著者
伊藤 浩 松山 隆司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.86, no.7, pp.758-771, 2003-07-01
被引用文献数
3

折返しひずみやブロックひずみなどによって生じる符号化画像のエッジの劣化を,その形状の変化に基づいて定量化する方法を提案する.本来滑らかな部分に変化が発生すると人間は素早くそれを検知することができる.従来の信号差分に基づく手法では,連続性や一様性が変化する幾何学的なひずみを評価することが困難であった.本手法では,原画像と符号化画像に対して互いに対応するエッジセグメントを求め,その曲率に基づいて,形状の劣化を定量化する.得られた尺度が主観と一致するように,定量化の過程で,1)形状変化の空間的な大きさ,2)形状誤差のマスキング効果,3)エッジのこう配(コントラスト)の影響を考慮する.いくつかの標準画像に対して,符号化レートと符号化方式を変えて行ったシミュレーションでは,画像の印象をよく反映した結果が得られた.
著者
藤崎 宣彦 宮田 高道 稲積 泰宏 小林 亜樹 山岡 克式 酒井 善則
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ITS (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.608, pp.95-100, 2006-02-20
参考文献数
12
被引用文献数
5

あいまいな記憶からキーワードを用いず動画像検索を行う画像内容検索では,クエリ作成,及び,ユーザインタフェースが重要である.これに対し,我々は,静止画像検索において,候補画像の自動生成を行う適合性フィードバックによって,簡単な操作でのクエリ作成を可能とするユーザインタフェースを,提案してきた.本稿では,これを動画像検索に適用するために,動きの特徴量として縦横方向の動きの大きさをインタフェースに導入し,これからクエリを生成,また,動きベクトルのヒストグラム空間でのマッチング手法を用いた動画像検索システムを提案する.提案システムでは,所望の動画像に似ているものを提示される候補画像の中から選択することの繰り返しにより,属性情報が絞り込まれ,クエリを作成する.提案手法を実装した試作システムにより,動画像検索においても,選択式の簡単なインタフェースを持つシステムが有効であることを確認した.
著者
神場 知成 Frelechoux Laurent
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. HI,ヒューマンインタフェース研究会報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.70, pp.1-8, 1997-01-16
被引用文献数
1

概要:WWW上のユーザプロファイル管理エージェントについて述べる。ユーザがWWW上で情報を効率的に得るためにさまざまなサイト上のサービスがパーソナライゼーシヲン機能(それどれのユーザごとにカスタマイズした情報を提供すること)を提供している。しかし、パーソナライゼーションを提供するために必要なユーザプロファイル(ユーザ情報)をどこに蓄積するかは難しい問題である。今までは「ユーザプロファイルをサーバ上に蓄積する方法」と「クライアント上に蓄積する方法」の2つがあったが、それぞれ利点と欠点を持っている。ユーザプロファイルをサーバ側に蓄積すると、蓄積されたプロファイルはそのサービスだけで利用可能なものとなり、他のサービスが共有できない。また、クライアント側に蓄積するとサーバ側では複数のユーザプロファイルをまとめて管理していわゆる協調フィルタリングなどのサービスをすることができない。ここで提案するのは、サーバクライアント間のやりとりを仲介するユーザプロファイル管理エージェントを用いて上記の問題を解決することである。ユーザプロファイルはそのエージェント上に蓄積され、サーバが必要とする時には自動的にサーバに送付さ江る。プロファイルの更エージェント上で行われる。筆者等はユーザプロファイル管理エージェントを拡張プロキシサーバとして実装し、複数のサーバ間でのユーザプロファイル共有、複数のユーザ間でのユーザプロファイル共有(グループプロファイルの作成)などを実現した。
著者
河合 由起子 官上 大輔 田中 克己
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌データベース(TOD) (ISSN:18827799)
巻号頁・発行日
vol.46, no.8, pp.14-25, 2005-06-15
被引用文献数
8

