著者
松原 仁
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.89-95, 2016-05-01 (Released:2016-05-01)
参考文献数
14
被引用文献数
2

ゲーム情報学はゲームを対象とした情報処理の研究分野である。チェスがゲーム情報学の中心のゲームであったが,チェスでコンピューターが世界チャンピオンに勝った後は将棋が注目されていた。将棋はまだ世界チャンピオンに勝ってはいないが,対戦すれば勝つ可能性が高いレベルに達した。囲碁はチェスや将棋と比べて場合の数がはるかに大きいのでまだ世界チャンピオンを倒すまで10年はかかるとみられていたが,深層学習(ディープラーニング)の利用によってすでにトップのプロ棋士に勝ち越すまでになった。今後は「人狼」など不完全情報ゲームがゲーム情報学のテーマになっていくであろう。
著者
西尾 治子
出版者
日本フランス語教育学会
雑誌
Revue japonaise de didactique du français (ISSN:18805930)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.76-85, 2010-12-05 (Released:2017-10-14)

La loi sur la parite a joue un role primordial dans l'histoire du feminisme ainsi que l'histoire constitutionnelle en ce sens qu'elle a ete promulguee pour la premiere fois au monde en 2000, conformement au principe d'egalite, apres la revision de la Constitution de la Republique francaise. Quelles sont les raisons qui ont rendu la parite necessaire ? La presente etude a pour but de faire la lumiere la genese de la parite, son evolution et son etat actuel. Elle examine, en premier lieu, la genese de la parite, ensuite les differences entre d'une part le quota et le systeme americain d'action affirmative, d'autre part la parite dont le debat jadis centre sur la theorie dichotomique a divise les feministes francais en deux camps : l'universalisme et le differentialisme. Enfin, elle etudie les problemes concrets auxquels est confrontee actuellement la prite.
著者
根本 伸洋 大橋 夏美 湖東 聡 松永 勇紀 角本 貴彦 柿崎 藤秦
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.34 Suppl. No.2 (第42回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.A1258, 2007 (Released:2007-05-09)

【目的】胸郭の運動性は、呼吸において重要であるが、身体全体に対して0.479の質量比を持つ体幹の約半分を占める部分である為、歩行などの身体運動にも影響すると考える。実際の臨床においても、胸郭全体の運動性低下や、運動性の左右差が生じている患者では、それに見合った呼吸や身体運動しか出来ないことが観察される。また、そのような患者に対して、胸郭と接する肩甲骨位置を修正することで、運動性や左右差の改善を図ることができ、良好な呼吸や身体運動を獲得できることを経験する。そこで今回は、肩甲骨内外転位置が胸郭の運動性に与える影響を検討したので、ここに報告する。【方法】対象は、本研究の内容を十分に説明し同意を得た健常成人8名とし、各条件での坐位姿勢をゼブリス社製3D-Motion Analysis CMS20Sを用いて測定した。測定した姿勢は、1)安静坐位姿勢、2)安静坐位から胸郭を右側へ並進移動させた坐位姿勢(以下、右変位姿勢)、3)右肩甲骨を外転誘導しての右変位姿勢、4)右肩甲骨を内転誘導しての右変位姿勢とした。なお、右変位姿勢は、骨盤帯が動かない範囲で胸郭を並進移動させ、肩甲骨位置の誘導は、右上肢を内旋位にすることで肩甲骨外転位置へ誘導し、右上肢を外旋位にすることで肩甲骨内転位置へ誘導した。また、測定の順番は、最初に安静坐位を測定した後は、無作為の順で各右変位姿勢を測定した。測定したランドマークは、両PSIS、両ASIS、両腸骨稜、Th1棘突起、Th11棘突起、胸骨頸切痕、剣状突起、第11肋骨先端とし、最も突出した部分または最も陥没した部分に十分注意を払いマーキングした。検討項目は、各ランドマークの空間座標から、1)胸骨頸切痕と第11肋骨先端の距離(以下、胸郭距離)、2)Th11棘突起と剣状突起を結ぶ線とTh11と第11肋骨先端を結ぶ線が水平面上でなす角(以下、肋骨角度)を左右で求め、対応のあるt検定を用いて、それぞれ危険率5%未満を有意とした。【結果】胸郭距離は、肩甲骨の誘導がない右変位姿勢と比較し、肩甲骨外転位での右変位姿勢で、変位させた側の右胸郭距離が有意に増大した。また、肋骨角度の左右差の平均は、肩甲骨内転位での右変位姿勢、右変位姿勢、外転位での右変位姿勢の順に増大し、それぞれ安静坐位と比較し有意に増大していた。【考察】胸郭距離、肋骨角度の左右差が肩甲骨内転位で増大していた結果から、胸郭の運動性が増大したと考えた。これは、肩甲骨外転位では肩甲骨が胸郭側方に位置する為に、胸郭側方の運動性を妨げるが、肩甲骨内転位にすると肩甲骨は胸郭後方に移動し、胸郭側方の運動を妨げない為であると考えた。今回の結果から、肩甲骨の位置を考慮することで、胸郭の運動性を引き出し、呼吸や身体運動の改善に繋げられる可能性が考えられた。
著者
木畑 和子
出版者
成城大学
雑誌
成城文藝 (ISSN:02865718)
巻号頁・発行日
vol.195, pp.146-128, 2006-06
著者
土居 秀幸 高橋 まゆみ
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.241-247, 2010-07-31 (Released:2017-04-21)
参考文献数
25
被引用文献数
1

