著者
竹内 雅彦 越村 俊一 目黒 公郎
出版者
東京大学
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.103-106, 2008-05

スマトラ沖地震津波以降, 太平洋津波警報システムのインド洋地域への適用が進められているが, このシステムは高価で技術的にも扱うのが難しく, 維持管理の持続可能性には大きな不安がある.そこで本研究は, 安価で維持管理しやすく日常的に利用可能なシステムとして「多目的ブイを用いた津波警報システム」を提案し, 本システムの導入による人的被害軽減効果の検証と要求性能に関する検討を行った.津波シミュレーションに基づく被害の推計結果からは多目的ブイシステムの津波対策としての有効性が示唆された.[本要旨はPDFには含まれない]
著者
高橋 周作 疋田 真一 笠井 健
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.684, pp.61-68, 2001-03-14

頭部並進運動時の補償性眼球運動は Linear VOR(LVOR)と呼ばれている。頭部を正弦波状に往復運動させ、空間固定の視標を注視している最中に、この視標を消去し、これを想起させると眼球速度は急速に減少するものの、その速度の緩徐相成分は視標消去後10[sec]以内ではゼロにはならないことが報告されている。本実験の目的は、なぜこのようななめらかな眼球速度が残るのか、またどれくらいの間持続するのかを調べることである。スムーズパシュートのみでターゲットを注視し、これを消去すると、正弦波状の速度波形が見られたが、その速度は20[sec]以内でゼロになった。それに対してLVORでは視線を消去してから45[sec]経過した後でも眼球速度の緩徐相成分が残留することがわかった。この結果からスムーズパシュート系には連続的な運動を記憶する機構が存在するのではないかと考えられる。
著者
竹内 義則 山村 毅 大西 昇 杉江 昇
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IE, 画像工学
巻号頁・発行日
vol.96, no.116, pp.117-122, 1996-06-21

本稿では,生体の視覚系を模倣するビジュアルトラッキングシステムを提案する.視覚処理過程で得られる様々な特徴の中で,動きの特徴に着目する.人間が移動する物体を追跡するときの眼球運動は,位置情報によるsaccade運動,速度情報によるpursuit運動の2種類がある.この眼球運動のふるまいを模倣したトラッキングアルゴリズムを提案する.開発したシステムは,カメラ,画像処理装置,パンチルトステージ,モータ駆動装置からなる.追従の速度や精度を向上するため,最大回転速度50[deg/s],精度0.002[deg]のパン・チルトステージを開発した.提案したトラッキングアルゴリズムを画像処理装置に実現し,移動物体を33[ms]以内で検出することが可能となった.実験結果により,移動物体(歩いている人間)を実時間で追跡することができることを示した.
著者
モサマット ナズマナラ カノム 高村 仁知 青佐 千津子 モハマド アブル マンスル 松澤 一幸 的場 輝佳
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.201-204, 2001-05-20

バングラデシュの半醗酵魚製品チャパ・シュトキのヘッドスペース揮発性成分をガスクロマトグラフィー質量分析計で分析し,いずしおよびイワシの生干しと比較した。チャパ・シュトキ,いずし,およびイワシの生干し中にそれぞれ21個,10個,および11個の揮発性成分が同定された。同定された化合物の中で,エタノール,ヘキサナール,プロパナール,および1-ペンテン-3-オールの3つの魚製品中で共通して見られた。アルデヒト,アルコール,ケトンといった脂質由来化合物が中心を占めていたが,チャパ・シュトキでは酢酸や酪酸のような酸がいずしやイワシの生干しより多く含まれていた。
著者
小原 由美子
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.48, no.12, pp.806-816, 2006

2001年4月の情報公開法の施行と国立公文書館法の一部改正により,国の行政機関から国立公文書館への新しい公文書移管制度が始まった。しかし移管は円滑に進んでいるとは言えず,現在内閣府に置かれた「公文書等の適切な管理,保存及び利用に関する懇談会」の報告書の提言に基づき,改革が進められている。公文書等の移管は各行政機関と内閣総理大臣の合意に基づいて行われる。国立公文書館は移管についての意見を内閣総理大臣に提出できるが,意見照会しても必ずしも移管に結びつかない。諸外国の例に学びながら,政府機能の把握,公文書の廃棄権限,現用・非現用文書の概念の見直し,文書管理法等の検討が必要である。
著者
河村 俊一 浮貝 雅裕 三井田 惇郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.97, no.82, pp.49-56, 1997-05-30
被引用文献数
5

インターネット上における学習支援システムの実現を最終的な目的として,本研究では,多様な学習者への対応を考慮に入れたコースアウトラインの設計を支援するための一手法を提案している.本システムでは,コースウェアの学習に際しては,学習者インタフェースにWebブラウザの利用を前提としており,性格情報を含めてモデル化した学習者モデルに基づき,各々の学習者に最も適した教材を提示可能とする枠組みとなっている.この枠組みに基づいて容易にコースウェアが設計可能なオーサリングシステムの実現のため,本稿では,学習者モデルと対応づけたコンポーネントを利用したコースアウトラインの設計支援システムの枠組みについて述べている.
著者
中岳 治麿
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.19-25, 1966-09