近年,RSS リーダにみられるように複数のWeb サイトにまたがって存在している同じテーマのコンテンツをまとめて閲覧できるシステムが求められている.しかし,既存のWeb の情報統合法では,収集した大量の情報をシステムの持つ固定の分類体系を基にカテゴライズするため,そのシステムの分類体系を把握していない利用者にとっては,欲しい情報を速やかに獲得することが困難である.本研究では,利用者がすでに分類体系を把握しているWeb サイトのポータルページのレイアウトを通して,収集・分類し統合した情報を提示できるMy Portal Viewer(MPV)を提案する.また,MPVは収集した情報を利用者の閲覧履歴に基づき動的に分類するという特徴を持つ.これにより,利用者は興味に基づき分類された情報を使い慣れているポータルページを通して閲覧でき,大量の情報を効率的にブラウジングできる.本稿では,ニュースサイトを具体例としてあげ,使い慣れているニュースサイトのポータルページを指定することで,既知の分類体系を通して興味に基づき分類され統合された記事をまとめて提示できるMPV のプロトタイプを構築し,検証する.We propose a novel web information integration system "My Portal Viewer" (MPV) to realize more efficient news articles browsing. Although a variety of systems such as RSS readers have been developed to provide integrated content from multiple web sites, the existing systems present another difficulty to the users, i.e., they still have to search the integrated content pages for the information they want because they are often unfamiliar with the page layout and the content categorization rules implemented in the systems. To solve this problem, MPV provides integrated content to a user with the appearance of the user's favorite web site. Because the user has enough knowledge about the content layout, it is easier for the user to obtain information from the integrated content page. Furthermore, MPV categorizes web content dynamically based on the user's access history which reflects the user's interest. In this paper, we describe the basic algorithms used in MPV and a prototype implementation specialized for news content.
著者
河合 由起子
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.48, no.9, pp.979-983, 2007-09-15
被引用文献数
3

情報推薦技術の1つとして,ユーザの閲覧履歴に基づいて嗜好性の高い情報を推薦する,パーソナライゼーション技術があげられる.筆者はこれまで,閲覧履歴に基づいて興味情報を抽出・利用することで,複数ニュースサイトの大量記事を推薦するマイ・ポータル・ニュースサイトを開発した.本稿では,ユーザが興味を持っているキーワードやインタフェース,さらにセンチメント情報といった嗜好情報の抽出を中心に,情報統合・推薦技術を紹介する.
著者
大島 裕明 小山 聡 田中 克己
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告データベースシステム(DBS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.72, pp.345-351, 2004-07-14
被引用文献数
2

個人のコンピュータには,その個人がどのような知識を持っているか,どのような考え方をしているか,ということが分かる情報が含まれている.しかし,それらはコンピュータに利用できるような状態にはなっていない.現在,さまざまな分野でシソーラスのような一般的な概念体系が用いられているが,個人のコンピュータに存在するコンテンツから個人的な概念体系が作成されれば,さまざまな分野におけるパーソナライザーションが可能になる.本稿では,個人コンピュータに存在する文書とその分類の方法から,個人的な概念体系を作成する手法について提案を行い,作成された個人的な概念体系を用いてウェブ情報検索におけるパーソナライゼーションを行う手法について提案を行う.A personal computer has a lot of documents. Those include much information that shows what the user is interested in, knows, and so on. However, the computer just has the information and it can not be used automatically. Now, common concept classification like thesaurus is used in many fields, so if the personal concept classification is created automatically based on the personal contents in the personal computer, it will be possible to be personalized in many fields. In this paper, we propose the way to create the personal concept classification from the personal contents and the method of the Web search personalization.
著者
小倉 武紘 大原 剛三 馬場口 登
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.27, no.8, pp.75-80, 2003-02-03
被引用文献数
1

近年,ユーザの映像アクセスを支援するサービスの必要性が高まっており,それを実現する上で,さらに個人の趣味・嗜好を考慮に入れることが強く求められている.そこで,本稿では,メタデータを付与された映像メディアに対し,検索などのサービスを実現し,さらにユーザの視聴行動から自動的に趣味・嗜好を獲得するシステムを提案する.そして,実験により個人の趣味・嗜好を自動獲得する手法の有用性を検証する.
著者
九津見 洋 内藤 榮一 荒木 昭一 江村 里志 新居 薫治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.84, no.6, pp.1149-1157, 2001-06-01
被引用文献数
17

