著者
高木 和子
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.47, no.12, pp.806-817, 2005
被引用文献数
1 1

「機関レポジトリ」のアイデアが現れたのは数年前にすぎないが,その後世界中で多くの機関がレポジトリを設置し始めた。これには,機関レポジトリ用のオープンソースや商用ソフトウエアの開発が大きく寄与している。稼動中の機関レポジトリの成功例としては,マサチューセッツ工科大学DSpace,カリフォルニア大学eScholarship,カリフォルニア工科大学CODA,サウザンプトン大学Sotonなどがある。その他多くの機関レポジトリはコンテンツ数が少なく小規模である。大手出版社がオープンアーカイビングへの制限政策を緩和したことや,政府資金を得た研究成果をレポジトリに登録することを義務付けようとする米国や英国の動き,新しい検索サービスなどは,機関レポジトリ発展への大きなはずみとなるだろう。
著者
寺田 由美
出版者
北九州市立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2002

本年度は,主として,20世紀初頭のアメリカ合衆国で展開されたユダヤ人移民の母親による抗議行動について,史料収集ならびに論文作成を行った。当該期のユダヤ人移民の母親による抗議行動として,コウシャー肉ボイコット(食糧暴動)と家賃ストライキのふたつがあげられるが,本年度は特に前者に注目し研究を進めた。女性の「合衆国市民」としての意識形成を検討するにあたって,労働者階級,特に移民女性がとった行動やその際に使われたレトリックを分析することは重要であり,それを前年度までの主たる研究対象としてきたWASPを中心とするエリート女性の行動やレトリックと比較することで本研究に大きな成果があがると思われる。食糧暴動は,17〜19世紀のイギリス,フランス,ドイツなどのヨーロッパ諸国,あるいは日本や中国などアジア諸国でもしばしば発生しており,またそれに関する優れた先行研究も多数存在する。合衆国でも1837年の小麦粉の「独占」に伴う食糧価格高騰に抗議して起こった暴動についてH・ガットマンが言及しているものの,総じてヨーロッパやアジア諸国に比べると研究がすすんでいない分野であるように思われる。加えてヨーロッパの食糧暴動研究に関して最も重要な研究を行ったE・P・トムスンは,暴動の主唱者が非常にしばしば女性であったとしながら,それについて十分な説明をしていない。こうしたことを踏まえて,20世紀初頭の合衆国におけるユダヤ人女性が扇動したコウシャー肉暴動を1902年の事例に沿って分析した。この暴動に関して,少数ながら国内外でいくつかの先行研究があるが,これらの研究は概ねこの暴動をたんなるモラル・エコノミーの発露とは見ておらず,当該期のほかの改革運動や労働運動とのつながりを読み取ろうとしているように思われる。しかし,コウシャー肉暴動や家賃ストライキと他の運動とのつながりを十分に考察し論じている先行研究は非常に少なく,これらのユダヤ人移民女性による行動は移民史の中のエピソードとして扱われている場合が大半で,暴動の実態そのものもあまり知られていない。そこで本年度は,収集した史料から1902年のコウシャー肉暴動の実態を,原因の明確化と暴動の進展,また暴動の際に用いられた抗議の手法やレトリックに沿って具体的に明らかにすることに主眼をおいた。コウシャー肉の高騰が直接の原因で1902年の暴動は起こったのであるが,その背景には東欧ユダヤ人の家庭像,食習慣,合衆国での苦しい生活とならんで,「トラスト」問題が見え隠れしており,本年度の研究でこれについて言及した。次年度以降,さらにユダヤ人移民女性の抗議行動に関する研究を進めていく予定である。
出版者
日経BP社
雑誌
日経コンピュータ = Nikkei computer (ISSN:02854619)
巻号頁・発行日
no.892, pp.52-54, 2015-08-06

佐賀市は全国の県庁所在地の中でも年間収納率が名古屋市、横浜市に次いで3位(95.86%)という優等生。2010年には従来の銀行での支払いに加えてコンビニでの支払いにも対応するなど、納税者に対する利便性向上策を比較的早い時期から打ってきた。 収納率をよ…
著者
笠亭仙果 作
出版者
西村屋与八
巻号頁・発行日
vol.初編, 1833
著者
河野 誠哉
出版者
教育思想史学会
雑誌
近代教育フォーラム (ISSN:09196560)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.175-188, 2002-12-04 (Released:2017-08-10)

科学の名を冠する調査的実践の歴史的系譜のなかで、児童という存在はいかなる分析視角のもとで捉えられてきたのか。こうした問題関心のもとに、本稿は、近代日本において取り組まれた2つの大規模児童測定調査(明治期における医学士・三島通良によるそれと、大正末における心理学者・大伴茂によるそれ)をとりあげ、これらを分かつ「隔たり」に注目するところから出発して、近代日本の児童研究の系譜のなかで児童を対象化するまなざしの根本的な転換について論じる。ここで本稿が指摘するのは、個人性への分析視角の移動と、それに伴って生じた教育臨床的なまなざしの成立という局面である。また、そのうえで、大正末から昭和初年にかけての時期において、このような根本的な転換をへて生まれることになった新しいタイプの科学的知の実践のもつ、近代学校論的な含意について検討していく。それは、当時の学校システムが直面しつつあった危機的状況への対応として、新たに要請された実践であったというのが、ここでの論点である。
著者
横田 勝一郎
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.198-199, 2011
参考文献数
4

