著者
額田 均 八木橋 操六 馬場 正之 土原 豊一 根本 孝一 成瀬 桂子 中村 二郎 マルカス ミュラー 小笠原 早織 辻井 麻里 デニース マックラクラン
出版者
(財)額田医学生物学研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

1)高血圧が糖尿病性神経障害の発症・進展に関与していることは、大規模疫学調査から証明されたが、高血圧自体が末梢神経障害を惹起するかは不明だった。今回、高血圧ラットを用いた実験において、高血圧自体が末梢神経障害を起こすことが明らかになった。また、高血圧ラットの末梢神経では、糖尿病性神経に認められたのと同様に、虚血・再灌流傷害に対して形態学的・電気生理学的に脆弱性を認める。2)糖尿病性神経障害の発症機序は解明されていない。糖尿病ラットを用いて、神経内鞘マクロファージの活性化が、その発症に関与していることが証明された。3)末梢動脈閉塞症に伴う痛み・灼熱感、血行再建術後に出現するしびれなどの感覚障害に対しては早急な治療法の確立が望まれる。HGF遺伝子の逆行性神経内導入により感覚障害の改善が認められた。本法は虚血再灌流障害に対する有効な治療法となりうると考えられた。

1 0 0 0 OA 碑銘集 3巻

出版者
巻号頁・発行日
vol.[2],
著者
勝井 晃
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.42-49, 1968-03

立体空間における方向概念の発達過程を明らかにするために,3才から11才までの児童を対象とし,かれらが上下・前後・左右のコトバ自体をその空間方向や対象物においてどのように把握しているかを発達的に検討した結果,下記の諸点が明らかにされた。 1. 自己身体を基準とした空間方向に対する客観的な理解の水準は各方向によって異なり,発達的にも明確な差が認められた。すなわち,上下方向は年令的にもっとも早く3∼4才において理解され,ついで前後方向が5∼6才において,さらに遅れて左右方向は7∼8才においてほぼ正確となる(Fig. 4)。 2. 方向判断の基準を対面人物に移動させたり,姿勢条件を変化させた場合には視点の移動が困難となり,多くの自己中心的な誤りを示す。この傾向は6才ないし7才までの児童において顕著であった(Table 2)。 3. 自己身体の左右および対面人物自体の左右に対する理解においても発達的に明確な差が認められ,年令的にみて両者間にはほぼ2年近くのずれが存在する。とくに,自己と対面者との相対的な逆関係が理解しうるのは8才ないし9才においてである(Fig. 4)。 4. 面前に定置された2個および3個の対象物相互の左右関係の理解において,3個の場合は,2個の場合にくらべてその相対的な関係判断が困難となる。発達的にみて7才ないし8才までは自己身体の左右を基準として絶対的判断をする傾向が強く,10才ないし11才において視点の移動が可能となり,対象物相互の相対的な左右関係が理解されうるようになる(Fig. 5)。 5. 自己と対面人物および対象物相互間の左右関係に対する理解能力と知能水準との間には正の相関関係が認められ,また,各被験者群間における地域差,学校差が認められた(Table 7, Table 8)。
著者
村上 淳也
出版者
九州理学療法士・作業療法士合同学会
雑誌
九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 (ISSN:09152032)
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.164, 2016