インターネット利用初心者をメインターゲットとしたホームページ情報を簡単に入手するためのツールとして, ホームページの閲覧履歴からユーザの嗜好を学習し, その嗜好にあった新たなホームページを推薦するソフトウェア"ウェブナビゲーター"を開発したので報告する.ユーザ嗜好の学習では, 興味の変化に対する即応性と, 観測データに含まれるノイズに左右されない頑健性が重要である.本ソフトにおいては, 過去のユーザプロファイルと現在閲覧したホームページの特徴ベクトルを合成するパラメータを設定しており, よりユーザの興味の推移に合ったパラメータ値の決定が課題である.ここでは, ユーザが「興味がある」または「興味がない」と判定した複数のホームページを用いて, この割合のパラメータを学習により求める.このパラメータの時間的変化を観察することにより, ユーザの興味の推移を調べることができる.本論文では, 様々なユーザの興味の推移を実験的に調べることにより, 本ソフトによるホームページ推薦の妥当性を検証した結果について述べる.
著者
浅見 昌平 大囿忠親 新谷 虎松
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告知能と複雑系(ICS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.110, pp.71-78, 2006-10-25

本稿では 閲覧者の行動から適切な情報を判断し Webページの構成を作り替えるモデルを提案し 適切な情報が可能な自律するWebページの構築を実現する. 提案モデルでは マルチエージェントの働きによってWebページのコンテンツレイアウトを動的に作り替えることが可能である. エージェントは閲覧者のニーズを分析し コンテンツとの関係から適切なWebページのコンテンツレイアウトを決定する.
著者
清光 英成 竹内 淳記
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌データベース(TOD) (ISSN:18827799)
巻号頁・発行日
vol.42, no.8, pp.185-194, 2001-07-15
被引用文献数
4

Web データを利用者や利用者グループに特化した表現に再構成するWeb の個別化アプリケーションが開発されている.また,利用者がWeb データを閲覧している環境に合わせてデータを再構成する研究も進められている.本論文では,Web データの個別化と閲覧環境への適応に関する研究について概観し,主な研究についての分類と比較を行う.特にWeb データの個別化研究は,コンテンツを再構成して利用者個別のビューを提供するコンテンツ主体のアプローチと,ページアクセス権限やリンク巡行権限を制御するアクセス権主体のアプローチに分類して議論する.また,今後のWeb データの個別化ならびに環境適応研究の展望についても述べる.The personalization and adaptation of Web data have become very important issues on the Internet Business. In this paper, we survey, categolize, compare and discuss about the proposals on Web personalization and adaptation. First, we introduce researches about personalization of Web data for each user, adaptation of it for user's browsing environment. Then these are categolized and compared in their features. Especially, the researches for Web data personalization can be categolized into contents base approach and access rights approach. We also discuss about some problems and future of Web personalization and adaptation.
著者
黒田 英憲 小澤 朋之 亀田 弘之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. TL, 思考と言語 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.387, pp.19-24, 2007-12-07
被引用文献数
1

近年,Webページや書籍などにおけるデザインに注目が集まっている.本稿ではデザインのイメージを決定付ける主要な要因の1つである「配色」と「レイアウト」に着目し,近年さまざまに研究が進められている印象語からWebページデザインを決定する新たなシステムの提案・構築をおこなう.印象語は人が受ける印象やイメージを言葉にしたもので,色彩に対する印象表現に最適であり,印象語から色彩を扱うことができれば,配色デザインの作業が軽減できる利点がある.そこで本システムでは,さまざまな研究においてその有効性が示されている日本カラーデザイン研究所が構築したカラーイメージスケールを基にした配色をもちいた.また,レイアウトでは現在Webページにおいて使用される代表的な5種類のレイアウトをもちいた.これらの配色とレイアウトを取り入れ,印象を明確に伝えるWebページ作成システムを提案した.以上の提案をプロトタイプシステムに実装し,これをもちいた評価実験の方法を述べる.
著者
日色 和夫
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.T9-T12, 1979-02-05
被引用文献数
4 2

