著者
坂口 祐二
出版者
長崎大学風土病研究所
雑誌
長崎大学風土病紀要 (ISSN:00413267)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.114-129, 1961-06

1)著者は1960年9月から1961年4月に至る間に長崎県大瀬戸町松島の一農村部落において鉤虫の感染状況を調査しその疫学的考察を試みた.2)この地区の感染率は55.7%で比較的高い感染があり,ヅビニ鉤虫,アメリカ鉤虫の両種が略々平等に分布し,混合感染が多い.3)その感染率は年令分布からも,又農耕作業従事からみても畑作業の従事群に高く,汚染環境との接触の頻度が感染に大きな意義をもっている.4)この地区の高い鉤虫浸淫の要因として野菜の栽培のみに頼る農業形態と,屎尿処理の不完全,裸足の習慣が挙げられる.5)栽培作物と下肥の撤布状況,かぶれの発生状況等からこの地区の鉤虫感染の場は,「元植畑」,「自家菜園」,次いで瓜畑,白菜畑が主なもので,大部分は5~6月と9~10月に起るものと推定される.稿を終るに臨み御指導,御校閲をいただきました片峰大助教授に深甚の謝意を表します.又御協力をいただいた村上文也助教授はじめ教室の諸兄,現地大瀬戸町役場,外平部落会の皆様に感謝致します.なお本論文の要旨は昭和35年12月,第275回長崎医学会および昭和36年4月,第30回日本寄生虫学会総会に於いて発表したThe present survey was carried out at a farm village, Hokabira of Nagasaki Prefecture, in order to inquire into the mode of hookworm infection in the farm district, 575 faecal samples of all inhabitants were examined by means of smear prepartions and test
著者
宮代 彰一
出版者
放送大学
雑誌
MME研究ノート : multi media education (ISSN:02891220)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.9-24, 1985-11

学習センター機能のいくつかにつき,発足の期間の状況を,神奈川学習センターでふりかえってみた。再視聴室や図書室の利用は,面接授業,通信指導,認定試験などの周期にあって増減し,学生の勉強の動態を物語る。この期間,未完工で手狭であったけれども,これらはよく利用されていた。学習相談は,もちろん学習にからむ話であっても,教務事務的なことや,まだ一般初歩的なことが多い。実際に相談にきた学生は実に喜んで帰るが,一方,相談希望の人の数は多くない。いづれにしても,初期段階であるから,当分は実情の把握につとめるべきであろう。
著者
石本 菅生
出版者
国際基督教大学
雑誌
国際基督教大学学報. I-A, 教育研究 (ISSN:04523318)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.179-192, 1983-03

本稿は,マイクロコンピュータを用いたマークカード採点システムのための利用の手引として記述したものである。本学では以前から計算センターがマークカードによるテストの処理サービスを行ってきたが,教員が採点処理の依頼をしてから結果を入手するまでに通常2,3日を要しているのが現状である。ILC-MARK1システムは,このようなターンアラウンド・タイムを短縮するために,教員が自ら操作して15分程度でテスト結果を出せるように開発したものであり,1982年度第2学期より総合学習センター教材開発室のマイクロコンピュータTRS80モデルIで利用に供されている。テスト終了後,教室から研究室へ帰る途中で教材開発室に立寄ってわずかな時間を費すことをいとわなければ,テストの結果と問題の分析結果は即座に明らかになる。
著者
江原 喜人 藤家 馨 寺師 良輝 小林 博光 片本 隆二
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
福祉工学シンポジウム講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2006, pp.201-202, 2006-09-10

脊髄損傷などによって車いすを使用する場合、退院して自宅に帰るのに住宅改修が必要となることが多い。当センターでは住宅改修の支援を行っているが、退院後の生活がどのようになるかがわからない、住宅改修をどのように進めていいかわからない、など大きな不安を感じている方々も多い。そこで、これらの不安を解消したり、住環境整備のための円滑な準備に繋がるような、住環境整備に関する情報提供のための映像資料作成を試みた。
著者
豊田 規人 三枝 武男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.96, no.148, pp.121-128, 1996-07-13
被引用文献数
5

