著者
渡辺 克益 松村 一
出版者
克誠堂出版
雑誌
形成外科 (ISSN:00215228)
巻号頁・発行日
vol.51, no.9, pp.1021-1029, 2008-09
著者
山本 真弓
出版者
川崎医科大学
雑誌
川崎医学会誌 (ISSN:03865924)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.59-70, 2003

同一術者,同一術式によって初回口唇裂手術を施行した片側性完全口唇顎口蓋裂患者の顎・顔面形態を,三次元計測装置を用いて計測し,術前の顎・顔面形態の特徴ならびに術後の経時的変化を分析し,次の結果を得た.1.初回手術前にHotz口蓋床を装着することで,顎前方部の各傾斜角度,特にSmaller segmentの傾向角度及びSmaller segmentとLarger segmentの差の移動が大きく,術前のHotz口蓋床装着の有用性が示唆された.2.初回口唇裂術後,顎裂前後差・前歯部傾斜角度・Smaller segmentの傾斜角度およびSmaller segmentとLarger segmentの差・歯槽基底部最大幅径の移動が大きく,手術およびHotz口蓋床装着等のなんらかの外力が特にこの部位に加わっていると示唆された.3.術前術後の顔面形態は,顎前方部の形態に影響しており,特に顎裂幅・前歯部傾斜角皮・Smaller segmentの傾斜角度・Larger segmentの傾斜角度及びその差・歯槽基底部最大幅径の矯正は術前までに十分行う必要性があると考えられた.4.術後の鼻腔底の長さが非対称性になる原因の一つに,患側キューピット弓頂点の患側鼻翼基部からの距離が影響していると考えられた.5.術後の患側鼻翼基部下垂を防ぐために,基部の固定位置を健側よりも若干高めに矯正する必要があると考えられた.
出版者
日経BP社
雑誌
日経コンピュータ (ISSN:02854619)
巻号頁・発行日
no.845, pp.67-69, 2013-10-17

「クラウドベンダー・イメージ調査」は日経BP社と日経BPコンサルティングが、日経コンピュータやITproをはじめとする日経BP社のIT系メディア、および日経ビジネスオンライン読者、日経BPコンサルティングが所有する調査モニターを対象に実施した。2013年7月2日から…
出版者
日経BP社
雑誌
日経コンピュータ (ISSN:02854619)
巻号頁・発行日
no.845, pp.58-66, 2013-10-17

パブリッククラウド導入支援サービス部門では、テラスカイの「クラウド導入コンサルティングサービス」(総合スコア66.0)、およびウフルの「パブリッククラウド導入支援サービス」(同65.4)の二つをベストサービスとして選出した(表4)。 このうち、ウフル…
著者
岡部 宣章
出版者
学習院大学大学院
巻号頁・発行日
2015-03-31

ヨウ素を含むハロゲン元素は、水に溶解しやすいため地球表層では水圏を中心に広く分布している。水圏を構成する水は、特異な性質を持つことから、地球表層の環境を研究する上で非常に重要である。水の特異性の一つとして、液体の中で最大の高い誘電率を持つことが挙げられる。この水の高誘電率によって、水圏はハロゲン元素をはじめとして多くの電解質成分を水―岩石反応等によって周辺環境から溶出させている。溶出した成分は、水圏を中心に地球表層で循環する。環境中での挙動や循環はその成分や元素の化学的性質に依存するため、同族元素や希土類元素同士は類似した挙動を取ることが知られている。しかし、ハロゲン元素は水圏中で陰イオンとして安定に存在するといった点は共通するものの、生物への親和性や鉱物化のしやすさといった点では挙動が異なる。特に、ヨウ素はハロゲン元素の中でも生物親和性が高く、またその他のハロゲン元素が水圏中で1価の陰イオンとして存在するのに対して海洋中で5価のヨウ素酸イオンとして存在するなど挙動が異なっている。また、ヨウ素には長半減期核種である129Iが存在しており、温泉水や海底堆積物間隙水などといった地下流体における地質年代の推定や地球表層でのトレーサーとして利用する研究がなされている。これらのことから、ヨウ素は地球化学的な研究を行う上で非常に有用な指標として用いることができる。そこで、ヨウ素に着目して地球表層の水圏に関する研究を行った。