著者
水野 創太 白松 俊 北原 鉄朗 一ノ瀬 修吾
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:21888752)
巻号頁・発行日
vol.2017-MUS-117, no.4, pp.1-4, 2017-11-18

演奏者の身体動作は,その動きの視覚的効果によって音楽理解を促進する.特に,旋律の上下動 (旋律概形) は直感的な身体動作と親和性が高い.我々はこれまで,モーションセンサーカメラ,スマートフォンセンサーによってユーザの身体動作を認識する手法を提案し,身体動作による演奏行為を支援するシステムの開発を行ってきた.本稿では,これまで開発してきたスマートフォンを用いた身体動作認識手法と,北原らによる旋律概形からメロディ生成するシステム JamSketch を統合することで,即興演奏支援システム JamGesture を開発した.JamGesture は,スマートフォンを用いて認識したユーザの手の上下動から描画した旋律概形を基に,JamSketch の機構によってメロディを生成することで,ユーザの直感的な身体動作を入力とした即興演奏を可能とする.
著者
徳田 佐和子
出版者
北海道立林業試験場
雑誌
北海道林業試験場研究報告 (ISSN:09103945)
巻号頁・発行日
no.49, pp.35-88, 2012-03

ミヤマトンビマイ科マツノネクチタケ属に属する木材腐朽菌マツノネクチタケの種複合体:Heterobasidion annosum s. l. (広義)は,北半球広域に分布し,針葉樹を中心とした林木に著しい根株腐朽被害および枯死被害をもたらすもっとも重要な樹木病原菌のひとつである。そのため,海外では古くから本菌の生態や防除に関する集中的な研究がすすめられてきた。しかし,日本産のものについては分類学的検討や被害実態の把握すら十分になされず,知見が不足した状態にある。本研究は日本産マツノネクチタケの特徴を包括的に把握することを目的とし,標本収集と野外調査,屋内実験により,国内に分布するマツノネクチタケ属3種の分類学的位置づけ,トドマツ人工林でみつかったマツノネクチタケ被害の特徴,被害地における同菌個体群のジェネット分布と伝播法,および北海道で推奨されるマツノネクチタケ被害の軽減法を明らかにした。日本および東アジアに産するマツノネクチタケ属菌3種(マツノネクチタケ,レンガタケ,南方系未同定種)について,分子系統解析と形態比較により分類学的位置づけを明らかにした。日本産マツノネクチタケは,マツノネクチタケ(広義)のうち比較的病原性が弱いとされるH. parviporumであったが,ヨーロッパのものとはやや異なる形態的特徴を有し,系統樹上では異なるサブクレードに属していた。従来H. insuraleとみなされてきたレンガタケは形態的特徴がH. insuraleタイプ標本と異なっており,形態および塩基配列が既知の種のいずれとも一致しなかったことから,新種Heterobasidion orientaleとして記載した。日本の南部と中国に分布する未同定種については新種Heterobasidion ecrustosumとして記載し,和名をカラナシレンガタケとした。分子系統解析からは,本菌が国内産の他の2種よりもオーストラリア周辺に分布するH. araucariaeと近縁であることが明らかとなった。北海道東部にある68年生トドマツ人工林において激しい根株腐朽被害が発生したため,病原菌分離菌株のDNA解析と菌叢の形態観察を行い、腐朽被害の原因がマツノネクチタケであることを明らかにした。国内で発生した同菌の被害をDNA解析により確認したのは本研究が初めてである。30×35mのプロット内にあったトドマツ伐根57本のうち27本(47%)に根株腐朽被害が確認され,マツノネクチタケ被害はこれら27本のうち14本(52%)に発生していた。本菌によるトドマツの腐朽は,心材が黄色味を帯びた淡オレンジ色~淡褐色に腐朽し,材に菌糸が詰まった細長い空隙が発達して繊維状を呈するもので,腐朽部は根株だけにとどまらず樹幹上方へむかって拡大していた。被害が著しいトドマツでは樹幹内部が空洞となり,辺材部にまで腐朽が及んでいた。一方,被害地のトドマツは衰退せず,順調な肥大成長を続けていたことから,日本のマツノネクチタケはトドマツ生立木に対して強い腐朽力を持つ一方,枯死をもたらすような強い病原性は持たないことが示唆された。3種類の手法(体細胞不和合性試験,RAPD解析,マイクロサテライト解析)を併用して、被害地におけるマツノネクチタケのジェネット分布とその遺伝的多様性を調査した。国内における同菌のジェネット分布調査は本研究が初めてである。68年生トドマツ入工林被害地に設定した60×100mのプロット内にあった被害木伐根33本各々から分離されたマツノネクチタケ33菌株は,それぞれ1~15本の被害木に感染した8個のジェネットに識別された。特定の1菌株からなる1ジェネットだけは遺伝的に他のものと大きく異なっており,3手法すべてで一致して識別された。しかし,残り32菌株は非常に近縁であり,手法により異なった識別結果が得られた。マツノネクチタケ(広義)でこれほど近縁なジェネット群が被害地から識別された事例はこれまで報告されていない。また,径が51mおよび50mに達した2個のジェネットは同菌のジェネットとしては世界最大であり,成長速度から推定した齢は100年以上とみなされた。ジェネットの特徴と観察された同菌の生態から,被害地のマツノネクチタケは主に根系の接触部を通じて栄養繁殖(菌糸成長)による感染拡大を行っていることが示唆された。被害地のマツノネクチタケは,もともと1個もしくは数個の子実体でつくられた担子胞子に由来しており,入工林が造成される以前の天然林だった頃にこの場所に定着した後、残された被害木伐根もしくは感染した生残木から人工林に引き継がれ,主に菌糸成長によって隣接木間を広がったものと考えられた。マツノネクチタケによる宿主の衰退や枯死が起こらない日本では,同菌の被害を初期段階で見つけることが難しい。しかし,トドマツ被害木は特徴的な腐朽型を呈するので,トドマツ人工林が高齢級化し収穫が行われつつある現在が被害地を見つけるよい機会であると考えられる。被害がみつかった場合,海外で行われている胞子分散を対象とした防除は基本的に不必要で,そのかわり,栄養繁殖による伝播を断つことを目的とした施業が推奨される。例えば、徹底した皆伐,被害木伐根の除去,抵抗性樹種への樹種転換,広葉樹を交えた混交林化,低密度植栽などが適当であろう。日本のマツノネクチタケは子実体形成を行うことがまれで栄養繁殖に強く依存しているので,いったん林地から感染源をなくし,トドマツ同士の根系の接触機会を減らせば,その林分におけるマツノネクチタケ被害は確実に軽減されるものと考えられる。一方,現在の北海道では,森林資源の平準化や森林の持つ多面的な機能の発揮を目的として,長伐期化,択伐や小面積の孔状皆伐,複層林化などが広くすすめられている。しかし,これらの施業は,マツノネクチタケに感染した生立木を林内に長く残すこととなり、罹病木と健全木の接触機会が増えて次世代林への被害の引継ぎや林分内での感染拡大につながるおそれがあるので,同菌の被害地では避けるべきである。
著者
原 雄一
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集 2017年度日本地理学会秋季学術大会
巻号頁・発行日
pp.100074, 2017 (Released:2017-10-26)

