著者
横山 俊治 村井 政徳 中屋 志郎 西山 賢一 大岡 和俊 中野 浩
出版者
The Geological Society of Japan
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.112, pp.S137-S151, 2006
被引用文献数
3 1

小出(1955)の定義による破砕帯地すべりは今日の知識からすれば付加体分布地域で多発している.破砕帯地すべりは地すべり性崩壊であると小出(1955)が記述しているように,崩壊時に破壊された地すべり移動体は山津波となって谷を流下し,しばしば末端では河川を堰き止める.見学地である阿津江の事例には,このような破砕帯地すべりの特徴がくまなく現れている.<br>見学は末端部から発生域へと進めていこう.末端部では,坂州木頭川渡った山津波が対岸の斜面を50 mほどの高さまで乗り上げている.ここでは,山津波の流れを記録する樹木に刻まれた流下痕跡を観察し,一旦は斜面に乗り上げた土砂や構造物の大部分を洗い流した強い引きの流れの存在,山津波の一部が坂州木頭川を跳び越えている状況を確認する.発生域では,崩壊頭部のクラック群・緊張した樹根,崩壊壁の地質を,発生源の谷底では新旧の土石流堆積物,破砕帯,断層を観察する.<br>
著者
小畠 直人 高岸 智 山尾 泰
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.445, pp.319-324, 2009-02-25

大規模なワイヤレスアドホックネットワークの実現には,ネットワークを階層的に構築,管理するクラスタツリーネットワークが適している.しかし,クラスタツリーネットワークではネットワークコーディネータにトラヒックが集中し,ボトルネックが発生してスループットが低下する.また,隠れ端末による干渉が大きな問題となる。本稿では,CSMA/CA方式とマルチコード受信によるSS多重アクセスを組み合わせたアドホックネットワーク用MACプロトコルとして,マルチコード受信SS-CSMA/CAを提案する.また、有効にSS効果を得るため,提案法に対して階層化ネットワークでの二重拡散符号の割当法と,逆拡散後キャリアセンス法を提案する。この提案方式をスループット,パケット伝送成功率をIEEE802.15.4/ZigBeeを想定した環境で計算機シミュレーションにより評価した.この結果,提案法によって,総合スループットが大きく改善され,ネットワークコーディネータでのボトルネックを解消できることを明らかにした.
著者
撰 広嗣 丹所 啓太 石井 光治 石橋 功至 落合 秀樹 和田 忠浩 生越 重章
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.445, pp.289-294, 2009-02-25
被引用文献数
1

近年,無線センサネットワークに関する研究が活発に行われ,様々なアプリケーションへの応用が検討されている.一方で,実装上における問題は多く残されており,特に電池の寿命に対する要求は十分満たされているとはいえない.本稿では,ZigBee開発キットによる野外・温室における通信実験を行い,現状の無線センサネットワークの問題点について議論するとともに,協力無線センサネットワークの必要性について議論する.
著者
OHTSUKI Masaaki KAWAI Masato FUKUI Masahiro
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
IEICE transactions on electronics (ISSN:09168524)
巻号頁・発行日
vol.92, no.4, pp.500-507, 2009-04-01
被引用文献数
4 5

Accompanying with the popularization of portable equipments, and the rapid growth of the size of the electric systems, efficient low power design methodologies have been highly required. To satisfy these requests, a high accurate and high efficient power analysis in higher abstraction level is very important. The design environment is composed by efficient algorithms of power modeling, power library building, and data extracting. Those components of the environment should be balanced for the total efficiency and accuracy. We have proposed a new efficient power modeling environment which uses a look-up table (LUT). It reduces the size of the LUT drastically, compared to conventional algorithms. It makes the power analysis and library building high efficient. The experimental results show that our approach reduces the computation time to build the library to one tenth while keeping the accuracy of the power analysis. The RMS error and the largest error has been less than 8.30%, 59.16%, respectively.
著者
大槻 正明 河合 真登 小八木 達也 福井 正博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CPSY, コンピュータシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.416, pp.49-54, 2008-01-09

システムの大規模化に伴い設計期間の短期間化・低消費電力化が求められるようになった.これらの要求を満たす為にはより抽象度の高い段階において短時間で且つ高精度な電力推定を行い,低消費電力化技術を施すことが重要である.本稿ではLook-Up Table(LUT)を用いた新たな高効率電力モデル化手法を提案する.従来の提案手法に対して,LUTの大きさを大幅に削減することができるため,RTLの電力解析,および電力ライブラリ構築の大幅な効率化が期待できる.実験により,従来手法に比較して,解析精度をほぼ同レベルに保ちながらライブラリ構築に要する計算時間を約1/10に削減できることを確認した.
著者
山内 聡也
出版者
北海道大学大学院教育学研究院
雑誌
北海道大学大学院教育学研究院紀要 (ISSN:18821669)
巻号頁・発行日
no.102, pp.91-106, 2007