対象とした水圏は、地球表層の水圏の9割以上を占める「海洋」と特異な性質を持つことが多い「地下流体(温泉水)」である。地下流体の研究地下流体の研究では、北海道に産する温泉に着目した。北海道は、自噴・揚水問わず温泉が多く存在している地域である。近年では、掘削技術の向上からかつては温泉の産出が困難であると考えられていた地域においても温泉の開発が行われている。そのため、現在では北海道のほぼ全域で地下流体の試料採取が可能である。また、北海道では過去の研究から高濃度の塩分を含む温泉の存在が確認されていたものの、その成因については不明な点も多く存在していた。そこで、温泉水に含まれるハロゲン元素と129I/127I比を測定することで温泉水の起源やその成因についての考察を行った。 ハロゲン元素の分析の結果、塩素濃度が0.3から963mMであり、臭素濃度は6から2500μM、ヨウ素濃度は0.02から650μMと濃度が広範囲であった。また、その値からハロゲン元素間の濃度比を算出した。過去の研究ではハロゲン元素間の濃度比から流体の起源を推定しており、本研究でも同様の方法で流体の起源を推定した。その結果、本研究で測定した試料の多くが海底堆積物間隙水及びそれと海水が混合した値と一致した。そのことから、本研究で測定した試料はその多くが海底堆積物や海水から何らかの影響を受けていることが推測された。129I/127I比の測定では値が0.05~0.38×10-12程度であった。日本において過去の研究で測定された温泉水を中心とする地下流体では129I/127I比はその多くが0.2×10-12程度の値であった。そのため、0.05~0.1×10-12程度という129I/127I比は非常に低く、その起源が古いものである可能性が示唆される。また、129I/127I比の低い試料(<0.1×10-12)の採取地点が北海道において東経141°から142°の同一直線上に位置することが確認された。この0.05~0.1×10-12の129I/127I比から年代を推定すると、その起源が約7500万年前から6000万年前になることが推定された。この年代において北海道は、現在の北海道東部と北海道西部の間にイザナギ‐クラプレートが存在していたと考えられている。現在、このイザナギ‐クラプレートはユーラシアプレートに完全に沈み込んでおり、その際のプレートテクトニクスによって現在の北海道の地形が形成されたと考えられている。このプレートの衝突時にヨウ素を豊富に保持している海底堆積物が付加体などとして地殻に取り込まれ、それらが温泉水の成分に影響を与えている可能性が示唆された。129I/127I比の低い試料の採取地が北海道において同一直線上に分布することもこの考察を補強するデータの一つである。海洋の研究地球表層における水圏の90%以上が海洋である。そのため、ヨウ素にとっても海洋は重要なリザーバーであり、多くの研究がなされている。ヨウ素は環境中でIO3-、I-、有機ヨウ素の形態で主に存在しており、海洋はこれらが共存した状態である。現在の海洋は、酸化的な環境であるため、ヨウ素は主にIO3-の化学形態で存在していることが知られていが、有光層と呼ばれる海洋表層ではIO3-の減少とI-の増加が確認されている。しかし、熱力学的にはこの変化は矛盾していることから微生物の影響が推測されており、過去の研究ではこのヨウ素の還元反応への硝酸還元菌の活性の関与が報告されている。これは、IO3-がNO3-と化学形態が似ていることから硝酸還元菌がNO3-をNO2-に還元する際にIO3-もI-まで還元していると考えられるためである。しかし、ヨウ素に特異的に反応する微生物の存在や硝酸還元活性を失活させた微生物でもIO3-の還元が報告されているなど、不明な点も多い。そのため、海洋におけるヨウ素の化学形態変化について詳細に研究を行った。本研究では、海洋中でのヨウ素の化学形態変化を再現し、それを観察することでヨウ素の還元反応が起きるメカニズムについて考察を行った。実験方法は、実際に天然で採取した海水を滅菌したバイアル瓶に密封することで培養し、HPLC-ICP-MSで化学形態別分析を行った。 まず、未濾過海水を窓辺の太陽光が入射する条件(明所条件)とロッカー内のほぼ遮光した条件(暗所条件)とでヨウ素の化学形態変化の比較を行った。