著者
北村 充
出版者
九州工業大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

グアニジノジアゾニウム塩はグアニジンの電子供与性により強力に共鳴安定化されていると考えられる化合物であり,ジアゾニウム塩とアジドの両者に由来する特徴的な反応性を示すと期待される。そこで,本研究ではグアニジノジアゾニウム塩の合成と,これを用いる反応開発に取り組んだ。その結果,グアニジノジアゾニウム塩の調製法を開発することに成功し,また,グアニジノジアゾニウム塩がジアゾ化剤やアジド化剤として利用出来ることを明らかにした。
著者
江川 新一 当間 宏樹 大東 弘明 奥坂 拓志 中尾 昭公 羽鳥 隆 真口 宏介 柳澤 昭夫 田中 雅夫
出版者
Japan Pancreas Society
雑誌
膵臓 = The Journal of Japan Pancreas Society (ISSN:09130071)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.105-123, 2008-04-25
被引用文献数
22 46

目的:日本膵臓学会膵癌登録委員会の公表した膵癌登録報告2007のダイジェストとしてすでに公表された28655例のデータに基く解析を加え,主要な図と,新たな図,正誤表をつけて報告する.<br> 方法:構成を膵癌登録報告と同じくし,ページ数により示したデータから得られる解釈をなるべく客観的に解説した.統計解析は新たに加えた図も膵癌登録報告と同様に生命保険数理法とWilcoxon Gehan testを用い,既存のデータの統計結果はそのまま利用した.膵癌取り扱い(JPS)規約とUICC規約による生存率を主に比較した.<br> 結果:1980年代,1990年代と比較し,観察期間は短いが2001-2004年登録の膵癌の生存率は有意に改善した.膵管内腫瘍,粘液性嚢胞腫瘍,膵内分泌腫瘍の進展度分類でJPS規約のほうが良好な生存率予測を示した.膵管内腫瘍の深達度別生存率がはじめて示され,世界に類をみないデータである.<br>
著者
財部 香枝
出版者
中部大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

レメルソン発明および革新研究センターは、1995年、アメリカ合衆国ワシントンD. C.のスミソニアン協会、国立アメリカ歴史博物館内に創設された。同センターは、博物館の比類ない資源を活用し、シンポジウム、教育的アウトリーチ・プログラム、展示、研究機会の提供、ドキュメンテーションなどの多様な取組みをとおして、発明および革新に関する新たなパースペクティブを来館者に与えようとする。本研究は、レメルソン・センターにおけるサイエンス・コミュニケーションの実態を探究する。センターは、音楽、視覚芸術、環境など、複数のパースペクティブから発明の歴史を調査・解釈することにより、「さもなければその主題[発明]に注意を払わない広い観衆を惹きつけてきている」という。センターの発明や革新に関する学際的なアプローチは、科学技術の理解に有益な方法を示しており、わが国の公衆にも適用しうるだろう。研究成果は、学会誌、学会にて公表した。
著者
小屋松 安子
出版者
(財)佐々木研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

婦人科悪性腫瘍の中で、増加傾向にある子宮体癌はtypel,2により予後的差異が大きいとされる。この違いを、マイクロサテライトの有無のみならず、組織型・組織分化度・進行期・ホルモンレセプターの有無等の因子別にマイクロアレイにより網羅的に遺伝子解析・比較し、従来推定されている既知の関連遺伝子以外の予後や治療にかかわる責任遺伝子の存在を検索し、また、それらの絞られた遺伝子におけるメチル化等の発癌機構に関わる変化を調べた。Type121例、type29例の計30例の子宮体部類内膜癌において、マイクロサテライトの不安定性は10例(33.3%)で体癌の約3割で認められた。マイクロサテライトの不安定性は消化器癌を含む家族性腫瘍でも報告されるが、子宮体癌ではマイクロサテライトマーカーはD2S123、D17S250、BAT25、BAT26に特異的に認められる傾向が判明し、hMLH1のメチル化に関しては、マイクロサテライトの不安定性に関わらず60%で確認された。この不安定性は子宮体癌type別による有意差は得られなかった。子宮体癌全体で顕著に遺伝子発現が増加したものは4遺伝子あり、低下したものは5遺伝子認められた。Type特異的には,予測どおりホルモンレセプターを含むtype1で57遺伝子、type2で21遺伝子が候補となり、特に顕著だったtype2におけるビメンチンの発現に関しては、さらに症例を増やし、特殊免疫染色・メチル化同定も行い、ターゲット遺伝子となるか、応用・開発の可能性を探っていく予定である。H19年度までに、目標遺伝子の絞込みが達成できた状況となった。
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネスassocie (ISSN:13472844)
巻号頁・発行日
vol.10, no.5, pp.20-28, 2011-03-15