地球温暖化による気温上昇の影響は、広く生態系に拡がりつつあり、フェノロジー(生物季節)のタイミングにもその影響が波及しつつある。近年、今まで蓄積されてきた長期データを使用した研究により、地球温暖化が植物・動物のフェノロジーのタイミングに、大きな影響を与えていることが明らかとなってきた。しかし今までの研究では、ある場所でのフェノロジーの温暖化への反応を検討している場合が多く、そのマクロ的な傾向について検討した研究例は未だに少ない。気象庁では、1953年から現在まで全国102ヵ所の観測所で、のべ120種以上の植物・動物種についてその開花・発芽・落葉・初見日・初鳴日などのフェノロジーを記録している。全国102ヵ所という広範囲で長期に観測されたフェノロジーデータを用いれば、フェノロジーの温暖化への反応をマクロエコロジーの視点から考えることが可能である。そこで本稿では、気象庁・生物季節データセットを用いたマクロスケールおけるフェノロジーと気候変動の関係についての研究、特にフェノロジーの温度反応性の緯度クラインと、温度反応性への遺伝的多様性の影響について紹介する。まとめとして、今後のマクロスケールでのフェノロジー研究の意義と方向性について述べる。
著者
海野 知紀 坂根 巌 角田 隆巳
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.47, no.9, pp.740-743, 2000-09-15 (Released:2009-02-19)
参考文献数
20
被引用文献数
3 5

フィリピンで糖尿病に有効であるとされているバナバについてXODに対する阻害効果に関する評価を行った.(1) バナバ葉熱水抽出物は緑茶,ルイボス茶,杜仲茶と比較して強いXOD阻害効果を示した.(2) バナバ葉熱水抽出物を合成吸着樹脂であるダイアイオンHP-20に供し,そのメタノール溶出フラクションを回収したところ,XOD阻害活性が上昇した.(3) HPLCを用いた分析より,バナバ葉成分としてエラグ酸の存在を認め(乾燥重量として3.1%),エラグ酸がバナバ葉熱水抽出物のXOD阻害効果に関与している可能性があることを推察した.
著者
日高 敏隆 米川 誠
出版者
日本動物学会
雑誌
動物学雑誌 (ISSN:00445118)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.27-31, 1959-01