その結果、暗所条件ではあまり大きな変化は見られなかったが、明所条件ではIO3-の減少とI-の増加が確認された。これは、実際の海洋の有光層におけるヨウ素の還元反応と同様の変化が起きていると考えられる。しかし、この実験ではヨウ素の還元に関する要因については明らかにならなかった。そこで、さらに条件を詳細に区分し実験を行った。 次に、培養における条件を均一にするために培養をインキュベータ内に光源を設置し実験を行った。光源は植物育成用LEDを使用した。また、実験にはお台場及び沼津で採取された2種類の海水を使用した。培養時の海水の条件は、①0.2μmフィルターで濾過した濾過海水、②オートクレーブで滅菌したオートクレーブ海水、③抗生物質を添加してバクテリアの活性を抑えた抗生物質添加海水、④光合成阻害剤を添加して藻類の活性を抑制した光合成阻害剤添加海水、⑤処理を行わない未濾過海水の5つで実験を行った。これらの試料をインキュベータ内で培養し、ヨウ素の化学形態変化について観察をした。その結果、未濾過海水と抗生物質添加海水においてIO3-の大幅な減少が確認された。このことからIO3-の減少は藻類によって起きていると考えられる。一方でI-の増加は確認できなかった。このことから、IO3-からI-へ直接還元されているのではなく、IO3-の減少とI-の増加は別の反応過程であることが推測された。ここで、I-が増加しない理由を考察する。この傾向はお台場及び沼津それぞれで採取された海水で同様であったことから海水の性質が原因ではないといえる。また、培養温度を上昇させてもI-は増加しなかったことから温度による影響も考えにくい。そこでI-が増加しない原因に関して光源に着目した。インキュベータに設置した植物育成用LEDは単一の波長を放出するのに対して、太陽光には複数の波長の光が存在している。それゆえ、LEDの波長以外の光が何らかの影響を与えている可能性があるため、太陽光での培養とLEDでの培養を比較した。その結果、濾過海水では太陽光・LEDともに大きな変化は確認できなかったが、未濾過海水では太陽光・LEDともにIO3-の減少が確認された。一方でI-の増加が確認されたのは、未濾過海水を太陽光で培養した条件のみであった。このことから、I-の増加には太陽光の波長が必要であるということが示唆された。 その他にもI-の増加を促進する因子があるのではないかと考え、太陽光の下でLEDでの条件と同様の①~⑤の海水を培養した。その結果、未濾過海水と抗生物質添加海水ではIO3-の大幅な減少が確認された。これは、LEDでの培養結果と同様の傾向である。一方でI-の増加傾向は未濾過海水でのみ確認された。未濾過海水と抗生物質添加海水とでの差はバクテリアの活性の有無であるため、バクテリアがI-の増加に関与していることが推測される。 以上のことを統括すると、海洋表層の有光層でのヨウ素の還元反応は、IO3-からI-への直接的な還元ではなく、中間体を経た藻類によるIO3-の減少反応とバクテリアによるI-の増加反応の二段階反応である可能性が示唆された。統括 温泉水及び海水での研究の結果、ヨウ素が地下流体の起源や年代の推定、水圏中の微生物の活性調査等において非常に有用な指標となることがわかった。このことから、ヨウ素の研究は地球表層の水圏の環境や挙動を知る上で非常に重要であるといえる。
著者
西山 貴史 伊藤 香織 丹羽 由佳理
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.48-54, 2017
被引用文献数
1

近年,市民ロードランナーの拠点であるランニングステーションが増加している.本研究では,皇居周辺の5施設の利用者へのアンケート調査によりランニングステーションの利用実態を把握し,利用満足度を構成する要因を明らかにする.因子分析によって[イベント],[快適性],[利用満足度],[機能性],[交流],[ショップ],[交通利便性]の構成因子が抽出され,共分散構造分析によって6つの因子がどのように[利用満足度]を構成するのかを明らかにした.得られた主要な結果は,(1)[快適性]が[利用満足度]と最も関連が強い,(2)[イベント]は[交流]を介して間接的に[利用満足度]を構成する,(3)自宅アクセスは施設利用者の満足度評価との関連が弱い,(4)利用頻度の高い利用者,若い世代,同伴者のいる利用者では[交流]が[利用満足度]を構成する重要な要素である.
