期は3つ、5期は4つのクラスターが得られた。全ての期において、クラスターの1つに全てのETFが含まれており、かつ、このクラスターにはETF以外のファンドがほとんど含まれていなかったことから、提案手法によって妥当な動的クラスタリングを行うことができたと考えられる。また、5期に新しく増えたクラスターは、前向き分析では4期のクラスターからの遷移として検出されなかったが、後ろ向きでは4期のクラスターの1つの影響が強いと判定され、クラスター遷移として検出することができた。
著者
八木 勲 水田 孝信
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.1M4J1303, 2019 (Released:2019-06-01)

近年投資信託(以下,投信)のリスクが把握しにくくなっている.投信の組み入れ対象となる金融商品の仕組みが複雑になるとともにリスクの大きさも把握しにくくなってきたからである.よって投資家にすべてのリスク管理を求めるのは困難なため,投信運用会社側でリスクコントロールさせることを目的とした分散投資規制が設けられた.分散投資規制が市場に与える影響について議論した研究は既に存在しているが,主に市場価格形成について議論している.そこで本研究では,分散投資規制が投資家の運用成績にどのような影響を与えるか調査した.その結果,市場価格が急上昇している市場において,規制対象の投資家はそうでない投資家に比べて運用成績が悪化することが判明した.
著者
加藤 旺樹 穴田 一
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.1M4J1302, 2019 (Released:2019-06-01)

近年,テクニカル分析を用いた株式売買に関する研究が多く行われている.テクニカル分析を用いた投資では,相場のトレンドや転換点を判断するテクニカル指標を用いることで,過去の値動きのパターンから将来の値動きを予測し売買を行う.しかし,そのためには専門的な知識を必要とする上,利益を上げにくいという問題がある.そこで本研究では,松村らの研究で用いられた戦略木を用いて,テクニカル指標を用いたより利益を生み出す投資戦略の構築を目的とする.
著者
真矢 滋 山口 晃広 稲木 達哉 植野 研
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.1I4J205, 2019 (Released:2019-06-01)

IoTの発展に伴い、大量の時系列データが取得可能になりつつある。このような時系列データから有用な知見を発見するために、多変量時系列データを特徴的なパターンに分割するセグメンテーション方法が注目を集めている。しかしながら、既存手法では分割位置が変数に関わらず同一であり、変数間の特徴を捉えることが困難であった。この問題に対応するために、各変数で適切な分割位置を求める手法を提案する。そして、人工データと実データを用いて提案手法の有効性を検証する。
著者
本村 陽一 村田 知佐恵 大塚 裕子 大森 隆司 山田 徹志
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.4L2J1303, 2019 (Released:2019-06-01)

本研究では、保育施設への人工知能(AI)導入プロジェクトについて、その構想の背景にある必然性や技術導入プロセスについての現状を総括する。また、保育士など保育従事者に対するヒアリングやインタビュー調査を行い、保育従事者の価値観や評価構造を明らかにし、それに基づき検討したAI技術活用の可能性、現場への導入のユースケースや期待される効果についても議論する。保育施設へのAI導入プロジェクトは、①保育の質向上のための保育技術の指標化、②既存のAI技術の活用、③新たなAIシステムの開発という3つの方向性で進めている。保育士目線での開発を重視した結果、アノテーションソフトなど、必要な技術開発が明確化された。また、保育とは何かを定義づけるための保育の質に着目した研究を行うことで、業務効率化に留まらないAI導入の社会実装化モデルとなり得ると考える。
著者
板谷 知明 岩前 伸幸
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.4K3J1305, 2019 (Released:2019-06-01)

海上工事において,作業船による施工を行う際,波高が高いと施工の実施が困難な場合がある.本研究では,畳み込みニューラルネットワークを用いた波浪予測手法を開発し,観測データを用いて検証を行った.ある時刻の気象数値予報モデルの面的なデータを入力とし,その時刻から0,6,12,24時間後のある地点の有義波高を別々のネットワークで予測した.入力データは,前処理によって海面更正気圧pと風速u,vの3チャネルの画像データとした.RMSE及び1.0m以上の波の検出率についての再現率と適合率を用いて評価を行ったところ,0,6時間後よりも12,24時間後の波浪予測モデルの精度の方が高かった.
著者
高橋 光太郎 柏原 健之朗 五十嵐 康彦 馬場 俊孝 堀 高峰 岡田 真人
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.4K3J1304, 2019 (Released:2019-06-01)

