著者
菊池 輝海 上條 隆志 小川 泰浩 岡部 宏秋 石森 良房
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.231-234, 2015 (Released:2016-04-19)
参考文献数
8
被引用文献数
1 3

2000年噴火後の三宅島では,高濃度火山ガスの影響のため,現在も山腹に荒廃斜面が見られる。森林総合研究所と(株)伊豆緑産は,島内での継続的な緑化試験を経て,東京クレセントロール工法を開発した。本研究では,本工法の定量的データを観測し,その治山緑化機能を明らかにすることを目的として,資材の捕捉土砂量と植生定着量の計測を行い,他工法との比較を行った。結果,本資材はピット領域に最大1 kg / m2以上の土砂を堆砂させ,他工法と同等の土砂捕捉能力を示した。また,他工法よりもハチジョウススキの自然侵入と定着を促進させる能力を示した。本工法の施工地に播種・植栽を行うことで,緑化効果を高めることが示された。
著者
松原 彩香 池添 冬芽
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.28, no.6, pp.823-827, 2013 (Released:2014-01-21)
参考文献数
20
被引用文献数
1 2

〔目的〕本研究は若年女性を対象に骨盤底筋トレーニングおよび腹横筋トレーニングを実施し,骨盤底筋・腹横筋機能におよぼす影響を明らかにすることを目的とした.〔対象〕健常若年女性31名を対象とした.〔方法〕対象者を骨盤底筋トレーニング群,腹横筋トレーニング群,コントロール群に分類した.超音波診断装置を用いて骨盤底筋機能および腹横筋機能を測定した.〔結果〕背臥位での骨盤底挙上量の変化量はコントロール群と比較して骨盤底筋トレーニング群および腹横筋トレーニング群において有意に大きい値を示したが,両群間には有意差がみられなかった.〔結語〕骨盤底筋トレーニングと腹横筋トレーニングはいずれも骨盤底筋機能を向上させる効果があり,両トレーニング法に効果の違いはみられないことが示唆された.

1 0 0 0 OA 企業内大学

著者
塚原 修一
出版者
日本高等教育学会
雑誌
高等教育研究 (ISSN:24342343)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.93-113, 2004-04-30 (Released:2019-05-13)
参考文献数
37

The Corporate University (CU) is usually a strategic initiative of a company by which all levels of employees (and sometimes customers and suppliers) participate in learning experiences necessary for the improvement of job performance and the enhancement of business capabilities. It is estimated that more than 2,000 CUs exist in the United States, although this figure may be inflated. Japanese companies have in the past been renowned for their enthusiasm for the education and training of employees. However, companies’ investment in human resource management in Japan has declined through the 1990s ; by 2000 it was almost half that of major corporations in the US and Europe. To change this situation, the Ministry of Economy, Trade and Industry has recommended the introduction of CU and an American style occupation based accreditation system in Japan. In this paper, the history, definition and variations of the CU are described, and major CU cases are discussed. These are General Electric and Motorola in the US, and Toyota in Japan. The major findings are as follows: 1. The establishment of CU requires a change in the education and training policy of the corporation from traditional low cost and low return models to those that commit a high investment in anticipation of a high return. Japanese companies have demonstrated in the past that this change is beneficial. 2. CU activities in the US such as leadership development and education in corporate values, are relatively new to the Japanese corporation. These activities, and courses developing the skills and knowledge required for management and business administration, should be provided by the CU in Japan. 3. Some CUs operate co-operative programs with the university sector, or sell educational services outside of the corporation. This implies that these courses may not just develop corporate specific knowledge and skill, but knowledge and skills with more general application. This trend may be a good stimulant for post secondary vocational education and training. 4. Japan should give high priority to human resource development as an interministerial government policy.