著者
布施 義敎
出版者
千葉医学会
雑誌
千葉醫學會雜誌 (ISSN:00093459)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.333-350, 1928-02-28

著者ハ著者ノ創メタル純粹胃液採取法ヲ以テ人体胃液分泌機能ニ對スルピロカルピンノ作用ヲ檢セリ。分泌量ハピロカルピンニヨリ一般ニ著シク增量シ、酸度ハ增加スルモノ又ハ減少スルモノアルモ總酸量ハ增加ス。鹽素濃度ノ變動ハ著シカラズ。ペプシンノ蛋白消化力ハ一般ニ高マル。即チピロカルピンハ胃液分泌ヲ催進スルモノナルヲ認メタリ。(自抄)Der Verfasser fuhrte die Untersuchungen uber den Einfluss von Pilocarpin auf die Magensaftsekretion beim Menschen in gleichen Weise wie die in der III. Mitteilung aus. 1 ccm von Pilocarpin wurde als 1% ige Losung subcutan injiziert. Die Versuchsergebnisse lassen sicn folgendermassen zusammenfassen. Bei Pilocarpin-injektion verlangerte sich die Sekretionsdauer des Magensaftes im Vergleich mit der des Kontrollversuches. Bei allen Versuchen ausser einem Fall wurde dabei eine starke Vergresserung des Sekresionsquantums konstatiert. Bei den meisten Versuchen neigte die Aziditat des Magensaftes zur Zunahme, einige aber sank sie erheblich. Der Durchnittswert derselben war schliesslich etwas geringer als der der Kontrollversuche. Im Gegensatz dazu erfuhr die Gesamtmenge der Saure eine hochgradige Vermehrung. Diesen Umstand kann man dadurch erklaren, dass trotz einer vermehrten Salz-saureabscheidung der Magensaft durch noch starklre Schleimsekretion und Wasserabscheidung durch die Magenwand verdunnt wird, so dass sich die Aziditat endlich herabsetzt. Die Chlorkonzentration nahm etwas ab, was wahrscheinlich darauf zuruckzufuhrenist, dass das sezernierte Chlor verdunnt wird, da die absolute Sekretionsmenge viel grosser als die beim Kontrollversuch ist. Uebrigens war die Abnahme der