著者
矢野 環 岩坪 健 福田 智子 ヤノ タマキ イワツボ タケシ フクダ トモコ Yano Tamaki Iwatsubo Takeshi Fukuda Tomoko
出版者
同志社大学人文科学研究所
雑誌
社会科学 = The social sciences (ISSN:04196759)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.27-51, 2013-11

資料(Material)竹幽文庫蔵『源氏千種香』は、『源氏物語』五十四帖にちなんだ五十四種類の組香の作法を記した伝書である。安永二年(一七七三)の自叙をもつ。菊岡沾涼著『香道蘭之園』所収本は、元文二年(一七三七)頃の成立だが、桐壺香・夢浮橋香がない。そこで、箒木香・梅枝香・玉鬘香・若菜下香について、さらに両者を比較したところ、組香の方法は、蘭之園本に比べ、竹幽本の方が総じて複雑になっていることがわかった。また、物語の内容と合わない箇所が少なくない蘭之園本に対し、竹幽本は、物語に合わせて手直ししていることが認められる。すなわち、蘭之園本は、『源氏小鏡』(第一系統)を参照して作成されているようであるが、竹幽本は、『源氏小鏡』(第二系統)、あるいは『源氏物語』そのものに拠っていると考えられるのである。
著者
高久 雅生
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.64, no.5, pp.162-169, 2014-05-01

Web APIは情報サービスの,とりわけWeb上で提供されるサービスにおいて,縁の下の力持ちとして欠かせない位置を占めつつある。本稿ではWeb APIの提供と利用の両面から類型を示しながら,その歴史的な意義と機能を紹介する。学術情報分野を中心にWeb APIの提供事例とマッシュアップ事例を挙げるとともに,その利用目的やデータ形式,ライセンス,永続性といった点を取り上げて議論し,Web APIがもたらしている役割を解説する。
著者
濱田 瑞美
出版者
早稲田大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2010

本研究の目的は、東アジアにおける仏教図像を、儀礼空間のなかで解き明かしていくことにある。最終年度である本年度の実地調査は、インドのデリー国立博物館所蔵のスタイン将来の敦煌画のうち、千手観音変相図6件および薬師経変相図1件を対象に行い、図像データを収集した。また、中国四川省の夾江千仏岩の千手観音寵および四川博物院所蔵の仏教彫刻の調査や、中国石窟のルーツにも関わるインドの石窟の仏教図像についての調査を行った。これまでに取得した図像データを基に、中国重慶大足石刻の薬師如来の図像と仏龕の尊像構成に関する論考、中国敦煌石窟の唐代の薬師経変の図像に関する論考、敦煌石窟吐蕃期の千手観音の図像に関する論考、敦煌莫高窟第323窟における窟内図像プログラムに関する論考を、誌上あるいは口頭で発表した。このうち、大足石刻の薬師寵の論考では、薬師如来と地蔵菩薩や尊勝陀羅尼幢とがいずれも地獄済度という共通の意味をもって寵内で組み合わされていることを明らかにした。敦煌石窟の薬師経変の論考では、薬師経変図中に設斎の様子が描き込まれていることから、薬師信仰の中で設斎が重要な行為であったことが確認されるとともに、そうした設斎図が中唐期以降の敦煌の窟内正面の仏龕内壁にも描かれる例から、現在欠失している窟本尊が薬師如来であった可能性を指摘した。窟内全体に関わる本尊に対する言及と、窟内空間において設斎と図像とが密接な関係性を持つという見解は、薬師如来だけに限らず、他の仏教図像研究にも適用できるものとして重要である。また、敦煌莫高窟第323窟の研究では、周壁図像の検討から、窟内全体の図像が相互に関連していること、図像を観ていく順序、石窟造営の目的の一端、および石窟造営時期についての新たな見解を提示し、石窟空間の機能を踏まえて仏教図像を解釈することの有効性が示されるに至った。
著者
Gray Robert
出版者
早稲田大学人間科学学術院
雑誌
早稲田大学人間科学研究 (ISSN:09160396)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.81-86, 2004