私が中学生の時,すばらしい理科の先生に出会った。30年余り経った今も,楽しく,分かりやすい授業のようすを思い出す。「先生,○○はどうしてですか?」どんな質問にも,その場で分かりやすく教えてくださった。私が理科教員になった理由のひとつにその先生の影響がある。生徒にとって,楽しく分かりやすい授業がしたい。科学の楽しさや有用性を伝えたい。教員になって26年,日々そんな思いで授業に臨んでいる。
著者
石川流宣 作
出版者
山田屋三四郎
巻号頁・発行日
vol.[5], 1716
著者
小室 清人 田村 雅紀
出版者
工学院大学
雑誌
工学院大学研究報告 (ISSN:03685098)
巻号頁・発行日
no.111, pp.107-112, 2011-10-30

In recent society, global warming causes emission of carbon dioxide and raises remarkable issues. This study investigated the quantities of carbon dioxide on reinforced concrete buildings in the Tokyo metropolitan area during the manufacturing and transportation of materials to be used. Moreover, those quantities were compared between a basic RC building and a building using scallop shells. Scallop shells can fix carbon. As a result of calculations, scallop shells can contribute to the reduction total carbon dioxide quantities because they can store carbon dioxide on their own, and achieve the carbon-neutral theory, which states that quantities of emission and absorption of carbon dioxide are equal in the life cycle.
出版者
日経BP社
雑誌
日経コンストラクション (ISSN:09153470)
巻号頁・発行日
no.219, pp.82-85, 1998-11-13

97年9月に北海道千歳市の北海道横断自動車道千歳ジャンクションCランプ橋で死者3人,負傷者3人を出した送り出し架設中の橋桁落下事の調査結果がこのほどまとまった。学者などで構成する事故対策検討会が事故の原因究明にあたったが,原因の特定には至らず,「いくつかの要因が絡み合って事故が起きた」との結論にとどまっている。 事故は97年9月2日早朝に起きた。
著者
黒木 貴一 品川 俊介
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2016, 2016

<br>台風第18 号や前線による平成27年9月関東・東北豪雨では,7 日から11 日までの総降水量が関東地方で600mmを越える場所があった。中でも茨城県の鬼怒川では,破堤,溢水により40km<sup>2</sup>以上が浸水し,全半壊家屋5500棟以上,死者3人が出た。この被害に関して破堤・溢水・漏水個所を中心とする被害状況全般,浸水範囲と微地形に関して報告がなされた。この浸水はハザードマップで予想された範囲で生じたとされるが,破堤を除き,浸水の始まりとなった段丘面上の浸水や遍在する堤防の漏水箇所など,治水地形分類図の情報からは予測が難しい弱点も確認された。そこで本研究では,既存成果を参考に鬼怒川の破堤・溢水・漏水箇所に関し,河川の微地形との空間関係を地形量を鍵に明らかにし,氾濫に注意が必要な河川条件を検討した。
著者
宮下 修 松村 興一 島津 浩 橋本 直人
出版者
The Pharmaceutical Society of Japan
雑誌
Chemical and Pharmaceutical Bulletin (ISSN:00092363)
巻号頁・発行日
vol.29, no.11, pp.3181-3190, 1981-11-25 (Released:2008-03-31)
参考文献数
36
被引用文献数
12 28

A series of 5-fluoro-6-substituted-5, 6-dihydrouracil-5-carboxylic esters (13), -5-carboxamides (15, 16), and -5-carbonitriles (18, 19) was prepared by direct fluorination of the corresponding uracil-5-carboxylic esters (6), -5-carboxamide (14), and -5-carbonitrile (17) with fluorine or trifluoromethyl hypofluorite (CF3OF) in the presence of water, methanol and/or acetic acid. Hydrolysis of the above-mentioned products under mild conditions gave 5-fluorouracil (1a) in high yield. Some applications of the present method for the synthesis of 1-(2-tetrahydrofuryl)-5-fluorouracil (1b) were also described.
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1037, pp.60-64, 2000-04-17

「営団地下鉄で爆発か?」「テロの可能性も否定できず」——。3月8日午前9時1分、帝都高速度交通営団(営団)日比谷線で起きた脱線衝突事故を伝える第1報は、明らかな「誤報」で始まった。とはいえ、車両の横にぽっかりと開いた穴と、床一面に広がる真っ赤な血のりを目の当たりにした乗客や目撃者が「爆発」と勘違いしても無理はない。
著者
四ノ宮 成祥
出版者
The Japanese Society of Internal Medicine
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.101, no.11, pp.3103-3113, 2012-11-10

バイオテロは決して頻度の高い事象ではないが,一旦起きると社会への衝撃は計り知れない.我々は,過去にオウム真理教のバイオテロ未遂事件やアメリカ炭疽菌郵送事件のような事例を経験したことを忘れずに,適切な対策を講ずる必要がある.また,過去に生物兵器として開発された生物剤がテロに用いられることのないよう注視するだけでなく,今後は遺伝子組換え技術を利用した新たなタイプの生物剤を用いたテロが起きないよう防止することも大切である.<br>