Chlorkonzentration erheblich geringer, wenn man sie mit der Abnahme der Aziditat verglich, Das Neutralchlor nahm leicht zu. Die Sekretion des Pepsins stieg im allgemeinen an, so dass sich die Durchschnitt werte desselben erhohten. Die Viscositat und PH nahm etwas zu. Kurz kann man sagen, dass das Pilocarpin die Magensekretion, insbesondere die Pepsinabscheidung befordert. (Autoreferat)新字体抄録:著者ハ著者ノ創メタル純粋胃液採取法ヲ以テ人体胃液分泌機能ニ対スルピロカルピンノ作用ヲ検セリ。分泌量ハピロカルピンニヨリ一般ニ著シク增量シ、酸度ハ增加スルモノ又ハ減少スルモノアルモ総酸量ハ增加ス。塩素濃度ノ変動ハ著シカラズ。ペプシンノ蛋白消化力ハ一般ニ高マル。即チピロカルピンハ胃液分泌ヲ催進スルモノナルヲ認メタリ。(自抄)
著者
藤田 正夫
出版者
岡山医学会
雑誌
岡山醫學會雜誌 (ISSN:00301558)
巻号頁・発行日
vol.39, no.12, pp.2025-2050, 1927

1. 余ハ未ダ其研究甚ダ寡キ子宮附屬器就中圓靱帶及ビ喇叭管ニ對スル諸種藥物ノ作用ヲ,今日迄殆ド顧ミラレザリシ生理的状態ノ變化ヲ特ニ顧慮シテ實驗研究シ,尚ホ之等ニ對スル藥物ノ作用ヲ,當該子宮ニ對スル夫レト比較觀祭セリ.即チ處女,經産非娠,妊娠初期,妊娠末期,産褥ノ各時期ニ於テ,同一動物ノ之等臟器ニ對スル之等ノ藥物ノ同一分量ヲ作用セシメテ互ニ其成績ヲ比較セリ.實驗ニ供セル藥物ハ「アドレナリン」,「ピロカルピン」,「ピツイトリン」,「ヒニーン」,「ニコチン」,「コカイン」,「カルチウム」,「カリウム」,「アトロピン」,「ストロフアンチン」,「フイゾスチグミン」,「モルフイン」,「バリウム」,「パパヴエリン」ノ十四種ナリ.<br>2. 先ヅ圓靱帶ニ於ケル成績ニ就キテ觀ルニ,「ピロカルピン」(抑制),「カルチウム」(抑制),「アトロピン」(興奮),「ストロフアンチン」(興奮),「フイゾスチグミン」(興奮),「バリウム」(興奮),「モルフイン」(興奮),「パパヴエリン」(抑制)ノ八物質ハ本臟器ノ生理的變化ニヨリテ之等ノ作用ニ影響ヲ被ラズ,殆ド常ニ上ニ示セルガ如キ作用ヲ呈シタリ.然ルニ,他ノ六物質ハ夫等ノ作用,次表ニ示スガ如ク生理的各時期ニヨリテ差違ヲ示スヲ見タリ.<br>3. 喇叭管ニ對シ,「アドレナリン」,「ヒニーン」,「コカイン」,「カリウム」ノ四物質ハ生理的變化ニヨリテ其作用ニ影響ヲ被ル.即チ下ノ表ニ示スガ如シ.<br>然ルニ他ノ十物質ハ殆ド影響ヲ被ラズ.「ピロカルピン」ハ各時期ニ於テ同様ニ作用ナキカ又ハ興奮ヲ「ピツイトリン」ハ殆ド作用ヲ呈セズ,「ニコチン」ハ興奮ヲ,爾他ノ七物質ハ圓靱帶ニ於ケルト同様ノ作用ヲ示ス.<br>4. 圓靱帶ニ對スル之等藥物ノ作用ヲ,當該子宮竝ニ喇叭管ニ對スル夫レト比較スルニ,「フイゾスチグミン」,「アトロピン」,「モルフイン」,「バリウム」,「パパヴエリン」,「ストロフアンチン」ノ六物質ハ,三臟器ニ對シ,各時期ヲ通ジテ,殆ド作用ノ本質的差異ヲ示サズ.然ルニ爾余ノ八物質ハ然ラズ<br>「ピロカルピン」及ビ「ピツイトリン」ハ三臟器ニ對シ,互ニ異ナル作用ヲ示ス.