著者
日下 卓也
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

電子透かしの透かし情報として二元線形符号のReed-Muller符号と拡大BCH符号の最小重み符号語だけを透かし情報として用い,かつ復号法の復号失敗を積極的に用いることで,透かし情報の取り出しにおける誤判定の確率を低減する手法を提案し,コンピュータシミュレーションにより有効性を確認した。また,近年応用が進んでいる軟値入出力復号法において,浮動小数点数の加減算における量子化誤差の透かしの検出率への影響が実用上無視できることを確認した。これらの符号と復号法を用いることで,電子透かしにおける冤罪の発生の抑制に効果があることを確認した。

1 0 0 0 OA 東国通鑑

出版者
出雲寺松柏堂
巻号頁・発行日
vol.巻之20,21, 1883
著者
Yuji Yamada Yoshitaka Miyakawa Mitsuaki Sawano Yutaka Okano
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
Internal Medicine (ISSN:09182918)
巻号頁・発行日
vol.53, no.10, pp.1083-1085, 2014 (Released:2014-05-15)
参考文献数
15
被引用文献数
2 10

Acquired coagulation factor deficiency is a rare disorder that occurs in patients with drug reactions, malignancy and collagen diseases as well as during pregnancy. Most cases are caused by factor VIII inhibitors. We herein describe the case of a 61-year-old Japanese man with acquired factor V inhibitor who developed symptoms 11 days after lung surgery for empyema. The patient required mechanical ventilation to treat acute respiratory failure due to severe pulmonary hemorrhage. He responded poorly to steroid pulse therapy; however, treatment with rituximab was successful.
著者
Matsuda Takuya
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
Journal of the Physical Society of Japan (ISSN:00319015)
巻号頁・発行日
vol.52, no.6, pp.1904-1907, 1983-06-15
被引用文献数
1

It is pointed out that the weather in a space colony proposed by 0'Neill isconsiderably different from that on the earth. Atmospheric circulation is producedby a temperature difference between the land arca and the window area, and it isrestricted within the thermal boundary layer. On the 'window shore', strong'window-wind' blows in a day time.
著者
岡田 至崇 FARRELL Daniel FARRELL Daniel
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2011

量子ドット超格子や高歪み化合物半導体中に形成される中間バンドを利用したナノ構造太陽電池の高効率化のアプローチでは、中間バンド内のエネルギーレベルに光キャリアが安定に存在し、またこれらが近赤外域の太陽光を吸収して伝導帯へと効率良く励起され、電流として取り出せることを室温で実証することが重要である。このような光吸収によるアップコンバージョン過程と同様に、熱的アップコンバージョン効果を取り入れたのがホットキャリア太陽電池である。本年度は、太陽光により励起されたされた中でも高エネルギーのキャリアのエネルギー緩和ダイナミクスを解明し、これらの高エネルギーの電子を効率良く電極から取り出すための方法に関する研究を進めた。量子井戸から成るホットキャリア生成層を想定し、熱的アップコンバージョンにより生成されたホットキャリアが、発光再結合する際に放出されるフォトンを太陽電池(上部)に照射して戻すことにより、セルの出力電流を増大させることが本研究で考案した素子の動作原理となる。このとき、太陽光の集光により熱的アップコンバージョンによるホットキャリアの生成がより高効率で生じることが期待され、理論値として、1000倍集光時に5O%前後の変換効率が可能となることを見出した。次に、量子井戸セル構造の最適化を行うため、k. p法を用いたバンド計算の数値計算プログラムを開発した。InGaAs/GaAs系歪み量子井戸を想定し、量子準位の形成位置及び各エネルギー準位における波動関数を数値計算により求められるようになり、格子歪みが量子準位や波動関数に及ぼす効果を定量的に求めることを可能にした。
著者
小松 貴
出版者
信州大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2007

日本国内では、九州・南西諸島にてアリヅカコオロギ属のサンプリングを行い、トータル200個体以上のサンプルを分子系統解析及び飼育観察用に採集した。海外では、マレー半島にてサンプリングを行い、トータル100個体のサンプルを分子系統解析用に採集した。分子系統解析は、得られたサンプル中20形態種500サンプルによりDNA抽出および分子系統解析を行い、得られた系統樹上に野外での生態情報を反映させた。その結果、内群は大きく19系統に分岐し、全北区グループと東洋区グループに2分された。そして、寄主特異性に関する形質復元を行ったところ、どちらのグループも共に単一アリ種に寄生するスペシャリスト系統が最も祖先的となり、特に全北区グループにて頻繁に形質状態の逆転が認められた。これにより、従来のモデル系である植食性昆虫などで認められてきた、ジェネラリストの系統からスペシャリストの系統が派生するというパターンとは異なる傾向が示され、本属が従来のモデル系とは異なる進化的性質を持ちながら多様化してきた可能性が示唆された。以上の結果はMolecular Phylogenetic and Evolution誌に投稿予定である。飼育観察では、日本本土に生息する寄主特異性が比較的緩い2種のアリヅカコオロギを用いて、アリコロニー内での行動を記録し、種間での比較を行った。その結果、アリから攻撃を受ける頻度や自力でアリ巣内の餌を摂食する頻度にて種間での統計的有意性が検出された一方、アリ体表をグルーミングする頻度や口移し給餌を受ける頻度に有意性は検出されなかった。これより、中程度の寄主特異性をもつ種は、行動生態的にも中程度の特殊化を示す可能性が示された。以上の結果はJournal of Entomological Science誌にて掲載予定である。
出版者
平凡社
巻号頁・発行日
1986
著者
森 佳子
出版者
日本音楽学会
雑誌
音楽学 (ISSN:00302597)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.94-108, 2012-03-23

