著者
Masato Nakamura Mamoru Nozaki Yuji Iwata Nozomu Koizumi Yasushi Sato
出版者
Japanese Society for Plant Biotechnology
雑誌
Plant Biotechnology (ISSN:13424580)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.129-138, 2022-06-25 (Released:2022-06-25)
参考文献数
48
被引用文献数
2

Endoplasmic reticulum (ER) stress activates unfolded protein responses (UPRs), such as promoting protein folding under the control of specific gene expression. Our previous study showed that ER stress induced by ER stress inducers such as tunicamycin (Tm), an inhibitor of N-linked glycan synthesis, causes ectopic lignin deposition in Arabidopsis roots, but the relationship between UPR and ectopic lignin deposition remains unclear. The receptor-like kinase THESEUS1 (THE1) has been shown to sense cell wall damage (CWD) induced in Arabidopsis by cellulose synthase inhibitors such as isoxaben (ISO) and to activate ectopic lignin deposition. In this study, we assessed the involvement of THE1 in ectopic lignin deposition caused by the ER stress inducer Tm. The loss-of-function mutation of THE1, the1-3, suppressed Tm-induced root growth inhibition and ectopic lignin deposition, revealing that THE1 is involved in root growth defects and ectopic lignin deposition caused by ER stress. Similarly, ISO treatment induced ectopic lignin deposition as well as the expression of the UPR marker genes binding protein 3 (BiP3) and ER-localized DnaJ 3b (ERdj3b). Conversely, in the the1-3 mutant, ISO-induced ectopic lignin deposition and the expression of BiP3 and ERdj3b were suppressed. These results showed that THE1 is involved in not only root growth inhibition and ectopic lignin deposition caused by ER stress but also CWD-induced UPR.
著者
Yuta KOKETSU Takafumi TANEI Takenori KATO Takehiro NAITO Ko OKADA Risa ITO Kento HIRAYAMA Toshinori HASEGAWA
出版者
The Japan Neurosurgical Society
雑誌
NMC Case Report Journal (ISSN:21884226)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.25-30, 2022-12-31 (Released:2022-02-23)
参考文献数
27

A 36-year-old woman presented with sudden onset of a right-sided headache that awoke her from sleep. She had no episodes of trauma or abuse. She was initially able to speak, but fell into a coma within an hour. The right pupil was dilated, with slow pupillary reflexes to light on both sides, and she showed left hemiparalysis. Computed tomography scan showed a right acute epidural hematoma, approximately 4 cm in thickness, and there were no findings of trauma such as skin wounds, subcutaneous hematomas, or skull fractures. In the emergency room, decompression of intracranial pressure by one burr hole was performed, and her dilated right pupil improved to normal size. She was then moved to the operating room, and hematoma removal was performed by craniotomy. Her blood pressure trended downward despite rapid blood transfusion and vasopressor therapy. There were no abnormal findings apparent intraoperatively, except for oozing from the whole surface of the dura mater and epidural space. Her consciousness improved postoperatively, and her left hemiparalysis improved within a few days. No causative diseases, risk factors, or vascular abnormalities were found on laboratory and radiological surveys. Two months postoperatively, the bone flap was removed because of infection. Eight months postoperatively, a cranioplasty using artificial skull was performed, and her postoperative course was uneventful. One year after the initial surgery, she has no neurological deficits, and there has been no recurrence of epidural hematoma.

3 0 0 0 OA 水中音の特性

著者
間庭 愛信
出版者
The Institutew of Noise Control Engineering of Japan
雑誌
騒音制御 (ISSN:03868761)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.61-64, 1985-04-01 (Released:2009-10-06)
参考文献数
4
被引用文献数
1
著者
関野 樹
雑誌
じんもんこん2020論文集
巻号頁・発行日
vol.2020, pp.101-106, 2020-12-05

年表や時系列グラフは,時間情報を可視化する方法として一般的であるものの,これらを利用者間で共有するため仕組みは作られてこなかった.本研究では,年表や時系列グラフを生成,加工する機能を持つ時間情報システムHuTimeをプラットフォームとして,これらを共有・交換するための仕組みを構築した.
著者
塚谷 裕一 池田 博
出版者
日本植物分類学会
雑誌
分類 (ISSN:13466852)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.127-135, 2005-08-31 (Released:2017-03-25)
被引用文献数
1