(F) IRSで用いられる仮定に基付かないより広い状況で可能な学習項目に対する一つのMeasure ("重要度")を導入する. この"重要度"を実例で計算し、特性、用途等を論じた。更に着目している学習項目の周辺の関連度をも考慮した"Shapley Value"を専入し、実例で計算し、その結果を分析しつつ、両者の特性、用途等比較吟味してきた. Shapley Value は、協調ゲーム理論の一つの合理的解を与えるものであるが、その定義から、ここで導入された"重要度"のExactな表現である. 実際"重要度"は"Shapley Volue"の一次近似とみなせ, "重要度"に生じる縮退を解くことが出来る.
著者
近藤 暁子
出版者
中部大学
雑誌
中部大学生命健康科学研究所紀要 (ISSN:18803040)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.21-28, 2007-03

大腿骨頚部骨折は、65歳以上の人口が約20%を占めるわが国において社会・経済的な問題である。2002年の患者調査によると大腿骨骨折の患者数は65歳以上で20,000人であり、年々増加の傾向にある。わが国の大腿骨骨折における平均入院期間は2002年の患者調査によると68.4日であり、これは他の先進諸国と比べるとかなり長く、患者は必要以上に安静期間を設けられ、自宅での元の自立した生活への復帰が遅れている可能性がある。また、わが国の人口は米国の約40%であるにもかかわらず、大腿骨骨折による全入院医療費は、米国の約1.6倍である。わが国では人口の高齢化とともに医療費は年々増大し、医療費の削減のために、2003年から、急性期の入院医療に対しても「DPC」(diagnosis procedure combination)という定額払いが導入され、入院期間を短縮しようという動きがある。また近年では、術後合併症を避けるためにも早期離床、早期退院が奨励され、クリティカルパスなどの導入により、退院時のアウトカムを低下させずに入院期間を短縮することは可能であるという報告は多くある。中には人工骨頭置換術の翌日から全体重をかけた歩行訓練を行うことで、入院期間が23.5日まで低下し、かつ退院時に歩行可能であった患者の割合は増加したという報告もある。一方で、わが国の長い入院期間は長期的に見ると必ずしも悪いとは言えない。スウェーデンに比べてわが国の大腿骨骨折による1人当りの医療費は高く(148対63万円)、入院期間は長いが(54対11日)、退院後自宅に帰る患者は多く(72%対65%)、骨折後120日に自立して外出できた患者の割合は高く(58%対45%)、死亡率は低かった(6%対12%)という報告がある。また、米国のように1〜2週間以下など極端に入院期間が短縮した場合は、高い再入院率(16〜32%)が報告されている。わが国の入院期間が短縮した場合、患者の短期的なアウトカムはよいと言えるが、患者の退院後の調査を行った研究はあまりなく、再入院率や、特に入院期間が短縮した場合の長期的なアウトカムは明らかになっていない。したがって、早期に退院した患者の退院後の歩行能力や居住地、再入院率、死亡率など、長期的なアウトカムについて明らかにする必要がある。その研究は年齢、骨折前の歩行能力、術式、依存症、術後日数、病院、家族・社会的サポートの有無、退院時歩行能力など、アウトカムに関連していると考えられる要因を統計的に調整する必要がある。術後の回復を説明する枠組みとしては老化理論が適切であると考えられる。もし早期に退院した患者が長期に入院していた患者に比べて同等、あるいはそれ以上のアウトカムを示していれば、患者は問題なく早期に退院し、骨折前の生活を早期に回復できると考えられる。また、入院期間の短縮により入院医療費の削減につながると考えられる。しかし、もし早期に退院した患者のアウトカムが長期に入院していた患者よりも低い場合は、入院期間の短縮は慎重に行うべきであり、リハビリテーションプログラムの改善も必要である。
著者
伊藤 麻美子 泉 キヨ子 天津 栄子
出版者
日本老年看護学会
雑誌
老年看護学 : 日本老年看護学会誌 : journal of Japan Academy of Gerontological Nursing (ISSN:13469665)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.100-108, 2005-03-15

本研究の目的は,施設入所初期において認知症高齢者が他の認知症高齢者とどのような交流を図っているのかを明らかにすることである.介護老人保健施設の認知症専門棟に入所した中等度・重度の認知症高齢者9名を対象とし,入所から1週間,9時から17時における認知症高齢者相互の交流を参加観察法で観察した.交流106場面のデータを質的に分析した結果,施設入所初期における認知症高齢者相互の交流の様態として,「接点をもつ」,「分かち合う」,「求める」,「気遣う」,「向き合えない」,「摩擦をおこす」の6つのカテゴリーを見出した.これより,認知症が進行しても他者に関心をもち,関わる力をもつ一方で,認知障害や視聴覚障害,不安定な精神状態,環境の不備により,両者が向き合えなかったり,トラブルが生じる実態が明らかとなった.