夢幻劇(フェリー)とは,構造的にメロドラムと共通の基盤を持った演劇の一ジャンルである。そもそも,18世紀末にルソーによって考案されたメロドラムはドイツで流行し,台詞とオーケストラ演奏を交互に行う形式を維持していた。しかし19世紀に入ると,フランスにおいてメロドラムは,大規模なオーケストラと舞台転換を伴った大衆的なジャンルに発展する。夢幻劇の場合,それらに加えてバレエが必ず挿入され,超現実的かつ喜劇的なテーマが扱われる。しかし,それ以上のことはあまり明らかになっていない。本稿では夢幻劇の音楽的構造を探るため,パリ・オペラ座図書館に所蔵される充実した台本コレクションに注目した。具体的には,大衆的な四劇場(アンビギュ・コミック,ゲテ,ポルト・サン・マルタン,フォリー・ドラマティック)で上演された作品の台本から,フェリーの特徴を備えているものを特定し,考察を行った。1861年(オスマンの都市改造計画によるタンプル大通りの消滅以前)までに出版されたそれらのうち,異なる時代の2作品-『青ひげ』(1823)と『500人の悪魔』(1854)を中心に全体を見ると,夢幻劇の歌唱部分は時代とともに増加し,オペラなど他ジャンルの要素を取り入れることもあったのではないかと推測される。中でも興味深いのは「パロディ」の習慣である。すなわち,一般的に夢幻劇における歌唱部分には,主に庶民層の観客を喜ばすための替え歌(パロディ)が使われるが,後になると一層増えていく。この習慣は,1807年の皇帝の勅令による劇場ジャンルへの規制に関係しているが,1850年代になってそれが緩くなった後も続いている。すなわち19世紀後半になると,メロドラムが下火になっていく一方,夢幻劇はパロディを利用して音楽部分を増やすことで生き残り,まさに構造的には広い意味での「大衆のための音楽劇」と呼ぶに相応しいものに変化したのではないだろうか。
著者
栗野 俊一 伊藤 和美 池田 由季 吉開 範章
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.363, pp.29-34, 2011-12-17
被引用文献数
2

DDoS攻撃に対する新しい情報セキュリティ対策を具体化するために,コンピュータウィルス感染時のヒトの意識に関する研究を行っている.ウイルス感染時における心理状況は,一種のパニック状態と見なせるが,現在までに報告された例はない.今回,その対策を検討するための基礎データを収集する目的で,ウィルスに擬似感染させる実験を行い,ヒトの心理と行動の特徴を分析したので報告する.
著者
柴崎 秀子 玉岡 賀津雄 高取 由紀 Hideko SHIBASAKI Katsuo TAMAOKA Yuki TAKATORI
出版者
国書刊行会
雑誌
日本語科学
巻号頁・発行日
vol.21, pp.89-110, 2007-04

長岡技術科学大学広島大学ジョージア州立大学本研究の目的は,(1)英語を使って作られた和製英語の意味を英語母語話者が推測した場合,どのような語の推測が容易で,どのような語の推測が困難かを調査すること,及び,(2)日本語学習経験のある者が未知の和製英語の意味を推測した場合,日本語学習経験が生かされるかどうかを調査することの2点である。日本語学習者36名と非学習者36名に,30語の和製英語を刺激語として与え,各語の知識を問う二者択一問題と,各語の意味を選ぶ四者択一問題を行った。その結果,日本語学習者は和製英語の知識において非学習者と差がないにも関わらず,意味推測において優れていることが示された。また,(1)英語と形が良く似ている和製英語,(2)後項の語が複合語全体の意味的主要部となり,前項の語が後項の語を修飾している和製英語は意味推測が易しく,反対に,(1)英語の語順規則に則っていない和製英語,(2)英語の概念に共通する部分が少ない和製英語,(3)前項の語も後項の語も,それが構成する複合語の主要な意味とならない和製英語は,英語母語話者にとって意味推測が難しい傾向があることが示された。