1 0 0 0 OA 愛を論ず

著者
近沢武雄 編
出版者
伝道叢書発行所
巻号頁・発行日
1894
著者
北川 勝彦
出版者
関西大学経済学会
雑誌
関西大学経済論集 (ISSN:04497554)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.47-67, 2001-03

本研究ノートは、1980年代中頃から1990年代末にいたるまでに発表された南アフリカ経済史に関する諸研究の展望を試みたものである。主として『南アフリカ経済史ジャーナル』(South African Journal of Economic History) 、『南アフリカ歴史ジャーナル』 (South African Historical Journal) および『南部アフリカ研究ジャーナル』 (Journal of Southern African Studies) に掲載された諸論文を調査研究した。南アフリカ経済史の解釈をめぐる「リベラル派」と「ラディカル派」 の論争をふりかえり、経済史研究で主として取り上げられた諸問題一現代南アフリカ経済論、農業と農村社会の変化、鉱業と製造業、19世紀植民地経済、奴隷制社会などーを考察するにあたって重要と考えられる諸研究を順次整理した。現在、南アフリカ経済史研究は、1880年代から両大戦間期にかけての工業化をめぐる問題に焦点、があわせられているように思われる。
著者
長倉 寿子
出版者
日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 = The Journal of Japanese Occupational Therapy Association (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.190-193, 1998-06-15
参考文献数
6
被引用文献数
1
著者
ラブソン スティーブ
出版者
上智大学
雑誌
アメリカ・カナダ研究 (ISSN:09148035)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.1-17, 1992-11-30

アメリカ人の多くは, 1945年8月14日の「対日戦勝記念日("Victory over Japan Day"=V-J Day)」と聞けば, 長く破壊的な戦争が終わったことへの安堵の気持ち, そして目標が達成されたことへの満足感を連想するだろう。大統領ハリー・S・トルーマンが1946年にその名前を単に「勝利の日(Victory Day)」と短くした。その後, いくつかの州がこの「勝利の日」を法的な祝日とすることを宣言し, その中には1948年に同様の宣言を出したロード・アイランド州も含まれている。しかしながら, 1975年までにはこれらの州のすべてがこの祝日を廃止してしまった。それでも, ロード。アイランドのみはその唯一の例外であった。ロード・アイランドでは, 「勝利の日」は未だに広く"V-J Day"と呼ばれており, それは新聞や"V-J Day"記念特売のための宣伝などにさえも使われている。ロード・アイランドに住む日本人, 日系アメリカ人らは, 祝日の名前が法制化されていること, 及び名前が"V-J Day"と短く呼びやすくなっていることによってこの古く不名誉な呼び方が引き続き使われていることが促されているのであり, それによって彼らが戦時中の攻撃や虐殺に関して謂のない辱めを受け, 更に日本人, 他のアジア人, アジア系アメリカ人に対する中傷, 暴力の元となっている, と主張している。そのような事件は実際には少数であるにせよ, ここ数年増加する傾向を見せている。おそらくは, 日米間貿易での緊張の高まり, さらにはそれがメディアのセンセーショナリズム, 両国の政治家が感情的な愛国論を打ち上げていることによって不必要に煽られていることがその一因であろう。この祝日法を改定し名前を変えようと試みた法案が四つ州議会に提出されたものの, 州政府に多大な影響力を持つ退役軍人組合からの執拗な圧力によってその通過は阻まれてしまった。第二次世界大戦中にはロード・アイランド出身者から多数の死傷者が出たため, 祝日の名前を変えることは軍人の犠牲を軽んじることになり, さらには, 「歴史の見直し」を主張している日本の右翼集団を助長させてしまっていると, 彼らは主張している。しかし, 多くの退役軍人は改定を支持している。そして, 反核団体, 在米日本人, アジア系アメリカ人, ロード・アイランド州議会黒人幹部会なども同様の態度をとっている。彼らは, 日本の政治家が数度にわたりアフリカ系アメリカ人に対して偏見に満ちた発言をしたことに対しては怒りを隠さないにせよ, その祝日の現在の名前は差別的であるということにおいては一致を見ているのである。
著者
坂田 景祐
出版者
日本森林学会
雑誌
日本林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.114, pp.400, 2003