本論文は,犀の寓意像が近世ヨーロッパ人の新大陸の認識にどのような影響を与えたのかといった点を図像学的側面から考察する。犀の象徴性は,新大陸の擬人像の典型であった「インディアンの女王」が引き連れるアルマジロの象徴性と重なる。それはイメージの連鎖を生み出し,ブラジルやアフリカ,そしてヨーロッパといったそれぞれを象徴する地域の区別も曖昧にする。犀の象徴性は,ヨーロッパとは異なる場所という二極化した構図でとらえられる一方,同時代に海外進出を始めたヨーロッパ自身のあり方をも映し出すのであった。ヨーロッパの人々は非ヨーロッパ世界をどう思い描いたのか,という帝国主義の眼差しの問題は近年精力的に論じられているが,個別の事例による分析はまだ不十分である。個別のテーマに絞って変貌していく眼差しの様相を描くことは,西洋と東洋,文明と野蛮といった二次元的な見方に陥っていた新大陸の表象の研究に学術的意義を与える。
著者
稲葉 智之
出版者
日本野生動物医学会
雑誌
Japanese journal of zoo and wildlife medicine (ISSN:13426133)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.37-42, 1998-03

東京都恩賜上野動物園で飼育され, 現在骨格標本が保管されているジャイアントパンダ2例に軸椎と第三頸椎の癒合をみつけた。"康康"にみられた頸椎の癒合は, 軸椎と第三頸椎の棘突起から関節突起にかけて, 2つの頸椎骨を区別することができないほど一体化し, 関節突起も消失していた。発生原因としては, 椎骨の形成過程における分離不全が疑われた。一方, "欄欄"にみられた頸椎の癒合では, 椎体部分は一部関節境界面の癒合痕が残った状態がみられ, "康康"の頸椎のような一体化はしていなかった。また, 軸椎の後関節突起と第三頸椎の前関節突起間には炎症性の癒合がみられ, 椎骨が分離形成された後の癒合も原因の1つと考えられた。
著者
勝又 聡一郎 安藤 規泰 神崎 亮平
出版者
The Robotics Society of Japan
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.27, no.7, pp.711-717, 2009-09-15
被引用文献数
1

We developed an two-wheeled insect-sized robot to evaluate odor source localization algorithms of the male silkmoth (<i>Bombyx mori</i>). For fast and stable acquisition of sensory information, we used atmospheric ions and ion sensors to simulate odorant catch by insect olfactory sensors. The robot has two ion sensors, and a microcomputer for processing the sensor output, motor control and communication with external devices. To minimize its size, we used two modified servomotors as actuators, which enabled the robot to move in the same manner as a walking silkmoth. We used wheel encoders for feedback control of wheel position. The encoder output can also be used as a simulation of optic flow, which is necessary for speed and turn control in insect locomotion. By employing the robot, we evaluated the performance of two odor source localization models: one is based on the fixed programmed behavior of the silkmoth and a second model additionally includes course control dependent on the amplitude difference of ion sensor output on opposite sides of the robot. The results indicate that the robot based on the latter model was superior in ion plume tracking. Further evaluations of algorithms using our insect-sized robot will be an important tool for understanding behavioral mechanisms of orientation and applying them to robotics.
著者
土屋 勇之輔
出版者
社団法人日本動物学会
雑誌
動物学雑誌 (ISSN:00445118)
巻号頁・発行日
vol.5, no.51, 1893-01-15
著者
佐久間 正泰 小田 健市 高木 市教 三田 安幸 梅田 臣也 井上 誠喜
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ITS (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.647, pp.125-130, 2005-01-28

ゴルフ中継において、3次元形状計測による正確なデータを用いて描いたCGで、グリーン上のアンジュレーション(起伏)をより分かりやすく表現できるシステムを開発した。バーチャルシステム用カメラ雲台を使い正確なカメラデータを取得することにより、グリーンの実写映像から、同じカメラ位置のCG映像に滑らかな乗り換えを行う。その後、ゴルフ選手が行うように、低い視点から、ボール側からカップ側、または、カップ側からボール側を見るなど、CG内で自由な視点変更を行うことで、効果的にアンジュレーションを表現できる。今回、このアンジュレーション表示システムの開発について紹介すると共に、第69回日本オープンゴルフ選手権中継で本システムを使用した例を報告する。
著者
福原 美三 仲西 正
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.470, pp.129-134, 2009-02-28
被引用文献数
2

オープンコースウェア(OCW:Open Course Ware)は大学講義情報の公開活動として世界的に拡大している.日本でもJOCW(日本オープンコースウェア・コンソーシアム)を中心に活動されており,この組織に21の大学が加盟し,講義情報公開を実施している.OCWでは当初,テキスト中心の講義ノートの公開が主流であったが,最近では多くの大学が講義ビデオを公開している.慶應義塾大学とNTTは共同研究の一環として複数の大学が自己設備を持たずに簡単に講義映像を公開・共有できるサイト(cliplife.jocw.jp)を構築し,公開を開始した.本講演では講義映像公開についての現状と共有サイト構築の概要について報告する.また,公開実験の状況についても最新状況を報告する.
著者
中島 貴子
出版者
社会技術研究会
雑誌
社会技術研究論文集 (ISSN:13490184)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.25-37, 2003 (Released:2009-08-19)
参考文献数
41
被引用文献数
2 2

1968年に発覚した「カネミ油症事件」は,現在も多様な被害が続いている歴史的な大型食中毒事件である.しかし,社会技術的な視点からの研究はほとんどなされてこなかった.本稿では,本件事故調査の問題点は限られた資料だけからも指摘しうることを示し,事故調査の限界が調査体制の制度的問題と関連していたことを示唆する.そして,食品分野の重大事故における事故調査体制の分析や一次資料の保存の必要性について述べる.