著者
後藤 真平 林田 光祐
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.84, no.1, pp.1-8, 2002-02-16
被引用文献数
3

日林誌84:1〜8,2002山形県東大鳥川の河畔林において,2年間にわたるオニグルミ堅果の散布実験とオニグルミ全個体の分布調査を行った。3調査区のそれぞれの中心に置いたマーキングしたオニグルミ堅果1,500個は両年とも約1ヵ月ですべて消失した。その後に発見されたマーキング堅果は7.1%であった。その96%はアカネズミとニホンリスによって食べられており,実生として発見されたマーキング堅果は26個で,敗布後3年目に発芽したものもあった。実生はすべて分散貯蔵,された堅果から発芽したと考えられ,3調査区内全域に広く,また川からの高低にかかわらず分布していた。調査地内に生育するオニグルミの個体も,川からの比高にかかわらず分布していた。以上のことから,河畔林のオニグルミ堅果はほとんどニホンリスとアカネズミの運搬・埋土によって散布され,融雪期の流水による流出は起こりにくいと考えられる。齧菌類による分散貯蔵の行動は河畔域でのオニグルミの更新に重要な役割を果たしていることが推察される。
著者
松本 英彦 小川 洋樹 豊山 博信 柳 正和 西島 浩雄 愛甲 孝
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.77-84, 2002-04-20

目的・方法.術前あるいは術後に病名を告知されている肺癌術後の患者・家族それぞれ67名を対象にアンケート調査を行った.結果.患者の4割が進行度に関係なく再発が不安と回答した.さらに患者にとっては生きがい・心のよりどころ・気がかりなのも家族であった.また患者の半数は告知を受けたショックから1週間以内に立ち直っており,患者・家族の8割以上が今回の患者への告知を肯定していた.一方,一般的な質問として早期癌患者に対する告知については患者・家族の8割以上が肯定していたが,進行癌患者に対してはともに6割以上が慎重であった.さらに患者は告知を希望するが家族が患者本人への告知を希望しない場合には半数以上が,患者も家族も告知を希望しない場合は7割以上が告知に対して慎重であった.結論.今後は,我々医療従事者は患者各々の心理状態や家族関係も念頭に置いた告知の方法を身につけておく必要があると考えられた.
著者
雑賀 公美子 祖父江 友孝
出版者
永井書店
雑誌
綜合臨床 (ISSN:03711900)
巻号頁・発行日
vol.57, no.9, pp.2247-2251, 2008-09
被引用文献数
2
著者
安井 至 茅野 充男 浦野 紘平 松尾 友矩 高月 紘 中杉 修身
出版者
東京大学
雑誌
特定領域研究(A)
巻号頁・発行日
1998

人間地球系の研究の過年度取りまとめ課題として、以下の活動を行った。1, 一般公開の報告会開催2, 参加者の記録冊子の作成3, 参加者の学術論文のインターネットへの掲載4, 一般向け成果報告としての一般図書の発行とその原稿収集まず、一般公開の報告会であるが、平成10年6月11日東京大学安田講堂において、講師7名による講演会として挙行した。一般にはダイレクトメールによる案内を行い、ピーク値で参加者700名を得た。参加者の記録冊子については、各人1ページを原則として、環境研究における重要事項であり、かつ、本研究領域の存在基盤をなす社会的要請について、各参加者がどのような貢献ができたかについて特に記述をしてもらった。参加者の学術論文については、まとめて一冊とするには余りにも大部であったため、また、一般社会への公開性の観点から、インターネット上に論文を掲載することにした。ただし、論文の版権などの問題もあって、テキストに戻して掲載することとした。そのため、スキャナーによるOCR技術を利用した。一般向け図書の発行は、当領域の社会的要請に応えるためには必須事項と考え、領域全体の目次に相当するものとして、「市民のための環境学入門」(丸善ライブラリー)が出版された。その後、各班の成果について順次発行が進んでおり、「エコロジーテスト」(ブルーバックス)、「環境と健康II」(へるす出版)がすでに刊行済みとなっており、さらに、丸善より、地球・環境・人間シリーズとして4冊が企画立案され、原稿を収集中となっている。
著者
藤田 房之 高田 義広 松本 健一 鳥居 宏次
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SS, ソフトウェアサイエンス
巻号頁・発行日
vol.93, no.244, pp.73-80, 1993-09-21