本研究は、日本、アメリカ合衆国、EU(スウェーデン)の3カ国をモデル地域として、4通りの排出権の計算方法を用いた林業経営収支モデルを作成した。このモデルでは、CO2排出権の単価(CO2価格)を$5と$10(現在の市場取引価格を参考)とした場合の「造林利回り」を算出することと、伐期に影響を与える造林利回り最大の伐期齢が異なるCO2価格により何年になるのかを明らかにした。 本研究で用いた4通りの森林の排出権の計算方法は、ストック変化法、平均貯蔵法、トンイヤー法、排出権を返還する方法である。「ストック変化法」とは、ある1時点の森林が貯蔵している炭素量を排出権として計算する方法であり、ここでは伐採時に樹木が貯蔵している炭素量を排出権として森林所有者が獲得するとした。「平均貯蔵法」とは、植栽時から伐採までの間の平均蓄積量を排出権とする方法である。植栽して早くから成長し、温暖化を防止する森林には多くの排出権が見込まれることになる。ここでは、伐期齢1年ごとの平均蓄積量の排出権を森林所有者が伐採時に獲得するとした。「トンイヤー法」とは、森林の炭素貯蔵により温暖化を防止する効果を排出権として計算する方法である。ここでは森林が貯蔵した炭素量の1/55を55年間毎年排出権として森林所有者が獲得するとした。「排出権を返還する方法」とは、森林の炭素循環を考慮した方法で、森林所有者は森林が成育している段階では、森林が貯蔵する炭素量を毎年排出権として獲得するが、伐採時には貯蔵した炭素を排出するととらえて、獲得した排出権をすべて返還する方法である。トンイヤー法と排出権を返還する方法では、森林所有者は排出権を毎年獲得することから、その排出権にはモデル国の10年国債の利回り(過去10年間の平均)(日本:2.53%/年;アメリカ合衆国:5.93%/年;スウェーデン:5.32%/年)を1年複利で乗じた。 CO2排出権取引を想定しない場合の伐採収益は、丸太を木材市場で売却した収入から造林費と伐採費を引いた金額である。CO2排出権取引を想定した伐採収益は、排出権取引を想定しない場合の伐採収益にCO2排出権の金額(4方法ごと)を加算した値である。CO2排出権の金額は、排出権(量)にCO2価格を乗じた値である。この林業経営収支モデルを日本では神奈川県津久井郡(樹種:スギ)、アメリカ合衆国は南部のジョージア州(樹種:イエローパイン)、スウェーデンは南部のユタランド地域(樹種:ノルウェースプルス)に適用した。 異なるCO2価格による造林利回り最大の伐期齢の変化については、CO2価格が上昇するにつれて「ストック変化法」と「平均貯蔵法」の場合、造林利回り最大の伐期齢は、日本、アメリカ合衆国では短縮し、スウェーデンでは延長した。「トンイヤー法」と「排出権を返還する方法」の場合では、日本、スウェーデンでは延長し、アメリカ合衆国では短縮した。 造林利回りが最大になる計算方法として、「排出権を返還する方法」において造林利回りが最大になった理由は、排出権取引を想定しない場合の造林利回りが国債の利回りと比較して低いためである。この方法は、伐採前から排出権を獲得して、その排出権は国債の利回りにより増加することから、伐期が長くなるにつれて造林利回りは国債の利回りに収束することになる。そのため、「排出権を返還する方法」以外の計算方法による造林利回りが国債の利回りより低い場合、この計算方法の造林利回りが最も高くなる。異なるCO2価格による造林利回り最大の伐期齢の変化として、「ストック変化法」と「平均貯蔵法」では、CO2価格の上昇に伴い樹木の平均成長量が最大の伐期齢に移動することを明らかにした。「トンイヤー法」と「排出権を返還する方法」では、伐期が長くなるに従い、造林利回りは国債の利回りに収束する。そのため、この計算方法による造林利回りが国債の利回りより低い場合、伐期が長くなるほど造林利回りは高くなる。この場合、CO2価格が上昇するほど国債の利回りに影響を受ける排出権の価値が増し、造林利回りが国債の利回りまで上昇する伐期は短縮する。