著者
藤田 俊輔
出版者
京都大学文学研究科宗教学専修
雑誌
宗教学研究室紀要 (ISSN:18801900)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.40-58, 2011-11-30

Nach Jaspers' Philosophie ist die Methode der Mitteilung von indirekter Natur. In der Psychologie der Weltanschauungen nannte Jaspers Sokrates, Kant und Kierkegaard als Repräsentanten besagter Methode, und auch er selbst ist ein Vertreter jener indirekten Methode der Mitteilung. Jaspers sieht es als Aufgabe der Philosophie an, sich des eigentlichen Seins zu vergewissern, das sich wegen seines ungegenständlichen Charakters nicht ausdrücken lässt. Die Methode der Mitteilung des eigentlichen Seins ist von elementarer Bedeutung und in eben diesem Kontext tritt das Problem der indirekten Mitteilung auf. In der Philosophie ist Jaspers sich der indirekten Mitteilung methodisch bewusst und vor allem in der Methode der Existenzerhellung kann man diese finden. Nach seiner Aussage ist das Philosophieren aus der möglichen Existenz das Transzendieren, das auch die Methode der Existenzerhellung bestimmt. In dieser Abhandlung möchten wir diese Methode der Existenzerhellung gemäß die indirekte Mitteilung näher beleuchten, indem wir den Charakter des eigentlichen Transzendierens erläutern, das das Hinausgehen über das Gegenständliche ins Ungegenständliche bedeutet. Bei weiterer Überlegung liegt der indirekten Mitteilung das der Existenz eigene absolute Bewußtsein zugrunde, das sich vom Bewußtsein als Erleben und Bewußtsein überhaupt unterscheidet. Denn die indirekte Mitteilung wendet sich nicht an das Bewußtsein als Erleben und das Bewußtsein überhaupt, sondern an das absolute Bewußtsein der Existenz. Durch die Überlegungen bezüglich dieses Bewußtseins versuchen wir, das tiefere Verständnis der indirekten Mitteilung zu ermöglichen. Auf diese Weise nähern wir uns dem Problem der indirekten Mitteilung nach Jaspers' Philosophie und möchten in dieser Abhandlung Jaspers Analyse eingehend untersuchen.
著者
曽根 啓子 子安 和弘 小林 秀司 田中 愼 織田 銑一
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.151-159, 2006 (Released:2007-02-01)
参考文献数
32
被引用文献数
2

日本で野生化し,農業害獣として問題となっているヌートリアMyocastor coypusによる農業被害の実態を把握することを目的として,農業被害多発地域の一つである愛知県において,被害の発生状況,とくに被害作物の種類とその発生時期,ならびに被害が発生しやすい時間帯と場所についての聞き取り調査を行った.また,穿坑被害を含む農業被害以外の被害の有無についても併せて調査した.ヌートリアによる農業被害の対象となっていたのは稲(水稲)および23品目の野菜であった.稲の被害(食害および倒害)は,被害経験のある34市町村のうちほぼ総て(32市町村/94.1%)の市町村で認められ,最も加害されやすい作物であると考えられた.とくに,育苗期(5-6月)から生育期(7-9月)にかけて被害が発生しやすいことが示唆された.一方,野菜の被害(食害および糞尿の被害)は収穫期にあたる夏期(6-9月)もしくは冬期(12-2月)に集中して認められた.夏期には瓜類(16市町村/47.1%),芋類(11市町村/32.4%),根菜類(8市町村/23.5%),葉菜類(3市町村/8.8%),豆類(3市町村/8.8%)など,冬期には葉菜類(17市町村/50.0%)ならびに根菜類(10市町村/29.4%)でそれぞれ被害が認められた.個別訪問した農家(18件)への聞き取りおよび現地確認の結果,主たる被害の発生時間帯は,日没後から翌朝の日の出前までの間であると推察された.農業被害が多く発生していた場所は,河川や農業用水路に隣接する農地であり,とくに護岸されていないヌートリアの生息に適した場所では被害が顕著であった.また,農業被害の他にも,生活環境被害(人家の庭先への侵入)および漁業被害(魚網の破壊)が1例ずつ認められたが,農業被害とは異なり,偶発的なものと推察された.今後は,被害量の推定を目指した基礎データの蓄積,ならびに捕殺以外の防除法の開発が重要な課題であると考えられた.

4 0 0 0 夢判断の書

著者
アルテミドロス著 城江良和訳
出版者
国文社
巻号頁・発行日
1994
著者
真下 弘征
出版者
京都教育大学
雑誌
京都教育大学環境教育研究年報 (ISSN:09193766)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.11-40, 2000-03-31