遠藤周作の作品に明示的・暗示的に組み込まれた現代日本の精神へのユダヤ教的・キリスト教的な解釈について論じる。

1 0 0 0 動物学精義

著者
恵利恵 著
出版者
目黒書店
巻号頁・発行日
vol.各論 下巻, 1927

1 0 0 0 OA 動物学精義

著者
恵利恵 著
出版者
目黒書店
巻号頁・発行日
vol.各論 中巻, 1926

1 0 0 0 動物学精義

著者
恵利恵 著
出版者
目黒書店
巻号頁・発行日
vol.各論 上巻, 1925
著者
中山 満子 池田 曜子
出版者
奈良女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では、ママ友関係を小規模に形成された集団と考え、(1)ママ友という小集団のつながり方(強さ、多様性)、(2)ママ友間の対人葛藤の特徴と、葛藤及び対処法に及ぼす社会的文脈の影響、(3)ママ友関係が他の社会活動に及ぼす影響について検討することを目的とした。研究の結果、(1)ママ友関係のつながりは、ゆるやかで希薄な場合が多い、(2)対人葛藤は、つながりが緊密な場合に生じやすい、(3)対人葛藤を経験したときのコーピングは、社会的文脈(関係流動性)に調整される、(4)ママ友を含む対人関係についての成果感覚を得ることが、広く向社会行動への契機となりうることが示された。
著者
田中 史生
出版者
関東学院大学経済研究所
雑誌
経済系 : 関東学院大学経済学会研究論集 (ISSN:02870924)
巻号頁・発行日
vol.229, pp.11-23,

「高野雑筆集」下巻所収「唐人書簡」の分析を通して,9世紀中葉に両浙地域を拠点とした唐人交易者の対日交易の実態を検討した。その結果,当該期に対日交易を活発化させた彼らに対し,日本は856年前後までには唐物使を派遣してその貨物に対する官司先買を強化したこと,このため唐人らは,日本に居留する近親者との面会の場面を利用し,貨物を密かに渡して官司先買を逃れようとしていたことなどが推定された。また,彼らのもたらす交易貨物には,彼らが本拠とした江南地域産のものだけでなく,その北方・南方から集められた品々が含まれていたことも確認した。
著者
関口 浩喜
出版者
日本哲学会
雑誌
哲学 (ISSN:03873358)
巻号頁・発行日
vol.1996, no.47, pp.256-265, 1996-05-01 (Released:2009-07-23)

Although Wittgenstein insists on the importance of the notion of a perspicuous representation (übersichtliche Darstellung) in his Philosophical Investigations (section 122), this notion has scarecely been clarified by Wittgenstein scholars. The aim of my paper is to throw light on this notion. A clue is found in the sections 90-92 of Philosophical Investigations, where Wittgenstein explains the aim of his invesitigations by contrasting them with the investigations which aim at exact representaions of the use of our words. Another clue is found in his Remarks on the Foundations of Mathematics, where Wittgenstein says that changing notation of a proof-pattern that is not perspicuous into one that is perspicuous changes our way of looking at it. From these clues I try to show that the opening sections of Investigations (i. e. a famous example of five-red-apples and a primitive language-game of section 2) should be seen as a typical place where Wittgenstein uses a perspicuous representation as the method of his philosophy.
著者
後藤 明彦 荒木 忠治
出版者
園藝學會
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.316-324, 1983
被引用文献数
1 10

