著者
勝俣 道夫 瀧川 雅浩 杉浦 丹 田中 信 古川 福実
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 = The Nishinihon journal of dermatology (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.62, no.6, pp.803-809, 2000-12-01
参考文献数
6

脂漏性皮膚炎の治療には,従来からステロイド外用剤が広く用いられてきたが,外用抗真菌剤であるケトコナゾールクリーム(商品名;ニゾラール<SUP>&reg;</SUP>クリーム)は海外において高い評価を得ており,また国内で実施された治験においても改善率は70~80%であることが報告されている。今回我々は,顔面に病変部を有する脂漏性皮膚炎患者54例において,ケトコナゾールクリームと非ステロイド系抗炎症外用剤であるイブプロフェンピコノールクリーム(商品名:スタデルム<SUP>&reg;</SUP>クリーム)との比較検討を行った。その結果,両群の治癒率および改善率&middot;有用性は,ケトコナゾールクリーム投与群ではそれぞれ59%,93%,93%,イブプロフェンピコノールクリーム投与群ではそれぞれ8%,56%,56%であり,両群間には有意な差が認められた。ケトコナゾールクリームは,脂漏性皮膚炎に対してイブプロフェンピコノールクリームより有用性が高いと考えられた。
著者
黄瀬 浩一
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.304-313, 2016-06-10 (Released:2016-06-13)
参考文献数
33

我々は毎日,文字·文書を読むことに長時間を割いている.これは,読むことが,我々にとって情報入力の最も重要な手段だからである.Reading-Life Logとは,読まれる文字·文書と読む行為をセットにして解析し,そこから我々の生活を豊かにする情報を取り出そうとする研究の総称である.文書を対象とした場合,アイトラッカで得られた視線などのデータを解析することで,どれだけ読んだのか (万語計,読む行動の検出),からどれほど理解しているのか (理解度や熟達度の推定) まで,さまざまな情報処理が可能となる.シーン中の文字についても,人が何をどう読んだのかによってその人の行動を推定できる.また,指先に取り付けたカメラで文字を認識することによって,人の作業をサポートできる.これらの情報処理の基礎となるのは,画像として取り込まれる外界を認識·検索する技術である.大規模な認識·検索対象を効率的に扱うため,我々は近似最近傍探索と呼ばれる技術を導入している.本稿では,これらの基盤技術ならびにそれを応用したReading-Life Logの成果について報告する.
著者
岡崎 泰久 野口 千樹 吉川 厚
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.82, pp.39-44, 2014-06-14

本研究では,板書のように書いていく過程が提示された場合と,最終結果だけが提示された場合が,学習者にどのような違いを生むのかを,学習者自身による主観評価と,アイトラッカーを用いた視線分析により,分析した.その結果,学習者の主観評価と視線の動きに関係があることがわかった.書く過程が提示されることを有用だと評価する人とそうでない人で,視線の動きに違いがあり,そうした実験結果に基づいて,書く過程を提示することが,理解に与える影響について考察した.
著者
ハリス A.J. 高木 和子
出版者
日本読書学会
雑誌
読書科学 (ISSN:0387284X)
巻号頁・発行日
vol.8, no.4, 1965-09
著者
岡本 善敬 山本 哲 武下 直樹 沼田 憲治
出版者
脳機能とリハビリテーション研究会
雑誌
脳科学とリハビリテーション (ISSN:13490044)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.17-22, 2013-08-09 (Released:2018-10-30)
被引用文献数
1

lateropulsionとは, 無防備な側方への傾倒により立位・歩行が困難となるが, 短期間に改善をみる症候である. また, 延髄外側梗塞を責任病巣としWallenberg症候群に伴って出現することが多いとされる. 今回, Wallenberg症候群を認めるも, 主症状であるlateropulsionが遷延した症例を経験した. 症例は60歳男性. MRIでは左の延髄背外側とともに小脳虫部に梗塞を認めた. これらはいずれも背側脊髄小脳路から情報を受け, 無意識下での姿勢制御に関与する領域であることから, lateropulsionが遷延する要因になったと考えられる.
著者
長縄 慎二 山崎 雅弘 鈴木 耕次郎 岩野 信吾 中島 務
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

メニエール病はめまい発作、難聴、耳閉感を症候の主体とする良性疾患であるが、現実には、非常に多くの患者の社会的生活を奪う反面、決定的な診断法と治療法が未だにない難病である。2007年、ようやく我々が世界ではじめてメニエール病患者における内リンパ水腫を鼓室内Gd-DTPA注入後のMRIで画像化することに成功した。我々は世界に先駆けて、MRIによるメニエール病の内リンパ水腫検出法と評価法の開発を進め客観的診断法の確立をしてきた。めまいを伴うメニエール病患者では必ず球形嚢に水腫があることがわかった。また片頭痛や迷路奇形などの他疾患がある場合の内リンパ水腫への影響と評価方法の開発と検討を行った。
著者
杵渕 彰 小曽戸 洋 木村 容子 藤井 泰志 稲木 一元 永尾 幸 近藤 亨子 山崎 麻由子 田中 博幸 加藤 香里 佐藤 弘
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.180-184, 2014 (Released:2014-11-26)
参考文献数
18
被引用文献数
4 5