明治5年に横浜-新橋間で鉄道が開通、全国に拡大した鉄道網は昭和に入ってピークを迎え、昭和の後半から平成にかけて、減少の一途をたどっている。廃線となった路線は、有効活用されている事例もあるが、そのまま放置されている路線も多い。本稿では、廃線跡の路線をクラウドGISによりスマートフォン等で表示させ、廃線跡の痕跡を巡る旅としてロストラインツーリズムを取り上げる。 廃線跡は建設途中の未成線も含めると、膨大な数になる。鉄道発祥の地、イギリスでは廃線の活用を動態保存(実際に列車を運行)する先進的な事例が多いが、日本では廃線跡への認識がそこまで至っていないのが現状である。 廃線跡を巡る旅の醍醐味として、時間を超えての空間想像力が必要とされ、周辺の地形・地物から「おそらくここを通過していたのではないか」、という不確定な雰囲気から、はっきりとした痕跡を確認したときの爽快感などが挙げられる。さらに、その鉄道がなぜ建設され、どのように運営され、どのような経緯で廃線にいたったかの鉄道史を知ることができれば、地域のたどってきた歴史の理解に繋がることが期待できる。 地域の中で廃線跡をどう活かすかは重要な課題である。関心を持った時に、どこに廃線跡があるのか、自分のスマートフォンで表示できれば、廃線跡を歩くという行動に繋がりやすい。正確な廃線跡が表示されることで、廃線跡をたどるロストラインツーリズムの基本形が成立する。本稿でのクラウドGISはこのような行動を支援するものである。膨大な廃線跡をクラウドGISに格納し、スマートフォン、タブレットあるいはウォッチに表示させる試みをスタートした。
出版者
巻号頁・発行日
vol.[13],
著者
叶 威
出版者
広島大学
雑誌
Memoirs of the Faculty of Integrated Arts and Sciences, Hiroshima University. IV, Science reports : studies of fundamental and environmental sciences (ISSN:13408364)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.173-176, 1993-12-31

