著者
田中 愛治
出版者
公益財団法人 日本学術協力財団
雑誌
学術の動向 (ISSN:13423363)
巻号頁・発行日
vol.23, no.10, pp.10_30-10_34, 2018-10-01 (Released:2019-02-15)
参考文献数
6
著者
服部 兼敏 東山 弥生
出版者
医学書院
雑誌
看護研究 (ISSN:00228370)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.315-323, 2010-08-15

看護場面で使われるオノマトペ 「カピカピ」,一体何のことだろう。看護の現場で用いられているこのコトバに初めて接する部外者は,驚くことになるだろう。説明を受けて,「カピカピ」とは,痰というもともと粘稠にあるものが乾燥した傾向に向かうときの状態であることがわかる。では「キンキン」とは。これは,腸閉塞の状態をいう。腸閉塞患者の腹部に当てた聴診器から聞こえる音が,「キンキン」という金属音に聞こえるために,このようにいわれるようになったそうである。さらに,浮腫が現われた状態,これは「プヨってる」と表現される。これらは,言語学でいうオノマトペ(擬音語,擬態語)である。 看護という専門領域では,微妙な患者の状態を表わし,その微妙な状態の変化に対応した手技を喚動(動きを呼び起す)するために,オノマトペが頻繁に用いられているのではないだろうか。患者の生死を左右するという極限状態において,また看護師が自分の生命すらかけなければならないような状況において,極限状態に対峙するに相応しい認知行動がとられているのではないだろうか。看護現場のエキスパートを観察していると,そうとしか考えられない言語行動がみられる。
著者
植野 壽夫 増田 秀樹 武藤 亜矢 横越 英彦
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.9, pp.435-441, 2012-09-15 (Released:2012-10-31)
参考文献数
33
被引用文献数
1 1

本研究では,ストレス性疾患として代表的なうつ病と胃潰瘍に対するラベンダー熱水抽出物(Lavender aqueous extract, LAE)の効果を,それぞれの疾患モデルマウスを用いて検討した.抗うつ試験では,うつ病の動物モデルとして汎用さている強制水泳試験(FST)を用いてLAEの長期投与による効果を検証した.1日当たり500-2500mg/kgのLAEを15日間マウスへ反復経口投与することにより,自発運動量に影響することなくFSTにおける無動時間が有意に短縮した.さらに,抗うつ薬であるイミプラミン30mg/kgを15日間反復投与した場合も同様の挙動を示した.これらの結果から,LAEはマウスへの長期投与において抗うつ様作用を有することが示唆された.抗ストレス潰瘍試験では,マウスに強制水泳を負荷することにより発生させた実験的ストレス潰瘍に対して,予め500-2000mg/kgのLAEを単回経口投与することにより,マウスの潰瘍面積が対照群と比べて有意に減少した.以上の結果から,LAEの摂取がストレスに起因するうつ病や胃潰瘍の予防・軽減に有効である可能性が示唆された.

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出版者
巻号頁・発行日
vol.第169-170,
著者
松澤 伸
出版者
早稲田大学法学会
雑誌
早稲田法学 = THE WASEDA LAW REVIEW (ISSN:03890546)
巻号頁・発行日
vol.80, no.2, pp.1-28, 2005-02-20 (Released:2016-11-22)
著者
鈴木 雄介
出版者
一般社団法人 CIEC
雑誌
コンピュータ&エデュケーション (ISSN:21862168)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.13-17, 2000

もし、本がすべて電子化されたら、いつでもどこでもほしい本が手にはいる。印刷代、紙代がなくなるからもっと安くなる。ベストセラーの売り切れがない、返品がない、絶版がない、断裁しなくていい。10年後には100万冊の中から自由に本を選べる時代がやってくる。そんな、いいことづくめの期待を込めて「電子書籍の衛星配信の実験」が行われた。シンクロニシティな現象として、話し合いもないまま、ほぼ同時に、日本、アメリカ、ヨーロッパ、アジアで「eBOOK」の事業化へ向けた組織が産声を上げた。パソコンやパソコン以外のものが、やっと「ものを読むメディア」としての十分な機能が、技術的に保証しはじめた。「ものを知るメディア」と「ものを読むメディア」の差を十分意識して、電子書籍という商品の「潜在能力」を引き出すことが実証されたと言っていい。高精細液晶の表現力、ネットワークの実力、出版資産の再活用、新しい表現作家の登場。近い未来に向けて、電子書籍ビジネスの可能性を「実証実験」の結果から、展望する。
著者
宮島 健
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.4-17, 2018-12-20 (Released:2019-02-12)
参考文献数
79