即チ「ピロカルピン」ハ子宮ニ對シテハ各時期共,殆ド常ニ著明ナル興奮作用ヲ示スニ,圓靱帶ニ對シテハ主トシテ抑制的ニ,喇叭管ニ對シテハ何等作用セザルカ,又ハ興奮的ニ作用ス.又「ピツイトリン」ハ子宮ニ對シ,妊娠初期(無作用又ハ抑制)ヲ除ク外,各時期ニ於テ興奮作用ヲ示スニ,圓靱帶ニ對シテハ妊娠末期(著明ナル興奮)ヲ除ク外主トシテ抑制ヲ,喇叭管ニ對シテハ殆ド作用ヲ呈セズ.<br>「カルチウム」及ビ「カリウム」ノ二物質ハ,圓靱帶及ビ喇叭管ニ對シテハ相似タル作用ヲ呈スルモ,子宮ニ於テハ之ト大ニ異ル.即チ「カルチウム」ハ子宮ニ於テハ妊娠初期ニ於テ弱キ抑制又ハ無作用ナルノ外,各時期トモ殆ド常ニ興奮作用ヲ呈スルニ拘ラズ,圓靱帶及ビ喇叭管ニ對シテハ主トシテ抑制ヲ示ス.又「カリウム」ハ子宮ニ對シテ各時期共,殆ド常ニ興奮的ニ作用スルニ拘ラズ,圓靱帶及ビ喇叭管ニ於テハ妊娠時ヲ除ク外,他ノ時期ニ於テハ抑制的ニ作用ス.<br>而シテ「アドレナリン」,「ヒニーン」,「コカイン」及ビ「ニコチン」ノ四物質ハ,之等三臟器ニ對シ,前記諸物質ノ如ク甚シク異ナル作用ヲ呈セズト雖モ尚ホ異ナル點アルヲ知ル. 即チ「アドレナリン」ハ三臟器ニ對シ,一般ニ興奮的ニ作用スルモ,子宮ニ於テハ比較的屡々産褥時ニ,又圓靱帶及ビ喇叭管ニ於テハ,處女期ニ於テ主トシテ抑制作用ヲ示スノ差違アリ.「ニコチン」ハ喇叭管ニ對シテハ各時期共唯興奮作用ノミヲ示スニ,子宮及ビ圓靱帶ニ於テハ,時期ニヨリ,抑制又ハ興奮作用ヲ示ス.又「ヒニーン」及ビ「コカイン」ハ,子宮ニ對シテハ唯興奮作用ノミヲ示スニ,圓靱帶及ビ喇叭管ニ對シテハ興奮ノ外尚ホ抑制作用ヲモ示セリ.<br>5. 圓靱帶及ビ喇叭管ニ於ケル末梢神經主宰,ヲ「アドレナリン」竝ニ「ピロカルピン」ノ作用ヨリ推測スルニ,先ヅ「アドレナリン」ノ作用ヨリ,交感神經ノ制止繊維ノ興奮性ハ,處女期ニ於テハ其催進繊維ヨリモ,ヨリ鋭敏ナルニ,妊娠又ハ分娩ニヨリテ反對トナルモノト推察セラル.次ニ,「ピロカルピン」ハ兩臟器ニ對シテ興奮作用ヲ呈セザルノミナラズ,圓靭帶ニ於テハ反對ニ抑制作用ヲ示ス事實ヨリ考察スル時ハ之等子宮附屬器ニ於テハ,副交感神經ノ分布ノ全ク缺除スルカ,又ハ存スルモ,子宮ノ場合卜異リ,甚シク不鋭敏ナルモノト推定セラル.然ルニ同ジク副交感和經毒タル「フイゾスチグミン」ハ,「ピロカルピン」ト異リ,之等臟器ニ對シテモ興奮作用ヲ呈スルガ故ニ,本物質ハ神經性作用ノ外,筋自巳ニ對シ,刺戟作用ヲ呈スルモノト推察セラル.
著者
施 江南
出版者
財団法人 日本消化器病学会
雑誌
實驗消化器病學
巻号頁・発行日
vol.5, no.8, pp.1273-1291, 1930

「〓ロカルピン」ハ謄嚢内壓、膽汁分泌、「オッデイ」氏筋緊張並ニ十二指腸緊張及ビ收縮ノ亢進ヲ來シ、次デ膽嚢膽汁ヲ含ム膽汁ヲ流出セシム。「アトロピン」ハ「ピロカルピン」ト反對ニ膽嚢内壓、膽汁分泌、「オッデイ」氏筋緊張並ニ十二指腸緊張及ビ收縮ヲ低下セシメ、膽汁流出ノ減少ヲ來ス。「アドレナリン」ハ膽嚢内壓、「オッデイ」氏筋緊張、十二指腸緊張及ビ收縮ノ一時的低下並ニ肝膽汁ノ一過性流出ヲ來ス。「〓ッイトリン」ハ輕度ノ膽嚢内壓亢進並ニ「オッデイ」氏筋緊張、十二指腸緊張及ビ收縮ノ低下ヲ來シ、膽嚢膽汁ヲ含ム膽汁ヲ流出セシム。
著者
山内 正
出版者
岡山医学会
雑誌
岡山醫學會雜誌 (ISSN:00301558)
巻号頁・発行日
vol.39, no.11, pp.1789-1803, 1927

