著者
櫻木 淳一
出版者
日本ウイルス学会
雑誌
ウイルス (ISSN:00426857)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.175-186, 2013-12-25 (Released:2014-10-31)
参考文献数
26

後天性免疫不全症候群(AIDS)の病原体としてヒト免疫不全ウイルス(HIV)が発見されてから30年が過ぎた.その間,地球規模の脅威であるこの疾患に関して精力的な研究が全世界で遂行され,たくさんの成果が疾患との戦いの重要な糧となってきた.感染者に対する治療法は日々進化し続けており,もはやAIDSは死の病ではなく,慢性疾患であると言われるまでに状況は改善されてきている.しかしウイルスそのものに目を向けると一見明白となったかのように映る複製のストーリーにはいくつもの穴が開いており,根本的な理解には遠く及ばないのが現状である.本稿では特にHIVの主役をゲノム核酸と捉え,最新の知見を交えながらウイルス複製の何がわかり何がわかっていないのかをその様々なステップについて紹介する.
著者
武内 智康
出版者
浜松医科大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2015-08-28

レビー小体型認知症では、その病因物質であるαシヌクレインなどによりミクログリアが活性化し神経変性に関与することが、病理・生物学的に確認されている。今回、最近開発した特異性の高い活性化ミクログリアのトレーサーである[11C]DPA713を用いて、レビー小体型認知症患者の脳内のミクログリア活性変化を描出し、精神症状発現との相関を検討した。レビー小体型認知症患者において、[11C]DPA713 BPNDは特に後頭葉で上昇していた。NPIを用いた幻視の重症度と[11C]DPA713 BPNDの相関関係は、後頭葉や頭頂・側頭葉で認めた。ミクログリア活性化は、幻視などの精神症状と関連があると考えられた。
著者
中嶋 昭正
出版者
福岡国際大学・福岡女子短期大学
雑誌
福岡女子短大紀要 (ISSN:02860546)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.79-86, 1997-01-11

魚の胆嚢の医薬としての効能効果について調べた。1) 鯉魚胆は中国の最古の薬物学書『神農本草経』に記載されている。その他, 『本草綱目』, 『本朝食鑑』, 『東邦薬用動物誌』, 『中薬辞典』, 民間療法の本, などに記載の薬効を引用した。2) 〓魚胆, 青魚胆, 〓魚胆, 〓魚胆, 鱧魚胆, 鮫魚胆, 〓魚胆についても, 同様に薬効を調べ, 引用した。
著者
下川 敏雄 後藤 昌司
出版者
日本計算機統計学会
雑誌
計算機統計学 (ISSN:09148930)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.1-23, 2010-12-15 (Released:2017-05-01)
参考文献数
30
被引用文献数
1

医学分野では,適切に疾病の有無を予測するための臨床検査値の探索が重要な要件の一つである.このとき,有用な統計的方法の一つが受信者動作特性(ROC:Receiver Operating Characteristic)曲線である.そこでは,解釈の簡便さ,あるいはその後の統計的推測の観点から,正規分布に基づくROC曲線が広く用いられている.ただし,このような検査値が正規分布に従う現象は稀である.このとき,検査値の正規性を満たすために,検査値にベキ変換を施し,そのうえで正規分布に基づく方法が適用されている.しかしながら,この変換に基づく方法では,ROC曲線の推定から曲線の解釈までの一貫性を保持できない.本論文では,包括的な接近法として,検査値の潜在基礎分布にベキ正規分布を想定したベキ正規ROC曲線を提案した.そのうえで,疾病の有無を識別する最適カットオフ値を選定した.さらに,ベキ正規ROC曲線の性能を,事例および若干の数値検証により評価した.その結果,ベキ正規ROC曲線は,2群が異なる形状を示す場合にも適合結果が良好であった.
著者
山下 篤央 久米 雅 森井 秀樹 Atsuo YAMASHITA Masashi KUME Hideki MORII 京都文教短期大学 京都文教短期大学 京都文教短期大学 Kyoto Bunkyo Junior College Kyoto Bunkyo Junior College Kyoto Bunkyo Junior College
雑誌
京都文教短期大学研究紀要 = The Kenkyu kiyo (ISSN:03895467)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.87-91, 2012-01-01

フィギュアスケート歴12年の女子ジュニア選手における2回転と3回転フリップジャンプの動作解析を行った。その結果、ジャンプの回転数の増加に伴い、Take-off時の膝関節伸展角度および回転運動の跳躍幅と時間の増加が認められた。これらの変化には、角運動量を増加するためのスキルが関連していると考えられる。また、Take-off時の左膝伸展角度が右膝伸展角度に比べ、高いことから左脚がジャンプ動作(跳躍高)に大きく貢献していることが示唆された。
著者
大山 敷太郎
出版者
立命館大学
巻号頁・発行日
1950

博士論文
著者
須永 遼司
出版者
首都大学東京
巻号頁・発行日
pp.1-12, 2017-03-25

【目的】背臥位、両上肢挙上運動での胸椎椎間関節の各分節での可動域変化とその特徴、ならびに胸椎椎間関節・肩甲骨の関係性を明らかにすることを目的とした。【方法】対象は健常成人男女22名(男性12名,女性10名)、課題は肩関節屈曲角度0°,60°,120°,150°,最大屈曲の5条件とした。各条件における各胸椎椎間関節角度(∠Th1-∠Th12)と肩甲骨上方回旋角を磁気共鳴画像(MRI)を用いて解析し、条件間での胸椎椎間関節角度の比較および肩甲骨上方回旋と胸椎伸展の相関を調べた。【結果】肩関節屈曲角度0°-120°では∠Th4が伸展し、120°からは∠Th11が、150°からは∠Th12が伸展した。120°-150°間では、肩甲骨上方回旋と∠Th11・∠Th12において負の相関がみられ、150°-最大屈曲間では、肩甲骨上方回旋と∠Th12において正の相関がみられた。【結論】0°-120°は∠Th4が伸展し、120°以降では∠Th11・∠Th12が伸展することで、肩関節屈曲運動に貢献する。また、肩甲骨上方回旋と胸椎の伸展運動は互いに補償し合う関係にあることが示唆された。
著者
吉田 惠子
出版者
高崎健康福祉大学
雑誌
高崎健康福祉大学紀要 = Bulletin of Takasaki University of Health and Welfare (ISSN:13472259)
巻号頁・発行日
no.16, pp.91-105, 2017-03

音楽教育において,替え歌・パロディを表現活動としてどのように捉えるか,音楽教育における表現の諸問題を,以下の4点から論じたものである.1.日本における替え歌・パロディの歴史,2.昨今の教育現場における替え歌事件,3.パロディと表現の自由をめぐって-判例におけるパロディの解釈とフェアユース,4.文化としての替え歌・パロディ研究論文