著者
永田 奈々恵 藤森 功 柏木 香保里 宮本 悦子
出版者
公益財団法人大阪バイオサイエンス研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

プロスタグランジンなどの脂質(脂肪酸)は睡眠調節に関与することが知られている。一方で、睡眠は疲労回復や記憶の定着などに重要とされるが、これら睡眠の生理的意義の分子機構は解明されていない。本研究では、マウス大脳皮質でのmRNA発現レベルが明期と暗期で変動する脂肪酸輸送タンパク質brain fatty acid binding protein (FABP7の相互作用タンパク質としてGlycoprotein M6a (GPM6a)を同定した。更に、両タンパク質がマウス脳でも相互作用していることを確認し、FABP7とGPM6aがマウス脳で相互作用し機能している可能性を示した。
著者
吉倉 真 城田 五郎 近藤 照義
出版者
Arachnological Society of Japan
雑誌
Acta Arachnologica (ISSN:00015202)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.199-208, 1977
被引用文献数
1

1. 産卵後一両日中にウヅキコモリグモの持っている卵嚢を取り除いたら, 3週間ほどで再び産卵した. 初回の産卵数は平均約50個, 次回のそれは約33個であった.<br>2. 卵嚢保持個体における肥大卵母細胞の大きさは, 産卵後約4週間で直径約184μに達したものもあったが, 排卵したものはなかった. 産卵後一両日中に卵嚢を除去したものでは, 産卵後約4週間で肥大卵母細胞は直径約476μに達したものがあり, 直径450μ以上のものは排卵されていた.<br>3. 卵核胞は卵細胞の成長とともに大きくなる. 直径約40μの卵細胞において直径約33μであるが, 排卵までに直径約67μに達する.<br>4. 卵黄核も卵細胞の成長とともにある程度大きくなる. 卵細胞の直径70-90μで, その直径平均約23μであるが, それ以後排卵までその大きさにとどまる.<br>5. 卵黄粒は卵細胞の直径約150μ以上で形成され, 卵細胞の成長とともに大きさを増す. 排卵時, 最大のものの直径約35μ, 産出卵において最大のものの直径約56μであった.<br>6. 卵巣には初回産卵後, なお平均150個ほどの卵緒を有する卵細胞が残されている. 卵嚢が除去されると, それらのうちあるものが急速に成長し成熟する.<br>7. 退化卵細胞は産卵直後には十数個あるも, 次第に吸収され, 3-4週間後にはほとんどなくなる.
著者
武津 英太郎
出版者
独立行政法人森林総合研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

樹木の多くの生理プロセスが光周性関連遺伝子に影響をうけると考えられる。一方、その基 礎となる遺伝子のリソースが整備されていない。また、材形成フェノロジーと日長との関係は 明らかにされていない。本研究ではカラマツをモデルとし、光周性関連遺伝子の単離と塩基配 列の決定を行い、その日周期発現パターンの解析を行った。また、異なる日長下で形成層フェ ノロジーの観察を行い、日長の違いにかかわらず同時期に早材から晩材への移行が起きること を示した。
著者
KAWAMOTO Mitsuru MATSUOKA Kiyotoshi OYA Masahiro
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
IEICE transactions on fundamentals of electronics, communications and computer sciences (ISSN:09168508)
巻号頁・発行日
vol.80, no.4, pp.695-704, 1997-04-25
被引用文献数
5

This paper proposes a new method for recovering the original signals from their linear mixtures observed by the same number of sensors. It is performed by identifying the linear transform from the sources to the sensors, only using the sensor signals. The only assumption on the source signals is basically the fact that they are statistically mutually independent. In order to perform the 'blind' identification, some time-correlational information in the observed signals are utilized. The most important feature of the method is that the full information of available time-correlation data (second-order statistics) is evaluated, as opposed to the conventional methods. To this end, an information-theoretic cost function is introduced, and the unknown linear transform is found by minimizing it. The proposed method gives a more stable solution than the conventional methods.
著者
渡辺 波光[作詞]
出版者
ビクター
巻号頁・発行日
1931-06
著者
石川 俊行 降旗 建治 柳沢 武三郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.398, pp.57-62, 2002-10-18
参考文献数
9
被引用文献数
1

本報告では,物理的歪が音色の好みとどのように関係しているか,実験的に検討した.具体的には,仮想プリアンプによって3種類の物理的歪(空気の歪,真空管の歪,電磁型電気音響変換器の歪)を付加した音源を作成した.そしてこれらと,無歪の音源をそれぞれ聴覚の非線形性を考慮しながら,4項目の品質表現語(明快さ,滑らかさ,やわらかさ,深み)において,一対比較法(Scheffeの方法)によって評価した.その結果,ヴァイオリン協奏曲とギター曲では無歪の音色が,ロックとポップスにおいては電磁型電気音響変換器の歪を付加した音色が好まれる傾向が示唆された.
雑誌
史苑
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.99-101, 1998-03
著者
吉村 公夫
出版者
名古屋市立大学
雑誌
人間文化研究 (ISSN:13480308)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.31-39, 2004-01-10