余ハ家兎ノ摘出子宮,喇叭管,圓靱帶,腟,膀胱及ビ耳殻血管ニ於テ,「ヨヒンビン」ノ末梢性作用ヲ精査シ,大略次ノ如キ成績ヲ得タリ.<br>之等諸種ノ臟器ニ於テ,「ヨヒンビン」ノ比較的少量ハ,一般ニ興奮的(血管ノ場合ハ収縮的)ニ作用ス.此興奮又ハ収縮ハ大小種々ノ量ノ「アトロピン」(血管ノ場合ハ0.05%)ノ前後處置ニヨリテ,影響セラルルコト無キヨリ,是ハ筋自己ノ刺戟ニ因スルモノナラント思考セラル.<br>又「ヨヒンビン」ハ「アドレナリン」ニ對シ,一定ノ量的關係ノ下ニ於テ,次ノ如キ特殊ノ拮抗作用ヲ營ム.即チ「アドレナリン」ニヨル興奮又ハ収縮ハ「ヨヒンビン」ニヨリテ除去セラレ,反對ニ「ヨヒンビン」ニヨル興奮又ハ収縮ハ「アドレナリン」(何等前處置無キ場合興奮又ハ収縮ヲ起スベキ)ニヨリテ,抑制又ハ緩解セラル,即チ「アドレナリン」ノ逆作用ヲ呈ス.是ハ之等臟器ニ交感神經ノ催進,抑制(血管ノ場合ハ収縮,擴張)ノ兩繊維存在シ,「ヨヒンビン」ニヨリ前者ハ選擇的ニ麻痺セラレ,後者ハ其麻痺作用ヲ蒙ラザル爲メ起ル現象ナラント解説セラル.<br>尚ホ「ヨヒンビン」ハ「ピロカルピン」及ビ「バリウム」ノ興奮ヲ抑制スルコト無ク,「ヨヒンビン」後ニモ之等兩物質ハ其ノ作用ヲ示ス.即チ「ヨヒンビン」ハ少クトモ檢セラレタルガ如キ分量ニ於テ副交感神經及ビ筋ヲ麻痺セシムルコトナシ.<br>而シテ「ヨヒンビン」ハ,上述ノ如キ交感神經性作用ニ關シテハ,「アトロピン」「ヒニーン」又ハ「エルゴトキシン」ニ酷似スレドモ,該作用ノ發現ハ「ヒニーン」又ハ「アトロピン」ヨリ純ナリ.何トナレバ「ヨヒンビン」ノ筋ニ對スル麻痺作用ハ,「ヒニーン」ノ夫レヨリ遙ニ弱ク,且ツ「ヨヒンビン」ハ「アトロピン」ニ反シ副交感神經ニ對スル作用ヲ有セザレバナリ.<br>以上ノ如キ實驗事實ヨリ,「ヨヒンビン」ハ或物質ノ交感神經作用ヲ他ノ神經,筋作用ヨリ容易ニ分析證明シ得ルコト,竝ニ交感神經催進繊維ノ官能ヲ除外シ得ルコトトニヨリ,種々ノ藥物學的又ハ生理學的研究ヲ行フニ當リ頗ル緊要ナル物質ナルヲ知ル.
著者
宅間 清
出版者
財団法人 日本消化器病学会
雑誌
消化器病学
巻号頁・発行日
vol.3, no.4, pp.579-617, 1938

胃液分泌機轉ハ神經性・體液性・體液神經性ノ三機轉ニ依リテ行ハル.而シテ體液神經性機轉ニ於テハ體液ノ變化ニ依リテ分泌神經中樞ニ惹起セラレタル興奮ガ副交感神經ヲ經テ胃腺細胞ニ傳達サルヽモノトセバ大及ビ小内臟交感神經中ニ介在セル脊髓副交感神經纖維モ亦之ニ關與スルヤ否ヤ疑義アルモ之ニ就キテハ未ダ實驗ヲ見ズ.又大及ビ小内臟交感神經ノ胃液分泌ニ及ボス影響ニ關シテハ各研究者ニ依リソノ説ヲ異ニス.依ツテ余ハ雌犬ヲ用ヒ兩側大及ビ小内臟交感神經竝ビニ迷走神經ヲ横隔膜直下ニ於テ切斷シ, 之ニ自律神經毒・體液神經性刺戟若シクハ阻止劑竝ビニ體液性刺戟劑ト稱セラルヽ物質ヲ用ヒ, ソノ胃液分泌ガ胃ノ外來神經特ニ内臟交感神經ニヨリテ受クル影響ヲ知ラント欲シテ實驗ヲ行ヒ, 次ノ如キ成績ヲ得タリ.<BR>「アドレナリン」ハ正常犬ニテハ胃液分泌ヲ或ハ抑制シ或ハ亢進セシメ, 區々タルモ兩側大及ビ小内臟交感神經切斷犬胃ニ於テハ多クハ亢進セシメ, 迷走神經切斷犬胃竝ビニ兩神經切斷犬胃ニ於テハ抑制セリ.<BR>「ピロカルピン」ハ正常犬竝ビニ兩側大及ビ小内臟交感神經切斷犬胃ニ於テハ胃液分泌ヲ亢進セシム.迷走神經切斷犬胃竝ビニ兩神經切斷犬胃ニ於テモ輕度ナガラ胃液分泌ヲ亢進セシメ, 後者ニ於テハ前者ニ於ケルヨリモ強盛ナリ.<BR>「アトロピン」ノ胃液分泌ニ及ボス作用ハ「ピロカルピン」ト全ク反對ナリ.<BR>體液神經性胃液分泌機轉ニ於テ體液ノ變化ニ依リ分泌神經中樞ニ惹起セラレタル興奮ハ大及ビ小内臟交感神經ニハ全ク關係ナク專ラ迷走神經ヲ經テ傳達サルヽモノナリ.<BR>「ヒスタミン」・「スピナチン」竝ビニ「モクソール」ノ胃液分泌機轉ハ體液性ニシテ「ヴィタミン」Cハ胃液分泌ニ對シ何等ノ影響ナシ.<BR>余ノ行ヒシ實驗範圍内ニ於テハ兩側大及ビ小内臟交感神經切斷ハ胃液分泌ニ對シ何等ノ特記スベキ影響ヲ及ボサズ.