I.序論 1986年にJ. G. BednorzとK. A. Mullerによって高い超伝導転移温度を持つ酸化物超伝導体が発見されて以来,世界的規模で高温超伝導の研究が進められてきた。しかし,基礎的観点からすると,高温超伝導の発現機構はまだ解明されておらず,実用的観点からも十分高い臨界電流を持つ線材は合成されていない。高温超伝導体に関する今までの研究から,超伝導の出現はその化学組成に大きく左右されることが知られている。例えば,YBa_2Cu_3O_<6.9-y>(YBCO)では,酸素欠損量yの増加によって,結晶構造は斜方晶から正方晶に変わるとともに,超伝導体から絶縁体に変わる。また,Bi_2Sr_2CaCu_2O_<8.2-y>(BSCCO)では,二価のCaイオンを三価のYイオンで置換することによって,超伝導体から絶縁体にかわる。酸化物高温超伝導の発見後まもなく,いくつかのグループが超伝導体の水素吸蔵の研究を始めた。その理由は酸化物高温超伝導体の超伝導特性はキャリア濃度に強く依存することが知られていたので,水素吸蔵によってキャリア濃度を変化させれば,超伝導特性に大きな影響を与えると考えられたからである。これまで高温超伝導体の水素との反応実験は主にYBCO,BSCCO,La_2CuO_4(LCO)及びそれらの関連物質で行われた。水素との反応の方法には,(1)密封容器中での水素ガスとの反応,(2)プロトンビームを超伝導体に照射するなどの方法がとられてきた。しかしながら,今までに報告されている水素吸蔵による超伝導酸化物の先行研究の中で次の点が検討すべき課題として考えられる。即ち,超伝導酸化物と反応した水素は格子間位置に侵入する(吸蔵)と仮定されてきた。しかし,この仮定はまだ実証されていない。水素と金属酸化物の反応形態には以下の三つが考えられる。(1)金属酸化物に吸蔵された水素が酸素と結合し,酸素と水素結合ボンドを形成する反応,(2)金属酸化物に吸蔵された水素が酸素と結合せず,プロトンの状態で結晶内部に存在する反応,(3)水素が金属酸化物内部の酸素と結合して水になる反応である。酸化物高温超伝導体の水素との反応がいずれの反応形態をとり,どの様な温度で起こるのかはこれまで明らかになっていない。本研究では,酸化物超伝導体における水素吸蔵反応を明らかにするために,熱重量分析及び熱圧力分析を行った。また水素処理による超伝導酸化物の物性,結晶構造の変化を系統的に調べた。本研究では対象物質としてBi_2Sr_2CaCu_2O_<8.2-y>,YBa_2Cu_3O_<6.9-y>の二種類の酸化物を選んだ。II.実験結果及び考察 試料は通常の固相反応によって作製した。反応水素量は,水素雰囲気での試料の重量変化から測定する方法と,密封容器中の水素圧力の変化から測定する方法で決定した。水素処理温度はYBCO試料では148℃&acd;230℃,BSCCO試料では125℃&acd;250℃とした。これらの水素処理前後の試料に対し,熱重量分析(TGA),X線回折及び交流帯磁率の測定を行った。バルク状試料の水素雰囲気中での重量の温度変化の測定から,BSCCOとYBCO試料では,それぞれ200℃と170℃までは重量は緩やかに減少するが,その温度以上で重量は急激に減少する事が判った。水分を除く前処理を行っているので,この重量減少は試料表面に付着した水分の蒸発によるものではなく,試料中の酸素が水素還元され,試料から離脱したことによると判断できる。次にBSCCO試料の反応過程の時間依存性を調べるために125℃,147℃及び200℃の一定温度で,1気圧水素雰囲気下での重量の時間変化を測定した。いずれの温度においても最初の100分までは急激な重量減少を示すが,その重量減少の割合は温度上昇とともに小さくなった。この時間依存性は活性化型の反応速度関数でフィットすることができ,各温度で求めた反応速度定数をArrheniusプロットした。その勾配より求めた1酸素分子あたりの還元反応の活性化エネルギーはE=0.69eVとなった。また,BSCCOの水素処理過程において,試料から離脱した酸素と水素が結合して水を形成する過程が存在するかどうかを調べる為に,水の吸着剤であるCaCl_2の重量変化をカーン式天秤で測定した。その結果,水素処理によって還元された酸素はほとんど水になって試料から離脱することが解った。次にYBCOバルク試料の一定温度の下での熱重量変化の時間依存性を測定した。測定温度は128℃&acd;230℃で,測定時間は900分まで行った。その結果,230℃の1気圧水素雰囲気中のYBCOの重量は時間とともに単調に減少し,900分後の重量減少は1.5%に達した。この温度でのYBCOと水素の反応は,BSCCOと同様,主に酸素の還元反応である。一方,148℃と167℃の1気圧水素雰囲気中でのYBCOの重量は,100分前後までは徐々に減少するが,その後増加した。質量減少の最低点(100分)から900分までの増加は148℃の処理では約0.1%,167℃の処理では約0.3%であった。
著者
狩野 拓也 金子 智紀 西川 宏之 林 秀臣
出版者
一般社団法人エレクトロニクス実装学会
雑誌
エレクトロニクス実装学術講演大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.24, pp.212-213, 2010

