著者
清田 寛信 鈴木 優 川越 恭二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.393, pp.69-74, 2009-01-15

本稿では,非構造型P2Pネットワークにおいて,特定の利用者問合せに特化した索引の付加による多次元検索を効率化する手法について提案を行う.P2Pネットワークではコンテンツを検索する際,網羅性と検索速度がトレードオフの関係にあるという問題がある.例えば,コンテンツに多くの属性を持たせた多次元検索の場合,新しく追加されたコンテンツを利用者が要求したとき,この問題は特に顕著となる.そこで,本稿では新しく追加されたコンテンツやアクセスの多いコンテンツを示す度合いである熱度の概念を導入し,この熱度を考慮した索引配置手法を提案する.具体的には,コンテンツの持つ多次元の属性に熱度を加えた(n+1)次元索引手法を基本手法とし,さらに,コンテンツの熱度の高さを基にレベル分けを行い需要の高いコンテンツを優先して構造化する方式,およびコンテンツの熱度をビット列として索引に付加する方式を提案する.
著者
大倉 与三郎
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.27, no.8, pp.477-480, 1978-08-05
被引用文献数
1 4

これまで主として全鉄の定量に用いられていた1,10-フェナントロリン吸光光度法を,多量の鉄(III)と共存したままで,微量の鉄(II)の定量に適用する方法を確立した.鉄(II)と共存する鉄(III)を,あらかじめEDTA滴定法で定量しておき,必要に応じて適宜希釈した試料溶液に0.2% 1,10-フェナントロリン10ml,次いで5%クエン酸水素二アンモニウム緩衝液10mlを加え,水を加えて全量を100mlとしてから,(20〜90)分後に,ほぼ同量の鉄(III)を含む空試験液を対照として,510nmで吸光測定する.本法によれば2000 μg(20 ppm)鉄(III)と共存する50μg(0.5 ppm)の鉄(II)を定量できた.又100μg程度のマンガン,カドミウム,銅,マグネシウム,スズ,鉛,亜鉛が共存しても,EDTAなどでマクスしないでも妨害なく鉄(II)を定量できた.定量下限は0.2 ppm,又鉄(III)1500μgを含有する実試料中の200μg前後の鉄(II)の定量における変動係数は約5%であった.
著者
西田 公昭
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.18-29, 1995

This paper reports an analysis of enhancement and maintenance of one's belief system by means of using cult mind-control techniques. The study analyzed mainly using a questionnaire administered to 272 persons of former cult members, furthermore with the use of content analysis of textbook on dogma, video tapes of the dogma and interviews wiht the former cult members. The result of factor analysis from the questionnaire data revealed that the cult mind-control techniques have produced following six situational factors for enhancement and maintenance of one's belief system; namely they are 1) restriction of freedom, 2) restriction of sexual emotion, 3) physical exhaustion, 4) avoidance of outgroups, 5) reward and punishment and 6) time pressure. It could be concluded from this result and other studies that the following three psychological factors influence the enhancement and maintenance of one's belief system that controls behavior; 1) conditioning, 2) self-deception, 3) cognitive dissonance. Furthermore, the controls of information processing operate in the following four dimensions; 1) gain-loss effect, 2) systematization, 3) priming effect and 4) threatening messages. In addition, the reinforcement of group memberships were enchanced by 1) selective exposure to stimuli and 2) strengthening social identity. It was also found that factor of physiological stress facilitates these controls.
著者
大島 正善
出版者
プロジェクトマネジメント学会
雑誌
プロジェクトマネジメント学会研究発表大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2000, pp.62-65, 2000-09-25

ソフトウェア開発プロジェクトでは, 上流工程における品質の埋め込みの重要性が強調されている. 一方, 品質保証の業務は保険的な要素もあり, そのコストに見合う効果が本当に得られるのか計測しにくいという面があり, 品質管理部門に対する投資について適正な判断ができていない企業が多いのが実情と思われる. 本稿では, ソフトウェア開発の上流工程での品質保証のあり方のひとつとして, "成果物の品質点検"の考え方を紹介するとともに, その効果を, "Earned Value Analysis手法"を適用して評価する方法について解説する.
著者
佐藤 泰介 玉木 久夫
出版者
一般社団法人日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.177-188, 1988-04-15