植物分類学における分子系統学的解析が疑いなく重要となっている現在,すべての分類群を対象とした網羅的なDNAの収集がなされれば,系統分類学者にとって非常に有用なものになると考えられる.従来,遠隔地での植物DNAサンプルの採集法は,生の組織をシリカゲルで乾燥して持ち帰るというものであった.しかし,そのためには十分な量のシリカゲルを用意せねばならず,大量のサンプルを処理することは困難であった.最近,私たちはフィールド調査で植物のDNAを収集する際に, Whatman社製のFTA[○!R]カードを採用している. FTAカードにより収集されたDNAはPCR解析に向いており, DNA収集が容易で,しかもコンパクトであるという利点がある.ヒマラヤ植物研究会ではFTAカードを用いた植物DNAの収集を進めており,将来的にはこのDNAリソースを世界の研究者に提供することを目指している.具体的事例として,ロシアで行った収集について紹介する.
著者
高橋 直紀 山縣 貴幸 峯尾 修平 加藤 光太 多部田 康一
出版者
特定非営利活動法人 日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.171-182, 2021-12-28 (Released:2022-01-14)
参考文献数
26
被引用文献数
1

世界中で猛威を振い続ける新型コロナウイルスの感染経路のひとつにエアロゾル感染がある。歯周治療で頻用される超音波スケーラーから発生するエアロゾルが交差感染のリスクとして懸念されているが,そのエアロゾル特性については十分に知られていない。本研究の目的は,微粒子可視化システムを用いた流体工学的検討と,感水試験紙およびパーティクルカウンターを用いた模擬臨床試験から,超音波スケーラーから発生するエアロゾル特性およびエアロゾル感染予防策を検討することである。流体工学的検討から,超音波スケーラーから発生するエアロゾルの平均粒子径は約40 μmで,液滴速度が3 m/sであった。また感水試験紙を用いた模擬臨床試験から,超音波スケーラーの向きによるエアロゾルの飛散距離の違いが観察された。パーティクルカウンターを用いた解析において,1-10 μmの粒径のエアロゾル飛散量は距離とともに減少し,口腔内外バキュームの使用によりエアロゾル量が大幅に減少することが確認された。これらのことから,超音波スケーラーから様々な粒子径のエアロゾルが発生するが,吸引装置の適切な使用によって超音波スケーラーから発生するエアロゾルを介した交差感染リスクを抑制できる可能性が示唆された。
著者
野口 佑太 伊藤 卓也 横田 美空
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.38, no.6, pp.736-740, 2019-12-15 (Released:2019-12-15)
参考文献数
14

対象者の住環境把握に向けて,Virtual Reality(以下,VR)を活用した.その結果,病院スタッフが自宅へ訪問することなく,対象者の自宅の環境や設置された手すりなどを確認することができた.VR動画は従来の写真での確認とは違い,実際の場に行かなくても擬似体験が可能な点が利点である.また,VR動画の確認にタブレット端末を使用した場合,映像酔いも認められず,安全に映像を確認することが可能であった.しかし,VR動画のみでは映像内の段差や物品の高さなどが正確にはわからないことが,課題として挙げられた.VRは,自宅退院に限らず,施設へ入所する場合や外出先の状況の把握など,作業療法の展開に活用できる可能性が示された.
著者
下崎 久美
出版者
東京藝術大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2013-04-01

