著者
山中 あゆみ
出版者
東京歯科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2002

実験的バイオフィルムにおいて、ペリクルに最初に付着する細菌は口腔レンサ球菌で、つづいてPorphyromonas gingivalis、actinomycetemcomitans、Prevotella intermediaなどの歯周病原性細菌がバイオフィルム構成菌として現れてくると考えられている。そこで齲蝕原性細菌を含む初期付着細菌と後期付着細菌をそれぞれ96穴マイクロプレートにおける単一菌のバィオフィルム形成量を調べた。バィオフィルム形成量の評価は、形成したバイオフィルムを蒸留水で洗浄、室温にて乾燥後、0.1%のクリスタルバイオレットで15分間染色、余分な染色液を洗浄後、99%エタノールで色素を抽出し吸光度を測定して行った。そのデーターをもとに、クランベリーのポリフェノールによるバイオフィルム形成への阻害効果を調べた。初期付着細菌としてStreptococcus mutans 2株、S.sobrinus, S.criceti, S.mitis, S.sanguinis, S.oralis, Actinomyces viscosus、後期付着菌である歯周病原性細菌としてPorphymonas gigivalis 3株、Porphyromonas macacae, Prevotella intermedia, P.loescheii, Actinobacillus actinomycetemcomitans 2株、合計12菌種を用いて実験を行った。ポリフェノール添加培地中での各々の細菌のバイオフィルム形成量をポリフェノール無添加培地をコントロールとして比較検討した。使用した菌株全てにおいて、ポリフェノールは濃度依存的にバイオフィルム形成を有意に阻害した。P.gingivalis電子顕微鏡写真においてもバイオフィルム形成阻害が示された。現在混合菌種における評価を行うべく準備を進めている。
著者
前川 浩子
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.129-142, 2005 (Released:2005-06-15)
参考文献数
38
被引用文献数
7 5 2

本研究は,青年期女子の体重・体型へのこだわりに影響を及ぼすと考えられる要因を検討することを目的として行われた.1005名の女子学生を対象に質問紙調査を実施し,食行動と態度,身体状況,親の養育行動,および,体型に関する指摘,やせに対する価値観,メディアの影響,家族のやせ志向,友人のやせ志向を測定した.従来の先行研究に基づき,養育行動や社会的要因から体重・体型へのこだわりを示す「やせ願望」や「体型不満」を説明するモデルを構成し,共分散構造分析による検討を行った.分析の結果,「体型に関する指摘」を経験することは「やせに対する価値観」と関連していることが明らかになった.また,「体型に関する指摘」は直接「体型不満」に影響を与えていた.「やせ願望」に対しては「やせに対する価値観」,「メディアの影響」,「友人のやせ志向」が説明力を持っていた.養育行動については,「父親の過干渉傾向」のみが「体型不満」と関連を持ち,「父親の過干渉傾向」の強さは「体型不満」を弱めるということが示された.
著者
金 愛慶
出版者
白梅学園大学
雑誌
白梅学園大学・短期大学紀要 (ISSN:0286830X)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.13-28, 2006-03-25

本研究は,日本の若者の「ピアッシング行為」と「自傷行為」に対するイメージを調べると共に,ピアッシング行為と自傷との関連性について検討した。短期大学生を中心とした285名を対象(女性256名・男性28名・不明1名)に,「ピアッシング実態」,「ピアス・イメージ」「自傷行為イメージ」「ピアッシングを自傷行為だと感じる程度」に関する独自に作成した質問紙を実施した。ピアス・イメージでは「Fac.1内面的高揚」,「Fac.2女性的」,「Fac.3否定的外見」,「Fac.4ファッション道具」の4因子が抽出され,自傷行為イメージでは,「Fac.1実存手段」,「Fac.2非共感」の2因子が抽出された。ピアス・イメージにおいて,ピアス「過剰群」は「Fac.2女性的イメージ」,「Fac.4ファッション道具」のイメージを最も強く持っており,「Fac.3否定的外見イメージ」は相対的に低かったが,ピアス「平均群」は「Fac.2女性的イメージ」,「Fac.4ファッション道具」のイメージ得点が低い反面,「Fac.3否定的外見イメージ」の得点が最も高かった。平均群と過剰群におけるピアス・イメージの質的違いがピアスのホール数の違いをもたらす鍵となり,平均群の過剰ピアッシングの抑制要因となっていることが示唆された。ピアッシングと自傷との関連性においては,「ピアッシングを自傷行為だと感じる程度」というより直接的質問に関しては平均群と過剰群間の有意差は見られなかったが,自傷行為イメージの「Fac.2非共感」では過剰群が平均群よりも有意に低く,過剰群は有意に自傷行為に共感的である結果であった。この結果から過剰なピアッシング行為は自傷と親和的であることが示唆された。
著者
佐竹 真城
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究 = NIHON KENKYŪ (ISSN:24343110)
巻号頁・発行日
no.60, pp.221-254, 2020-03-31