PET、ポリイミド等のプラスチックに対するプロトンビームの照射効果を調査した。照射効果の評価には、FT-IR等の種々の機器分析を用いて結合状態の調査を行った。さらに最大1MeVのビームエネルギーを有するプロトンビームを数ミクロンサイズに集束し、プラスチック試料上を走査した。その結果、微細な照射部位における表面状態の変化を光学顕微鏡や走査型電子顕微鏡等により、着色や形状の変化の様子を確認できた。これにより、試料表面における微細な照射効果の付与を確認した。また、いくつかのプラスチックにおいては、適切な溶媒による現像処理により、数ミクロンサイズ、深さ10ミクロン以上の微細加工が可能であることを確認した。
著者
森田 毅 中嶋 一彦 肥塚 浩昌 下山 孝 田村 俊秀
出版者
兵庫医科大学
雑誌
兵庫医科大学医学会雑誌 (ISSN:03857638)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.13-27, 2003-04-25

Helicobacter pylori (H. pylori)の主なvirulence factorとしてcag PAI (cag pathogenicity island)が挙げられている.cagPAI は作用物質であるCagA蛋白質と,それを感染宿主に注入するtypeIVsecretion systemから成る.後者を形成する遺伝子群の一つ,cagBはcagAとそれぞれのプロモーターが相接してcagA-cagB間隙(cagA/B)を形成しており,CagA蛋白質とそのsecretion systemの相互関係を,本菌の疾患との関連において知り得るに適していると考えた. そこでcagA/Bを兵庫医大臨床分離株36株,欧米登録株2株とのデーターベース上で全塩基配列が引用される26695株を基準として比較検討した.その結果次のことが判明した.(1) H. pyloriのcagA/B約400bpの"long type"と約250bpの"short type"に大別され,本邦分離株はほとんど"short type"である.またいくつかの塩基欠損の部位により11typeにわけられる.(2) cagA/B間にcagAの転写開始点は2ケ所,cagBの転写開始点は1ケ所見出された.また-10コンセンサス部位は認められたものの,-35は明らかでなかった.(3) β-galactosidase (lacZ)によるプロモーターアッセイでは,cagA, cagB菌株間に顕著な差異が認められた.(4) cagA, cagB変異株,野生株いずれの株においてもcag PAIの他の遺伝子(cagC, cagD)を発現しcagAまたはcagB欠損の影響はみられなかった.cagA/Bプロモーター領域は全cagPAIの一部ではあるが,株間の構造,活性に大きな差があり,cagPAIの多様性を示唆するものである.また,さまざまなH. pyloriに由来される疾患とcagA/Bの多様性の間に優位の関連性は認めがたく,cagPAIは宿主とあいまって,病原性よりも病原修飾因子として論議すべきであると推察する.
著者
横山 泰之 各務 翔太 小山 裕美 白木 克繁 内山 佳美
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.127, 2016