日本の各地域は,戦後の地域開発政策や産業構造改革政策,大量生産・大量消費社会化政策,モータリゼーション等によって,環境破壊や地域社会の荒廃に陥ったところが多かった。しかし,多くの地域で,その破壊や荒廃をのりこえ新たな生活環境づくり,まちづくりに取り組み始めた。本稿は,生活環境づくりの課題について考察している。大量排出物の減量化・再利用化・ゴミゼロ化の課題から自然循環的社会づくりの要点をみることや,生態学的(エコロジカル)生活環境の再生・復元(エコロジカルまちづくり)の事例やその課題をみること,アメニティの概念の整理とその社会的側面・自然的側面の保障の課題,共生的な地域まちづくりの課題のほか,生活環境づくりとしての脱クルマ社会化,エネルギー問題・脱原発化などの課題にも触れている。これらの課題は今後の日本の重要な課題であるが,行政,市民各人,学校,企業がそれをどのくらい真剣に取り組むかで21世紀のありよう,グローバルにみれば地球環境のありようが違ってくる。
著者
中嶋 謙互
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.47, no.6, pp.641-646, 2006-06-15

日本ではしばしば,楽観的な見通しを述べるよりも,さまざま問題点を並べて悲観的な発言をするほうが「賢い」行動であるとされる.しかし,自分たちの未来に夢を抱き,技術や社会の発展のために努力を続けていくには,楽観的な見通しが必要不可欠である.私は,現在の日本において「楽観的な物言い」が不足しているとつねづね感じている.本論文では,50年後の情報科学技術について,現在,日本において活発に研究・開発されているロボットやコンピュータなどが,人々の生活や社会や考え方がどのように変わっているかについて,手元の時計を2055年に設定し,幅広くそして楽観的に考えた.最終的には,ソフトウェアの力によってハードウェアの潜在力を最大に引き出すことによって,想像もできないほど大きな価値を創造できることを強調し,その後,日本人の「モノ」作りの能力を21世紀において活かしていく方法についても考えていく.日本の経済と産業が世界の中で誰にも認められる存在を維持するために,日本人としてできることは何なのかがイメージできるような内容を目指した.この論文を読んだ若い人たちが,将来,日本が国際的に貢献し得る分野があることを知り,職業選択の参考にすることができれば望外の喜びである.
著者
水越 允治
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.38, no.7, pp.447-460, 1965-07-01 (Released:2008-12-24)
参考文献数
42
被引用文献数
4 6 7

前の報告では,わが国の主要地点における降水量の極値を推算し,これにもとづいて概略の地域分布図を作成し,二・三の説明を付け加えた.しかしながら,推算地点が少なくて必ずしも分布の全貌を明らかにしたとはいえず,また推算に際して採用した GUMBEL の方法にも若干の問題点のあることが指摘された.ゆえに,今回は地点数をできる限り増し,推算も JENKINSON の方法ですべてやりかえた.その結果,季節別の極値分布について詳細な状態が明らかとなった。例えば,梅雨による大雨の卓越する地域と台風による大雨の卓越する地域とが明確に分れることがわかった.また前報で降水量極値の経年変化についてあらましを述べたが,今回経年変化型の地域分布について改めて検討してみた結果,若干地域的なまとまりを見せる傾向の存在することが明らかとなった.
著者
沖田 実嘉子 竹末 俊昭
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第58回研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.91, 2011 (Released:2011-06-15)

着物の生地に小紋、型友禅、ゆかたなどの柄や模様を染めるために「伊勢型紙」が使われてきた。江戸時代に紀州藩の保護を受けて鈴鹿市の白子と寺家を中心に飛躍的な発展を遂げ全国の生産量の99_%_を占めるに至った。しかし生活様式の洋風化による着物を着る人の減少、型紙が染色における一工程の用具であることで「伊勢型紙」の需要は減少し、型紙職人の高齢化や後継者不足も相俟ってその存続が危惧されるようになってきている。本研究では、型紙制作を別な工法で伝統工芸の良さに近づけるべく、既存のものと新しい技術で制作した型紙を用いて実際に染め上げたものを比較しながら再現の可能性を探る。
著者
森村 吉貴 上原 哲太郎 侯 書会 美濃 導彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.94, no.10, pp.1427-1439, 2011-10-01

インターネット上のライブ映像配信,すなわちインターネット放送は数万人のユーザに同時に同じ映像を配信できる同報性と,専門知識や機材がなくとも映像配信を開始できる導入容易性におけるメリットをもつ.筆者らは放送された映像が不正に再配信された場合にそれを追跡可能とする技術が今後重要となると考え,そのようなシステムの実現を目標とする.追跡性の実現に有効な技術に,配信者が映像を暗号化し,視聴者がそれを復号する際に個々人のIDが映像に強制的に電子透かしとして挿入されるJFD(Joint Fingerprinting and Decryption)がある.しかし既存の提案は導入容易性,同報性をともに満たすシステム構成を提示しておらず,また実環境において利用する計算資源や帯域資源と透かし映像の画質の検証が十分でなかった.筆者らは,導入容易性に優れた公開鍵JFD法を採用し,透かしを埋め込む周波数係数の選択及び構成の工夫により数万人程度の同報性を実現するシステムを提示した.また,システムを実装評価し,計算と帯域資源に対する数値評価結果,及び画質に対するPSNRによる客観評価結果が目的に十分適うことを示した.
著者
森村 吉貴 上原 哲太郎 侯 書会 美濃導彦
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.1022-1031, 2009-03-15
被引用文献数
1