津波による被害を抑えるために,水圧計を使用した津波高即時予測システムは世界中で使われている. 津波の高さは,基本的に伝播中の地形(海底地形)に依存するため,予測には沿岸付近で観測された圧力計の値と海岸近くの予測点での津波の高さの間の相関関係を利用する. 津波高の予測には,被害を最小限に抑えるために予測精度と過小評価を避けることの両方が重要になっている. 従来の方法は,1506の地震シナリオから観測された水圧計の値に幅を持たせその中で最大の津波高を予測値としている.しかし,過小評価を避けるために実際の津波高に比べて大きく予測され,精度の低い手法となっている. 本研究では,ガウス過程回帰を用いた津波高予測手法を拡張し,過小評価が少なく精度の高い予測手法を提案した.また,従来法と提案法において,南海トラフの震・津波観測監視システム(DONET1)の圧力計データを用いて津波高を予測する検証を行い,予測精度と過小評価率の比較を行なった.
著者
恒川 充 岡 夏樹 荒木 雅弘 新谷 元司 吉川 昌孝 谷川 武
出版者
The Japanese Society for Artificial Intelligence
雑誌
人工知能学会全国大会論文集
巻号頁・発行日
pp.4D3E205, 2019 (Released:2019-06-01)

本研究では,定期的な健診データを用いて生活習慣病の発症を予測する手法を提案する.レセプトデータを精査して疾病の発症を特定し,それらを教師あり学習のための正例として使用した.クラスバランスが不均衡なデータであるという問題に対処するために,アンダーサンプリングとバギングのアプローチを採用した.がん以外の生活習慣病が1年以内に発症するかどうかを予測することを目的とした.提案手法のprecisionとrecallはそれぞれ0.32と0.89であった.各検査項目に閾値を設定し,それらの論理和をとるというベースライン手法と比較して,提案手法はrecallを維持しながらより高いprecisionが得られることが分かった.これは,重症化しそうな対象者の見落としを増やすことなく,保健指導の対象者数を抑えることができるという点で意義がある.
著者
熊野 颯 阿久津 達也
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.3K3J202, 2019 (Released:2019-06-01)

従来から、機械学習モデルの表現能力に関する研究が行われてきた。例えば、ニューラルネットワークにおいては、ネットワークの深さによってノード数の観点から効率よく関数を表現できる場合があることが知られている。一方、ランダムフォレストにおけるノード数に関する効率性の有無は不明である。そこで、本研究ではランダムフォレストにおけるノード数に関する効率性の有無について考察する。まず、ランダムフォレストはニューラルネットワークと全く同種の効率性は持たないことを示す。次に、ランダムフォレストを構成する決定木の本数からノード数に関する効率性が生じる場合があることを示す。
著者
和田 伸一郎
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.3Rin216, 2019 (Released:2019-06-01)

本研究では、2016年に行われた東京都知事選挙の選挙期間中に投稿されたTwitterデータを、Pythonを用いてクラスター分析した(2016年7月13日 - 8月1日、480万ツイート、1億7000万語)。クラスタ分析として、Pythonのライブラリであるgensimに実装されているword2vecアルゴリズムを用いて単語をベクトル化し、次に、次元圧縮アルゴリズムであるt-SNE(t-distributed Stochastic Neighbor Embedding)を用いてクラスタを三次元で可視化することを試みた。特に本研究では、クラスタリングにデータ・ヴィジュアライゼーション・ツールであるEmbedding Projectorを使用した。このツールを用いて、動的な学習プロセスを三次元空間で可視化し、インタラクティヴに三次元空間を動かしながら、クラスタを目視によって特定することを試みた。結果として、高い精度で複数のクラスタを特定することができた。 またこれによって、この都知事選挙でTwitterユーザーが何に興味を持ったのかを一定程度、明確にすることができた。
著者
荻原 航大 浦野 昌一
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.2P4J204, 2019 (Released:2019-06-01)

昨今,世界情勢は大きく変動している.世界各国の政策や国家間の関係などが複雑に絡み合い,世界規模での不安定な経済状況となっている.このような情勢の中では,規模の大きさに関わらず企業の中長期的な経営戦略の決定や,強いては個人単位でもリスクマネジメントが必要となってくる.そのためにも,経済状況を把握し,予測を立て,経済の動向を追っていくことが必要である.そこで本稿では,経済動向の分析のための経済指標予測に対して精度の向上,及び,リスク低減を目指す.筆者等は先行研究において,重回帰モデルとANNを組み合わせて新たな予測値を算出するHybrid予測モデルを構築し,リスク低減を目的として,翌日最大電力需要予測に適用してきた.そこで本稿では,経済指標予測におけるテクニカル分析に役立てるため,これまで構築してきたHybrid予測モデルを適用し,リスク低減を考慮した経済指標予測モデルを提案する.シミュレーションより,予測対象を日経225先物価格としたHybrid予測モデルでは,予測精度を確保しつつ,最大予測誤差率と標準偏差を抑制し,リスク回避を可能とする結果を得たので報告する.
著者
酒本 隆太 ホ エルデン 市川 佳彦
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.2O3J1303, 2019 (Released:2019-06-01)