本研究では森林の水源涵養機能について重要な要素となる樹冠遮断損失に着目する。樹冠遮断率は立木密度と共に大きくなることが知られており、立木密度の高い荒廃人工林の遮断損失量は水源涵養機能の低下に繋がると考えられる。本研究の調査地である貝沢試験地では2012年に本数割合17%の間伐整備を行っている。流域内、15m×15m内にスギが11本存在するAプロットと28本存在するBプロットの2か所を設定し2015年9月~12月まで林内雨量及び樹幹流下量の観測を行った。林内雨量はA・Bプロット共に貯留タンクを10個ずつ、0.5mm転倒枡型雨量計を1つずつ設置した。樹幹流下量は貯留式・水道メーター・自動記録式流量計の3方式でAは全木・Bは11本で測定を行い、得られたデータから樹冠遮断率を算出した。この結果樹冠遮断率はAプロット:14.3%、Bプロット:17.4%であった。立木密度と遮断率の関係を森林整備前後の林班ごとの立木密度に適用したところ、樹冠遮断量の森林整備による減少は年間10mm程度と推定された。これは対照流域法により求められた森林整備による流出水量増加の1割にも満たず、今後蒸散量変化についても分析が必要である。

1 0 0 0 OA 死刑をくふ女

著者
ブラスコ・イバニェス 著
出版者
新潮社
巻号頁・発行日
1924
著者
吉岡, 重貞
出版者
巻号頁・発行日
vol.[16],
著者
堤 利夫 酒井 正治
出版者
京都大学農学部附属演習林
雑誌
京都大学農学部演習林報告 = BULLETIN OF THE KYOTO UNIVERSITY FORESTS (ISSN:0368511X)
巻号頁・発行日
vol.56, pp.60-66, 1984-11-30

京都大学芦生演習林の天然生落葉広葉樹林で, 斜面上部のB_B型土壌と斜面下部のB_D型土壌の2つのプロットの細根の量と垂直分布をしらベた。B_BのプロットではB_Dのそれに比し, 乾性種が多く小径で立木本数が多い林分である。両プロットで立木間に設けた1m_2の方形枠について, 表層から10cmごとに掘りとって測定した結果, B_Dのプロットの根量は10. 25t/ha, B_Bプロットで15. 65t/haでB_Bプロットの方が根量が多かった。これらの根を径2mm以下, 2 - 5mm, 5 - 20mmに区分すると, B_Dプロットで径5 - 20mmが比較的に多く, B_Bでは逆に径2mm以下が多い傾向があった。根は地表に多く集中し, 下層に向って減少するが, B_Bプロットの方が変化が急であって, 70cm以深にはみられなかった。B_Dプロットでは径5 - 20mmの根が深さにともなってほとんど変化せず, このことが全量の減少速度を小さくしていた。径5mm以下の細根の地表からの減少速度は2つのプロットで明らかな差はなかった。細根は両プロットとも地表に集中し, 20cm深までに全細根量の65-77%を含む。その量はB_Bプロットでとくに多く, F・H層, A層が物質循環の主な場であることを示唆した。
著者
平野 賢治 豊田 裕司 木邊 厚視 山本 直嗣 中島 秀紀
出版者
九州大学大学院総合理工学府
雑誌
九州大学大学院総合理工学報告 (ISSN:13467883)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.1-5, 2013-09

The abundance ratio of the doubly charged ions in an ion thruster plume was measured in order to estimate the thrust and validate a numerical simulation code for lifetime validation of ion thruster. An E×B probe was used for the estimation of the ratio of doubly charged ions to singly charged ions. The ratio of doubly charged ions to singly charged ions is 0.04 at an incident microwave power of 8 W and a mass flow rate of 20 μg/s. The ratio is decreased with increase in mass flow rate. This is because the increase in mass flow rate leads to the decrease in mean free path, and electrons get less energy from the microwaves. The E×B probe can estimate the ion velocity and the average velocity of the accelerated ions is estimated as 3.7×10^4 m/s at a screen voltage of 1000 V, which is reasonable compared to the theoretical value.