我々はIPマルチキャスト上のSRTPを用いた鍵配送に放送型暗号を用いたライブ映像配信システムを構築した.一般に認証型のライブ映像配信では,ユーザ鍵の流出と復号映像の流出という問題が残る.我々のシステムは,ユーザ鍵の流出については放送型暗号のユーザ鍵が異なるという特徴を生かし,復号映像については透かしとして映像にIDを埋め込む電子指紋により,それぞれの流出を抑止する.実験では構築したシステム上で帯域資源と計算資源のオーバヘッドを計測し,ライブ映像配信に十分に適用可能であることを示す.We constructed a live video streaming system over IP Multicast, which uses SRTP and delivers the decryption key with broadcast encryption. Generally, live video streaming with authentication has problems as illegal distribution of user keys and decrypted video. Our system deters user key distribution using characteristics of broadcast encrpytion, which has different user keys by users, and deters decrypted video distribution using digital fingerprint, which embeds user ID into video as watermark. We evaluate overhead of computational resource and network resource on the constructed system and show the system works in realtime for live video streaming.
著者
李 龍 若宮 翔子 角谷 和俊
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌データベース(TOD) (ISSN:18827799)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.36-52, 2012-06-29

都市を特徴付けることは,人々が日々の生活や様々な活動の中で行っている情報処理過程の一部であり,都市での意思決定を行う際に重要となる.従来は,物理的な構造形態に基づく都市の機能や都市に対する人々の意識といった都市の外観に基づく特徴付けが行われていたが,実際に都市で生活する人々の活動を支援するためには,人々のライフスタイルを中心とした特徴付けが重要となる.都市における人々の活動は多様であり容易に把握することは困難であるが,近年のソーシャル・ネットワーク(SNS)の発達とスマートフォンの普及により,多くのユーザが実空間における活動や感情を自らの居場所の位置情報とともに自発的に発信するようになり,実世界の物理的空間と密接に関連した位置ベースSNSを通して,都市における群衆のライフスタイルを把握することが可能になっている.本研究では,位置ベースSNSに蓄積されている大量のユーザの時空間ライフログを用いて都市空間における群衆行動をモニタリングし,都市の地域特徴を抽出する手法を提案する.具体的には,Twitterに投稿されているジオタグ付きTweetsを用いてモニタリングした群衆行動をベクトル化し,地域と群衆行動特徴によって構成した行列を分析することで,特徴的な行動パターンとそれに対応する都市を抽出する手法を提案する.実験では,Twitterから取得した大量のジオタグ付きTweetsを用いて群衆行動を分析し抽出した地域特徴の意味付けを行うために,Yahoo! ロコが提供している店舗や施設のジャンルを調査した結果について示す.Characterizing urban space is critical to understand the space and conduct decision-makings in our daily urban lives and activities. Conventional methods have attempted to characterize urban space using urban functionalities based on physical configuration and people's conscious mind to the space. However, in order to support residents' activities in urban space, it is essential to extract characteristics focusing on crowd's urban lifestyles. However, it is a non-trivial work to monitor crowd activities and lifestyles in large-scale regions. In order to solve this problem, we can exploit current crowd's power on behalf of the proliferation of smartphones as well as the recent development of location-based social networks, where massive users voluntarily share their lifelogs and thoughts together with their whereabouts. Therefore, we can easily monitor crowd behavior through such location-based social networks. In this work, we propose a method to characterize urban space in terms of crowd behavior by utilizing enormous number of users' spatio-temporal lifelogs archived over social networks. Specifically, we derive latent classes of urban characteristics in terms of crowd behavioral patterns and relevant urban areas which are extracted using geo-tagged Tweets over Twitter.
著者
吉田 圭一 舟木 和紀 棚川 美佳 松村 英雄 田中 卓男 熱田 充
出版者
社団法人日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科學會雜誌 (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.35-40, 1995-02-01
被引用文献数
32 13

歯冠修復の最終補綴処置として使用する合着用セメントは,100年以上にわたってリン酸亜鉛セメントが王座を占めてきた.その後,カルボキシレートセメントとグラスアイオノマーセメントが相次いで開発され,さらに歯質や金属と接着性を有するレジンセメントが登場して,接着ブリッジ以外にもキャスタプルセラミックスクラウンやラミネートベニアなどのポーセレンとの接着にも利用され,それらの用途が急速に広がりつつある.そこで本論文は,従来の合着用セメントとレジンセメントの機械的性質と吸水・溶解量,金銀パラジウム合金に対する接着強さを測定し,材料学的見地からこれらのセメントを比較検討したものである.
著者
太田 健太郎 小林 健太郎 山里 敬也 片山 正昭
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. USN, ユビキタス・センサネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.378, pp.137-142, 2011-01-13

太陽エネルギーの取得を行う無線センサネットワークにおけるノード稼働率の向上を目指している.ネットワーク全体の消費エネルギーを低減できる方法として,データ送信時にノードがデータの中継を行う協力伝送方式がある.しかし,取得エネルギーの変動を考慮しない場合,夜間にノード稼働率が低下する問題が生じる.本稿では,電池切れにより停止したノードの再稼働条件を導入することで昼夜のノード稼働率の平滑化を行い,要求される高いノード稼働率を達成する.