小論で扱う『往生礼讃光明抄』は、神奈川県立金沢文庫管理の国宝称名寺聖教に属する一書で、撰者は法然門下の覚明房長西である。本書について、文永5(1268)年の書写奥書を有していることから、『往生礼讃』の註釈書として最初期に位置付けることができ、史料として貴重である。撰者の長西については、法然の室への入門は遅かったが、後に九品寺(くぼんじ)流と称する一派を形成していることから、法然門下のなかでも重要視される人物である。しかしながら、九品寺流は早くに途絶え、その著作も殆どが早くに散逸していたため、第三者の所伝のほかは詳細を知る術がなかった。ところが、昭和の調査で本書を含めた数点の長西著作が顕出されたのである。以降、学界としてその重要性・貴重性は大いに認識され、真の長西教義が明らかにされることが期待されていた。しかしながら、筆者以前に実際に翻刻された典籍は僅かであり、十分に研究が進展しているとは言い難い。また、これら未翻刻の典籍には、同時代に活躍した浄土宗第三祖良忠への影響を指摘することができる。如上の点から、長西研究のみならず、当時の法然門下の交流や思想交渉など、従来知られていなかった点を明らかにする上で、貴重な史料と成り得ると考える。よって小論は、長西研究ならびに中世浄土教研究の進展を期して翻刻を公開する。
著者
長又 高夫
出版者
国学院大学法学会
雑誌
国学院法学 (ISSN:04541723)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.1-48, 2019-12
著者
川上 比奈子
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.63, no.6, pp.6_57-6_64, 2017-03-31 (Released:2017-05-10)
参考文献数
29

漆芸家、菅原精造はアイリーン・グレイに日本漆芸を教え、共同し、彼女の作品に影響を与えた。本稿の目的は、日本とフランスの菅原の遺族に取材し、関連文献・史料を調査してグレイが学んだ菅原の漆芸習得の背景を明らかにすることである。結果、次の事実が明らかになった。1)菅原の漆芸技術の習得は、圓山卯吉が創設し運営した山形県酒田市の教育機関兼事業所「カワセ屋」での修行に始まる。 2)「カワセ屋」が木工・家具製作に重点をおいていたことから、菅原は木工・家具製作の技術も習得していた。 3)菅原に漆芸を教えた師匠の一人は漆器職人、森川奇秀である。 4)菅原は、1901(明治34)年9月に東京美術学校漆工科に入学し、1905(明治38)年11月に渡仏した。同校に4年以上在学したが、卒業はしていない。 5)東京美術学校漆工科における主な教員は、彫刻家・高村光雲、漆芸家・川之辺一朝、漆芸家・辻村松華である。6)東京美術学校で菅原が学んだ内容に高村から学んだ彫刻の要素が含まれている。7)菅原は自身を漆芸家としてだけでなく彫刻家と自任していた。以上から、グレイは漆塗りの技術だけでなく、家具の製作や彫刻など立体造形の技術も菅原から学んだと考えられる。
著者
礒 玲子 飯島 節
出版者
国際医療福祉大学
雑誌
国際医療福祉大学学会誌 (ISSN:21863652)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.10-20, 2016-03-31

目的:高齢者介護分野における医療機関より在宅への移行時を中心とした多職種・諸機関間連携へのクライアントの参加や意思決定の現状と課題を,連携の展開過程に沿って明らかにする. 対象:医療機関または介護保険事業所に勤務する様々な専門職者と利用者本人・家族の合計23名を対象とした. 方法:クライアントの連携への参加の現状と課題について半構造化面接を行い,グラウンデッド・セオリーアプローチに基づき分析した. 結果:クライアントの連携への参加や意思決定を困難にしている連携の阻害要因として,『連携目的の不一致』,『連携対象についての認識不足』,『情報共有困難』および『レベル・態度・姿勢』の4要因が示され,専門職者とクライアントとの間の情報の非対称が認められた. 結論:クライアントの連携への参加と主体的な意思決定を促すためには,専門職者との間の情報の非対称を克服する取り組みを行うことが最も重要であり,連携におけるクライアントの位置づけや参加について専門職者側の意識を高めてゆくことが必要である.
著者
Haruki Momma Kiminori Kato Susumu S. Sawada Yuko Gando Ryoko Kawakami Motohiko Miyachi Ryoichi Nagatomi Minoru Tashiro Yasuhiro Matsubayashi Satoru Kodama Midori Iwanaga Kazuya Fujihara Hirohito Sone
出版者
Japan Epidemiological Association
雑誌
Journal of Epidemiology (ISSN:09175040)
巻号頁・発行日
pp.JE20200034, (Released:2020-05-16)
参考文献数
38
被引用文献数
13