会話を台無しにする"地雷"は多くの場合、最初の一歩目、「しゃべりだし」に埋まっている。「とりあえず」「じゃあ」「でも」…何気なく発する最初の一言。これで相手の信頼を失ったり、耳を塞がせてしまうことは実に多い。やっかいなのは、発した本人には自覚できるほどの悪意はないこと。ふと目を合わせて相手の顔色が変わっていることに驚く。だが、もう遅い。まさしく地雷だ。
著者
加藤 和弘
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

東京都およびその近県にある11の緑道で、緑道内の鳥類相と緑道の植生構造、緑道周囲の都市化の程度の関係を調査した。緑道内の鳥類相の場所による違いは、緑道周辺の都市化の程度にも影響を受けていたが、緑道内と隣接部における植被の発達の程度、特に上層の植被の発達の程度によってよく説明された。但し、緑道内外の下層植生が発達していない場合には、出現する鳥類種が限定され、アオジ、ウグイス、シロハラなどの下層植生や地表を利用して採食する森林性鳥類は出現しなくなる傾向が認められた。また、緑道内で記録された鳥類個体の多くは、移動する場合には緑道に沿った形での移動が多いことが示された。
著者
川村 英輔 田邊 眞 高田 陽 室田 佳昭 白石 昭彦 高柳 典弘 鶴橋 亨 鈴木 一好 西村 修
出版者
日本養豚学会
雑誌
日本養豚学会誌 = The Japanese journal of swine science (ISSN:0913882X)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.117-127, 2012-09-28
被引用文献数
1

反応槽下部からの曝気によりpHを調整し,反応槽内に浸積させたステンレス製の付着部材表面にMAPを成長させて結晶状のリンを回収した。使用した付着部材は,直径と高さが異なる4種類のステンレス製の網カゴを4重にしたものを用いた。ふん尿分離豚舎汚水及びふん尿分離豚舎汚水を脱水機にて脱水処理した脱水ろ液を供試した。豚舎汚水を用いた場合,リン結晶化率は,平均で66%を示し,結晶化リン量あたり回収リン量(リン回収効率)は,平均で8.2%となった。一方,脱水ろ液を用いた場合,リン結晶化率は,平均で83%を示し,リン回収効率は,平均で26.7%となった。また,両汚水の付着部材へのリン負荷量を2.0kg/m2とした場合,豚舎汚水は0.7~0.9kg/m2,脱水ろ液は3.0kg/m2のMAPが回収可能であった。これは,付着部材表面積を拡大したことと豚舎汚水を脱水処理することでSSが低減し,pHの上昇度合いが高まり,リン結晶化率が改善し付着部材表面での結晶成長が促進されたことによるものと考えられた。
著者
小倉 協三 小畑 充生 古山 種俊
出版者
東北大学
雑誌
試験研究(B)
巻号頁・発行日
1993

中等度好熱性細菌B.stearothermophilusのファルネシルニリン酸(FPP)合成酵素については 1.部位特異的変異の導入 2.耐熱性変異型FPP合成酵素の大腸菌内での大量産生 3.熱処理と2段階のクロマトグラフィーによる精製の系を確立した。この系を用いてプレニルトランスフェラーゼに特徴的な7つの保存領域ミ内のアノ酸について変異型酵素を作成し、それらの触媒機能の変化を精査し、新規なC-C結合形成反応の触媒機能獲得の有無を調べた。領域VIIに保存されているArg-295をValに置換した変異型酵素R295Vの酵素活性はほとんど変化しなかったが、非アリル性基質イソペンテニルニリン酸(IPP)に対するKm値が野生型のFPP合成酵素のそれの約1.5倍に増大した。同様の変化がC末端のHisをLeuに換えたH297Lでも認められた。この変化はプライマー基質をジメチルアリルニリン酸(DMAPP)にした場合さらに顕著になり、変異体のKm値は約3倍となった。さらにCys-289をPheに換えたC289Fでは10倍になった。領域VIに保存さているモチーフDDXXDのAspの変異体、D224A、D224E、D-2251、D228Aはいずれも触媒活性が激減したが、反応速度論的解析では、基質に対するKm値はIPP、GPPのいずれに対しても大きな変化はなかった。D288Aのみが例外で、IPPに対するKm値が野生型の10倍にもなった。領域VIの下流に保存されているLys-238の変異体酵素K238AおよびK238Rはいずれも触媒活性には大きな変化はなかったが、IPPに対するKm値がそれぞれ4.2倍5.1倍になった。これらの変異体酵素はいずれもIPPに対するKm値が増大しているのでホモアリル性の基質に対する特異性が特に変化している可能性がある。これらの変異体酵素の人工基質ホモログに対する基質特異性の精査は今後の課題である。
著者
鄭 秀明 内山 真一郎 大原 久仁子 小林 道子 村上 博彦
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.20, no.5, pp.456-461, 1998-10-25 (Released:2009-12-07)
参考文献数
26
被引用文献数
1