今回,我々は,抑肝散の原典について『薛氏医案』を中心に検討した。抑肝散の記載は,薛己の著書では『保嬰金鏡録』(1550年)にみられ,また,薛己の校訂した文献では,銭乙の『小児薬証直訣』(1551年),薛鎧の『保嬰撮要』(1556年)および陳文仲の『小児痘疹方論』(1550年)に認められた。『保嬰金鏡録』および『小児痘疹方論』には,「愚製」と記述されていた。一方,熊宗立の『類証小児痘疹方論』には「愚製」の記載がなく,また,薛己校訂以外の『小児薬証直訣』には抑肝散の記載は認められないため,抑肝散は薛己の創方である可能性が高いと考えられた。これまで,抑肝散の原典は薛鎧の『保嬰撮要』とされていたが,今回,「愚製」の表現に着目して古典を検討したところ,薛己の父である薛鎧ではなく,薛己の創方であり,原典は薛己の『保嬰金鏡録』であると考えられた。
著者
松下 真也 高野 敏明 友次 克子
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

本研究の目的は,少数言語の解明に向けた支援である.具体的には,少数言語を音声から文字に書き起こす作業の支援を目指す.本稿では,文字の書き起こしに向け,2言語間における音素の対応関係について調べた.実験では,英語と日本語の音素の対応関係を調べた.結果として,音素波形の一部が類似している場合,異なるであろう音素でも似ている音素として扱われることが得られた.
著者
三藤 利雄
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会 全国研究発表大会要旨集 2016年秋季全国研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.289-292, 2016 (Released:2016-11-30)

クリステンセンの著作『イノベーションのジレンマ(1997)』は経営研究者や実務家の間で爆発的な評判を呼んだ。彼の発想は業界最優良の技術企業が何故敗退することがあるのかということであり、その結論はこれらの企業がしばしば破壊的イノベーションへの対応を誤ってしまうというものだった。これは破壊的イノベーション理論ないし破壊理論と呼ばれる。破壊理論はこれまでいくつかの批判にさらされてきた。2014年には歴史学レポー教授のエッセイ「破壊機械」を契機として、破壊理論を巡る論争が拡散し、賛否両論が飛び交う事態となった。本論はレポーが提起した課題とその後の論争を検証することにより、破壊理論の現在、課題、可能性を考察する。
著者
田中 和幸 遠藤 麻美 長舩 哲齊 八木沢 誠 袴田 大蔵 志沢 邦夫
出版者
日本体育大学
雑誌
日本体育大学紀要 (ISSN:02850613)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.87-96, 1999-09-30

本研究の一部は日本体育学会東京支部第26回大会で発表した。
著者
斎藤 智夫 野口 順蔵
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化學雜誌 (ISSN:03695387)
巻号頁・発行日
vol.82, no.4, pp.469-471, 1961-04-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
10
被引用文献数
6

D-グルコースを冷濃硫酸に溶解し,オキシ塩化リンと反応させたのち,反応液を冷工一テルに注入する。沈殿は結晶として得られる。この沈殿を水酸化バリウムで処理してD-グルコース-6-リン酸バリウム(mp157℃(分解))が理論の90%の収率で得られた。水酸化バリウムで遊離硫酸イオンのみを除けば,ビス-D-グルコース6,6´リン酸が得られ,これは等mo1の炭酸水素カリウムで中和すればD-グルコース-6-リン酸モノカリウム塩を与える。それでこの反応はD-グルコース2mo1とオキシ塩化リン1molが反応してビス-D-グルコース-6,6-リン酸が中間体としてでき,アルカリでの中和でD-グルコース1mo1が離れてD-グルコース-6-リン酸塩ができると思われる。グルコース-6-リン酸バリウムの赤外線吸収スペクトルやフェーリング反応も容易にすみやかに起ること,亜硫酸水素ナトリウムと沈殿を生ずること,明瞭なシップ反応を示すことなどからD-グルコース-6-リン酸バリウムの構造はピラノース環状構造でなく開環構造であると考えられる。
出版者
日経BP社
雑誌
日経情報ストラテジ- (ISSN:09175342)
巻号頁・発行日
vol.20, no.11, pp.28-31, 2011-12

全日本女子バレーボールチームを率いる眞鍋政義監督。2008年12月に監督に就任すると、現場で収集した情報を活かしてチーム力を高めてきた。 世界的に選手の大型化が進み、日本チームは高さやパワーの面で従来以上に差を広げられている。このような"逆境"にもかかわらず、2010年の世界選手権では見事32年ぶりのメダルを獲得した。