著者
片山 拓也 村尾 和哉 寺田 努 塚本 昌彦
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.1667-1676, 2013-04-15

近年のコンピュータ小型化にともない,ウェアラブルコンピューティングに関する注目が高まっている.ウェアラブルコンピューティング環境では,携帯性や装着性の観点から小型の入出力デバイスが望まれる.一般に,コンピュータへの文字入力デバイスとしてはキーボードが広く普及しており,多くのユーザがキーボードの入力に慣れ親しんでいる.しかし,キータッチのしやすさなどのユーザビリティに影響を与えるため,キーボードの単純な小型化には限度がある.そこで本研究では,ユーザがすでに体得しているキーボード入力の能力を活かすために,既存のキー配列をそのままに保ちながらキーボードを左右に分割し,どちらか一方のみを用いる手法を提案する.提案手法では,単語の切れ目ごとにキーボード半分の打鍵情報のみから入力単語を推測する.提案手法を用いることで,従来のキーサイズと入力動作を最大限に保ったままキーボードの大きさを半減できる.In wearable computing, compact I/O devices are desirable from the viewpoint of portability. Now, many users are accustomed to input with a keyboard, however, there is a limitation of miniaturization because it degrades the performance of key touch. Therefore, in this paper, we propose a method to miniaturize a keyboard by excluding the half of it. The user can input words with one hand because the proposed system estimates the input word using keying interval, which appears also when the user inputs with both hands. From the result of user study, we confirmed that the user can input with only one hand and that it does not decrease input speed drastically.
著者
栗原 詣一
出版者
財団法人 日本消化器病学会
雑誌
實驗消化器病學
巻号頁・発行日
vol.7, no.6, pp.835-854, 1932

パウロフ小胃犬ニ就キテ、「ピロカルピン」ノ一定量(五・○-〇・○瓱)ヲ試食ト同時、或ハ其前後各一時間ニ於テ皮下注射シ、其小胃ヨリノ分泌量、分泌持續時間、遊離塩酸、總酸度並ニ總「クロール」量ヲ分泌全經過ニ亘リテ詳細ニ觀察セシニ、分泌量ハ「ピロカルピン」注射ニヨリテ著明ニ増加シ、酸度モ亦上昇スルヲ認メタリ、然レドモ總「クロール」量ニアリテハ殆ンド其影響ヲ〓ルコトナク、恒數ヲ保持スルモノナルヲ確認セリ。<br>然リ而シテ「ピロカルピン」ノ斯ノ如キ胃液分泌催進作用ニ及ボス二、三植物性神經毒則チ「アドレナリン」、「アトロピン」及ビ「エルゴタミン」ノ拮抗乃至共同作用ヲ檢索セシニ、何レモ「ピロカルピン」胃液分泌ヲ抑制スルモノナルヲ知レリ。但シ此ノ場合ニ於テモ亦、總「クロール」量ハ分泌經過中略々同高ヲ示セリ。
著者
内堀 裕一朗
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第64回春季研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.486, 2017 (Released:2017-06-29)

2017年現在、世の中に存在している片手デバイスはそのほぼ全てがゲーム用のデバイスとして販売されている。しかし、キーボードの特定のキーを多用するのはゲームだけではない。デザイン、イラスト、3DCGなどクリエイティブな作業に用いられるソフトも同じくキーボードを多用する。しかし、キーボードのショートカットキーの割当は、殆どの場合機能の頭文字を基準に配置されており、誰にとっても必ずしも使いやすいものではない。この研究の目的は、よく使う機能だけを片手に収めたゲーム用ではなくクリエイター向けとして役に立つデバイスのデザインを提案することである。デザインだけではなく、3DプリンターとArduinoを使い実際に動くプロトタイプを作成し評価を行った。