サンボウカン果実のじょうのう果梗端部す上がり砂じょう及び中央部のゲル化及びす上がり砂じょうの化学組成を調べ, また, 光学顕微鏡による若干の観察を行った.<br>顕微鏡観察によると, 果梗端部す上がり砂じょうの砂じょう膜は著しく肥厚していたが, 中央部す上がり砂じょうの膜の肥厚は, それほど著しくなかった. また,PAS染色により, 砂じょう膜及び内部柔組織の細胞壁多糖類成分は, ゲル化及びす上がり砂じょうで増加していることが示された.<br>パルプ量, アルコール不溶性固形物 (AIS) 含量はす上がり砂じょうで健全砂じょうより高かった. 細胞壁多糖類については, ゲル化及びす上がり砂じょうで, 熱水, ヘミセルロース, セルロースの各画分が健全砂じょうより高かったが, シュウ酸塩画分の増加はわずかであった.<br>果梗端部す上がり砂じょうでは, 同部健全砂じょうに比べて, 遊離酸, フラボノイド, カロチノイド, RNAの含量は低く, 結合酸, ビタミンC, 全-N, AIS-N, アミノ-Nのそれは高く, 全糖は変らなかった. 中央部ゲル化砂じょうでは, これらの成分は全て健全砂じょうより低かった. しかし, 同部す上がり砂じょうでは, AIS-N, アミノ-Nはゲル化及び健全砂じょうより高く, また, 全糖, 結合酸, フラボノイド, カノチノイド, ビタミンC及び全-Nはゲル化砂じょうよりは高かったが,健全砂じょうよりは低かった. RNAはゲル化砂じょうとほぼ同じであり, 遊離酸は低かった.<br>無機成分 (粗灰分, Ca, Mg, K, Na) については, いずれも, 果梗端部す上がり砂じょうで健全砂じょうより高かった. 中央部ゲル化砂じょうでは, 健全砂じょうよりわずかに低かったが, す上がり砂じょうでは, ゲル化砂じょうに比べてCaが高く, Kが低かった.<br>これらの結果に基づき, サンボウカン果実砂じょうのゲル化及びす上がりの発現過程を考察した.
著者
藤井 義久
出版者
学術雑誌目次速報データベース由来
雑誌
心理學研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.68, no.6, pp.441-448, 1998
被引用文献数
1 10

The purposes of this study are to construct the College Life Anxiety Scale for measuring the level of college students' anxiety and to examine its reliability and validity. After collecting items about the anxiety in college life, factor analysis was performed on the data obtained from 2 782 college students. The result, firstly, showed that the College Life Anxiety Scale consisting of 30 items had three factors, which were daily life anxiety, test anxiety and college maladjustment. Secondly, it was indicated that the Scale had both high test-retest reliability and internal consistency (.82 and .84, respectively). It was also suggested that the Scale had high content, clinical, and criterion-related validities. In conclusion, the College Life Anxiety Scale is well able to measure the level of college students' anxiety in their usual life.
著者
竹田 晃人 小渕 智之 高橋 和孝
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IBISML, 情報論的学習理論と機械学習 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.265, pp.231-238, 2010-10-28

情報理論と物理学における統計力学の関係はこれまでに数多く指摘されているが,本稿では近年Merhavにより調べられた階層構造を持つランダム符号に関する統計力学的性能解析法について議論する.統計力学的見地ではランダム符号はランダムエネルギー模型と呼ばれる可解なスピングラスの模型として捉えられることが知られている.それを踏まえ,本研究では前述の階層的ランダム符号が一般化離散ランダムエネルギー模型という可解なスピングラスの模型と完全に対応することを述べ,かつこの対応関係を利用することでデータ圧縮(情報源符号化)・通信路符号化における階層的ランダム符号の性能を直接かつ系統的に調べることが可能であることを示す.
出版者
日経BP社
雑誌
日経ア-キテクチュア (ISSN:03850870)
巻号頁・発行日
no.650, pp.26-32, 1999-10-04

3カ月おきに実施してきた全国有力建設会社へのアンケート調査も,今回の9月調査で4回目。ここ1年の施工単価相場の推移を地区別に眺めてみると,集合住宅でも事務所ビルでも平均値が下降傾向にある地区が多い。いつ終わるとも知れない激しい受注競争が続いている。6月〜9月の受注状況は,とりわけ西日本で厳しい結果となった。暑かった夏も建築市場は冷え込んだままだった。