Background: Grip strength reflects systemic muscle strength and mass and is reportedly associated with various metabolic variables. However, its prognostic association with dyslipidemia is unknown. We examined the association of grip strength and other physical fitness markers with the incidence of dyslipidemia among Japanese adults.Methods: A total of 16,149 Japanese (6208 women) individuals aged 20–92 years who underwent a physical fitness test between April 2001 and March 2002 were included in this cohort study. Grip strength, vertical jump, single-leg balance with eyes closed, forward bending, and whole-body reaction time were evaluated at baseline. Dyslipidemia was annually determined based on fasting serum lipid profiles and self-reported dyslipidemia from April 2001 to March 2008.Results: During the follow-up period, 4458 (44.9%) men and 2461 (39.6%) women developed dyslipidemia. A higher relative grip strength (grip strength/body mass index) was associated with a lower incidence of dyslipidemia among both men and women (P for trend < 0.001). Compared with those for the first septile, the hazards ratios and 95% confidence intervals for the seventh septile were 0.56 (0.50, 0.63) for men and 0.69 (0.58, 0.81) for women. Moreover, relative vertical jump (vertical jump strength/body mass index) was also inversely associated with the incidence of dyslipidemia among both men and women (P for trend < 0.001). There was no association between other physical fitness and dyslipidemia among both men and women.Conclusion: Relative grip strength and vertical jump may be useful risk markers of the incidence of dyslipidemia.
著者
狩野 かおり 無藤 隆
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
お茶の水女子大学子ども発達教育研究センター紀要
巻号頁・発行日
vol.1, pp.19-31, 2004
被引用文献数
2

本研究の目的は、地域の子育てサークルとインターネット上における育児期の親同士のネットワークがサポートを提供する場としてそれぞれどのように機能しているのかを比較検討することであった。そのために、地域の子育てサークルに所属する親メンバー307名とインターネット上の育児関連サイト内のネット掲示板を定期的に利用している親217名を対象として、親子の属性やネットワークの利用動機、現在の身近なサポート環境および親や個としての心理的健康、そして利用しているネットワーク形態がもっていると思われるサポート機能について尋ねる質問紙およびオンライン調査を行った。その結果、地域の子育てサークルとインターネット上の育児掲示板という二つのネットワーク形態を比較した時に、育児サークルの方は、子育てをある程度経験した親が既存のネットワークを広げる目的で参加し、コミュニティ的な支え合いや、親子同士の交流を通じた親や個人として視野の広がりを経験する機会を提供する場として特徴付けられるのに対して、インターネット上の育児掲示板は、育児経験の浅い親が育児情報を手に入れたりよその親の子育ての様子を知りたいというニーズを満たすために利用し、親としての自分を客観的に見つめ直し育児にゆとりを持つ機会が得られる場として捉えられていることが示唆され、当初の仮説がほぼ支持される結果となった。
著者
難波 功士
出版者
関西学院大学
雑誌
関西学院大学社会学部紀要 (ISSN:04529456)
巻号頁・発行日
vol.95, pp.217-225, 2003-10-28

In British society, class culture still has not lost its significance, whereas matters of gender, ethnicity and generation are becoming relatively more important. In particular, working class culture has maintained its vitality and many people are proud of their sense of belonging to the culture, though heavy or mining industries have declined. In this note, I survey recent studies concerning working class culture and derive three points as follows. Firstly, now class is not only an issue of production but also one of consumption or taste. As a result, many people construct themselves at will as members of the working class, though in some cases they are white collars workers or students. Although some manual workers earn more money than office workers or teachers, they recognize themselves as working class. Secondly, the representations of working class cultures in films or TV dramas revitalize and reconstruct them. Lastly, now the barrier of gender becomes lower, even in working class culture, so lasses or 'laddette' culture has emerged as the counterpart of lads culture, which means masculine working-class men's culture. In conclusion, whereas the aspect of 'class in itself is decreasing now, the aspect of 'class for itself is increasing. So, in British society class cultures will be alive for a while.

5 0 0 0 OA 株式年鑑

著者
野村商店調査部 編
出版者
野村商店調査部
巻号頁・発行日
vol.明治45年度, 1912

5 0 0 0 OA 鉄道院年報

出版者
鉄道院
巻号頁・発行日
vol.明治42年度 國有鉄道之部、私設鉄道之部、韓国鉄道管理局之部, 1912
出版者
東京教育博物館
巻号頁・発行日
vol.明治40年5月, 1912