本稿では,人々が「残業を肯定的に捉える他者の信念」を実際よりも過大に推測している可能性(i.e., 多元的無知の生起),そして多元的無知が行動に及ぼす影響における心理的安全の調整効果を検証した.その結果,残業に対する他者の肯定的態度を人々が実際よりも過大視していたことと,多元的無知状態の個人は,職場の心理的安全風土を高く知覚していると意見表明が促進されることが示された.
著者
小川 雅弘
出版者
大阪経大学会
雑誌
大阪経大論集 = Journal of Osaka University of Economics (ISSN:04747909)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.1-22, 2016-05

国民経済計算SNA方式の国内総生産・国民総所得についていくつかの誤解―「国民」とは国籍を意味するとの説明,93SNAから国内概念が主になった等―が見られる。国内概念を国民概念へ変換する際の海外との受取・支払い所得が,68SNAまでの要素所得から93SNAで第1次所得に変った。その背景にはSNAの生産要素・要素所得に関する考え方がある。国民総所得は,国民=国内居住者による生産への貢献分でもなく,経常的支出の源泉所得でもなく,国民総生産と国民可処分所得に比べてあいまいな概念である。
著者
木曽 真
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.49, no.7, pp.411-413, 2001-07-20 (Released:2017-07-11)
参考文献数
5

糖鎖は, ウィルスや細菌その他の受容体機能を持ち, 宿主への感染や増殖を制限している。免疫担当細胞である白血球や, マクロファージは, 様々な糖鎖結合性タンパク質(レクチン)を使って細胞を認識し, 標的細胞を捕捉したり, 自らも炎症部位へ遊走する。本稿では, 白血球やリンパ球の表面で働く分子の中から, シアル酸を含む糖鎖(シアロ糖鎖)を認識する代表的なレクチンとして, 免疫や炎症反応に関与する「セレクチン」と「シグレック」に焦点をあて, その化学・生物学的特性について紹介する。
著者
本間 浩
出版者
北里大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

ラット精巣から、体内でテストステロン(Tes)合成を主に担うLeydig細胞を精製し、D-アスパラギン識(D-Asp)がTes合成を亢進するかどうかを検討した。D-Asp存在下でLeydig細胞を予め3時間以上培養すると、その後にヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG)で誘導されるTes合成が、有意に促進されることが明らかになった。また、この促進効果は、D-Aspを細胞内に取り込むことが知られているグルタミン酸トランスポーターの阻害剤によって抑制され、D-Aspは細胞内に取り込まれて促進作用を示すことが示唆された。hCGは、その受容体に結合した後、細胞内のcAMP濃度を増加させてTes合成を促進するが、hCGの代わりにdibutyryl cAMPで刺激しても、D-Aspの促進効果が認められた。このことは、D-AspがcAMPの濃度上昇以降のステップに作用することを示している。Leydig細胞内では、Tesの前駆体であるコレステロール(Chol)が、まずミトコンドリアの内膜へ運ばれ、P450SCCによる側鎖切断反応を受けたあと数種の代謝を受けてTesに変換される。この内膜へ運ばれる段階がTes合成全体の律速段階であると言われている。細胞外から水溶性が高い水酸化Cholを与えると、この律速段階をスキップしてすばやく内膜へ運ばれ、側鎖切断反応を受けてTesに変換される。水酸化Cholを与えてTes合成を亢進させた場合には、D-Aspはもはや促進効果を示さないことが明らかになった。このことは、D-Aspが、ミトコンドリア内膜におけるP450SCCによる側鎖切断反応よりも前のステップに作用することを示している。D-Aspの作用点として可能性のあるステップを種々検討した結果、D-AspはSteroidogenic Acute Regulatory protein(StAR)と呼ばれるタンパク質の合成促進を介して、Tes合成を促進していることが明らかになった。StARは、前駆体であるCholがミトコンドリアの外膜から、側鎖切断酵素(P450SCC)が存在する内膜へ運ばれる、Tes合成の律速段階を亢進する働きのあるタンパク質である。D-Asp処理を行ったLeydig細胞では、このStARのタンパク質量か増加していることが、Immuno blot法により明らかになった。また、D-Asp処理を行うと、StARのmRNAレベルも上昇することがNorthern blot法により明らかになった。すなわち、Leydig細胞において、D-AspはStARの遺伝子発現を促進することによって、Tesの合成を促進していることが明らかになった。
著者
荘司 喜博 高橋 邦夫 浅井 正 角田 隆
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 = Proceedings of JSCE (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.637, pp.137-148, 1999-12-20
参考文献数
14
被引用文献数
5 1