20世紀初頭の民族音楽学者アルマス・ラウニス著『ラップランドのヨイク旋律集(1908)』(以下『ヨイク旋律集』)に掲載されている854のヨイクの譜例を対象に、研究者独自の観点から再分類および分析を行った。『ヨイク旋律集』は、1904年と1905年の7~8月に、イナリ、ウツヨキ、コウトケイノ、カラスヨキ、ポルマクの五つの地で23人以上の歌い手からラウニス自身が採譜した824の譜例に加え、他2名の採譜者による30の譜例を加えた計854の譜例をもとに、それらをフレーズ構成というラウニス独自の観点から712種に分類した旋律集である。本研究では、ラウニスが分類の基準としたフレーズ構成の他、各旋律の拍子、音域、音列といった音楽情報を抜き出し、また、それらを歌い手ごとに整理し直すことで、20世紀初頭の北サーミのヨイクの音楽的内容をより鮮明に浮かび上がらせることを試みた。考察の結果、20世紀初頭の北サーミのヨイクは、オクターヴ内の音域、2拍子または3拍子、D-G-A-Bを中心とする4音または5音の音列が典型的な例であることがわかった。これは、現在通説として語られている「オクターヴを超える音域と複雑な拍子」という特徴には当てはまらない。この理由はおそらく、これまでヨイク研究者が参照した録音資料の多くがサーミ人の日常生活において受け継がれてきた伝統的なヨイクではなく、1960年代以降レコード産業を通じて台頭した現代ヨイクの名手による技巧的に発展されたヨイクであるためと考えられる。本研究は、これまで先行研究において伝統的なヨイクと現代ヨイクの音楽的特徴が明確に区別されてこなかった問題点を示唆するものであり、伝統的なヨイクの音楽様式研究は、ラウニス以降に残された体系的な録音群や現代のフィールド調査で得られる録音の分析によって今後も発展の余地が十分にあるといえる。
著者
西川 寿勝
出版者
一般社団法人 日本考古学協会
雑誌
日本考古学 (ISSN:13408488)
巻号頁・発行日
vol.7, no.10, pp.25-39, 2000-10-04 (Released:2009-02-16)
参考文献数
40

弥生時代中期,わが国に漢式鏡が舶載されはじめる。舶載鏡の大半は異体字銘帯鏡と呼ばれる前漢後期の鏡である。この鏡は北部九州の限られた甕棺墓から大量に発見されることもある。卓越した副葬鏡をもつ甕棺墓の被葬者は地域を統率した王と考えられている。しかし,その根拠となる副葬鏡の製作・流通時期や価値観については詳細に評価が定まっていない。また,大陸の前漢式鏡中に位置づけた研究も深化していない。著者は,これまでに中国・日本で発見された700面以上の異体字銘帯鏡を再検討し,外縁形態と書体をそれぞれ3区分し,その組み合わせで都合7型式を設定,編年を試みた。あわせて,各型式における鏡の価値観の違いを格付けし,もっとも上位に位置づけられる大型鏡は前漢帝国の王侯・太守階級の墳墓から発見される特別なものであることを確認した。大陸での異体字銘帯鏡の様相にもとづき,わが国発見の異体字銘帯鏡を概観した結果,今から約2000年前にあたる紀元前後(弥生時代中期末~後期初頭)に,型式と分布の画期をもとめることができた。その意義について,中期に発展した玄界灘沿岸の勢力が後期になって斜陽となり,西日本各地に新勢力が萌芽する様相がうつしだされたものと考えた。
著者
山口 美穂子 木下 大介 秋田 大輔 西村 陽
出版者
一般社団法人 日本周産期・新生児医学会
雑誌
日本周産期・新生児医学会雑誌 (ISSN:1348964X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.468-473, 2020 (Released:2020-12-10)
参考文献数
9

重篤な新生児の治療中止は重要な倫理的課題である.経口気管挿管下で退院し,自宅で看取りを行った症例を経験したので報告する.症例は正期産,出生体重約2,500g,Apgar score 0/0/0点.常位胎盤早期剥離のため緊急帝王切開で出生したが,重症低酸素性虚血性脳症に至った.両親は生後早期より人工呼吸器下での生命維持を望まず,自宅での看取りを希望した.両親・新生児科医師・看護師間及び院内臨床倫理委員会で協議し『自宅での看取り』は児の最善の利益となると考えた.生後1カ月半に経口気管挿管下で自宅へ退院し,永眠した.臨床倫理コンサルテーションや慎重な意思確認のプロセスを踏むことで看取りを支援できた.重篤な新生児を数多く経験するNICUにおいては,個々の症例における様々な可能性を両親・医療者を含めた多職種で慎重に検討し,児の最善の利益に繋げていく必要がある.
著者
堀田 裕子
出版者
日本社会学理論学会
雑誌
現代社会学理論研究 (ISSN:18817467)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.119-132, 2010