この報告では,学習プログラムを作成する場合,作成者の主観的な判断を可能なかぎり排除して,客観的な資料に基づいて構成していく方法を検討した。実際には,すでに学習を終わった集団について実施した学力検査(基礎調査)結果に,(2),(5)式を適用することによって,コースアウトラインに対応する学力検査問題の系列を抽出し,これに基づいて,学習プログラムを構成していくことになる。また,この方法によって構成されたプログラムは,比較的,学習著の学習の機構に適合していることが,実験の結果確かめられた。したがって,この方法は,数学科のように,尺度化が可能な領域では,適用できるのではないかと考えられる。
著者
赤堀 侃司
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学雑誌 (ISSN:03855236)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.57-71, 1991-09-20
被引用文献数
9

本論文は,数学の教科を事例として,教授方略を数理モデルで表現し,その教授方略を反映する学習課題系列を生成し,かつ学習課題系列が与えられたときにその教授方略が何であるかを推定する方法を提案している.その教授方略のモデルとは,学習課題の下位性,基礎性,関連性の組合せで表現されるが,これを数量化することにより,学習課題系列の自動生成や,教授方略の推定をすることができる.中学校数学の学習課題に適用した結果,教授方略の中でも関連性の要因が大きいことがわかった.また本手法は,教育現場で広く利用されている論理分析のコースアウトラインの決定法の考え方を基礎にしており,その拡張になっている.
著者
梶浦 欣二郎
出版者
東京大学地震研究所
雑誌
東京大学地震研究所彙報 (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.p415-440, 1981
被引用文献数
2

Tsunami energy generated by an earthquake is estimated on the basis of a simple fault origin model of the earthquake. Tsunami energy Et is given by log Et(ergs)=2Mw+log F+5.5 where Mw is the moment-magnitude of earthquake and F is a function of fault parameters (maximum F is about 0.1), such as the dip angle δ, slip angle λ and the relative depth h*(=H*/L; where H* is the mean depth of the fault plane with the length L and width W). The aspect ratio (=W/L) is assumed to be 1/2. The variation of F with respect to the full range of δ, λ, or h* (<1.0) is about a factor of 10. In particular, the difference of tsunami energy between the vertical faults with the dip and strike slips is conspicuous. Since the depth dependence of the tsunami energy is given in terms of the relative depth h*, the decrease of energy with the increase of the fault depth H* is more significant for smaller earthquakes. The results are compared with empirical values of tsunami energy published so far. The general trend of log Et with respect to Mw is consistent with the above formula. However, it is noted that the values of tsunami energy derived in the past on the basis of the energy flux method were systematically overestimated by a factor of 10 or more. On the other hand, the maximum tsunami energy (Chilean earthquake of 1960) would be around 1023 ergs and somewhat lower than the value expected from the formula.地震によっておこる津波のエネルギーを,幾何学的相似を仮定した簡単な地震断層モデルにもとずいて推定した.その結果によると津波エネルギーEt(エルグ)は,Log Et=2Mw+Log F+5.50で与えられる.ここで,Mwは地震のモーメント・マグニチュードであり,Fは地震モーメントと直接関係しない断層パラメータの関数である.長さL,幅Wの地震断層を考えると,Fに含まれるパラメータは断層面の傾斜角δ,断層面上のすべり方向λ,断層面の相対深さh*(h*IH*/L;H*は断層面の平均深さ,Lは断層の長さ),および断層面のたてよこ比W/Lであるが,このうちW/L=1/2を仮定した.これらのパラメータの変化により,Fは最大1桁くらい変るが,最大のFの値は約0.1である.鉛直の断層で,たてずれのときとよこずれのときの津波エネルギーの違いが最も大きい.断層面の深さによる津波エネルギーの違いは,相対深さh*の関数であり,やや深い地震ではEt~exp(-h*/2.4)の程度にエネルギーは深さとともに減少する.h*はもともと断層の長さLで無次元化されているので,Mwが小さくなるとLが減少するため,小さな地震ほど津波エネルギーの深さH*による減少率は大きくなる.これらの結果を,今までの津波エネルギーの推測値と比較する.まず,いろいろの方法によって推定された津波エネルギーの信頼度を検討し,エネルギー推定の不確かさを明らかにした.最も普通に行なわれる,エネルギー・フラックスを利用する方法では,今までの値は系統的に10倍以上の過大評価であるがMwに対する依存性は,Log Et~2Mwと矛盾しない.津波数値計算と実測波高との比較から求めた津波エネルギーは,もともと断層モデルから出発していることもあって上式でよくあらわされる.最大級の地震津波であるチリ津波について,地殻変動の推定から求めた津波エネルギーは1023エルグの程度と思われ,上式の方が過大評価ぎみである.これは,断層モデルを簡単化しすぎていることにも原因があるであろう.
著者
羽鳥 徳太郎 相田 勇 岩崎 伸一 日比谷 紀之
出版者
東京大学地震研究所
雑誌
東京大学地震研究所彙報 (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.p245-263, 1981
被引用文献数
1