<p>【はじめに】</p><p>一般的にCRPS(complex regional pain syndrome:複合性局所疼痛症候群)症例には循環改善や交感神経抑制を目的として,温熱療法,経皮的電気刺激,交代浴,星状神経節レーザー治療等の物理療法を併用した治療介入が挙げられる.今回,骨折とは不釣り合いな疼痛が残存したCRPS症例を担当し,物理療法を実施したが疼痛軽減に至らなかった.そこで,振動刺激を併用した治療介入を行った結果,疼痛に改善が認められたため報告する.</p><p>【方法】</p><p>症例は20代女性.車同士の交通事故により救急搬送.右距骨外側突起骨折,右腸骨翼骨折を認めたが,保存的加療適応の判断で右下肢免荷にてリハビリ開始.24病日,回復期病院へ転院.その後66病日でFWB.111病日で退院の運びとなったが,疼痛残存のため114病日に当院受診し外来リハビリ開始となった.リハビリは週4回の頻度で実施した.外来リハビリ開始時,主訴は「足をつくだけで痛くて歩けない」であった.理学所見では関節可動域制限(足関節背屈0°,底屈15°),持続性ないし不釣合いな疼痛・知覚過敏(足底,足背,下腿の触覚による疼痛NRS5/10),発汗の亢進,浮腫を認めCRPSが示唆された.またSF-MPQ2(Short Form-McGill Questionnaire2:マクギル疼痛質問表簡易版2)より心因性疼痛の寄与が少ないことが示唆された.振動刺激はハンディマッサージャー(大東電機工業株式会社製)を使用した.周波数は50Hzとし,足底に対し手を介した間接振動から開始し,徐々に直接振動へ切り替え10分間施行した.</p><p>【経過及び結果】</p><p>114病日より物理療法を併用した運動療法を開始したが,疼痛の改善は認められなかった.127病日に振動刺激を併用した治療介入を実施した.実施直後より疼痛の訴えがNRS5/10からNRS3/10と改善を認めたため,継続して施行した.135病日,触覚での疼痛がNRS2/10,足関節背屈5°,底屈30°であった.触覚への過敏性が軽減したため,積極的な神経モビライゼーション及び関節可動域練習を開始した.148病日で浮腫や発汗亢進はみられなくなり,触覚での疼痛がNRS0/10,足関節背屈15°,底屈45°と改善が認められた.疼痛と関節可動域改善に伴い10m歩行が26秒14(26歩)から8秒30(21歩)と向上した.</p><p>【考察】</p><p>本症例は距骨外側骨折とは不釣り合いな疼痛が長期に残存しており,中枢性感作が考えられた.今回,CRPSに対して一般的な物理療法では改善が認められなかった.これは本症例の疼痛として循環,交感神経の要因が少なかったことが考えられる.そこで127病日より振動刺激を併用した治療介入を開始したところ疼痛に改善が認められた.濵上は振動刺激による感覚入力を行うことで慢性疼痛や不動による障害に対しての効果を報告している.兒玉らは振動刺激による感覚運動領野との関連を報告している.今井らは一次運動野の興奮は帯状回を正常に活性化させ,中脳中心灰白質を活動させる.これにより下行性疼痛抑制によるオピオイドシステムが作動し鎮痛効果が得られると述べている.以上の機序により本症例において疼痛の改善がみられたと考える.本症例の経過より,CRPSに対して振動刺激が有効であった.今後は症例数を増やし,振動刺激が有効なCRPS症例の特異性を見つけていきたい.</p><p>【倫理的配慮,説明と同意】</p><p>症例には,本発表の主旨と倫理的配慮に関して説明し,紙面にて同意を得た.</p>
出版者
巻号頁・発行日
vol.第12巻 上,
著者
秋山陽平 河西勇二 岩田昌也 高橋栄一 佐藤文明 村川正宏
雑誌
マルチメディア、分散協調とモバイルシンポジウム2013論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, pp.945-952, 2013-07-03

太陽光電池パネルの寿命は一般的に20年といわれているが、工業製品である以上一定の確率で故障が発生する。しかし、現状での太陽光発電システムでは、パネル単位での異常を検出することが難しい。そのため、パネルの異常を抱えたまま太陽光発電システムが運用され、期待する発電量に達しないケースが発生している。このため、太陽光電池パネルの価格上昇や通信工事費用増加を招くことのない異常検出システムの研究開発が急務である。これまでに、産業技術総合研究所では直流電力線を利用した独自の電力線通信方式を用いて、パネル毎にデータ通信装置子機を実装し、発電情報の状態モニタリングを可能としている。今回我々は、データ通信装置子機において計測された膨大な発電情報をネットワーク上の仮想データベースであるクラウドサーバ上に集約・蓄積させることで、ブラウザ上でパネル単位での発電状況を逐一観測可能な状態モニタリングと早期に異常を検知する異常検知システムを開発した。さらに、一枚のパネルを遮光することにより擬似的に異常パネルを作成し、開発したシステムを用いて評価実験を行った。
著者
神野 由紀
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第54回研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.A08, 2007 (Released:2007-06-09)