第一階コンパイラは一階論理式による論理プログラミングを可能にすべく開発された一種の自動合成プログラムである.確定節からなる論理プログラムに, 〓Y(p (X, Y)→q (Y, Z)) という形のゴール(実際はもっと複雑でも良い)を許したプログラム(一階プログラム)を入力とし,確定節論理プログラムを出力する.コンパイル自体は全自動で必ず停止するが,人力プログラムによってはコンパイルができないことがある.プログラミングという観点からみると,第一階コンパイラはPrologにある種のループ文を導入したことになっている.しかし論理変数が使用できるので通常のループ文よりはるかに柔軟性がある.また論理的な観点から言うと,第一階コンパイラのしていることは一階プログラムから導かれる普遍継続形式(universal continuationform)と呼ばれる,ある種の論理式のunfold/fold変換である.出力プログラムの計算結果は,常に入力プログラムの完備化の論理的帰結であること(部分的正当性)が証明される.
著者
芦澤 宏樹 茅野 康臣 岩沼 宏治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. AI, 人工知能と知識処理
巻号頁・発行日
vol.94, no.374, pp.63-68, 1994-11-25
被引用文献数
1

Stickelにより開発させたPTTPは一階論理コンパイラであり、証明すぼき一階論理式が与えられると、その上のトップダウン型の演繹を模倣する高速なPrologプログラムを出力する。本研究では、より高速な定理証明システムの構築を目指して、分散処理型のPrologコードを生成する一階論理コンパイラを構築する。生成コードは、LANで結合されたWS群の上で実行される。オーバーヘッドを軽減するため、分散処理の基的形態は極めて単純なものを採用している。幾つかの問題について性能評価実験を行なった結果、線形台数効果の確認等、良好な結果を得たので報告する。
著者
岡田 知弘 京都大学経済学部岡田ゼミナール
出版者
京都大学経済学部岡田ゼミナール
巻号頁・発行日
2005-12

序 本書は、私の学部ゼミナールの2004年度の調査報告書である。今回のテーマは、「観光地に住むこと」とした。京都市内で最も多くの観光客が集まる東山の清水寺周辺が調査対象地である。観光客が集中することによって、門前の商店街が潤う一方で、年々交通渋滞やゴミ問題等、住民にとっては「観光公害」とも表現される負担が増大している。住民の生活空間のなかに多くの観光客が入り込んでくる諸問題をいかに解決するかという難問が、住民、そして行政に対してつきつけられることになる。この間題については、過去の私の学部ゼミナールでも、たびたび取り上げ、同地域の皆さんに対してヒアリング調査やアンケートを何度か実施してきた。たまたま、2002年度の調査報告書『京都再生』が新聞で報道されたことをきっかけに、清水寺の麓にある茶わん坂商店街の皆さんとの交流が始まった。茶わん坂は、もともとは清水焼の窯が立地していたところであり、清水寺門前の商店街としては後発の新しい商店街である。通りに沿って商店と住宅が相半ばしており、生活環境を維持しながら、より多くの観光客を集めるための努力を積み重ねてきた歴史がある。他方、京都市においても、秋の観光シーズンにおける清水寺周辺の交通渋滞問題について、2004年度から交通社会実験によって対応を開始することとなった。京都市ではすでに嵐山でも先行的に実施しており、それを東山にも拡張したものである。京都市交通政策課と東山区役所、地元の自治会連合会や商店街だけでなく、清水寺や高台寺をはじめとする社寺、鉄道、バス、タクシー業界の代表、警察、国土交通省の担当者らによる東山交通対策研究会が設直され、そこで交通需要管理施策の検討と実験が行われた。パークアンドライドの広域展開とシャトルバスの運転、駐車場情報の徹底、路上駐車の禁止などを軸にした施策が、どのような成果を得、いかなる課題を残したかも知りたいところであった。また、フィールド調査を繰り返すなかで、東山区が京都市内にあって最も高齢者比率が高く(2000年の国勢調査で28%)、交通問題だけでなく、買い物の便の悪さや、犯罪増加への不満や不安も高まっていることがわかった。さらに、このような地域の特殊性を踏まえて、東山区において「まちづくり推進課」が、独自の基金を区内の社寺や企業等からの寄付によって造成し、まちづくりの独自事業を開始しつつあることも知ることができた。京都市は、人口150万人近くの政令市であり、区には東京都の区制のような独自の行財政権限は存在しない。ところが、区ごとにみれば、産業面でも、生活面でも、環境面でも、それぞれ独自の特質をもっている。そのような地域の個性に合わせた地域政策を展開するには、地域の住民や各種団体と行政が協働することが、必要となるのは自明なことであろう。縦割り行政をバラバラに展開するのではなく、それぞれの地域において産業振興、福祉施策、都市基盤の整備、治安の維持を一体のものとして展開する方が、はるかに合理的であり、かつ効率的である。本報告書では、日本有数の観光地である清水地区における、観光振興、交通対策、生活の利便性や安全性の確保といった課題とその解決方向、政令市における区のあり方について、学生なりの視点からまとめている。今回の報告書は、調査や報告書のとりまとめを経験したことのない2回生が中心となったため、内容的にも記述的にも不十分なところがあるとはいえ、清水地区の市街地・商店街形成の歴史からはじまり、現在の交通問題、生活問題の実相を各種調査結果によって明確に把握し、その解決をめぐる基本的方向を試論ながら操示できたことは、大きな成果であると考えている。もちろん、現状把握や政策の方向性については、当然、異論もあると思われる。是非、大小に関わらず、ご批判、ご教示を頂ければ幸いである。
著者
山本 幹雄 乾 孝司
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究では、高精度かつ長距離のフレーズ並び替えを可能とするルールの抽出手法を開発した。抽出されたフレーズ並び替えルールの特徴は、フレーズの並び替えに重要な働きをする機能語(助詞など)の対訳関係を中心に語彙化されている点である。これにより、翻訳対象である文構造を的確に捉えながらフレーズの並び替えが可能となる。日英の翻訳実験において、提案ルールによって翻訳性能を改善できることを明らかにした。
著者
高橋 勇 阿南 貞雄
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.23, no.5, pp.348-353,392, 1974
被引用文献数
1

