著者
三浦 洋
出版者
日本西洋古典学会
雑誌
西洋古典学研究 (ISSN:04479114)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.72-83, 1997

アリストテレスは『形而上学』Θ巻第6章(以下, Θ6)で様々な行為を「エネルゲイア(活動)」と「キーネーシス(運動)」に区別している.その一方の「ネルゲイア」とは,現在進行と完了が同時に成立する行為であり,「見る」がその典型例である(「見ている」と同時に「見てしまった」といえる).他方「キーネーシス」とは,一定の目的に向かう末完了的な過程を持つ行為であり,現在進行と完了が同時には成立しない.その典型例は「建築」である(「建築している」と同時に「建築してしまった」ということはない).この区別をめぐっては従来,他のテキストとの関連が注目される一方で,このような排他的区別の成立を根本的に疑う見解が研究者から示されてきた.とりわけ,アクリルが投げかけた疑問と,それを解消するべくペナーが提起した「二局面構造説」は,区別の成否を検討する上で重要な論点を提示している.本稿は,ぺナー説を批判的に検討しつつ,アクリルの疑問の発生源である「一つの現実態を構成する二つの項」をめぐる問題を解明し,疑問の解消を目指すものである.関連テキストにおけるアリストテレスの議論を検討することにより, 「エネルゲイア」と「キーネーシス」の区別が,単一の現実態,すなわち単一の事態について必然的に成立する区別であることを明らかにしたい.

4 0 0 0 OA 草枕

著者
夏目漱石 著
出版者
春陽堂
巻号頁・発行日
1914
著者
加藤 一郎 小金沢 鋼一 高西 淳夫
出版者
The Robotics Society of Japan
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.102-108, 1987-04-15 (Released:2010-08-25)
参考文献数
7
被引用文献数
1

乳ガン自動触診ロボット: WAPRO-4が製作された.WAPRO-4は手による触診を自動化する目的で構築され, 乳ガンの早期発見に資することを目的としている.WAPRO-4は測定装置, 移動装置, マイクロコンピュータ・システムの3つの部分より構成される.測定装置には4本の触子があり自重により, それぞれ独立して乳房を押す.その際の押し込み距離を差動トランスにより測定する.工業用汎用ロボット (Pana Robo A6256C, 松下電器産業株式会社) が移動装置として導入され, 測定装置を測定点に移動する.マイクロコンピュータシステム (PC-9801 E, 日本電気株式会社) が移動装置を制御し, 自動触診中, 測定装置よりデータを採取し, 診断処理をおこなう.呼吸や胸壁の影響を受けず腫瘍のみが識別できるソフトウェアアルゴリズムを構築した.医師の立ち会いのもとに臨床試験をおこなった.16名中15名の患者の腫瘍が識別された.1名の患者については腫瘍の大きさが小さいために明瞭な識別ができなかった.これらの結果は明らかにWAPRO-4システムの有効性を示しており, 自動触診システムによる乳ガンの集団検診の可能性を示している.しかしながら, より小さな腫瘍の識別を可能とするシステムの開発をおこなう必要がある.
著者
寺杣 雅人 五十嵐 景子 荻巣 健人 瀬島 紘久 中村 綾子
出版者
尾道市立大学芸術文化学部日本文学科
雑誌
尾道文学談話会会報 (ISSN:21852456)
巻号頁・発行日
no.4, pp.1-19, 2013-12-20

本頁(12頁)と次頁(13頁)に掲載されている「暗夜行路」草稿2の画像は閲覧できません。 本稿の広島県大学共同リポジトリへの登録は、著作権継承者である志賀道哉氏のご承諾を得ていますが、その他のよんどころない事由により、この部分の登録は差し控えざるをえなくなりました。あしからずご了承ください。 本稿の画像を含む全文を掲載した『尾道文学談話会会報』第4号を希望される方は、左記にお知らせ下さい。残部のあるかぎり、無償でおわけします。(送料着払い) 〒722-8506 尾道市久山田町1600番地2 尾道市立大学芸術文化学部 日本文学科研究室
著者
宮田 剛
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.47, no.5, pp.147-154, 2013 (Released:2014-03-03)
参考文献数
16
被引用文献数
1

ESSENSE とは,ESsential Strategy for Early Normalization after Surgery with patient's Excellent satisfaction の略であり,日本外科代謝栄養学会で展開する術後回復促進のためのプロジェクト名である.ERAS の普及が進む中で,日本の実情に合わせて,「手術の安全性を向上させつつ,患者満足を伴った術後回復促進対策のエッセンスはなにかを検討し,これらに関する科学的根拠に基づいた情報を提供すること」を使命と考えている.中心的理念を,1.生体侵襲反応の軽減,2.身体活動性の早期自立,3.栄養摂取の早期自立,4.周術期不安軽減と回復意欲の励起,の4 つとした.ERAS protocol で推奨された項目を再整理するとともに,他の論文も含めて整理して情報を提供し,具体策を学術集会で議論する.臨床現場ではこれらの情報を利用して自施設で取り組み,各職種が集まって協議,個々の達成指標を共有しながら作業分担することを期待する.ESSENSE が ERAS と違うのは,医療者の介入事項を規定するのではなく,患者状態の達成目標を明確化することである.
著者
中嶋 美冬 松田 裕之 堀 道雄
出版者
日本生態学会
雑誌
日本生態学会大会講演要旨集 第52回日本生態学会大会 大阪大会
巻号頁・発行日
pp.755, 2005 (Released:2005-03-17)