In full-grown larvae (50mm or a little more in body length) of Malacosoma neustria testacea Motschulsky, extirpation of either the prothoracic or the mesothoracic ganglion results in a marked distension of the body within about 24 hours. The body becomes fully stretched, attaining about 70mm in length. The larvae become almost unable to move, except that they show a continuous biting and swallowing movement of mouth-parts. The alimentary canal is filled with air thus swallowed. When punctured by needle, the air escapes from the alimentary canal and the body immediately becomes reduced in size (see Figs. 1 and 2). After removal of the subesophageal ganglion or of the brain, the mouth-parts become immobile. In these larvae, extirpation of the prothoracic ganglion no longer causes the distension of the body. If the mouth and anus are closed with paraffin immediately after removal of the prothoracic ganglion, no distension of body can be observed. It is obvious, therefore, that the body distension following removal of the prothoracic ganglion is largely attributable to an abnormal intake of excess amount of air into the alimentary canal. Extirpation of the prothoracic ganglion appears to bring about a failure of a proprioceptic inhibitory mechanism. In younger larvae, mature larvae or prepupae no distension of body takes place after removal of the prothoracic ganglion. In the silkworm (Bombyx mori, L., J-122×C-115) deprived of the prothoracic ganglion, the distension is very slight.
著者
斉藤 日出治
出版者
大阪産業大学
雑誌
大阪産業大学経済論集 (ISSN:13451448)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.1-24, 2010-09

Japan occupied the island of Hainandao just before the Asia Pacific War.The Japanese army murdered many Hainandao inhabitants during this occupation. Nevertheless the facts of these massacres have been suppressed and neglected by japanese government and people after the war. We have been researching the facts of the massacres by the Japanese army through interviews with the survivors in Hainandao. As a result we found these massacres did not happen accidentally, but were purposely carried out in accompaniment with the military operations of the Japanese army. These massacres took place continually from February 1939 to August 1945. I analyzed the Military Diary of the Japanese Navy in Hainandao. Recorded in this diary is not only military operations in the narrow sense, but also various government policies. For example, the mining of natural resources, management of land, control of prices, the education for the island inhabitants, and securing human resources. The aim of the Japanese army was to continue its war effort by pillaging resources, food, and using forced labor, among other things. It tried to construct a sphere of self-sustenance by pillage of its occupied countries. Many government policies were necessary to construct this sphere of self-sustenance by pillage. It shows the particularity of Japanese imperialism in comparison with Occidental imperialist practices.
出版者
国立国会図書館
巻号頁・発行日
no.(207), 2016-08
著者
土谷 隆
出版者
GRIPS Policy Research Center
雑誌
GRIPS Discussion Papers
巻号頁・発行日
vol.20-04, 2020-05