アトピー性皮膚炎, 慢性湿疹, 急性湿疹を有する患者および健常人より皮膚生検を行い, 蛍光抗体法により IgE 結合細胞の検索を行つた.IgE 結合細胞は検索例全例において, 真皮上層, 中層にみとめられ, 細胞膜あるいは胞体内に IgE を保有し, 種々の染色像を呈した.蛍光の強さは出現する IgE 結合細胞の数に比例するが, 血清 IgE 濃度とは相関がみられなかつた.トルイジンブルー染色により, この細胞はマスト細胞であることが確認された.そこで, 切片単位面積あたりの IgE 結合細胞および全マスト細胞数を算出しその比をみると, アトピー性皮膚炎54.2%, 慢性湿疹41.2%, 急性湿疹29.6%, 健康人では18.9%となり, アトピー性皮膚炎および慢性湿疹では IgE 結合細胞の増加がみとめられた.
著者
坂本 信太郎
出版者
早稲田商学同攻会
雑誌
早稲田商学=The Waseda commercial review (ISSN:03873404)
巻号頁・発行日
vol.266号, pp.249-289, 1977-11
著者
古賀 崇
巻号頁・発行日
2009-04-14

日本図書館研究会第261回研究例会発表資料(2009年4月14日)
著者
坂本 大介 小野 哲雄
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.2_101-2_107, 2006 (Released:2006-06-30)

本稿では環境に埋め込まれた対話可能な絵画を生成するソフトウェアについて述べる.本ソフトウェアが生成する絵は環境センサの情報をもとに常に変化する.また,絵に直接触ることで絵に対して変化を与えることができる.これらの絵はモチーフというプラグインで管理され,ユーザの意思で変更することが可能である.本ソフトウェアが出力する絵はコンピュータ上のディスプレイではなく,コンピュータという存在を消したディスプレイから出力することを想定している.これにより我々が生活している空間に含まれる情報を,生活の一部として絵画を飾ることと同じように「情報を飾る」という概念を提案する.また,本稿では空間を一枚の絵画が支配し表現する,環境に埋め込まれたソフトウェアの可能性について考察する.
著者
浜名誠 西岡 知之 中原 鉱一 井田 哲雄
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究会報告
巻号頁・発行日
vol.94, pp.25-32, 1994
被引用文献数
1

関数論理型言語とは関数型言語と論理型言語を融合したプログラミング言語である.本稿で述べる関数論理型言語Evは,関数型言語の特徴である高階関数,遅延評価,及び論理型言語の論理変数や非決定的な実行といった特徴を全て備えている.Evはコンビナトリー項書換え系とナローイングという理論的背景を特ち,効率の良い実行のために設計された計算系LNCに基づいている.本稿では関数論理型言語Evとそのインタプリタの実現方法について述べる.特にEvのプログラムをコンビナトリー項書換え系とみなすための変換方法を与え,Evと理論とのつながりを示す.