テレビゲーム体験は、M.メルロ=ポンティの理論からどのように考察できるだろうか。彼は「奇妙な」空間に関する考察で、異なる空間への「投錨」とそのための「投錨点」の必要性を論じている。投錨は「構成的精神」によるのではなく、身体が新たな空間内の諸対象を「投錨点」として、そこに住みつくということである。だがその投錨(点)は対象ではなく地であり、異なる空間を同時にとらえることはできない。<br>テレピゲームにおける「客観視点」は、「主観視点」とは異なり、画面上にキャラクターが登場しそれを操作するプレイヤーの視点である。この時、キャラクターの身体は投錨点となり、プレイヤーの動きに応じてキャラクターは同時に動く。この現象を「同期」と呼ぶ論者もいる。だが、この考え方は二重の空間把握と物理的身体を前提しており、身体はその特質からしてまず「潜勢的身体」としてとらえる必要がある。<br>また、奥行の考察からは、対象同士、そして対象と身体もけっして並列的な関係にあるのではなく、互いに他方を導き入れる「含み合い」の関係にあることが示される。そして、この「含み合い」を「投錨」の観点から理解することで、ゲーム体験においてはプレイヤーの身体とキャラクターの身体とがまさしく「含み合い」の関係にあることが分かる。そして、過去・現在・未来もまた「含み合い」の関係にあるとともに、地となり時間を湧出する、潜勢的身体のもつ非反省的な主体性は、ゲーム体験によって解体されることはない。

3 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1922年10月05日, 1922-10-05

3 0 0 0 OA 太平記

著者
国文学会 校
出版者
誠之堂
巻号頁・発行日
vol.4, 1901
著者
谷野 絵美 余田 敬子
出版者
日本耳鼻咽喉科感染症・エアロゾル学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科感染症・エアロゾル学会会誌 (ISSN:21880077)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.151-155, 2020-04-20 (Released:2020-05-20)
参考文献数
6

近年,口腔咽頭の性感染症の増加が懸念されている.自ら性感染症を心配して耳鼻咽喉科を受診する患者が少なくない.梅毒の口腔咽頭病変は特徴的な所見がみられるが,前医で抗菌薬を投与され他覚的所見が消失した状態で受診することもある.淋菌・クラミジア咽頭感染は特徴的所見に欠き鑑別が難しいことが多い.当科で最近の1年間に咽頭梅毒2例,淋菌およびクラミジアの咽頭感染を1例経験した.いずれの症例も当科初診時は明らかな特徴的所見は認めなかったが,咽頭痛や咽頭違和感が遷延して自ら咽頭の性感染症検査を希望して受診し,それぞれ梅毒抗体検査,核酸増幅法検査を行った結果診断された. 患者が咽頭の性感染症を心配して耳鼻咽喉科を受診した場合,咽頭の他覚的所見がなくとも性感染症検査を行うことが望ましい.また治療後に性感染症の感染リスクが高い性行動を持つ人に対しては,定期的な性感染症の検査の継続が望ましいと考える.
著者
濵本 宗我 森田 裕介
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2021, no.4, pp.152-157, 2021-12-03 (Released:2021-12-03)

近時,日本の大学ではティーチングアシスタント(TA)が活用されている.TAは大学にとってのメリットのみならず,学生にとってもトレーニングの機会である等のメリットが存在する.TAは大学教員になるための訓練という形で捉えられることも多い.他方で,学生の進路は大学教員に限らない.より幅広い進路に関してTAを務めるメリットを検討する必要があると推測される.そこで,本研究では,TA経験者の,TA経験前後の汎用的スキルに関する主観評価をアンケートにより調査し,その変化を分析した.これにより,TA経験は「キャリア行動」の成長に資する一方で,エンプロイアビリティへの貢献は低いことなどが示唆された.