本研究ではビットコインにとってのヘッジとSafe Haven資産を分析する。ビットコインはその高い変動性から近年大きな注目は集めている。ファイナンス研究としてはその代替資産としての性質に注目が集まっており、株や債券のリスクを分散するためにビットコインを利用するという前提でのアプローチが取られている。一方、本研究ではビットコイン投資家の立場を取り、どのようにビットコインのリスクをコントロールすればよいかという点に焦点を当てる。我々は厳密なヘッジ、Safe Havenの定義を用いて、さらに弱いヘッジとSafe Havenと強いヘッジとSafe Havenも区別する。本研究の分析では国際株式や国際債券といった伝統的な資産はビットコインにとって、弱いヘッジ資産となることがわかった。さらにビットコイン相場の下落時には金が強いヘッジ資産となることがわかったが、その数字的なインパクトは限定的なものとなった。我々の長期、あるいはビットコインの下落時に強いSafe Havenとなる資産は存在しなかった。これはビットコイン投資家にとっての下落相場でリスクマネジメントすることの難しさを示唆する。
著者
濱脇 諒 尾崎 順一 和泉 潔 島田 尚 松島 裕康 坂地 泰紀
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.2O3J1302, 2019 (Released:2019-06-01)

近年経済のグローバル化によりある金融機関の破綻の影響がその業界や国を超えて国際的なものとなっている。 関連する分野の先行研究は、銀行単体もしくは企業単体でのエージェントシミュレーションを行うものがほとんどである。 そこで、本研究では銀行と企業の相互作用に焦点を当てた多層ネットワークのモデルを提案し、銀行から企業への投資の有無が企業の成長率に与える影響を調べる。 具体的には、投資を受けているかどうかによって成長率の変動幅を変化させ、最終的な企業の規模の分布の変化について議論する。 銀行が持つ貸借対照表は全国銀行協会が公表している全国銀行財務諸表分析に基づいて作成した。 シミュレーションの結果として、投資は企業の成長の平均には影響を与えなかったが、企業間の格差が広がった。 これは投資を受けた企業のうち、投資を活かして成長することができたものと失敗したものに別れてしまったことが原因だと考えられる。
著者
水田 孝信
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.2O1J1302, 2019 (Released:2019-06-01)

ETF(Exchange Traded Funds, 上場投資信託)は手軽な分散投資を提供する商品として,近年,投資家に普及してきている.しかし,一部のETFは注文量が少なく取引したいときに適切な価格で取引しづらい状況になっていた.そのため取引所によっては,裁定取引の手数料を引き下げるなどの売買を増やそうとする制度を導入する場合がある.しかし,裁定取引にかかるコスト(必要な利益も含む総合的なコスト)によってETFや株式の流動性がどのように変化するのか,そのメカニズムはどのようなものなのかといったことは分かっていない.そこで本研究では,2つの株式とそれら合計と同じ価値のある1つのETFという3つの証券があり,これらの証券間の裁定取引を行うエージェントを実装した人工市場モデルを構築した.そして,株式とETFの裁定取引にかかるコストによって流動性がどのように変化するかを調べた.その結果,ボラティリティよりコストが小さければ裁定の機会が訪れやすく,裁定エージェントの売買が増え,ETFと株式の価格の乖離が小さくなることが分かった.
著者
フィンク ラリー 東 昌樹
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1914, pp.106-109, 2017-10-30

世界最大の機関投資家が、日経ビジネスの単独インタビューに応じた。企業の成功条件として社員との「心のつながり」を挙げ、「使命」による経営の重要性を説く。排他的な発言を繰り返す米トランプ大統領には厳しい評価を下した。
著者
形上 五月 陶山 啓子 小岡 亜希子 藤井 晶子
出版者
一般社団法人 日本老年看護学会
雑誌
老年看護学 (ISSN:13469665)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.13-20, 2011
参考文献数
15

本研究の目的は,尿意の訴えがなく失禁している介護老人保健施設入所者の中で膀胱機能が維持されている高齢者を対象として,尿意を定期的に確認し対象者の尿意の訴えに基づいたトイレ誘導を実施し,その効果を明らかにすることである.対象者は9名であった.実施期間は4週間とし,午前8時の排泄後から午後4時までの8時間に排尿援助を行った.事前に把握した対象者それぞれの排尿間隔を参考に排尿誘導時間を設定し,誘導時間には必ず対象者に尿意を問いかけた.実施前7日間,実施後7日間の失禁率と尿意を訴えた回数の変化で効果を評価した.尿失禁率は実施前後において有意に低下,確実に尿意を訴えた回数は有意に増加した.対象者のうち2名は,自発的に尿意を訴えることができるようになり,失禁は消失した.また,5名の対象者は,援助者の尿意の確認に対して尿意の有無が伝えられるようになり,失禁は減少した.以上のことより,尿意を訴えない施設高齢者であっても援助者が尿意を確認することで,自発的な尿意の表出が促進され,尿意に基づいた排尿援助を実施できる可能性が示唆された.