発症24時間以内の脳梗塞250例において,進行性増悪例の検討をOxfordshire CommunityStroke Project (OCSP)の4病型分類別に検討した.全体では28%に進行が観察され,partial anterior circulation infarcts(PACI)群の進行は9%と他の3群(total anterior circulation infarcts: TACI, lacunar infarcts: LACI, posterior circulation infarcts :POCI)に比し低率であった.進行群と非進行群の比較では,TACIの進行群で頭部CTでの早期異常が高率で,コレステロールが低下しており,LACIの進行群ではエントリー時に機能的に重症であったが,その他の因子に差はなく,POCIでは両群間に差は見出せなかった.進行例は生命予後.機能予後とも不良であった.進行例の頻度は病型別に異なり,若干の予知因子が抽出されたが,その予測は依然として困難と考えられた.
著者
荒木 宏之 三島 悠一郎
出版者
佐賀大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

ハイドロタルサイト(HT)とゼオライトを併用したHT/Zeリン回収法の開発を目的として吸着材の吸着特性、2つの吸着材の共役的脱着試験、脱着液からのリン回収試験、下水を用いた実証的な試験を行った。HTの一種であるナノサイズ層状複水酸化物(NLDH)とガラス粉末ゼオライト(GZe)のリン及びアンモニアの吸着特性を明らかにした。脱着試験からNLDHとGZeの1つの脱着液で共役的な脱着再生が可能であることを明らかにし、約9割のリンを脱着液中へ回収可能なことを示した。リン回収試験結果と併せて考慮すると、吸着したリンの81%を回収できることが分かった。実証試験では実廃水でもリン回収可能なことを示した。
著者
山田 俊彦
出版者
順天堂大学
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.118-119, 2003-05-30
被引用文献数
1
著者
尾崎 美和子
出版者
早稲田大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2008

これまでの我々の研究から、統合失調症関連遺伝子ニューレグリン(NRG)は50Hz付近から100Hz間の周波数刺激により膜貫通ドメインのすぐN末側で蛋白切断を受け細胞外に切り出されることが解っている。実際に、統合失調症患者の血液サンプルを用い、分泌型NRGの血中量と遺伝子多型を解析することにより、統合失調症患者では、その発病と改善に分泌型NRGの量が関与していることを明らかにした。また統合失調症患者の分泌型NRG量の変動が発病と関連があること、発病の際、前頭前野や聴覚野における50~80Hz付近の神経活動消失や乱れが観察されることから光計測系で分泌量と神経活動を同時計測し、その結果を脳刺激にフィードバックする仕組みを構築しようとしてきた。そのため必要な蛍光物質を様々な角度から合成、スクリーニングを行った結果、脳機能(神経活動)を高感度で検出できる温度感受性色素を得ることができた。神経活動変化に伴う細胞内カルシウム濃度変化が発熱・吸熱反応を引き起こし、その変化を蛍光強度変化計測することにより検出するシステムである。一方、NRGの蛋白分断と分泌を追跡するための新規プローブの合成にも成功し、両者を同時観測可能なところまできた。また、脳深部の計測を可能にするため、バンドル化した光ファイバー表面に色素を塗布することにより脳深部に於ける光計測をミリセカンドの時間分解能、20~50マイクロメータの空間分解能で計測できるシステムとし、同時に光刺激も可能となった。実際に脳スライス、動物個体に応用することによりそのプロトタイプの評価を行っている。

1 0 0 0 OA 馬内侍集覚書

著者
本位田 重美 Shigeyoshi Honiden
雑誌
人文論究 (ISSN:02866773)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.18-31, 1960-08-30