1. 本研究では,東京都,大阪府,神奈川県の3自治体を取り上げ,簡単な感染症数理モデルをあてはめて種々のデータと整合性のある形で新型コロナウイルス感染症の感染実態を説明することを試みた.項目4から8がモデルによる解析の主たる結果である.2. 解析に用いるモデルはSIRモデルの単純な一変種で,未感染者・感染者・免疫保持者の割合の時間的変化を記述する.感染者は感染後一定期間(15日間) は他人に感染させる力があり,その後免疫保持者となる.感染者が感染力を持つ期間の感染力は(感染力パラメータβ) × (その時点での未感染者率) である.自粛や緊急事態宣言等の影響を,βの日毎の変化としてモデル化した.モデル自身はその考え方も記述も高等学校の数学の範疇で理解できるものである.3. 解析に用いたデータは下記の通りである.(a) 各自治体によって発表されている日ごとのPCR検査の陽性者数,(b) 厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策専門家会議より2020年5月1日に発表された,東京都における日ごとの発症数(のグラフ),(c) 東京大学(2020年5月15日プレスリリース) と大阪市立大学(2020年5月1日プレスリリース) から発表された抗体検査の結果.4. 本感染症の実際の新規感染者数は,各自治体が把握している新規陽性者数の20倍程度はいる可能性があることが判明した.おそらくはこれらの感染者は,罹患中は感染源となるにもかかわらず,本人自身は未発症かごく軽症に終わり,自治体がその実態,感染プロセスを遅滞なく把握することは困難であると考えられる.仮に,発症者よりも感染力が弱いとしても,これらの未把握感染者は人数的には発症者の20倍程度おり,自由に活動し続けるため,感染が拡大していく上で主要な役割を果たしている可能性もある.したがって,ウイルス根絶のためには,行政が把握している新規陽性者が0となっただけでは不十分で,その状態をそれなりの期間継続する必要がある.5. 東京都において,5月25日に緊急事態宣言の解除が行われた.仮に3週間前後かけて3月26日以前のレベルの社会・経済活動に戻し,そのまま活動を続けると,7月上旬から中旬には感染者が急増する.さらに,仮に,それをそのまま放置すると,10月中旬にピークを迎える大流行となり,12月初旬には収束する.都民の88%が罹患し,36万人が発症し,7万2千人が重症化する.ピーク時には(現在の行政的意味で)1万7千人強の陽性者が1日に発生すると予測される.(これは,あくまでモデルによる試算である.実際には,今回すでに行われたような適切な活動制限・自粛を行うことによって回避可能である.西浦による4月15日の全国についての予測とオーダー的には合致している.)6. 直近の戦略について述べると,6月30日まで緊急事態宣言解除を延期して,その後比較的早く3月下旬のレベルまで社会活動を戻す方が,現行の解除戦略よりも,第2波が起こるまでにより長期間の活動が可能となるだけではなく,クラスター対策がより有効なレベルまでウイルス感染者が減少しうる点で,活動制限延長の損失を補って社会的には利得が大きいと考える.現行の戦略は,ウイルスが減少しきっていないうちに社会・経済活動を戻すため,最悪の場合には6月中に感染者が再増加し,再び行動制限や自粛をしなくてはいけなくなる可能性がある.7. 現行のシステムにおいても,ウイルス感染拡大を抑えるという立場だけからだけであれば,社会・経済活動を2ヶ月の活動期間と3ヶ月の活動制限期間を繰り返す形で,最大1日100人程度の(行政的意味での) 陽性者発生に抑え,周期的に持続していくことは可能であると思われる.(過去4ヶ月の内2月,3月を活動期間,4月,5月を活動制限期間として,仮にさらにもう一月,ウイルス感染鎮静化のため,6月までを活動制限期間としてみれば良い.) ただし,これでは経済的に持続可能とは限らないので,いろいろな工夫をして,3ヶ月の活動期間と1-2ヶ月の活動制限期間を繰り返す形にできるようにすることが,まずは,一つの現実的社会的目標として考えられる.8. 大規模な抗体検査,PCR検査, ICTの活用等,ウイルスの感染実態をつかむ継続的なサーベランスによる予測精度向上と社会全体での情報共有が重要である.9. なお,筆者は統計数理や数理工学の研究者ではあるが,感染症の数理モデルの専門家ではない.流行の態様と行く末を定量的に理解することを目的として,公開されているデータと素朴な数理モデルのみを利用して何ができるか,非力ながらも自分なりに真剣に考えてまとめたものが本小論である.モデルの帰結として若干の予測なども行っているが,これを読まれる方は,書かれている予測結果を鵜呑みにすることはせず,自身の責任で,検討材料の一つとしていただければ幸いである.モデルの検証に必要なことはすべて小論内に書かれている.なお,本小論の結果や考察はあくまで筆者個人の意見として発信されるものであり,筆者の所属大学の公式見解とは無関係である.
著者
西元 謙吾 林 多聞 早水 佳子 黒野 祐一
出版者
The Society of Practical Otolaryngology
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.102, no.11, pp.945-949, 2009 (Released:2011-06-09)
参考文献数
7
被引用文献数
2

The efficacy of the common practice in Japan of recommending gargling to prevent post-tonsillectomy infection and to reduce throat soreness remains to be scientifically and quantitatively confirmed. In an attempt to remedy this, we had 108 subjects—48 men and 60 women aged 17 to 79 years (mean: 33.8 years)—gargle with povidone-iodine (PI) or sodium guaiazulen-3-sulfonate (AZ) following bilateral tonsillectomy. We measured the clinical effects on a pain scale and pain-medication score for comparison between the two groups. Results indicated by the medication score and pain scale demonstrated that gargling with AZ significantly reduced pain compared to gargling with PI, especially right after surgery. AZ also showed an antipyretic effect, suggesting that gargling with AZ is superior to PI as a post operative gargle.