Owase located on the east side of Kii Peninsula has been hit by many tsunamis. Sources of most tsunamis were off Tokaido along the Nankai Trough. The 1960 Chile tsunami that propagated across the Pacific Ocean also hit Owase City. There remain even now traces of the inundated level on many houses in Owase caused by the 1944 Tonankai and 1960 Chile tsunamis. Based on these traces, the inundation heights of the two tsunamis run-up on land were surveyed, using the automatic level from Nov. 4 to 7, 1980. The relation between the geographical distribution of the inundation heights and the damage to houses was investigated. The results of the present surveys are as follows: 1) The inundation heights of the 1944 Tonankai tsunami at the harbor were 5.0-5.5 m above M.S.L. Ground about 3.0 m above M.S.L. was inundated. The inundated area stretched along the Kita River. The water level decreased in height as it moved inland. The topography of the ground controls the damage to houses. Fifty percent of the ordinary Japanese wooden type houses were damaged when the water reached 1.5 m above the ground. From the inclination of the water surface along the Kita River, the mean water velocity is calculated as 3.5 m/sec. 2) The inundation heights of the 1960 Chile tsunami at the harbor were 3.0-3.5 m above M.S.L. Although the water reached 1.0-1.5 m above the ground, hardly any houses were washed away. The traces of the inundated level into land are nearly flat, suggesting that the velocity of the incident flow was small. 3) Based on old documents, the inundation height of the Ansei Tokai tsunami (Dec. 23, 1854) is estimated as 6.5 m above M. S. L. The heignt is 0.7-1 m higher than that of the 1944 Tonankai tsunami. Ground above 4 m high was inundated.
著者
翠川 三郎 時松 孝次
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会構造系論文報告集 (ISSN:09108025)
巻号頁・発行日
no.437, pp.75-82, 1992-07-30

Field observations, shear-wave velocity measurements and microtremor measurements were conducted to reveal the site conditions at twelve strong-motion sites where high amplitude strongmotion records were observed during the 1985 Chile earthquake (Ms 7.8). These field surveys suggested that the site conditions are divided into three types : 1) rock or rock-like ground, 2) stiff gravel ground and 3) rather soft soil ground. The analyses of the strong-motion records showed that the spectra are strongly characterized by these soil types and that the peak ground velocity values are affected by the site soil conditions.
著者
正田 達夫 塚田 真一
出版者
新潟国際情報大学
雑誌
新潟国際情報大学情報文化学部紀要 (ISSN:1343490X)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.179-192, 2002-03-19
被引用文献数
1

インターネット広告の特徴は、そのインタラクティブ性にあるといわれている。この報告では、先行研究からインタラクティブ性の定義とその重要性を考察し、またインターネット広告の一つであるウェブサイトのインタラクティブ性効果を研究した文献をリビューした上で、企業のウェブサイトの総合評価と部分評価の相関を考察することにある。事前の仮説は「ウェブサイトの評価には、ウェブサイトのインタラクティブ性が影響する」である。企業サイト20についてインターネット利用者600名にアンケート調査した結果によれば、対象企業サイト別の評価および600名全体の評価においてもこの仮説は検証された。その他の調査結果としては、コンテンツの充実度やレイアウトの分かりやすさがウェブサイトの総合評価と相関が高い。マネジリアル・インプリケーションとしては、広告主はウェブサイトの設計にあたっては、コンテンツの充実・更新頻度、分かりやすいレイアウトとともに、インタラクティブ性に配慮が必要なことである。
著者
横田 誠 加藤 佳仁 横山 未希子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1997, 1997-03-06
被引用文献数
1

数理的形状を感受するのに, ピタゴラスの意味の整数比関係, プラトンの意味の接続関係, そしてアリストテレス, ユークリッドの論理関係の基礎的系もあるか, それ等はどちらかといえば絵的感受系で, これに対する, もう一方の基礎系である音楽的感受といえば, 指数関数関係, そして, 12音平均律系の枠組みの上で考えられるのが現状である。問題空間としての呈味パタン系は, 相という表情を呈する。今回は, 楽曲パタン系が, それぞれ楽曲的相をもっているとして, それが又, それぞれ相を持つの成分部分曲の連鎖系であるとして考える。ここで, その相については, 伝子工学 (一般化された伝送工学) における対キーワード系の一組である,「活性」・「厚生」系の立場で考えることにする。
著者
翠川 三郎
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会構造系論文報告集 (ISSN:09108025)
巻号頁・発行日
no.422, pp.37-44, 1991-04-30
被引用文献数
1

Attenuation relations of peak ground acceleration and velocity are examined based on records from the 1985 Chile (M 7. 8) and the 1983 Nihonkai-chubu (M 7. 7) earthquakes for the purpose of predicting intensities of strong-motion during large earthquakes in subduction zone. The relations obtained from the Chilean records show that the effects of site geology and source directivity are significant. The relations from the Chilean records are consistent with the Japanese records when the effects of site amplification on the Japanese records are removed. The comparison of the relations with those of previous studies shows that the attenuation relations derived from U. S. data are different from those for these two earthquakes.