魚類の左右性とは、体の前後軸を中心線とする右体側と左体側とで、一方が他方より構造的・機能的に優位にある種内二型を指す(「生態学事典」より)。特に下顎の非対称性が顕著であり、顎が右に開き体が左に曲がる個体を「左利き」、その逆の個体を「右利き」と呼ぶ。この種内二型は遺伝形質であり、1遺伝子座2対立遺伝子に支配される左利き優性のメンデル遺伝と考えられている。この魚の左右性は、形質値のヒストグラムが双山分布をする分断性非対称(Antisymmetry)の一例と考えられる。各種内の利き比率は数年周期で振動している。魚食魚では自分と反対の利きの餌個体を主に捕食することが明らかにされており、本研究ではこれを交差捕食(Cross Predation)と呼ぶ。反対に、同じ利き間での捕食を並行捕食(Parallel predation)と呼ぶ。このような捕食の非対称性が魚類の左利きと右利きの共存を維持する要因と考えられる。その理由は以下のような頻度依存淘汰により説明できる。餌種に左利きが多かったとき、それを捕食する種では右利きが有利となり多数派になるため、やがて餌種では左利きが減少して右利きが増え、捕食者ではかつて少数派であった左利きが有利となって後に多数派となるように、被食者と捕食者において多数派の利きの入れ替わりが繰り返されると予想される。本研究では、交差捕食が起こる仕組みを捕食行動から考察し、また数理モデルを用いて上記の仮説を検証した。

4 0 0 0 OA 清正実記

著者
大村弼八郎 編
出版者
島鮮堂
巻号頁・発行日
1886
著者
大塚 寿郎
出版者
上智大学英文学科
雑誌
英文学と英語学 (ISSN:02891050)
巻号頁・発行日
no.37, pp.45-58, 2000

渡部昇一教授退職記念号
著者
吉田 慎三 竹永 士郎 原 秀昭
出版者
Japanese Society of Equine Science
雑誌
日本中央競馬会競走馬保健研究所報告 (ISSN:03685543)
巻号頁・発行日
vol.1972, no.9, pp.74-79, 1972-12-21 (Released:2011-02-23)
参考文献数
3

馬の個体鑑別方法は,従来からわが国で行なわれている旋毛,白班,烙印などによる方法,米国で行なわれている口唇への刺青による方法,また付蝉の形態を記録し,それによる鑑別方法など種々行なわれているが,いずれの方法でも,一見して確実に鑑別出来る方法ではない。 競走馬における個体鑑別は,その性質上特に重要でより簡易にかつ適確に識別する必要がある。 今回,われわれは,牛において試みられ好成績を得ている凍結烙印を,馬の個体鑑別に応用するべく検討した。 本法は局所の凍結により被毛の色素細胞を破壊し,白毛を形成させることを目的としている。 実験方法は,95%のエチールアルコール中にドライアイスを投入し,その中に分厚い真鍮製の文字,数字の鏝を浸し数分後この鏝を取り出し,直ちに馬体皮膚に約3kgないし15kgの力で押圧した。 この押圧時間は,5ないし60秒の間で行なったが,押印部の被毛を剪毛し,アルコールで清拭した後では20~30秒を要すれば白毛の形成は良好であった。剪毛清拭などの処置を行なわない部位においては,20~30秒の押圧では,白毛形成が不完全であった。 押印部位は,頸部,肩部,髫甲部,臙部,腰部,臀部に行なったが,部位の相違による白毛形成の差は,前もっての処置を行なえば,20~30秒の押圧時間では変化は認められなかった。押圧力については,5kg程度で充分であった。 芦毛馬についても前述と同様な条件下で押印を行なったが,直後から判読は可能であった。この方法を実施後1年で白毛形成部位の皮膚組織を検査したところ汗腺の消失,毛根髄質の核融解,色素消失などが認められた。 この凍結烙印は押圧時の疼痛も少なく,同部位の化膿,壊死などの変化も見られなかった。
著者
佐伯 圭吾 車谷 典男 岡本 康幸 奥地 一夫
出版者
奈良医学会
雑誌
Journal of Nara Medical Association (ISSN:13450069)
巻号頁・発行日
vol.61, no.5, pp.127-134, 2010-12-31

医療従事者が職場で経験する暴力被害は,精神的あるいは身体的に医療従事者に悪影響を及ぼし,医療の質を低下させる.医師が受ける暴力被害については,英国やオーストラリアのGeneralPractitionerや救急科医で調査されており,加害者側の危険因子としては飲酒や薬物中毒,精神疾患,被害者側の危険因子としては医療経験が短い,女性などが挙げられている.しかし,多くの調査は過去1年間の暴力被害の経験者割合を指標としており,その期間に繰り返し被害を受けた者のリスクが評価できていない.労働時間あたりの暴力被害発生率や発生率比を用いての危険因子の検討が今後の課題である.加えて,暴力による精神的被害としてPTSD症状やパーンアウト,職場満足度の低下が指摘されているが,妥当性が検証された質問票でそれらを定量化する研究が今後必要と考える.
著者
斉藤 理 渡部 史之
出版者
山口県立大学
雑誌
山口県立大学学術情報 (ISSN:21894825)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.41-54, 2017-02-28

There are many cultural assets in Yamaguchi prefecture at present, but much of them after the Edo Period aren't investigated sufficiently yet. Therefore it's necessary to investigate those cultural assets and know the contents to understand history in Yamaguchi prefecture and culture more deeply. Kinashi Seiichiro, from Yamaguchi prefecture, was a military personnel, an officer of a government and a politician from the late Edo Period to Meiji Period. This papen is the part of the research result of the cultural assets transmitted to offspring's house of him. The investigation is still continuing and through this analysis we could show some new historic interpretation of Mr. kinashi. We also expect that we can grow interest in preservation of the cultural assets in Yamaguchi prefecture through these investigations.