本稿では、社会的制度、活動である社会福祉が対象とするもの、生活問題となづけられているが、まずその生活問題という規定の系譜をあげ、その中で、以前取り上げた一番ヶ瀬康子による生活問題規定を引き継いでいると考えられる、副田義也の生活問題論を検討し、次に、その副田の論考を引き継いでいると見なされる、古川孝順による生活問題規定を考察する。副田は、一番ヶ瀬の生活問題規定が労働力を中心に規定されていることに不足を感じ、生活そのものの検討と、それには社会学研究で盛んになっている生活構造論が有効ではないかと提案している。古川は研究方法に関しての、この副田の提案を受け取り、生活問題規定に進んだ。先行研究としては、一番ヶ瀬の他に、岡村重夫、三浦文夫の研究を踏まえ、生活問題の成立、経路、類型の内容の検討、説明に挑んだ。生活危険、生活不能、生活障害、さらに生活基盤の障害、生活能力の障害、生活関係の障害、生活環境の障害と詳細な生活問題類型を提示した。 しかし、それぞれの類型の具体例があげられたが、詳細になった点とそれぞれの問題成立の説明が判然としなく、現象列記の印象をあたえている。
著者
堀井 洋 中野 節子 林 正治 宮下 和幸 沢田 史子
出版者
北陸先端科学技術大学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究では、近世加賀藩家臣団の網羅的な記録である「先祖由緒并一類附帳」(金沢市立玉川図書館近世史料館所蔵、以下「由緒帳」)を対象として、藩制組織の統計的かつ客観的な全容解明を目的とする。これまでに、以下の2点についてデータベース化と公開にむけた実装を行った。第一に、「由緒帳」作成者に着目した構成家臣の分析であり,その主たる目的は、加賀藩士については、身分・階層を明らかにすることである。第二には、「由緒帳」中の上級家臣(人持組)部分について、画像テータの撮影と記述内容の解読を実施した。
著者
BOON Andrew
出版者
東洋学園大学
雑誌
東洋学園大学紀要 (ISSN:09196110)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.219-235, 2013-03-15
著者
山田 仁史
出版者
東北大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究では、大きく以下の四つの成果が得られた。第一に、狩猟・漁猟民の世界観の核心をなす<動物の主> 観念について、先行研究の蓄積を踏まえつつ、根本的な考察を加えたこと。第二に、アイヌにおける<動物の主> 観念を神話伝承から再検討し、北米およびシベリア諸民族の類例との比較を行なったこと。第三に、広くヒトと自然のかかわりについての神話として、天体、洪水などの災害、および焼畑をめぐる諸伝承・諸観念を明らかにしたこと。第四として、神話理論・神話研究方法論の見直しをこれら三点と並行して推進し、成果を公表してきたことである。
著者
和田 章義
出版者
気象庁気象研究所
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2013-04-01

北西太平洋海域に展開された3基のフロートによる日々の観測により、2011-2012年の台風シーズンにおいて8つの台風の海洋応答をとらえた。この海洋応答について、台風中心に対するフロートの3つの相対位置を①100km以内の台風近傍域、②台風経路から100km外でかつ右側に離れた海域、③台風経路から100km外でかつ左側に離れた海域に分け、それぞれについてその応答特性を調査した。①の台風近傍域では、風の低気圧性回転成分により海洋内部で湧昇が生じた結果として、表層水温の低下が顕著となった。また②の進行方向右側の海域では、強風による乱流混合の増大に起因した海洋混合層の深まりが顕著であった。さらに海洋表層における塩分変動は、台風中心とフロートの相対位置関係に加え、降水の影響を強く受けることがわかった。次にこの8つの台風のうち4事例について非静力学大気波浪海洋結合モデルによる数値シミュレーションを実施した。シミュレーション結果から①台風による海水温低下により台風中心気圧が高くなること、②環境場の風が弱い事例(2011年台風第9号)で、海水温低下が台風経路シミュレーションに影響を与えること、③台風中心から半径200kmまで、台風直下に形成される海水温低下は24~47%の潜熱の減少をもたらすことがあきらかとなった。また2013年台風第18号について、非静力学大気波浪海洋結合モデルにより数値シミュレーションを実施した結果、黒潮流域での高海面水温場による台風渦の順圧対流不安定により生成されたメソ渦が対流バーストを引き起こすことにより、北緯30度以北でこの台風が急発達したことが明らかとなった。この結果はまた、大気海洋間の高エンタルビーフラックスが台風の急速な強化に必ずしも必要でないことを示唆する。