ソフトウェアの生産性や品質は,プログラマの能力に大きく依存することが指摘されている.しかし,プログラマの能力を客観的に測定するために収集すべきデータの種類や収集の方法は明らかになっていない.本報告では,プログラマのテスト・デバッグ能力を評価するための準備段階として,テスト・デバッグ過程の状態遷移のモデルを提案する.更に,提案するモデルのパラメータの推定に必要となる状態遷移時刻を,プログラマが入力したキーストロークのデータから自動的に推定する計測環境について述べる.評価実験の結果,開発した計測環境を用いることにより,プログラマの作業状況を撮影したビデオを観察することなしに,プログラマの状態遷移時刻の特定が可能であることが分かった.
著者
Masasuke Ryuda Hisayuki Nakayama Yoichi Hayakawa
出版者
JAPANESE SOCIETY OF APPLIED ENTOMOLOGY AND ZOOLOGY
雑誌
Applied Entomology and Zoology (ISSN:00036862)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.563-568, 2008-11-25 (Released:2008-11-30)
参考文献数
24
被引用文献数
5 6

We investigated the inheritance of cannibalistic behavior in larvae of the common cutworm, Spodoptera litura. The fact that artificial selection of non-cannibalistic animals over 17 generations resulted in decrease of their cannibalistic behavior is clearly the proof of their inheritance of this behavior. Average frequency of cannibalism in selected larvae (3.2%) was significantly lower than that in non-selected larvae (24.5%). We employed the differential display RT-PCR analysis to evaluate differences in gene expression in the brains between selected and non-selected lines, and identified one gene whose expression was significantly higher in non-selected line larvae than that in selected line larvae. The identified gene with 779 bp was a novel gene without a major sequence homology with any reported genes. This gene was expressed in several tissues, fat body, brain, and hemocytes, among which the highest expression was observed in the brain. Further, the expression of this gene was very low in the brain of normally fed larvae but starvation significantly enhanced its expression only in the non-selected larvae. These results imply the possibility that the gene identified in the present study contributes to initiating cannibalistic behavior of S. litura larvae although the detailed function of this gene is unknown at present.
著者
山本 洋
出版者
社団法人 繊維学会
雑誌
繊維学会誌 (ISSN:00379875)
巻号頁・発行日
vol.61, no.12, pp.P_319-P_321, 2005 (Released:2006-02-17)
被引用文献数
3 4
著者
広野 卓蔵
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
建築雑誌 (ISSN:00038555)
巻号頁・発行日
vol.75, no.891, pp.601-605, 1960-11-20
著者
Sato Yasuo Takeuchi Hitoshi Nishimura Eiichi Nakagawa Ichiro
出版者
東京大学地震研究所
雑誌
東京大学地震研究所彙報 (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.699-703, 1963-12-28

The earth's free oscillation excited by the Chilean earthquake of May 22, 1960 was observed by two gravimeters installed in Kyoto, Japan. The spectrum analysis gives marked peaks within 6 and 30 minutes, which are in good coincidence with the theoretical periods of spheroidal oscillation of the Gutenberg earth's model. Q value around the period 12 minutes came out between 200 and 300.1960年5月のチリ地震の際に,京都大学地球物理学教室に設置されていた二台の重力計はいずれも大きな振動を記録した.これを2分おきに読み取り,最小二乗法によつて潮汐の常数を定めた.つぎに,この常数を用いて潮汐の影響を取り除いたものを,フーリエ解析して地球振動をとり出すことを試みた.その結果6分ないし20分の周期を持つ振動はよく現われたが,これらはグーテンベルグによる地球モデルの理論的な周期とよくあつている.n=13,16,18に対してはスペクトルの山が見えない.また,観測の区間を二分して24時間ずつの二つとし,両者を独立にフーリエ解析して得られるスペクトルの大きさの比較から減衰を求めると,12分前後の周期のところでQは200~300とでてくる.