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著者
岡 宗次郎
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.13, no.6, pp.181-184, 1961-06

本稿は,去る3月31日停年退官された本所第4部の岡教授が去る3月22日記念講演をされた時の要旨を同教授におねがいしてまとめていただいたものであります(出版委員会).
著者
岡 秀宏 SCHEITHAUER Bernd W.
出版者
日本脳神経外科学会
雑誌
Neurologia medico-chirurgica (ISSN:04708105)
巻号頁・発行日
vol.39, no.7, pp.510-518, 1999-07-15
被引用文献数
9 54

我々は、Medulloblastoma-PNETやgerm cell tumorと鑑別を要する新しい小児中枢神経系腫瘍であるAtypical Teratoid/Rhabdoid Tumor (AT/RT)の臨床病理学的特徴を検討した。AT/RTは組織学的にしばしばrhabdoid, PNET,上皮性あるいは間素系成分等の多様な組織像を示す悪性腫瘍であるため、主にPNET成分で構成されたAT/RTが後頭蓋窩に発生した場合はmedulloblastomaと、大脳半球に発生した場合はPNETと診断が困難な場合がある。一方、組織学的に上皮性あるいは間素系成分を含むgerm cell tumorとの鑑別も重要である。AT/RTの予後はmedulloblastoma-PNETやgerm cell tumorの予後より不良であるため、これらの小児中枢神経系腫瘍からAT/RTを鑑別することは重要と考え報告した。
著者
大橋 陽
出版者
一橋大学
雑誌
一橋論叢 (ISSN:00182818)
巻号頁・発行日
vol.125, no.6, pp.651-667, 2001-06-01

論文タイプ||論説
著者
坂上 秀和 坂口基彦 延藤 里奈 石川雄一 朝倉敬喜
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告マルチメディア通信と分散処理(DPS)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.92, pp.7-12, 2005-09-21

従来のコラボレーション・システムの多くは,部門や企業などの固定的な組織を前提に設計されている.しかしこれらは,昨今の業務の変化が激しい事業環境においては,有効に機能しないことが問題となり,近年は,組織内で公式・非公式に形成されるコミュニティ活動に焦点をあてる試みが注目されている.本稿では,知的労働者のワークスタイルとコミュニティ活動の特徴について考察し,事業環境の変化に伴うそれらの変化について明らかにする.その上で,動的コミュニティ管理の概念をシステム・アーキテクチャに導入することにより,情報共有,セキュリティ確保などのコラボレーション支援環境実現に必要な機能モジュール群の連携・統合が可能なモデルを提案し,本モデルに基づく試作システムについて報告する.Many of conventional collaboration systems are designed for fixed organizations such as sections and companies. However,such systems are not effective in recent business environment because of the incessant changes; there is greater attention on the approaches of focusing on the communities that are created formally or informally. This paper argues the workstyle and community activities of knowledge-workers and their shifts caused by the changes of business environments. We propose a collaboration system architecture for knowledge communities based on a concept of "dynamic community management". This architecture enables to integrate a group of function modules which is necessary for realizing collaboration environments such as information sharing and security ensuring. We also discuss on the prototype system based on this architecture.
著者
倉持 健一
出版者
一般社団法人日本歯科理工学会
雑誌
歯科材料・器械 (ISSN:02865858)
巻号頁・発行日
vol.22, no.6, pp.485-495, 2003-10-25
被引用文献数
10

本研究では,酸性フッ素リン酸溶液の塗布がフッ素徐放性修復材料に及ぼす影響について検討を行った.実験にはグラスアイオノマー系材料の計3種類を使用した.各材料について円盤状試料を作製した.練和あるいは重合開始1時間後に,各試料を37℃イオン交換水中に21週間まで浸漬した.フッ素のリチャージングは,イオン交換水浸潰3, 6, 9, 12, 15, 18週後に酸性フッ素リン酸溶液を用いて行った.間接引張強さはイオン交換水浸漬24時間後に測定(ベースライン値)し,その後3週間ごとに測定した.実験に使用した各材料について,酸性フッ素リン酸溶液によるフッ素のリチャージングを繰り返し行うことによっても間接引張強さの測定値はコントロール値と比較して有意な差は認められなかった(p>0.05).本実験条件ではフッ素徐放性修復材料に対するフッ素によるリチャージングは表層に限局して侵襲を与えるが,材料自体の本質的な強さを劣化させないことが推察された.