環境分析技術協議会会員42分析機関による工場排水中の全クロム定量の共同実験を行った.合成排水試料は3種,分析法はJIS K 0102-1974に示されているジフェニルカルバジド吸光光度法によった.まず試料Iを分析機関に配布して74個のデータを集めた.その結果,クロムの平均定量値は1.92mg/l,標準偏差パーセントは14.0%であった.次に試料IIを分析した.この場合は硝酸-硫酸又は硝酸-過塩素酸による有機物の分解操作及びクベロン-クロロホルム抽出法による除鉄操作を採用することにした.試料中に多くの共存物質を含んでいたために,結果の標準偏差パーセントは22.2%であった.試料吸光度が0.4より高い場合には底値が得られた.更に試料IIIを分析した.この場合,分析操作法を詳細に定めたところ,標準偏差パーセントは19.5%であった.以上の結果から,JIS K 0102-1974で示されているジフェニルカルバジド吸光光度法で排水中の全クロムを分析する場合,組成の複雑な試料では標準偏差パーセントを20%以下にすることはかなり困難であるという結論を得た.
著者
LEHTOMAKI Janne SULIMAN Isameldin UMEBAYASHI Kenta SUZUKI Yasuo
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
IEICE transactions on fundamentals of electronics, communications and computer sciences (ISSN:09168508)
巻号頁・発行日
vol.92, no.5, pp.1356-1362, 2009-05-01
被引用文献数
5

In direct communication, terminals that are close to each other can communicate directly without traffic going through centralized controller such as a base station (BS). This brings several advantages. We study direct communication with localized distribution, so that users tend to gather around some areas (clusters/hot-spots) within the cell such as buildings. Previous analysis about clustering has focused on one dimensional scenarios. Here we present theoretical analysis of direct communication with two dimensional clustering. Additional analysis is presented for direct communication with correlated clusters. With correlated clusters some pairs of source and destination clusters are more probable than other pairs. According to our best knowledge, this is the first time that theoretical analysis is presented about clustering and correlated clusters in two dimensional scenarios. Simulations confirm the validity of the analysis. In addition to the exact results, we also suggest using the point-based approximation to rapidly and easily obtain results. The numerical results show that the gains from direct communication, in terms of blocking probability and carried traffic, depend on the offered traffic. Additionally, correlation in cluster selection is shown to significantly improve performance. Point-based approximation is shown to be very useful when the number of clusters is large.
著者
吉田 武義 大口 健志 阿部 智彦
出版者
日本地質学会
雑誌
地質学論集 (ISSN:03858545)
巻号頁・発行日
no.44, pp.263-308, 1995-11-30
被引用文献数
22

新生代東北本州弧における火山岩組成の時間的・空間的変遷を検討した結果, それらを供給した島弧下マントルウェッジには3種の起源マントル物質, (1) エンリッチした大陸性マントルリンスフェア, (2) 島弧性最上部マントルリソスフェア, (3) 枯渇した島弧性アセノスフェアが存在していたことが確認された。東北本州弧, 陸弧活動期(〜21 Ma)には, 大陸性マントルリンスフェアが特に背弧側マグマ起源マントルを構成しており, その上部の最上部マントルに地球化学的不均質性の著しい(島弧性)最上部マントルリンスフェアが分布していた。背弧海盆拡大に関連して, 背弧側深部に島弧性の枯渇したアセノスフェアが侵入し, 背弧側のマントル内温度が上昇した結果, 背弧側最上部マントルを構成していた島弧性マントルリソスフェアが溶融して, 火山弧を火山フロント側から背弧側へと横切る広域組成変化傾向が不明瞭となった。その後, 背弧側マントルの温度低下と, 火山フロント側最上部マントルの温度上昇が続き, 背弧側ではより深部に位置していた, 枯渇した島弧性スピネルカンラン岩質アセノスフェアに由来するマグマが分離上昇を始め, 火山フロント側ではよりエンリッチした斜長石を含むカンラン岩からなる, 最上部マントルリンスフェア由来の低アルカリソレアイトが分離上昇して, 第四紀火山活動を特徴づける組成の広域変化が形成された。第四紀における火山フロント側および背弧側マグマ起源マントルはそれぞれ, マントルウェッジ内で地震学的に認められる火山フロント側低速度域と背弧側低速度域に対応している。両者の間には組成不均質性があり, 中期中新世以降, 少なくとも同位体組成的には均質化していない。