これまで、ファッションに関する消費は特に女性特有のものと考えられてきたが、近代初期から男性もまた、積極的に流行ファッションを追い、自分の身なりに気をつかい、消費文化を享受していた。本発表では、男性とファッションの関係を明らかにするために、近代の男性の精神的基盤としての「紳士」という概念に注目し、明治期に多数刊行された紳士論を検討し、そこでの記述が精神的な教えにとどまらず、ファッションの指南に特に力を入れていることを明らかにした。さらに、この男性ファッションを支えるメディアとして、戦前期に刊行された『学鐙』『新青年』を調査し、特に服飾雑貨など流行商品に関する広告を検討し、戦前期の男性消費の実態を明らかにした。その結果、理性的な性であるべき男性は、実際には女性と同じく都市の消費者であったが、その消費を正当化するために、「紳士」になるための「こだわり」を重視する消費傾向が顕著になっていったことが判った。
著者
古暮 和歌子 吉田 紗栄子
出版者
日経BP社
雑誌
日経ア-キテクチュア (ISSN:03850870)
巻号頁・発行日
no.639, pp.98-104, 1999-05-03

s両者ともバリアフリー住宅は特殊な建物ではないが,施主から希望を引き出すのが普通より難しいと語る。sどのような家でも身体が不自由になった場合に増改築しやすい形に設計しておくべきと吉田さんが言う一方,設計者は条件次第と考えている。 古暮 それまで元気だった人がある日突然病気になった場合,その状況をどう自分の中で消化していくかというのは大きな問題です。
著者
中山 哲士 石野 久彌 郡 公子 永田 明寛 長井 達夫 相賀 洋
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会大会 学術講演論文集 (ISSN:18803806)
巻号頁・発行日
vol.2004, pp.517-520, 2004

We measured the sensible and latent heat flux on the glass roof with water pond and the grass yard at the Oasis2l. The sensible heat flux on the water pond was 1/10 times larger than on the grass. The Bowen ratio is 2.0 on the grass and 0.2 on the water pond. And we suggested a possibility that the measurement of sensible heat flux above the void area using Scintillometer. The heat flux and temperatures around grass surface was calculated by numerical models. In as a consequence, the flux value was calculated almost properly. The thermal impacts of Oasis2l that the influence to the around thermal environment and radiant environment and so on are confirmed.
著者
宏斎 画
出版者
巻号頁・発行日
vol.[1],
著者
田野辺 浩一 末廣 渉 伊藤 昌和 タノベ コウイチ スエヒロ ショウ イトウ マサカズ TANOBE Koichi SUEHIRO Sho ITO Masakazu
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿児島大学理学部紀要=Reports of the Faculty of Science, Kagoshima University
巻号頁・発行日
vol.49, pp.23-30, 2016-12-30

Scientific experiences make children aware of the relations between science and a usual life. Therefore, it is important to evaluate the science class focused on the experiences in the elementary education. We report the special science class which adopted the "create works", carried out at 3rd-grade class in the Hinatayama-elementary school of Kirishima. The students invented crafts with electric characteristics by own original ideas and enjoyed the whole class time. We carried out a survey after the class and almost students have the motivation of spontaneous science learning. We concluded that the scientific class with "create works" has highly educational effects to make the ability to use the learned things, and enhances the interest in advanced science.
著者
Xinke Zhang Peng Li Shaohua Guo Shuqi Wang Dasheng Liu
出版者
International Research and Cooperation Association for Bio & Socio-Sciences Advancement
雑誌
Drug Discoveries & Therapeutics (ISSN:18817831)
巻号頁・発行日
vol.12, no.6, pp.341-346, 2018-12-31 (Released:2019-01-24)
参考文献数
13
被引用文献数
8

Plant invasion is one of the major threats to natural ecosystems. The alligator weed grows rapidly within a small span of time and is easily available all over the world. β-Carboline and quercetin are considered as excellent bioactive components of the alligator weed. In our study LC-MS/MS methods were performed for the detection and determination of the bioactive constituents, ꞵ-carboline and quercetin in leaves, in multiple reaction monitoring (MRM) mode. The effects of methanol extract on cardiomyocyte apoptosis induced by doxorubicin using H9c2 cells were evaluated by MTT assay and Annexin V-FITC/PI staining assay. A sensitive and selective liquid chromatography tandem mass spectrometry was developed and validated for the determination of ꞵ-carboline and quercetin in this plant. According to in vitro cell evaluation experiments, methanol extracts significantly prevented cardiomyocyte apoptosis induced by doxorubicin.
著者
永田 明寛 石野 久彌 郡 公子 長井 達夫 相賀 洋
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
学術講演会論文集
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.513-516, 2004-08-20

The underground open space in OASIS 21 is a semi-outdoor space. It has a glass roof with a pond but has no wall above ground. Therefore its environment is strongly influenced by the natural wind. In this study, ultrasonic anemometers are placed above the glass roof and in the underground space to measure wind speed and direction. The vertical velocity distribution in the underground space and the wind speed and direction of underground pathways are also measured.