著者
中野 敬一
出版者
日本ペストロジー学会
雑誌
ペストロジー (ISSN:18803415)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.101-106, 2013-11-15

2011年6〜12月に,東京都港区にある超高層ビルの公開空地と都市公園の樹木の樹洞において,粘着トラップによるゴキブリの捕獲調査を行った.両方の場所でクロゴキブリ成虫と幼虫が6〜11月まで捕獲された.捕獲数における幼虫の比率は,公開空地では90.5%,公園樹木では73.7%であった.公園樹木ではヤマトゴキブリ成虫と幼虫も捕獲されたが,その捕獲数はクロゴキブリよりも少なかった.公開空地や公園緑地の植栽はクロゴキブリやヤマトゴキブリの生息環境として重要である.
著者
後藤 真孝
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.43, no.11, pp.1210-1216, 2002-11-15
被引用文献数
7

ユーザがある単語を一部しか思い出せずに断片だけを言って言い淀むと,計算機側がその残りを補って入力することを可能にする「音声補完」という音声インタフェース機能を紹介する.これにより,入力中に困って言い淀めば手助けが受けられる使いやすい音声入力が実現できた.音声補完の研究は,今後他の非言語情報も活用していくことで,さらに使いやすい音声インタフェースの構築を目指していこうというメッセージも持っている.
著者
徳永 弘子 湯浅 将英 武川 直樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.241, pp.7-12, 2007-09-23
被引用文献数
8

ノンバーバル情報に基づく複数人会話の発話交替モデルを提案する.3人が会話をしている映像から会話参与者の視線行動,特に話者が発話中に,一人の聞き手がもう一人の聞き手を見る行動に着目し,分析をした.このときの聞き手の発話したい/したくないというマインドを評定し,その後の発話行動との関係を調べた.その結果,聞き手の視線には,次に発話したい/したくないというマインドが表出され,そのマインドを参与者が相互に理解して,円滑な発話交替がなされることが示唆された.これらの結果から,発話交替における意図理解の階層モデルを提案する.最後に擬人化エージェント,映像対話システムへの応用について述べる.
著者
郷原 佳以
出版者
関東学院大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

20世紀フランスを代表する文芸批評家モーリス・ブランショの文学論や虚構作品における言語とイメージの関係性について考察し、単著『文学のミニマル・イメージ』にまとめるとともに、そこから出発して、(1) 19世紀の詩人ステファヌ・マラルメの詩論や絵画論、(2) 1950-60年代の現代芸術に見られブランショも実践した断章形式、(3)現代詩人ミシェル・ドゥギーの詩論や隠喩論、(4)芸術作品をめぐるアポリネールやバルザックの短篇小説などの分析を行った。
出版者
海人社
雑誌
世界の艦船
巻号頁・発行日
no.607, pp.41-45, 2003-02
著者
横濱 雄二
出版者
北海道大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2005

メディアミックス様々な物語メディアを横断するものであり、特にそのリアリティの構築を考える際の参考として、民俗学、哲学、精神分析などの理論を参考とし、また文学史や文学理論についても諸作を参照した。その成果の一部として、幻想文学に関する論文集である『ナイトメア叢書』(第3巻、第4巻)のブックガイド欄を分担執筆した(今後も継続予定)。また、大衆文化としての映画におけるメロドラマ性やスター性に注目し、近年のメロドラマ研究を参照した。この点を踏まえつつ菊田一夫『君の名は』について、ラジオドラマ、小説、映画のメディアミックスを分析した。時間的に初期のラジオドラマではメロドラマ以外に戦後の社会状況が多く織り込まれていたが、後半では物語の展開とともにラジオドラマ自身もメロドラマ性を強めているが、この傾向は小説や映画でも踏襲され、特に後追いで制作された映画では、ストーリー全体がメロドラマに特化している。こうした物語構成上の変化は『君の名は』ブームでの世評に対応したものといえる。また、全国を巡回するという構成上の特徴は、映画ロケ地の観光地化や、試写会に際しての出演者の全国ツアーといった、物語の外部に存在する俳優の身体性にも広がっている。このような形で物語の内部と外部をつなぐスターの身体性は、石原慎太郎の『太陽の季節』『狂った果実』における登場人物と実弟石原裕次郎との対応とも密接に関連する。また、キャラクタービジネスにおける物語を利用したマーケッティング手法は、こうした身体性と物語性との関係を応用したものと把握できる。メディアミックスはこのように見ると単に諸メディアを通底するばかりでなく、そうした通底性を基盤に俳優や作者といった物語そのものにとっては外部と見なしうる地平までその範囲を広げて考察することができる。これらの研究については、その一部を『層--映像と表現--』(近刊)に発表する。
著者
戸丸 優作
出版者
東京大学大学院総合文化研究科言語情報科学専攻
雑誌
言語情報科学 (ISSN:13478931)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.215-231, 2014-03-01

Mercier et Carnier est le récit d'un voyage que font les protagonistes sans fixer de destination, même en retournant plusieurs fois au lieu de leur départ. Les lecteurs ont part à leur voyage et sont finalement impliqués dans ce mouvement circulaire qui semble n'avoir pas de sortie. Cependant, une question comme la suivante nous donne la sortie : Qui est ce « je » qui nous raconte cette histoire de Mercier et Camier ? Afm d'identifier ce « je » narrateur, nous devons analyser sa stratégie de la narration et sa relation avec les protagonistes, et cette considération nous conduit à comparer Mercier et Carnier avec les autres textes de Beckett tels que : Watt, La Fin, Premier Amour. Cette comparaison de leurs structures narratives révèle que Sam et Watt ne sont pas des doubles l'un et l'autre, et que l'état du « je » narrateur et Sam y ressemble à celui d'un fantôme. En conséquence, c'est Beckett lui-même qui narre la partie fmale de Mercier et Carnier après que le « je » disparaît, et ce « je » et Sam se transformerait en le narrateur héros. Cette progression représente la difficulté pour Beckett à recourir à la narration à la première personne, et l'usage de français lui a permis une recherche de la manière de raconter.
著者
大橋 力 仁科 エミ 不破本 義孝
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HC, ヒューマンコミュニケーション
巻号頁・発行日
vol.94, no.89, pp.15-22, 1994-06-16
被引用文献数
10

おなじ音楽ソースからつくられたLPとCDとの再生音を対象として、主観的評価と生理学評価とを総合した検討をおこなった。その結果、LP再生音とCD再生音とのあいだ、およびLP再生音とそこから22kHz以上の成分をとりのぞいた再生音とのあいだに、おなじ傾向の音質差が検知された。同時に、LPに豊富にふくまれている可聴域をこえる高周波成分が、脳波α波パワーを有意に増大させることもみいだされた。LP音とCD音とに対する人間の感性的・生理的反応のちがいは、LP再生音に豊富にふくまれる半面CD再生音にほとんどふくまれていない可聴域をこえる高周波成分の誘起するハイパーソニック・エフェクトが主たる要因になっている可能性がたかい。