発電事業などの副産物である石炭灰は, いまだに大量が産業廃棄物として処分されている. 石炭灰は, セメントを添加して固化し, 必要な強度をもたせることにより, 軽量で高強度な地盤材料として利用できる可能性がある. そこで, 石炭灰を固化処理した地盤から岸壁に作用する土圧の算定手法を提示し, 土圧軽減効果を評価した. また, 室内および現地で試験を行い, 配合設計と施工条件を検討した上で. 酒田港の大型岸壁建設工事で, 約5万m<sup>3</sup>の石炭灰を裏込め工事に使用した. この結果, 少量のセメント添加で (<i>c</i>/<i>w</i>=5%). 砕石に相当する土圧低減効果を発揮する裏込め (地盤強度; <i>qu</i>≧2.0kgf/cm<sup>2</sup>≒0.196N/mm<sup></sup>) が施工できること, また, 建設コスト縮減の面でも効果があることが確認された.
著者
鈴木 徳一郎 山本 匠 西垣 正勝
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告マルチメディア通信と分散処理(DPS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2010, no.16, pp.1-8, 2010-02-25
参考文献数
18

近年,CAPTCHA を攻撃する不正者は,CAPTCHA の解読に自動プログラムを使うのではなく,ネット上の一般ユーザを労力として活用するようになってきている.この攻撃は,リレーアタックと呼ばれ,不正者が正規サイトの CAPTCHA 画像をコピーし,不正者自身が運営するサイトに転載することによって,不正者のサイトを訪問する閲覧者に CAPTCHA を解かせている.リレーアタックにおいては,CAPTCHA を不正に (不正だと知らずに) 解読するのは人間であるため,自動プログラムに対するいかなる難読化技術も役に立たない.そこで,本稿は正規サイトへのアクセスを行っている不正者サイトの IP アドレスと CAPTCHA の解答を行っている一般ユーザが操作する PC の IP アドレスの差異を用いたリレーアタック検知方式を提案する.It has been recently reported that malicious users who attack CAPTCHAs are gradually changing their strategy from using automated programs to using human solvers. Such malicious users try to bring net-surfers around the world together by hosting some attractive web site. The malicious web site accesses a victim web site to obtain a CAPTCHA test on the victim site. Then, the malicious site relays the CAPTCHA test to net-surfers who are visiting the malicious web site. The CAPTCHA test will be solved by the net-surfers, and thus the malicious web site can send the CAPTCHA response to the victim site. This is how the malicious web site can use those net-surfers as human resources to solve CPTCHA test on victim web sites. These kinds of attacks are called relay attacks. So far, many researches have studied to improve CAPTCHAs' tolerability against a various attacks conducted by automated programs (malwares). Those countermeasures will, however, not work at all, since the attackers are human beings in the relay attacks. Therefore, we urgently have to tackle the relay attacks. This paper focuses on the difference in PC between the entity who accesses the victim site and the entity who solves the CAPTCHA test under the circumstance relay attacks are conducted. Based on the observation, we propose a relay attack detecting scheme by comparing the IP addresses of the accessing entity with that of the solving entity.